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■夏の日の想い出・郷愁(15)

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11月1日に『青い豚の伝説』のマスターを完成されたのを受けて、11月3日(祝)に私たちは『郷愁』に収録する曲目の再検討をした。参加したのは下記のメンツである。
 
私・マリ・七星・近藤・鷹野・酒向・月丘
風花・増渕・氷川・森元課長
和泉・美空・青葉・千里・丸山アイ・蘭若アスカ・今田友見(若山鶴朋)
 
友見は実質風帆伯母の代理である。和泉は先日からこちらの制作に大きく関わってしまったので成り行き上出席した。青葉・千里・アイはスタジオに来ていたのをノリで参加させた。この他、妃美貴がお茶汲み係として同席している。コーヒーは若葉がオープン仕立てのムーランからポットで出前してきてくれた。(ポットでのコーヒーの出前は実はエヴォン銀座店でもやっていた)
 
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実はこの会議の後で、縁台を置いて浴衣を着て、青葉と私の将棋、千里とマリの囲碁の対局を撮影した。
 

7月に曲目のラインナップを決めた段階から『青い浴衣の日々』をシングル用に転用したので、現在残っているのは下記の9曲である。
 
ケイ名義 同窓会・刻まれた音(本当にケイ)、お嫁さんにしてね(実は千里)、硝子の階段(実は青葉)、
 
それ以外 トースターとラジカセ(Sweet Vanillas)、セーラー服の日々(ゆま)、靴箱のラブレター(青葉)、フック船長(琴沢)、斜め45度に打て(Golden Six).
 
「いつものように12曲構成にしよう」
とマリが提案した。
 
10曲構成にしたのは、制作時間が足りないからという理由だった。
 
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「だったら3曲追加する必要がある」
と七星さんが言う。
 
「今ケイはあまりいい曲書けないでしょ?」
と鷹野さんからも指摘される。
 
すると千里が言う。
「もし良かったら青葉と七星さん、また1曲ずつケイっぽい曲を書いてもらえません?私がそれを調整してホントにケイが書いたような曲に仕上げますよ」
 
「何その話?」
と丸山アイが言うので、七星さんが
 
「醍醐先生が『ケイ風作曲の仕方』という講座をしてくれたんですよ」
と言い、その内容の一端を解説した。
 
「それ楽しそう。私にもそれで1曲書かせて」
と丸山アイは言っている。
 
「私は最終的に醍醐さんが調整してくれるなら書けると思います。七星さんは?」
と青葉が言う。
 
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「私も書きますよ」
と七星さん。
 
「じゃ、丸山アイさん、大宮万葉先生、七星さんが1曲ずつケイ風に書いた作品を醍醐春海先生が本当にケイが書いたみたいに調整して使うということで。その間、ケイはアクアに渡す『夕暮れ少女』の仕上げに集中して」
 
と和泉がまとめた。
 
私も苦笑しながら同意した。今年は精神的な問題で、落ち着いて良い曲を練るようなことができない。
 
「ちなみに醍醐先生、『夕暮れ少女』のカップリング曲の進捗状況は?」
と和泉は訊いた。
 
「このメンツなら公開していいでしょう」
と言って千里は自分で仮歌を入れた『BD Fight!』という曲の仮音源を自分のパソコンで再生した。
 
「格好いい!」
という声が上がる。
 
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「BDはBoys Detectiveで少年探偵。A-B-C-Dの並びでBDは1つ飛びだから更に1つ飛びでFを使ってFight!らしいです」
と千里は解説する。
 
私が真剣な表情で仮歌を聴いていたので千里が言った。
 
「まあケイはもっといい曲を書いてくれるだろうけど」
 
むろん千里は私を焚き付けるためにこういうことを言ったのだろうが、私は内心「こんにゃろう〜」と思いながら笑顔で答えた。
 
「もちろん。期待していてね」
と。
 

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11月11日(土)、アクア主演の『少年探偵団』の撮影がクランクインした。
 
私とマリはその撮影の様子を見に行った。
 
明智探偵役の本騨真樹、文代役の山村星歌、怪人二十面相役の大林亮平、中村係長役の広川大助、それに少年探偵団の団員役の、西原勘一、山崎東吾、鈴本信彦、松田理史、内野涼美、元原マミなどといった面々が監督からの指示を聞いていた。鈴本君と松田君は『狙われた学園』にも出ていた。元原マミは『狙われた学園』と『時のどこかで』で共演している。どうも花崎マユミ役のようである。今井葉月も並んでいるが、女性店員っぽい服を着ている。また女の子役での出演になったようだ。
 
