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■夏の日の想い出・郷愁(28)

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11月3日の制作会議で、青葉・七星さん・丸山アイが私の代作をしてくれて、その譜面は千里が調整して「まるで私が書いたかのような曲」にし、ケイ名義でアルバム『郷愁』に入れることが決まった。
 
しかし翌日青葉は
 
「冬子さんはもう作品が書けるはず。だから実際には冬子さんが書いた物を私がいったんまるで私がケイ風に書いたかのような作品に書き換えて千里姉に渡して調整させましょう」
と提案した。
 
そしてそのようにすると、私の作品でないことから、制作中にスターキッズの人たちが遠慮無く意見を出してくれますよとも言われた。
 
実際には私は翌週の11日、政子がアクアの映画の試写会を見に行った日、マンションでひとりで過ごした時に『ふるさと』を書いて、青葉に送った。青葉は11月13-15の日本選手権に出て16日には霊関係の仕事を片付けた後、17日(金)に「青葉がケイ風に書いた曲」という感じに修正して千里に送った。そして千里はそれを「まるでケイが書いたかのような曲」に修正して11月20日(月)に私に送ってくれた。
 
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丸山アイはその翌日、21日・火曜日の午前中、私のマンションにやってきた。午前中なので、政子は当然!寝ている。
 
アイは『キャロット・ギャロップ』、『雨だれのデュエット』という可愛い曲を2つ書いて来てくれた。
 
「2曲書いてくれたんだ!」
と私は驚き譜面を読んだ。
 
「どちらも凄い可愛い曲だね。それにこれもう既にまるで私が書いたみたいな曲になっている」
 
「まあ千里ちゃんも忙しいみたいだから、手間を省いてあげようと」
とアイは言っていた。
 
「それで提案。ケイさん、その曲を貝瀬日南ちゃんと、フローズン・バナナズだっけ?」
「フローズンヨーグルツ?」
 
「そうそう、それ。その2組にあげて、郷愁用の曲はケイさん自身で書きません?」
「え!?」
 
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「だって、ケイさんたちのアルバムなのに、周囲の都合で他の人が書いた曲ばかりになったら、嫌でしょう? だからケイさんが他の歌手に提供する曲を私が代作していいですよ。他にも必要な曲があったら言ってください。ある程度は対応できますから。ケイさんはまず自分たちのアルバム優先でやった方がいいと思うんです」
 
とアイは言った。
 

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「それ、こないだ青葉からも似たようなこと言われた」
 
と言いつつ、そういえば青葉がそれを提案してきたのは、アイと一緒に外出した後だったことを思い出す。もしかして2人で何か話したのだろうか?
 
「ああ、青葉ちゃんもこないだ少しケイさんのことを心配してましたよ。その話を聞いたんで、私もこのことを思いついたんですけどね」
 
「ああ、だったら先日の青葉と一緒にPV撮影に参加してもらった時にその話が出たんですね」
 
「私も過去にけっこう代作をしたから。ケイさんみたいに年間100曲とかはとても書けないけど、年間7〜8曲くらいなら協力していいですよ」
とアイは言う。
 
年間7〜8曲代作可能ということは、この人、実際には相当数の作品を書いているのだろう。実際この短期間に2曲も私が作ったみたいな作品を書いてきたのは凄い。
 
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「ありがとう。凄く嬉しい。これはそのアイちゃんの言うように、日南とフローズン・ヨーグルツに渡して、郷愁用の曲は頑張って自分で書いてみるよ。それをスターキッズとかにはアイちゃんが私の代理で書いてくれた曲ということにしておいていい?」
 
「ええ、それでいいですよ」
とアイは笑顔で言っていた。
 

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それで私はあらためてこのアルバムのタイトル曲にすべく『郷愁協奏曲』を書き上げたのであった。
 
協奏曲という名前の通り、ソナタ形式にしてオーケストラをバックに歌うことを想定している。演奏時間が7分に及ぶ、歌唱曲としては長い曲である。また、提示部の第一主題と第二主題の間、いわゆる推移主題に、文部省唱歌『故郷(ふるさと)』(作曲:岡野貞一,1878-1941)のメロディーを取り込んでいる。
 
