広告:Back-Street-Girls-4-ヤンマガKCスペシャル
[携帯Top] [文字サイズ]

■夏の日の想い出・郷愁(4)

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 
前頁 次頁 時間索引目次

↓ ↑ Bottom Top

多くの出演者は12時頃にお昼を取ったようである。
 
出演者が多いので13時と15時、2回大型バスを運行して運ぶことにした。私や政子は13時の便で会場に入った。16時からパフォーマーズ・スクエア内のローズ+リリーの控室で出演者全員で打合せをする。演奏者のステージへの出入りや、楽器の持ち替えのシミュレーションもした。年末年始のツアーの時にも使用した、その出入りや持ち替えを各自に指示する小型スマホも付けてもらい問題無いことを再確認する。
 
このスマホには静電気の酷い人のためにアースも付けている。政子などは極端な例だが、ミュージシャンにはやはりエネルギーの高い人が多いのか、けっこう静電気の酷い人がいる。
 
「でも静電気のひどさでは多分政子ちゃんと千里ちゃんが双璧」
などという意見も出ていた。
 
↓ ↑ Bottom Top

「政子ちゃんはずっと出演しているからこのスマホ必要無いし、千里ちゃんは今日は来てないし」
 
「千里姉は今日はインドのバンガロールに行っているんですよ」
と青葉は言っていた。
 
青葉もけっこう静電気が大きいほうだが、さすがにATMを落としたりするほどではない。
 

↓ ↑ Bottom Top

KARIONのステージは昨日18:55の日没から始まったが、今日のローズ+リリーは日没の18:54に終わらせることにしている。
 
それで始まりは17:54からということになっているものの、実際には17:50くらいから始めていいですよと言われていたので、私たちは17:50くらいにステージにあがり、『夜ノ始まり』から演奏を始めた。
 
この日演奏したのはこの10曲である。
『夜ノ始まり』『同窓会』『振袖』『門出』『寒椿』『コーンフレークの花』、『影たちの夜』『苗場行進曲』『ピンザンティン』『あの夏の日』
 
私の歌唱力を限界まで使う『振袖』『門出』『寒椿』の3連発は歌う側は大変だったものの、観客はかなり盛り上がったようである。その状態で『コーンフレークの花』『影たちの夜』と人気曲を演奏するので観客の興奮は頂点に達する。
 
↓ ↑ Bottom Top

ここで今年は政子がオーナーになった東京の江戸娘のメンバーに行進してもらって『苗場行進曲』を演奏した。
 
『苗場行進曲』に出てくれたチーム
2014苗場 ローキューツ
2014大宮 ローキューツ・ジョイフルゴールド
2015苗場 40 minutes
2016苗場 レッドインパルス
2017苗場 江戸娘
 
マリが「江戸娘(えどっこ)の皆さんでした。実は私が5月からこのチームのオーナーになったんです。クロスリーグとかの試合にも出るんで、みなさん良かったら深川アリーナまで試合見に来てね」などと宣伝を兼ねて紹介すると拍手が湧き上がっていた。
 
なお江戸娘のメンバーを大型バスの“第3便”で運ぶ計画もあったのだが、この日1日会場に入れるパスを発行すると聞いて、全員が「朝からシャトルバスで見に行きます」と言ったので、17:30集合厳守という集合時間だけ伝えて自由に会場に入ってもらっていた。
 
↓ ↑ Bottom Top

江戸娘のユニフォームには、マリの似顔絵が入っている(描いたのは私)。
 

江戸娘のパフォーマンスが終わった後は、全演奏者がステージに上り、お玉を振って『ピンザンティン』を演奏、そのあと私とマリの2人だけになって『あの夏の日』を演奏して1時間のステージを終えた。私の弾くピアノの最後の音が消えた所で会場の時計が18:54を指した。
 
私たちは大きな歓声と拍手を送ってくれる観衆に手を斜めに挙げて応えると大きくお辞儀をしてステージを降りた。
 

↓ ↑ Bottom Top

演奏終了後は全員で協力して機材を撤収。エルグランドとヴェルファイアに多くの機材を詰め込み、エルグランドには矢鳴さんと鷹野さん、ヴェルファイアには風花と近藤さんが乗って越後湯沢に向かう。私とマリは氷川さんの運転するプリウスαで会場を離れるが、これに美耶・友見・七美花も同乗した。私の親戚の中で風帆伯母は今夜も会場で徹夜、三千花(槇原愛)はラストまで見てからシャトルバスで帰ると言っていた。
 