アクアは監督の指示を聞いていた時は男装だったのだが、すぐにメイドさんっぽい服に着替えてきて、撮影に入る。今回撮るシーンでは、メイドさん衣装のアクアが二十面相の予告状を見つけて悲鳴をあげ、時計店の主人役の金沢高彦さんが駆けつけて来てその予告状を見、明智探偵に電話するといったシーンであった。
 
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葉月が脇の方で見ているので私は声を掛けた。
 
「葉月ちゃん、今回は何の役なの?」
「少年探偵団の少女団員で山口あゆかという役名です。今回は団長のアクアさんがお手伝いさんに化けて家の方に潜入し、ボクは女性店員としてお店の方に潜入します」
 
「大役じゃん!」
と私は言う。
「そうなんですよ。結構嬉しいです」
と葉月。
 
政子はしばらく考えるようにしていた。
 
「つまり、葉月ちゃんは女装じゃないんだ!」
「ええ。役柄がそもそも女の子役だから、ボクは女装潜入じゃないんですよね」
 
と葉月は困ったような顔で言ったが、私はつい吹き出しそうになった。
 
「葉月ちゃん、一貫して女の子役ばかりだし、いっそ本当の女の子になる手術、受けちゃいなよ」
 
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などと政子は言っている。
 
「その手術受けると半年くらい動けないらしいんで、アクアさんの代理ができません」
 
政子は(多分)ジョークで言っているのだが、どうも葉月はマジに取っている雰囲気がある。
 
「じゃ、アクアが性転換手術受ける時に一緒に」
「アクアさん、いつ手術受けるつもりですかね?」
「高校卒業するまでには受けると思うよ」
「うーん。。。その時はどうしよう?」
 
この子、かなり女の子ライフにはまってるよな、と私は彼の将来を心配したくなった。
 

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大林亮平がこちらに来たので、私は緊張した。
 
「マリも何かの役で出るんだっけ?」
と亮平はとっても気軽に声を掛けてくる。
 
「特に出ないよ。私、女優じゃないし」
と政子も軽く応じている。
 
「僕も女優ではないけど、出てるよ」
と亮平が答えるので、私は吹き出した。
 
私は離れた方が良いかなと思ったのだが、政子は私の手を握りしめたので、亮平とふたりにはなりたくないんだろうなと思ってそのまま居ることにした。
 
「主題歌を作ったんだよ。歌うのはアクアだけどね」
「ああ、そういうことか。マリはアクアの曲の歌詞をほぼ全部書いているもんね」
「マリ名義と岡崎天音名義があるけどね」
「マリの詩ってぶっとんでるもんなあ。どうやったらああいう詩が書けるのか、マリを解剖してみたい」
 
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「頭に風穴を開けると思いつくかもよ。ピストルで穴を開けてあげようか?」
「マリは頭に穴があいているんだっけ?」
「たくさん空いてるよ。亮平、ついでにお股の所にも穴開けるといいかもよ」
「マリのお股にも穴があいているの?」
「亮平が穴をあけたら見せてあげる」
 
「どちらかというと、僕が穴を使いたいんだけど」
「ふーん。竹輪でもプレゼントしようか?」
「もう少し大きい穴がいいなあ」
「じゃ掃除機でも」
「柔らかくて暖かいのがいいなあ」
「だったらテンガでもプレゼントしてあげるよ。温めるのはセルフサービスで」
 
随分際どい内容ではあるものの、なんかこの2人、普通に会話してるじゃん!と私は思った。
 
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この日は撮影の合間に私とマリが書いた『夕暮れ時間』(夕暮れ少女から改題)と、琴沢幸穂が書いて醍醐春海が編曲した『BD Fight!』の仮歌音源を持って来て、主演のアクアや監督たちに聴いてもらった。
 
「いい感じだと思います。気に入りました」
と監督やプロデューサーが言うし、アクアも
「どちらも格好良い曲ですね!」
と言うので、このまま進めることにした。
 
(和泉や青葉の承認は取っている)
 