私はエレクトーン譜に近い状態で、千里にアイの作品ということにして渡したのだが、千里は
 
「この作品は直すところがない」
と言った。
 

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そういう訳で『郷愁』の収録曲の作者はこのようになっているのである。横に並べたのは、表記上の作者・収録参加者が認識している作者・本当の作者である。
 
■郷愁の収録予定曲
『同窓会』マリ&ケイ・マリ&ケイ・マリ&ケイ
『刻まれた音』マリ&ケイ・マリ&ケイ・マリ&ケイ
『ふるさと』マリ&ケイ・青葉・ケイ
『郷愁協奏曲』マリ&ケイ・丸山アイ・ケイ
『お嫁さんにしてね』マリ&ケイ・千里・千里
『硝子の階段』マリ&ケイ・青葉・青葉
『携帯の無かった頃』マリ&ケイ・七星・七星
 
『トースターとラジカセ』Sweet Vanillas・Elise+Londa・Elise+Londa
『セーラー服の日々』ゆま・ゆま・ゆま
『靴箱のラブレター』青葉・青葉・青葉
『フック船長』琴沢幸穂・琴沢幸穂・琴沢幸穂
『斜め45度に打て』Golden Six・花野子・花野子
 
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つまり表面上は12曲中7曲がマリ&ケイの作品ということになっているが、スターキッズのメンバーや★★レコードのスタッフが認識しているレベルではマリ&ケイの作品は2曲のみで、あと5曲は代作。しかし実はその中に本当は私が書いた作品が2つ入っていて、本当に本当のマリ&ケイ、あるいはケイ単独で書いた作品は12曲中4曲あるのである。
 
3分の1が私(とマリ)の作品になったことで、私はこのアルバム制作開始当初にあった罪悪感を随分やわらげることができた。これは青葉と丸山アイのおかげである。
 
Sweet Vanillas名義の曲は実際にはほとんどがElise作詞・Londa作曲である。グループ名義にして印税をメンバーで山分けするようにしている。
 
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Golden Sixも同様で、Golden Six名義の曲は実際に作っているのは、花野子または千里(希に麻里愛)であるが、グループ名義にして、毎回作曲者と音源制作参加者とで印税を分け合うようにしている。今回の曲のように他の歌手に提供した曲の場合は過去1年間の貢献度に応じた比例配分にする。
 
そのため、Golden Sixの経理を管理している蓮菜のパソコンの中に各々の曲は誰が作詞作曲したものか、音源制作に誰々が参加したかがきちんとデータベース化されていて、田代君(蓮菜の彼氏)が作ったプログラムで各人への支払額が計算されている。支払額は数百円、時には数十円という少額の人もあるので振込手数料は全て千里が個人的に負担しているらしい。
 
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■青い豚の伝説の収録曲
 
『青い豚の伝説』マリ&ケイ・マリ&ケイ・マリ&ケイ
『青い浴衣の日々』マリ&ケイ・七星・七星
『青い恋』マリ&ケイ・マリ&ケイ・マリ&ケイ
『銀色の地平』琴沢幸穂・琴沢幸穂・琴沢幸穂
 
■Four Seasonsの収録曲
 
春『春の詩』マリ&ケイ・マリ&ケイ・マリ&ケイ
夏『縁台と打ち水』蓮菜+千里・蓮菜+千里・千里
秋『村祭り』七星・七星・七星
冬『冬の初めに』マリ&ケイ・蓮菜+千里・千里
 
『縁台と打ち水』と『冬の初めに』は、みんなには葵照子+醍醐春海(蓮菜と千里)と言っているものの、実際には歌詞も千里が書いていることを私は彼女から聞いている。マリ&ケイ、森之和泉+水沢歌月と同様で、2人の内どちらかが単独で作った曲も、ふたりの名義にして印税等を分け合う約束なのだそうである。要するにレノン・マッカートニー方式である。
 
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私の話を千里と青葉は頷きながら聞いていた。
 
「まあ実際には『協奏協奏曲(nostalgy concert)』は波動で冬の作品だと分かったから直さなかったんだけどね」
と千里は言う。
 
「やはり千里には嘘がつけない。本当は直しようがあった?」
「あれ、もう編曲に回した?」
「まだ。年明けまで編曲してくれる人の手が空かなかったから、戻ってから回す予定だった」
 
