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■夏の日の想い出・郷愁(19)

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12月はこんな感じで制作が続けられた。
 
■休日組
12/8-10,15-17(金土日x2) 『フック船長』(琴沢)
 
■平日組
12/5-7,11-12『硝子の階段』(実は青葉)
12/13-14,18-22『同窓会』(ケイ)
 
11月は制作スケジュールを決めた七星さんと和泉が、私の“リハビリ”を兼ねて敢えて簡単な曲優先で制作していたのだが、このあたりから難しい曲の連続になる。
 

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『フック船長』は琴沢さんの渾身の作品という感じである。琴沢さんが書いた譜面も見せてもらったが、琴沢さんはエレクトーン+追加キーボードの状態で書いていて、多様な楽器の音が指定されていた。それを編曲した千里は、それをエレクトーンではなく生楽器の編成にした。
 
スターキッズの基本構成に、メトロノーム(チクタク鰐の音)、トランペット・トロンボーン・ホルン・ユーフォニウムといった金管、フルート・ピッコロ・クラリネット・オーボエ・サックスという木管を加えて重厚感のあるアレンジを施していた。
 
この作品の収録にはまた渡部賢一グランドオーケストラの人たちに協力を求めた。彼らは前回参加した時にけっこう郷愁村の居心地が良かったというので「来るの楽しみ〜」などと言って来てくれた。
 
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今回来てみると、何やら近くでボーリングをしているので
「何ですか?」
と訊かれた。
 
「いや、ムーランのオーナーがこの付近は温泉が出るかも知れないと言い出して、掘ってみているんですよ」
と説明すると
 
「ここに温泉も出来たらいいね!」
と彼らは言っていた。
 

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この曲の収録には12月8-10, 15-16と週末2回分を掛けた。
 
上手な人ばかりなので、最初の金土日だけでも充分良い出来にはなっていたのだが、私は12/10の時点で「演奏がこなれていない」と思った。それで渡部賢一さんと話し合った結果
 
「各自この曲を頭の中でこねておいて欲しい」
と依頼。
 
それで翌週金曜日の夕方、同じメンバーに集まってもらい再度演奏したら、その時点で結構いい感じになっていた。意図と微妙に違う所について多少の指示を出して翌16日は午前中ずっと練習をし、午後から数回録音。その中でいちばん良い出来のもので確定させた。
 

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この曲のPVは、映画っぽい雰囲気で制作した。フック船長を演じたのは私である!ピーターパンがマリで、PVのラストでは私はマリの剣に倒れて落下、チクタク鰐に食べられてしまう。ウェンディは白鳥リズム、ティンカーベルは桜木ワルツ、タイガーリリーは品川ありさという配役である。
 
品川ありさは
「わーい!女役だ!!」
 
と喜んで(?)いた。確かに彼女にはしばしば男役をしてもらっている。先日も『青い恋』で男の子役をしてもらった。
 
しかし品川ありさのタイガーリリーは堂々としていて格好良い王女様になった。
 
マリは男装のピーターパンに張り切っていたが、私は男装では無く、女海賊という感じの何か変な衣裳を着せられた。私に制作指揮やらせろと言って割り込んで来た雨宮先生の趣味(?)である。
 
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雨宮先生によるとフック船長というのは初期のピーターパンには無かった役柄で、最初に導入された時は、ウェンディの母親役の人が海賊を演じたらしい。それが後で父親役の人が海賊役を務るように変更され、その方式が現在まで踏襲されているのである。この物語をウェンディの自立成長の物語と考えれば確かに倒すのは父ではなく母であるべきで、母親役の女優さんが海賊を演じたのが正しい気もする。
 

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私は雨宮先生に相談した。
 
「今回はアクアのマネージャーの山村さんが何とか村上社長を説得してくれたようなんですけど、今後どうしたらいいんでしょう?」
 
「要するに村上さんは自分の手柄を作りたいんだろ?」
「うーん。。。それはあるかも」
「ひとつの手は、村上さんの子飼いの部下で少し話の分かる奴にローズ+リリーに関する話はさせるようにする手、もうひとつは村上さんが手柄をあげられるような若い歌手でもあてがうことだよ」
 
私は考えた。
 
「村上さんとか村上さんに心酔してるっぽい滝口さんとかのやり方で今の時代に売れる人がいるとは思えないんですが」
 
「それは難儀だねぇ」
と言って、雨宮先生は大きく伸びをした。
 
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「あれを滝口にやらせるか」
と雨宮先生は言った。
 
「何か企画があるんですか?」
「こないだ銀座で飲んでたらさあ、卍卍プロの三ノ輪会長と一緒になっちゃって」
 
と雨宮先生が言うので私は
「三ノ輪さんですかぁ」
とあからさまに嫌な顔をした。あの人は業界のトラブルメーカーである!
 
