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■夏の日の想い出・郷愁(13)

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10月23日(月)、私たちが作業をしていたスタジオに友人の詩津紅と妹の妃美貴が訪れた。
 
「冬〜、妹の会社が倒産しちゃったのよ。何か仕事ない?」
と詩津紅が言う。
 
「ある!」
と私は言った。
 
妃美貴は私たちや詩津紅の4つ年下で、2014年3月に高校を出た後、デザイン系の専門学校に2年間通った。その間、政子の自動車学校通いの送迎を頼んだり、海外ツアーの際の助手をしてもらったりしていた。2016年4月に不動産会社に就職して事務系の仕事をしていた(彼女は簿記2級と英検2級にMOSを持っており、TOEICは750点らしい。会社在職中に大型自動車免許と宅建も取得した)のだが、そこが10月中旬に倒産してしまったという。
 
「退職金もいつもらえるか分からないし、今月の給料も出るとは思えないので、月末払いのクレカのローンが払えなくて。払えなかったらブラックリストに載せられちゃうし。でも姉もお金無いよというもので」
などと妃美貴は言っている。
 
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「だったら給料前貸ししてあげるよ」
「助かります!」
 
「妃美貴ちゃん、InDesign使えたよね?」
 
確か以前入力を手伝ってもらったことがあった記憶があるのである。
 
「専門学校では習ったんですけど、卒業した後は使ってないです」
「だったら1時間で思い出して」
「はい!」
 
サマーガールズ出版の端末にはInDesignを入れた端末が数台あるのだが、それ以外で自宅作業用と練習用を兼ねて、妃美貴のパソコンにも1アカウント入れて使ってもらうことにした。
 
「何をすればいいんですか?」
「CD/DVDに封入するパンフレットとかを作って欲しいんだよ。今実はシングルとアルバムを同時進行で作っていて。アルバムのパンフレットは10月29日までに完成させなければいけない。シングルのパンフレットは10月31日までに完成させなければならない」
 
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「ひゃー!」
 
「アルバムのパンフレットは原稿を絹川和泉がワープロで書いてくれている。それに写真とかをプラスしてInDesignのファイルとしてまとめる必要がある。詩津紅、どういう写真を選ぶとかを見てあげてくれない?選択は詩津紅に任せるから。悩んだら和泉に訊いて」
 
「分かった」
 
「シングルの方はゼロから作らないといけない。歌詞は風花からデータをもらって。ライナーノートを書かないといけないんだけど、それ原稿自体を妃美貴ちゃんに書いてもらえないかな?」
 
「頑張ります!」
 
そういう訳でこの戦場のように殺気立った現場に貴重な戦力が加わって『青い豚の伝説』と『ランチセット2017』のプレス用データは無事作り上げることができたのである。
 
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妃美貴はサマーガールズ出版の社員番号5番になった(1=中田政子、2=唐本冬子、3=秋乃風花、4=増渕水帆、5=近藤妃美貴)。
 

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11月1日に『青い豚の伝説』のマスターを工場に入れた後、和泉が言った。
 
「蘭子、KARIONのツアーやるからね」
「え〜〜〜!?」
 
「だってKARIONはデビュー10周年だから、その記念ツアーだよ」
「そっかー」
 
「でも大々的なツアーをするとさすがに蘭子が死にそうだから、全国5ヶ所のツアーをすることにした」
 
と言って和泉はKARIONのツアー日程を見せた。
 
1.2(火) 東京国際パティオ 5000
1.3(水) 大阪ビッグキューブ 2700
1.5(金) 福岡ムーンパレス 2300
1.6(土) 名古屋チェリーホール 3000
1.7(日) 札幌きららホール 2000
 
「まあ正直、KARIONで集客できるのは2000-3000人なんだよ。本当はそれで10ヶ所くらいでやって合計動員3万人くらいにしたいところだけど、それでは蘭子の体力がもたない。だからギリギリの妥協点でこういうことにした」
 
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「ごめんね〜」
 
「ちなみにチケットは既に発売して全てソールドアウトしてるから」
「東京の5000売れた?」
「売り切るのに1週間掛かったけどね」
「ああ」
「他の所はだいたい2〜3日で売り切れている」
 
「でもありがたい」
「うん。だから12月20日くらいからはKARIONの練習に入ってもらうからね」
 
「ひゃー!」
 
これはローズ+リリーのアルバム制作の都合で実際には23日からKARIONの方に入ることにした。
 

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私たちは10月下旬に『青い豚の伝説』の音源を作り上げた後、続けて『Four Seasons』の制作に入った。
 