他の演奏者は佐良さんが運転する大型バスで越後湯沢に移動した。
 
帰る人も多いので道は混んでいて、プリウスαが出たのが19:10頃、大型バスが出たのが19:25くらいであったが、越後湯沢に到着したのは私たちが20:45くらい、バスは21時すぎであった。
 
↓ ↑ Bottom Top

それから打ち上げをする。
 
しかし今回は疲労がたまっているので私は最初の30分くらいだけ顔を出して、その後は氷川さんと七星さんにお願いして部屋に引き上げて熟睡した。
 

↓ ↑ Bottom Top

翌日は苗場の出演者の多くにそのまま東京に移動してもらい、ヴァイオリニストたちにも入ってもらい、アルバムの制作を始めた。
 
今回1ヶ月間にわたって演奏者を拘束するので、宿泊を考えなければならない。それで実は埼玉県某市にある、不動産会社が建てたものの、あまりに不便すぎるところにあって誰も買わなかったというワンルームマンション(30平米×8部屋×6階建て・エレベータ付き)をまるごと借りることになった。
 
ここを見つけて借りる交渉をしてくれたのは若葉である。
 
「建設費は10億円だったらしいから、買い取ってもいいんだけどね」
と若葉は言っていたが
「買ってその後どうすんの?」
と私は言った。
 
しかし所有している不動産会社としては不良物件が少しはお金になるというので喜んで貸してくれたようである。
 
↓ ↑ Bottom Top

スタジオはこのマンションの傍に1棟軽量鉄骨構造で建ててしまった!これの建築費は電気工事・防音工事を含めて3000万円である。このあたりも若葉が指揮してやってくれた。このあたりの作業は5月に短期決戦でアルバムを作らなければならないことが確定した時点から動いてくれて、スタジオも7月中旬までに完成させてしまったのである。そこに録音用機材を搬入したが、この機材は(制御用のパソコン関係以外)レンタルである。
 
それ以外にマンションの1階の部屋2つにヤマハの《防音室》を2個ずつ設置して、練習用とした。
 
そういう訳で、今回のアルバム制作では、演奏者が全員ここのマンションで暮らしながらそばにあるスタジオで演奏することになる。各演奏者は自分の出番の時以外は割り当てられた部屋で寝ていてよいということにする。
 
↓ ↑ Bottom Top

食事に関しては近隣の仕出し業者に頼んだが、近隣のスーパーまでマイクロバスを適宜運行することにした(バス会社から運転手付きで1ヶ月間レンタル)。
 

↓ ↑ Bottom Top

誰も買わなかったマンションというので私は霊的な問題を心配した。千里に相談したら、忙しい中、6月17日に現地に赴いてくれた。
 
千里は現地を見るなり
「うーん・・・」
と考え込んでしまった。そして
 
「悪いけど出直してくる。午後からまた来るから、**駅で待っていてくれる?」
と言った。
 
それで私が駅の傍の食堂で待っていたら、3時間後、千里がアテンザを運転して、やってきてくれた。友人だという中年の男性2人と一緒であった。
 
「現地見せてくれる?」
と言うので私もアテンザに同乗して再度そちらに赴く。
 
そして千里は30分くらい考えるようにしていたものの、やがて頷くようにし、その後、土地の四隅に、連れてきた男性2人と一緒に何かを埋めていた。
 
↓ ↑ Bottom Top

「ここは色々工作物を作ってもいいと言っていたよね?」
「うん。当面買い手が無いから。スタジオも用事が済んだ後崩さずにそのまま放置していいと言われている」
「だったらここに木を植えていい?」
「構わないと思う。もし後で撤去した場合はどうなる?」
「その場合、ここの土地が元の木阿弥になるだけ」
「なるほど」
 