「雨宮さん、うちにフローズンヨーグルツって19歳の女の子のトリオがいて、デビューさせたいんだけど、何かいい曲ない?とか言われて」
 
「うーん。。。」
「レコード会社も決まってないというので、まあその日おごってもらったこともあって、じゃ探しておくよと言った」
 
「その子たちの歌唱力は?」
「ひどい」
「うーん。でも可愛いとか?」
「月並み」
「それをどうやって売るんです!?」
 
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「でもだから、村上さんに投げてみようかと」
「三ノ輪さんと付き合うと色々よくないことに巻き込まれますよ」
「だから村上さんがよくないことに巻き込まれたら万々歳じゃん」
「気が進まないなあ」
 
「ケイ、何か曲を書いてよ。埋め曲でいいからさ。ケイの名前があるだけで絶対1万枚は売れるんだよ。もう1曲は千里に書かせるからさ」
と雨宮先生は言っている。
 
「雨宮先生は千里の回復状況をどう見ておられます?」
と私は訊いてみた。
 
「埋め曲を書く力にはあまり変化がないから《東郷誠一H》としては問題無い」
「あぁ」
 
東郷誠一先生の「中の人」は、ネット住民の命名によると東郷C:香住零子、東郷D:田辺龍行、東郷E:吉原揚巻、東郷F:樋口花圃、東郷G:三田夏美、東郷H:醍醐春海、東郷J:大宮万葉、東郷K:紅型明美ということになっている。
 
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「鴨乃清見は当面琴沢幸穂中心で行く。あの子、とんでもない逸材だよ」
「やはり凄いですか。お会いになりました?」
 
「いや。あの子と実際に会ったのは、どうも秋風コスモスだけのようだ。新島も会ってないんだよ。全て代理人の天野貴子が処理している。でもいい作品を書いてくれるなら、どんな人でも構わない」
「それはそうですけどね」
 
「ひょっとして男の娘だったりしないかと期待したんだけど、コスモスによれば普通の女の子ということだったから、ちょっとがっかりした」
 
「先生、何考えてお仕事なさってるんです!?」
 

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12月16日に『フック船長』が仕上がった後、この後は《休日組》はあがりにして、1月に入ってからアイちゃんからもらった曲を休日組で演奏しようかなどと私や七星さんは言っていたのだが、マリから提案があった。
 
「『斜め45度に打て』を再録しませんか?」
「ああ」
 
この曲は8月に集中して『郷愁』の録音をしようと言った時、最初に録音した曲である。あの時はあの時でちゃんと完成まで到達したと思っていたのだが、他の曲を11月から2月に掛けて録音している中で、あれだけが8月の録音ということは、1つだけ録音的に浮いてしまうかも知れない気がした。
 
「じゃ、それ明日やろうよ」
と近藤さんが言う。
 
それでその日はまだ郷愁村から引き上げず、泊まり込んで翌日それを再度録音した。これで年内の《休日組》の活動は終了した。
 
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《休日組》が11月頭から12月までずっと『郷愁』の曲をやっていたのに対して《平日組》は11月中は『Four Seasons』の方を作っていて、12月に入ってから『郷愁』に入った。
 
12月前半に収録したのは青葉がケイ名義で書いてくれた『硝子の階段』である。青葉が書いた後、千里が「まるでケイが書いたように」修正してくれたのだが、千里の修正のポイントは、和楽器の使い方である。青葉が書いてくれた時点で、篠笛・箏(琴)・琵琶・胡弓・和太鼓が指定されていたものの、その使われ方があまり邦楽をしたことのない人の使い方という気がした。千里はそれをちゃんと和楽器に熟知したかのような使い方に改めている。
 
私は千里は民謡とかの素養があるのだろうか?と疑問を感じた。
 
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この和楽器の演奏には、8月にも演奏してくれた琵琶:風帆、箏:友見、胡弓:美耶といったメンツが毎日新宿のスタジオに来て演奏してくれた。篠笛は槇原愛、和太鼓は篠崎マイが入れてくれている。
 