『郷愁』の制作延期が決まった10月10日の時点では『Four Seasons』は下記の4曲で構成するつもりだった。
 
『春の詩』、『青い浴衣の日々』、『村祭り』、『冬の初めに』
 
ところが『青い浴衣の日々』(マリ&ケイ名義だが実は七星作)は『青い豚の伝説』に転用してしまった。そこで代わりに『縁台と打ち水』(葵照子・醍醐春海)を入れることにした。つまりこういう構成である。
 
春『春の詩』(マリ&ケイ)
夏『縁台と打ち水』(葵照子・醍醐春海)
秋『村祭り』(七星)
冬『冬の初めに』(マリ&ケイ名義だが実は醍醐)
 
私たちは『郷愁』の制作は当面休日組で、『Four Seasons』は平日組で進めることにした。私・マリとスターキッズは月曜の午後から金曜のお昼までは新宿のサブスタジオに入り、金曜の夕方から月曜の朝まで郷愁村に泊まり込むことにする。
 
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『春の詩』は力強いヴァイオリン・ソロと、柔らかいフルート2重奏が入っている。このヴァイオリン・ソロを弾いてくれたのは田中成美ちゃんで、彼女は赤羽駅近くの高校に通学しているので、学校が終わった後、夕方から新宿のスタジオに来て、ヴァイオリンを弾いてくれた。
 
フルートは実は田中世梨奈・久本照香の2人が“リベンジしたい”と言って吹いてくれた。
 
この2人の分の収録作業は青葉に見てもらって金沢のスタジオでおこなっている。前日までに出来た音源を★★レコードの氷川さんの部下、秩父さんがデータで持って新幹線で金沢に行き、田中さんと久本さんのフルート、それに上野美津穂さんのクラリネットを入れてくれた。田中成美ちゃんにしても、金沢組3人にしても、8月の音源制作が凄く不本意だったので、これでスッキリしたと言っていた。
 
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また青葉も8-9月の音源制作に参加できなくて申し訳無く思っていたということで、これに参加できたのでホッとしたらしい。
 
この歌には箏の音も入っているが、これは従姉の今田友見(槇原愛たちの母)に入れてもらったが、どうも風帆伯母に頼まれて、今度はちゃんとやっているか様子を見に来た感じもあった。
 

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『春の詩』のPVには満開の桜の下を私と政子が歩いているかのような情景が映っているが、実はこの桜は10月中旬オーストラリアで撮影した。南半球のオーストラリアでは10月に桜が満開になる所がある。
 
但し実際に桜の下を歩いているのは、実は姫路スピカと今井葉月の2人である。彼女たち(正確には彼女と彼)が偶然空いていたのと、ふたりが先日映画の撮影で香港に行ったのでパスポートを持っていたのでお願いした(オーストラリアへの渡航にはETASが必要なのですぐに取得してもらった)。
 
一方私とマリはふたりと同じ衣装を着けて、東京近郊の公園を散策しているところを撮影している。実は公園の許可を取って、フェイクの桜の花びらを周囲に散らして撮影していたりする(後で掃除機を使って完全に回収した)。このふたつの映像をうまくつなぎ合わせて、まるで私たちが桜の下を散策しているかのような映像を作り上げたのである。
 
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実は映像の中で近付いて前から撮った映像は私たちだけで、スピカと葉月は遠くから撮った映像と後ろ姿しか映っていない。私が167cmでマリが164cmで身長差3cmであるが、スピカは161cm, 葉月は158cmでこちらも身長差3cmと偶然にも身長差が等しいので、違和感の少ない映像になった。
 
ところで葉月は話が来た時
「え〜?ボク女の子役なんですか?」
などと言ったらしいが
「何を今更!」
と言われたという。
 
彼は実際問題として少女俳優と誤解されていることが多く、来るファンレターの大半が男の子かららしい。「彼女になって欲しい」などと書かれているものもあるとか。
 
「ファンの夢を壊さないように手術して本当に女の子になっちゃう?」
などと言われると
「どうしよう?」
とマジで悩んだりしているのが葉月らしい。
 
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『冬の初めに』には千里の龍笛をフィーチャーするつもりでスコアを書いていたのだが、当の千里から、ここはフルートにしたいという申し出があった。この曲は元々マルセイユの夕暮れの風景を描いたものなので、龍笛よりフルートの方が合うというのである。
 
