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■夏の日の想い出・郷愁(7)

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10月10日(火)午前10時。
 
★★レコードの社長室のドアがトントンとノックされた。村上は秘書か誰かと思い「はい」と声を出した。入って来たのは、見覚えの無い24-25歳かと思う女性である。
 
「どなたでしたっけ?」
と村上は怪訝な表情で言う。来客であれば秘書が連れてくるはずだ。社内の人間か?その場合でも普通は部長クラスの人間が一緒に来るだろう。
 
「お初にお目に掛かります。私、この度、ローズ+リリーのマネージャーに就任しました、鱒渕水帆と申します」
 
と言って、彼女は名刺を出した。
 
《サマーガールズ出版マネージャー・ローズ+リリー担当 鱒渕水帆》
 
と印刷されている。
 
「おお、新しいマネージャーさんですか」
と笑顔で応じながら、なぜこの人はひとりでこの部屋に入ってきたんだ?と思っている。
 
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「今日はちょっと村上社長にお願いがあって参りました」
「はい?」
「良かったら佐田副社長も一緒にお話したいのですが」
 
「制作関係のことなら、私より町添専務と話してもらった方がいいと思いますが」
と村上。
 
「あら、町添さんがこの話を聞いていいのかしら」
と鱒渕は言った。
 
「・・・・君は何を話したいのかね?」
「佐田副社長がいらっしゃったら、お話しましょう」
 
「要点を言いなさい」
と村上は怒った口調で言う。
 
「要点は、ローズ+リリーのアルバムの発売時期を来年の4月下旬以降に延期して頂きたいのです」
 
と鱒渕は笑顔で言う。
 
「それはできない。多数の関係各社を集めた制作会議で11月上旬発売が決まっている」
「ですが、村上社長が延期するとおっしゃったら、他の会社は異論を出しませんよね」
 
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「私は延期するつもりはない」
 
「そうですか。村上社長は***という言葉に心当たりは?」
と鱒渕は笑顔で言った。
 
村上がピクッとした。
 
「・・・何の話だ?」
と言うものの、顔色が青くなっている。
 
「佐田副社長も一緒にお聞きになった方がよいかと思いますが」
 
村上は鱒渕を睨みながら、佐田副社長の携帯に電話した。
 

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同日13時。
 
私は精神的な疲れから寝ていたのを電話で起こされた。スマホの画面を見ると、★★レコードの村上社長なのでびっくりして取る。
 
「おはようございます。ローズ+リリーのケイです」
「ああ、ケイ君。例のアルバムだけど、進捗はどう?」
「すみません。それを少しお話したいと思っていたんです。あの期日ですが、何とか2ヶ月くらいでも延ばして頂けないでしょうか?」
 
「やはり本当に大変そうだね」
「あ、はい」
「いや、実はさっき君のマネージャーさんと少し話したのだけど」
「うちのマネージャーですか?」
 
と答えながら、それ誰のこと?と思う。
 
「急にタイトルを変更したので準備が間に合わないという話を聞いてね」
「はい、実はそうなんです」
「やはりアルバムを作るとなると1年は掛かるという説明をされて、もっともだと思ったので、発売日を延期することにした」
 