音源制作は11月13-17日の週に進めるものの、私は『Four Seasons』と『郷愁』の制作で時間が取れないので、和泉と千里の共同作業で進めてもらうことにする。千里は11月の平日は朝から夕方16時くらいまで時間が取れるらしい。アクアとはすれ違いになるものの、和泉が逆に夕方以降になるので伴奏音源の制作は主として千里の指揮で進むことになる。
 
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このCDの発売は年末くらいになるはずである。
 

11月13-15日(月〜水)、青葉が東京で行われる水泳の大会に参加するというので出てきたらしかったので、もし時間が取れたらこちらに寄らない?と言っておいた。すると彼女はその大会が終わった15日の夜21時頃、新宿のスタジオにやってきた。
 
「どういう大会に出たの?大学関係の大会?」
「正式名称は日本選手権(25m)水泳競技大会兼FINAスイミングワールドカップ2017東京大会というんですけどね」
 
「ワールドカップ!?」
「青葉、日本代表か何かになったの?」
 
「日本代表の人たちはみんな出ますけど、この大会は次の日本代表を目指しているクラスの人が参加者の多くを占めています。日本選手権ですから」
「それでも凄い気がする」
 
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「水泳のワールドカップって、フィギュアスケートのグランプリなんかと似た位置づけで、世界8ヶ所で開かれて、トップの人たちはそれに全部参加するんですけど、日本選手権の参加者はこの大会だけの参加ですね」
 
「オリンピック級の人も出るけど市民ランナーも参加する東京マラソンみたいな感じの大会かな」
 
「そうそう。そんな感じの大会なんですよ。私はたまたま標準記録を突破したんで、勉強のために出場してきなさいと言われて」
 
「へー」
 
「それでさらっとメダル取ってたりして?」
「日本選手権800mで3位になりました」
「凄いじゃん!」
 
「この大会は予選の上位8名がワールドカップの決勝に進出して、その8名を除いた中で、日本人上位8名が日本選手権決勝に進出するんですよ。ですから実質11位みたいなものですね。まあメダルはもらいましたけど」
 
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「メダルもらったの?見せて見せて」
 
と言って、青葉が取り出した銅メダルをみんなが
「すごーい!」
と言って触っていた。
 

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「いつまでこちらにいれるの?」
と私が訊くと
 
「明日の朝、館林に寄って、その後金沢でクライアントに会うんですよ」
などと言っている。
 
「相変わらず忙しいね!」
「今夜、何か私が演奏に参加できるものがあったら演奏して行きますよ」
 
「青葉が書いてくれた『靴箱のラブレター』(大宮万葉名義)の音源が一通りできあがったんだよ。ちょっと聴いてくれない?」
 
青葉は全部聴いた上で
「ここの所は私としてはこんな意図だったんですが」
というのを2ヶ所指摘した。
 
「なるほど。そこはその解釈の方がいいと思う」
と鷹野さんが言う。
 
「確かに。録り直す?」
と私が言うと、七星さんは
「17日に再録しましょう」
と言った。
 
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「じゃ、その方向で。それで、ここを修正するという前提で、これの間奏部分に青葉の龍笛を入れてくれない?」
 
「分かりました。入れます」
ということで青葉はその音源を聴きながら龍笛を吹いてくれた。
 

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新宿のスタジオでの収録は原則として夜10時で終わる。それで、その後、うちに来ない?と誘い、恵比寿のマンションに連れて行った。
 
「夜が寂しければ彼氏をここに呼んでもいいよ」
とマリが言っているが
「いえ、大丈夫です。テンガ放り込んできたし」
などと青葉は笑顔で答えている。
 
「ああ。テンガいいらしいね。昨日も亮平のマンションにテンガ放り込んできた」
 
などとマリは言っている。そういえばこないだそんな会話をしていたが、本当に放りこんできたのか!?
 