風帆伯母の感覚では12月7日の段階で充分完成と思ったらしいが、私がそこでまだ妥協せずに翌週の11日になって「だいぶ出来てきたかな」と言い、12日になってやっとOKを出したので、伯母は納得したかのように頷いていた。
 

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この曲も江戸川区の例の廃校で半分くらいを撮影しており、ζζプロの練習生の人たちにセーラー服や学生服を着て出演してもらったが(セーラー服を着るか学生服を着るかは本人の性別と関係無く好きな方を着てもらった)、ガラスの階段は、同区内のショッピングセンターにある強化ガラス製の螺旋階段を、営業時間外に借りて撮影に使わせてもらった。
 
普段に使用しているので結構汚れていたのを専門の掃除業者を入れてきれいにして透明感がアップした所で、マリがシンデレラの靴のようなガラスのミュール(ガラス細工を作っている工房に依頼して作ってもらった:実は10月に発注して2ヶ月掛かった)を履いて登っていく所を撮影した。
 
この時、セーラー服、パーティードレス、ウェディングドレス、マタニティ、ビジネススーツと5種類の衣裳を着けて登っており、これが時間の経過を表している。ウェディングドレスを「ゴール」に使うのではなく「途中」に入れたのがマリらしい。
 
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マリが階段を登っているそばで、真っ白いドレスを着て長い髪をなびかせ、クリスタルガラス製の横笛(これは市販品)を吹いている所が映っているのはζζプロから2018年夏くらいにデビュー予定の榎村アケミちゃんである(髪はウィッグ)。彼女は実際にフルートが吹けるので、吹いている様子がとても様(さま)になっており、とてもいい映像になっていた。彼女は実はボニアート・アサドの高校の後輩で、“ボニアート・アサドの妹分”として売る予定らしい。
 

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12月12日までこの曲の音源制作をして、13日からは本当に私が書いた作品『同窓会』の収録をおこなった。
 
この曲にはストリング・セクションを設定しており、アスカに頼んでヴァイオリニストを手配してもらったのだが、初日に来たのは女子3人と男子1人であった。
 
「あのぉ、蘭若先生から女性ヴァイオリニストの仕事なんで女装して弾いてきてと言われたんですが、本当に女装しないといけないですか?」
と情け無さそうな顔で訊いている。この仕事は普通のスタジオミュージシャンのギャラより高いので飛びついたようである。
 
「他の方の音に溶け込む音であれば、女装の必要性はないですよ」
と私は言ったが
 
「まあ女装したい場合は女装してもいいし」
などとマリは言っている。
「ついでに性転換するならいい病院紹介するけど」
「性転換は勘弁してください!」
 
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それで(男装のまま)弾いてもらったが、ちゃんと他の3人の女性ヴァイオリニストと揃った音を出してくれたのでOKとした。彼は結局この曲に最後まで付き合ってくれた。
 
「凄く気持ち良くお仕事できました」
と彼は笑顔であった。
 
「まあ、予算が無いから1時間で完成させてよね、などと要求するような、アイドル歌手とかの制作とは違いますからね〜」
 
と言いつつ、8月にやってた制作はそれに近い状態だったよなと私は思う。
 
「ところで女装してという仕事だったから女装しました、などという言い訳で女装ができるけど、やってみない?」
とマリはしつこい。
 
「すみません。人生を誤るから知れないから遠慮しておきます」
「ああ、それがいいかもね〜」
と鷹野さん。
 
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「この仕事で女装したのがきっかけになって、3年後には性転換してお嫁さんになるとか」
と酒向さん。
 
「それマジで自分が怖いです」
 
彼はけっこうな美形なので女装がきれいになりそうであったが、彼の人生のため!?女装は無しとした。
 

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この曲の収録が12月22日まで掛かり、これで年内の音源制作は終了となった。
 
同窓会のPVは、○○ミュージックスクールの生徒さんたちに様々な大人っぽい衣裳を着けて参加してもらった。実際にホテルの広間を借りて、パーティーの料理を用意し、本当に同窓会パーティーでもしているかのような映像を作った。
 
マリと美空もちゃっかり“同窓生”に混じって、会場で料理を食べ歩いていてとても楽しそうな所の映像が撮れた。
 

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■夏の日の想い出・郷愁(19)

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