それで、その何かを埋めた各々の場所の上にアテンザに載せてきた苗木を植え、更に周囲に丸いステンレス製の柵(さく)を設置した。
 
「この木はアルバム制作中は絶対に切ったりしないでね」
「もし台風とかで倒れたら?」
「その時は私か青葉に連絡して。青葉でも修復はできると思う」
「分かった」
 
「でもこれでもう大丈夫だよ」
 
↓ ↑ Bottom Top

と千里は笑顔で言う。
 
どうもかなり大変な処理をしてくれたようであったので、私は
「ありがとう。処理料は300万円くらいでいい?」
 
と訊いた。すると千里は
 
「そうだなあ。冬にはお世話になっているし、そのくらいでもいいかな」
と言ったので私は
 
「ごめん。1000万円払うね」
と言い直した。
 
「じゃ700万円で」
と千里が言うので、それで払うことにした。
 
「まあ四隅に埋めたものが実は1個150万円するんだよ」
「わっ、本当にごめん」
「苗木は1本10万円だから大したことないけどね」
「けっこうするもんだね」
「普通の苗木なら5000円くらいだけど、この苗木は少し特殊な加工をしているんだ」
「なるほどー」
「あとは出張費と手間賃ということで」
 
↓ ↑ Bottom Top

私は頭の中で再計算した。
 
「ごめん。やはり1000万円払う」
「そう?まあもらえるものはもらっておくかな」
と千里は言った。
 
「青葉ならたぶん内訳を明確に言わずに100万しか取らない」
「それで大丈夫なの?」
「だからあの子は最近毎回赤字になっている」
「うーん・・・・」
 

↓ ↑ Bottom Top

しかし、このマンションに買い手がつかなかったのには、どうもそれなりの理由があったようだ。
 
「何か処理をした上で結界を作ったみたいだけど、この結界はこのままにしておいた場合、どのくらいもつの?」
と千里に尋ねると
 
「今日仕掛けたものなら50年は大丈夫」
と言う。
 
「だったらこの後このマンション売れる?そのこと言えば不動産屋さんはこの木とかはそのままにしてくれると思うけど」
と私は訊いたが
 
「そもそも立地が悪すぎるね」
と千里は笑っていた。
 
「でもアーティストが閉じこもってアルバム作るのにはいいかもよ。土地も含めて12億円と言ってたっけ?値切って8億円くらいで、冬買っちゃったら?」
 
「うーん。。。アルバムが完成してから考えてみる」
 
↓ ↑ Bottom Top


そういう訳で、苗場組とヴァイオリン組を7月31日にそのマンションとスタジオに連れて行ったのだが、
 
「こんな人里離れた所にこういうマンションがあるとは」
とみんな驚いていた。
 
一応参加者には
 
・無断撮影・無断録音の禁止
・午前2時から午後6時までの飲酒禁止
・ピザ宅配、出前、デリヘルなどのサービスを呼ぶの禁止(セキュリティ上の理由)
 
とだけ言い渡した。もっとも女性参加者からは「こういうことしている時にデリヘルなんて非常識」という声があがっていたが。
 
日常の買物などを心配していたが、マイクロバスを随時運行しますからと説明すると安心していた。1ヶ月間の管理人として頼んだ友人の川越翔太・倫代夫妻の部屋に大量のおやつやインスタント食品、ジュースやお茶なども置いていて、いつでも自由にもらえるからというと、それも安心していたようである。また新聞雑誌などは、朝日・読売・毎日・産経・日経の各紙と、主な音楽関係の雑誌をデイルームに置くことにした。
 
↓ ↑ Bottom Top

なお川越倫代は私の中学の時の合唱部の同輩で、風花や古城美野里と同じ大学を出ている。現在はスタジオミュージシャンをしていて、彼女には状況次第では演奏にも参加してもらうことにしてスコアを予め送っておいた。ご主人の翔太さんはライターをしているので、ネットがつながる所であれば、どこに居ても仕事ができるということだった。彼もむしろこの何も無い環境を「集中しやすい」と言って喜んでいた。
 

↓ ↑ Bottom Top

翔太さん以外にも、ここが気に入った人があるようである。
 
「ここは何か集中して取り組むのにいい」
と、やはり言っている。
 
「人目が無いから女装して外を歩く練習ができるかも」
などと田中成美ちゃんが言っているので
「女の子がわざわざ女装する必要はないじゃん!」
と七美花から言われていた。
 
伊藤ソナタさんなどは
 
「防音のスタジオもあるし、大会に出る前のヴァイオリンの練習に使いたいかも」
などと言っていた。
 
「そういう用途があるなら、ここマジで買っちゃってもいいかも知れないなあ」
と私は言った。
 
 
↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁 時間索引目次

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 
夏の日の想い出・郷愁(4)

広告:女装少年アンソロジーコミック-めろん組-IDコミックス-REXコミックス