「明日館林には何時に行くの?」
「時間は約束してないですが、できたら熊谷を12:43の新幹線に乗りたいので、館林に行くのは10時半くらいかな、と」
「ああ、だったら、明日の朝、佐良さんに頼んで送って行ってもらうよ」
「すみません!」
「その後、熊谷駅に送ってもらうことにして」
「助かります!今回依頼者が貧乏なのであまり請求できないんですよ」
 
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青葉がそんなことを言っているので私は先日千里が
「青葉の仕事はいつも赤字」
と言っていたのを思いだし、つい笑いそうになった。
 

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「千里の回復状況は実際どうなの?音源制作に参加してもらっているのを見ている限りは、かなり回復している気がするんだけど」
 
と私は青葉に尋ねた。青葉を呼んだ最大の目的はそれを尋ねることにあった。
 
「回復しているように装ってますね。そういう外見を取り繕うのが姉はうまいんですよ。ハッタリの天才ですから」
 
「そういえば、私と千里はハッタリの凄さで1・2を争うと雨宮先生から言われてた」
 
「姉は依然重症です。でも、回復の目処は立ってきました」
「それは良かった!」
「でも完全回復にはやはりあと2年くらいかかりそうです」
 
「やはりそのくらい掛かるか!」
と言って私は身体を軽く後ろに倒した。
 
「姉は必ず復活します。ですから冬子さんは、もしこれまで姉をライバルと思っていてくれたのでしたら、4月までの姉が今もそのまま存在しているかのように思って、頑張ってください」
 
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と青葉は厳しい顔で言った。
 
「・・・分かった。頑張るよ」
 
と言って私は青葉に握手を求めた。
 

「姉は琴沢幸穂もライバルになってくると思っていますよ」
「あの人、優秀な作品書くね!」
「雨宮先生は、琴沢さんを『鴨乃清見』に加えることを決めました」
「千里が今の状況であれば、貴重な戦力だろうね」
 
「そうだ。琴沢さんのマネージャーはご存知でしたか?」
「もしかして専任のマネージャーがいるの?」
「あの人、実は1年の大半を海外で過ごしているんですよ」
「そうなの!?」
 
「海外留学なんですよ」
「ああ、そういうことだったんだ!」
 
「だいたい4月から9月まではアメリカ、10月から3月まではフランスにいます。日本にも時々帰って来ますが」
「それはビザの書き換えとかで?」
 
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「それもあるみたいですね。まあそれで時差の関係で連絡が取りにくいので、日本国内にいる友人に仲介を頼んでいるんです。ですから新島さんもその人を通して琴沢幸穂には連絡を取っているんですよ」
 
「へー!」
 
「もし冬子さんが知らないなら、冬子さんには教えていいと言われていますから、アドレスデータをお渡ししますね」
 
「うん」
 
それで私は赤外線通信で青葉から《天野貴子》さんという琴沢幸穂のマネージャーさんのアドレスデータをもらった。
 
「天野さんは、千里姉の古くからの友人でもあって、それで琴沢さんの作品が千里姉の所に持ち込まれて、この人凄いじゃんということになったんですよね」
 
「そういう経緯があったのか!」
 
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「それと冬子さん、ここだけの話ですが」
と青葉は小さな声にして私の傍に寄って言った。
 
「うん?」
 
「上島先生としばらく会わないようにしてください。何か頼まれたりしても適当な理由を作って断ってください」
と青葉は言った。
 
私は困惑した。
 
「どういうこと?」
 
「上島先生は近い内に大きなトラブルに巻き込まれます。冬子さんまで巻き込まれたら、冬子さん自身が全ての資産を失って、★★レコードも倒産しますし、たくさんの歌手が路頭に迷いますから」
 
「・・・・・」
 
「姉からの警告です」
 
千里から・・・。千里は何かの託宣を得たのだろう。そして青葉も何かを予感したのだろう。
 
「分かった。気をつける」
と私は答えた。
 
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青葉・七星さん・丸山アイの3人は11月中に「ケイ風」に書いた曲を送ってきてくれた。千里がそれを「本当にケイが書いたように」見えるように調整したのだが、実際問題として青葉と七星さんの作品はけっこういじられていたものの、丸山アイの作品は「直す所がない。このままでいい」と千里は言っていた。実際私も丸山アイが送って来てくれた作品は、自分で書いた作品と誤認するくらい、よくできていた。千里は私の「第2期」風に曲を調整しているのだが、丸山アイはむしろ「第4期」、つまり最近の私の作風に似せて曲を仕上げていた。
 
アイは実は、ヒロシやフェイ、信子などの代作もしたことがあると言っていた。やはり代作には特殊なノウハウがあるのかもと私は思った。
 
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3人が作ってくれた作品は下記である。
 
『ふるさと』(実は青葉)
『携帯の無かった頃』(実は七星)
『郷愁協奏曲』(実はアイ)
 

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