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「本当ですか!?」
と私は驚いて答えた。
 
「来年の6月か7月くらいまでに発売できるようになる?」
「はい。それならしっかりした物を作ることができます」
 
「だったら、そのスケジュールで頼むよ。ああ。浦中さんとかには僕が連絡しておくから」
「ありがとうございます!助かります」
 
私は一体何が起きたんだ!?と思いながら、本当に嬉しい気持ちで村上社長に返事した。
 

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鱒渕さんが14時頃、私のマンションを訪問した。
 
「秋風コスモス社長、山村マネージャーと話したのですが、当面の間、私にローズ+リリーのマネージャーをやらせて下さい」
 
と鱒渕さんは言った。
 
「マネージャーですか?」
 
「ローズ+リリーの制作関係の細かい交渉、ライブなどの管理などをさせて下さい。音源制作の際の伴奏者の手配なども氷川さんと共同でできたらと思っています」
 
「それは助かりますが、お身体は大丈夫ですか?」
「はい。もうすっかり元気になりましたから」
 
「あのぉ、鱒渕さん、★★レコードの村上社長と何かお話になりました?」
 
「それなんですけど、山村が私に変装して交渉してきたそうです」
「変装ですか!?」
 
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と私は驚いて言った。
 

私は政子を起こしてきたが、鱒渕さんがローズ+リリーのマネージャーになると聞くと
 
「おお!アクアのあんなことやこんなことも知ってそうな水帆ちゃん、仲良くしましょう」
などと言って、笑顔で握手していた。
 
「ところでアクアって本当は去勢してるんでしょ?」
などといきなり政子は聞く。
「去勢はしてないですよ〜」
「だったら去勢させるのに拉致するの手伝ってくれません?」
「それはマリさんといえどもNGです」
「だってあの子が声変わりしたら世界の損失ですよー」
 
15時頃、氷川さんがマンションにやってきた。
 
「私も驚いたのですが、お昼過ぎに、森元係長と私と2人、村上社長に呼ばれまして。その場に佐田副社長もおられたのですが、ローズ+リリーのアルバムの発売時期を来年の7月までの適当な時期に延期すると言われました」
 
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「私もさっき村上社長からの電話で言われて驚いていた所です。アクアのマネージャーの山村さんが何かしてくれたみたいで」
と私は言う。
 
「多分山村は村上社長をゆすったのだと思います」
と鱒渕が言う。
 
「ゆする!?」
 
「あの人、安倍首相やトランプ大統領をゆするネタも持っているよ、などと言っていました」
「うーん。トランプの場合は、ツッコミ所が多すぎて」
 
「でも多分、村上さんも11月発売なんてのは元々何かの根拠があって主張したものではないのかも知れません。だから言うこと聞かないと・・・と言われたら簡単に撤回したのかも」
と鱒渕。
 
「確かにそんな感じはありました」
 
「ただ、佐田副社長の方から打診されたのですが」
と氷川さんが言う。
 
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「ローズ+リリーの最後のCDが2016年12月発売なので、2017年に1作も発売しないというのは避けられないかと。それでシングルでもいいから年内に1枚出せないかと言われたんです」
 
「シングルなら何とかなると思います」
「何を出しますか?」
「アルバムの制作の中で本当に自分でも納得いくレベルまで仕上がっている『青い浴衣の日々』を中核にして、あと2曲くらい入れて3曲構成なら、今月中に音源制作が可能です」
と私は言う。
 
すると政子が言った。
「当初の予定の『Four Seasons』を出せばいいんだよ。だから曲目は『春の詩』、『青い浴衣の日々』、『村祭り』、『冬の初めに』」
 
「なるほど!」
「そのラインナップいいですね。それで作れます?」
と氷川さんが言う。
 
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「作りましょう。現在の『郷愁』の制作に関する作業はいったん全部中止して、そちらの編曲を先にします。時間的に完全なスコアを書いている余裕が無いのでアバウトなスコアを書いて、後は演奏者に集まってもらって各自の裁量で音を出してもらってまとめます。それなら10月中にこの3曲は行けると思います」
 
「確かに精密なスコアを作ったのは、演奏者全員集めての収録に必要な時間を節約するためでしたからね」
と氷川さん。
 
「結果的には全然短縮できなかった気がするけどね」
と政子は言っていた。
 

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私は風帆伯母に電話して、村上社長が妥協してくれて、『郷愁』の音源は作り直すことにしたことを説明し、再度の協力を求めた。伯母は
 
「きちんとしたものを作るなら、若山流鶴派としていくらでも協力するよ」
と言ってくれた。
 
私は龍笛について結局誰に聞けばいいのか分からなかったので、取り敢えず千里に電話してみた。
 
「それだいたいいつ頃からいつ頃まで?」
「『Four Seasons』の制作は今月いっぱいからひょっとしたら来月上旬まで。『郷愁』の作り直しは、その後11月中旬から2月末か、ひょっとすると3月中旬くらいまで」
 