それで基本のスターキッズの演奏(Gt/B/Dr)と、私単独の仮歌を入れた状態で、実際に千里が龍笛とフルートで同じ旋律で吹いてくれた。
 
使用した楽器は、龍笛は千里が高校の時以来愛用している煤竹製の龍笛と、やはり高校時代に知人からもらったというグラナディラ製の木管フルートである。
 
私たちは2つの音源を聴き比べた。
 
「フルートが良い」
というのが全員の意見だった。
 
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「フルートだったら、このパート、あらためて七星さんが吹きます?千里からもフルートを採用するなら、七星さんに吹いてもらった方がいいと思うと言われているんですが」
 
「いや、これは千里ちゃんの音を活かしたい。実際にその情景を見た本人の音に私は叙情性でかなわない」
と七星さんが言ったので、ここはこの千里のフルートを活かすことにし、七星さんはサックスを入れることにした。
 
七星さんはフランソワ・トリュフォーの映画を5本見てフランスの頭にしてからこの曲のサックスを吹いてくれた。
 
そういう訳でこの曲はちょっとフレンチポップスっぽいテイストの曲に仕上がったのである。過去のローズ+リリーの曲にはあまり無かった趣きだったので、結構話題になることになる。
 
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この曲のPVは10月に旭川で撮影していたものを素材とした。
 
ちょうどうまい具合に旭川の市街地で雪が降ったので、その情景や、旭岳の冠雪の情景を、鏡池の所で撮っている。このビデオには、過去にローズ+リリーのPVに何度か出ているムーンサークルの2人に旭川に行ってもらい、できるだけ暖かい格好をして、雪のちらつく街を歩いている情景なども撮影している。
 
ムーンサークルの2人がお店ですき焼きを食べている映像があり、続いて私とマリも同じすき焼きを食べている映像、私たちとムーンサークル4人並んだ映像が続くが、私たちに絡む部分は実は東京で撮影したものである。ちゃんとつながるようにするため、旭川の撮影の際、こちらで用意した食器を持ち込んで、それに盛ってもらって撮影しておいた。
 
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『村祭り』はほぼスターキッズのみで演奏している。
 
一応電気楽器(近藤さんのエレキギターと鷹野さんのベース)で演奏しているが、篠笛(篠竹製・ドレミ調律)を七星さんが吹き、酒向さんにはドラムスの代りに2種類の鉦(かね)、3種類の和太鼓を打ってもらっている。鉦と太鼓をまるでドラムスセットのように組んだものを使って演奏しており、私たちはこれを『和ドラム』と称している。
 
間奏部分には樹脂製の“囃子”用篠笛(等間隔に穴が開けられたもの。音階になっていないので独特の趣きがある)と神楽鈴を入れ、またコーダにはシャモジ(桜製)を打つ音が入っている。囃子用篠笛は風花が吹いているが、神楽鈴とシャモジは実は見学がてら差し入れを持って来てくれた丸山小春と北川博美(旧姓南野)を捉まえて参加してもらった。なお丸山小春は、本名が深草小春らしい「謎の男の娘」さんとは別人である。
 
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小春と博美は私たちの大学時代の友人で、一時期私と政子の影武者街頭ライブをやってもらっていた。小春と博美が歌っているように見せかけて、実は観客に紛れた私とマリが歌っていたのである。
 
博美は街頭ライブの時はカホンを打っていたが、元々リズム感が良いのでシャモジの担当にし、小春に神楽鈴を振ってもらった。小春は街頭ライブの時はギターを弾いていた。
 
博美は昨年10月に結婚したばかりの新婚さんなのだが、ふだん私の楽譜の清書係もしてくれている。6−8月は『郷愁』の制作で彼女もかなり手伝ってくれた。彼女もあの時期は結構な疑問を感じながら制作に参加していたらしい。
 
もっとも現在妊娠9ヶ月で、大きなお腹を抱えている(予定日は12月上旬)。
 
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「博美、赤ちゃんは大丈夫?」
と小春から訊かれていたが
「平気平気。音楽は胎教にもいいしね」
と博美は答えていた。
 

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『村祭り』のPVについては、『郷愁』用に撮影していた映像を素材の一部として再利用した。
 
栃木県内の小さな町で今年8月に行われた、昭和40年代を思わせるようなお祭りを撮影した映像があったので、その祭りの映像を組み込み、私とマリを夜景の中で撮影してミックスしている。私とマリが屋台の並ぶ前を浴衣を着て歩いている様子はセットを作って撮影した。ブルーバック合成だと影などが不自然になるというので、ここはこだわってビデオを作成している。屋台の売り子を演じているのは、実はスターキッズのメンバーである。
 

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■夏の日の想い出・郷愁(13)

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