オーケストラの編曲はさすがに私の手に余るので専門家に依頼することにしていた。それでポップスやロックにも造詣のあるクラシックの音楽家がいないかアスカに訊いてみた所、心当たりがあると言われた。それはなんとアスカの先生に当たる尾藤広喜教授であった。
 
尾藤教授には私も数回ヴァイオリンの個人レッスンを受けたことがあり、その時教授がビートルズとサイモン&ガーファンクルのファンだと聞いて少し驚いたりしたのだが、ロックやフォークに理解のある人ならお任せしていいと思い、お願いすることにした。
 
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しかし教授は年内は卒業試験などの処理で手が空かないということで、それが年明けには一段落するので、それから書くよとおっしゃったので、それを待つことにしていたのである。
 
「じゃ直したのをあとで渡すよ」
と千里は言った。
 
「直してたのか!」
「それを見て、オリジナルと私が調整したのと、好きな方を編曲者に渡すといいと思う」
「うん。そうする」
 
「青葉から回ってきた『ふるさと』も大元は冬の作品だなと分かったけど、青葉が崩した部分を修正した。ま、ついでに少し私の好みに変えたけど」
 
「なるほど〜」
 

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「あの時、アイさんと一緒に江戸川区の撮影現場に向かう時、どちらからともなく、その話が出たんですよ」
と青葉は言う。
 
「それで私に自分で書くように勧めようという話になったの?」
「いえ、その話は出ませんでした。でも、その会話から私はそのことを思いついたから、多分アイさんも同様だったんじゃないでしょうか。しかし他の歌手に渡す曲を2曲もそんな短期間に書くというのは凄いですね」
と青葉は言う。
 
「あの子も量産型みたいね。そして多分Cubaseの入力が物凄く早い」
と千里。
 
「データ見るとキーボードからリアルタイム入力した感じだった」
「確かに打ち込みではその期間で入力するのは無理かもね」
「つまりピアノプレイが凄く上手いんだ?」
 
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「ということになると思うよ。電子キーボードでやってきた人は強弱のタッチがわりと適当なんだけどピアノで鍛えられている人はそれが正確だからリアルタイムで入力したデータがほぼそのまま使えるんだよね。小さい頃からピアノの訓練をちゃんと受けている人のデータだと思った」
 
「女の子になっている時の丸山アイちゃんにしても、男の子になっている時の高倉竜君にしても、ギター弾いてるイメージが強いんだけどね」
 
「そのあたりはイメージ戦略もあるんだろうね」
 

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「ところで、丸山アイちゃん、今彼氏と半同棲中なんだって?」
と千里が言うと、
 
「うそ。高倉竜さん、今彼女と半同棲中と言ってましたよ」
と青葉が言う。
 
「え〜〜!?」
 
私たちは腕を組んで考えた。
 
「やはりあの子の言っていることは矛盾に満ちている!」
 
「ひょっとして、ふたなりの彼氏or彼女と同棲中とか?」
「ひょっとして自分自身と同棲中だったりして」
 
「アイちゃん自身って、結局ふたなりなんだっけ?」
と私は訊く。
 
「それが分からないんだよね〜」
と千里も青葉も言った。
 
「私も一時期信じてしまっていたんだけど、性腺を除去して生殖能力は無くなっているという話は絶対嘘だと思う」
と千里は言っている。
 
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「あの子、相手によって、男の子だったけど睾丸を除去したと言っていたり、女の子だったけど卵巣を摘出したと言っていたりするんだよ」
と私。
 
「それ多分どちらも嘘です」
と青葉。
 
「男の子とも女の子ともふたなりの子ともセックスできると言ってましたけど、それもどこまで信じていいのか分かりません」
と青葉は続ける。
 
「うん、ふたなりの子とミューチャルセックスしたとか以前言ってたけどね」
と千里。
 
「それも凄いな」
 
「実はミューチャルじゃなくてオートセックスだったりして」
「オートフェラチオはできる人が存在するけど、オートセックスは男女両性器を持っていたとしても、原理的に不可能だと思う」
 
「原理的というか方角的というか」
「まあ無理に入れようとしたら折れるだろうね」
「完全に硬くなる前に入れたら何とかならない?」
「それだと距離的に届かない気がする」
「そのあたりが、取っちゃう前に実際に大きくしたことがないから分からない」
「私たち3人とも多分手術前に男の子としての経験は無いよね?」
 
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いったい私たちは何の話をしているんだ!?
 
 
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