「バスケットのシーズンとぶつかるから、土日は無理だけど、平日の午前中なら私自身が参加できる」
 
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「ほんと!?」
「特に11月の後半はWリーグが休みだから土日も参戦できる」
「それは助かる」
 
「普段の平日は、レッドインパルスの練習が基本的に午後1時から夜9時くらいまでなんだよ。だから午前中、7時か8時頃から12時くらいまでならOK」
 
「参加者の足の都合を考えて、平日は新宿のXスタジオ分室でやる。連休や土日は例の《郷愁村》で制作しようと思っているんだけど、移動にどのくらい掛かるかな?」
 
「新宿なら川崎まで40分で移動できるから、昼12時で上がらせてもらえれば問題無い」
「じゃそれでお願いできるかな」
「了解了解」
 

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私は若葉に連絡して、12月まで借りることにしていた《郷愁村》を3月か4月まで借りられないかと聞いてみた。
 
「結構長期間使うなら買っちゃおうか?」
「でも12億円でしょ?」
「平気平気。私、お金が余って困っているから」
「困ってるの!?」
 
それで結局若葉はほんとに不動産会社からあの物件を買い取ってしまった!
 
買い取り価格は6億円だったらしい。あそこは土地は二束三文で買ったものの建築費が10億円ほど掛かったので、不動産会社としては売るなら12億と言っていたらしいが、若葉の代理人の不動産取引のプロが交渉した所、半額の6億で売っていいということになった。しかも6億から5〜12月に借りた賃貸料の2000万を引いて実際には5億8000万の支払いにしたらしい。
 
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私はあらためて今年5月から来年5月までの賃貸料を若葉に払いたいと言ったら「3000万円でいいよ〜」と言っていたので、それで既に支払っている2000万円に追加する形で新たに1000万円払った。なおスタジオの建築費は元々サマーガールズ出版が直接支払っている。
 

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ヴァイオリニストに関してはアスカと相談した所、しばしばメンツは入れ替わるだろうが新宿に夕方以降と、土日の郷愁村なら、常時8人の確保は可能と言ってくれた。
 
「どうしても女が足りなかったら男にドレス着せて行かせるから」
「ヴォイオリンさえ弾けたら、お股の形状は問いません」
 
特に伊藤ソナタ・桂城由佳菜の2人は来年の3月まではほとんどの毎週土日と冬休み期間中は入れるということだった。この2人は地理的な問題で郷愁村へのアクセスが比較的容易らしい。また鈴木真知子ちゃんが今月下旬以降の土日はほぼ出席可能ということだったので、私は助かった!と思った。また田中成美ちゃんも赤羽駅近くの高校に通っているので、平日夕方以降なら毎日新宿のスタジオに入れるということであった。
 
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私はあちこち連絡している内に、平日に制作する曲目と土日に制作する曲目を分けた方がいいと考えた。
 
平日に動ける人と土日に動ける人とが結構別れるのである。また平日でも千里のように午前中がいい人、主婦などをしていて日中がいい人、学生や勤め人で夕方以降が良い人がある。結果的に多重録音になるのはやむを得ないが、各々の人の都合を聞いていると、どうも平日の作業の続きは次の月曜以降に、土日の続きは次の土日にやった方が、同じメンツで制作の続きができる感じなのである。
 
全ての日程に入れるのは私とマリ、スターキッズのみである。
 
追加楽器の奏者について、バレンシアの2人は
 
「どうせお仕事無いから、コンビニでバイトとかするより、こちらに参加したいです」
と言った。
 
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長尾泰華と長丸穂津美は
「先の制作は凄く不満だったから、やり直すなら頑張るよ」
と言ってくれた。
 

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■夏の日の想い出・郷愁(7)

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