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■夏の日の想い出・郷愁(12)

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11月8日、毎年年末のRC大賞と並ぶ、歌謡界で最も権威のある賞とされてきたYS大賞が、今年12月4日の放送をもって、番組としては最終回になることが発表された。翌年以降も賞の選定はおこなう予定ではあるものの、番組は制作しないということであった。
 
11月11日(土)、アクア主演『キャッツ▽アイ−華麗なる賭け』の主としてマスコミ向け試写会が行われたが、政子はコネを駆使してこれを見に行ってきた。
 
「可愛かったぁ。やはりアクアは早く去勢しなきゃ」
などと言っている。
 
「アクアは10月はアフレコとか、一部撮り直しの撮影をしていたみたいね」
「去年の『時のどこかで』は、葉月ちゃんの声が残ったりしている所があったけど、今回は全部アクアの声になっていたよ」
「いや、昨年は異常なスケジュールで進行していたから」
 
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「男の子の内海刑事を演じている時はまるで男の子みたいな演技なのよね。でも女の子の愛ちゃんを演じている時は本当に可愛くて、女子高生というよりまだ女子中生みたいな感じの演技なんだよね」
 
「アクアは最初からその男女の演じ分けがうまかったね」
「それが進化していて、まるで男の子のアクアと女の子のアクアがいるかのようだったよ」
 
「まだ声変わりするまでのモラトリアムをうまく使っているよ、彼は」
「そのモラトリアムが永久に続くように、やはり去勢を」
 
「マリちゃんにしても、松浦紗雪さんにしても、どうも最近発言が危ない」
 

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11月12日(日)には年末年始の各賞のトップを切ってBH音楽賞が発表された。今年ゴールド賞に選ばれたのは下記の24曲である(発表は五十音順)。
 
青山広樹『大根の唄』
アクア『憧れのビキニ』
AYA『ゴールドラッシュ』
KARION『少女探偵隊』
ゴールデン・シックス『時には成功も必要さ』
桜野みちる『メタルシティ』
品川ありさ『マイナス1%の望み』
スカイロード『Street Performance』
ステラジオ『男の子っていつも』
津島瑤子『十和田湖に響く声』
奈川サフィー『404 Not found』
ViceSlide『Gamma Burst』
ハイライトセブンスターズ『プルンプルン・テック』
松浦紗雪『橋の向こうで』
松原珠妃『ラヴァース・ワルツ』
丸山アイ『新しい地図を描こう』
三つ葉『大きな恋の物語』
金属女給『急がば走れ』
山森水絵『リオの想い出』
ラビット4(いちご組)『金の小野と銀の小野』
ラビット4(さくら組)『俺のSiriを舐めろ』
リダンダンシー・リダンジョッシー『赤い自動車のバラード』
レインボウ・フルート・バンズ『虹色と地平の間』
ローズ+リリー『雪虫』
 
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ローズ+リリーは2009年以来9年連続受賞(2008年は新人賞をもらっているので、それを入れると10年連続)だが、松原珠妃は2005年の『鯛焼きガール』以来13年連続のゴールド賞である。しかし自分たちの上にはその珠妃しかいない(松浦紗雪はもっと古くからいるが、受賞していない年がある)ので、音羽たちが言っていたように「上が居なくなりつつある」のを感じた。
 
この他にヤング賞(旧新人賞を改訂)には22歳以下のアーティスト(グループの場合はメインボーカルが22歳以下であればよい)が10組選ばれており、ホワイトキャッツやFireFly20なども来場していたので、会場の東京国際パティオはとっても賑やかであった。アクアはゴールド賞だけでなく、ヤング賞も受賞している。ヤング賞には松梨詩恩も選ばれ、アクアと何やら話し込んでいる様子がテレビ画面に映っており、結構騒動になったが、翌日各々の事務所が「ふたりは高校の同級生なので話していただけです」とコメントを発表していた。
 
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アクアが女の子との関わりで報道されるのも珍しい。
 
実際の番組は、ヤング賞の発表の後でゴールド賞が発表され、アクアはヤング賞、ゴールド賞の双方でトップバッターで登場して、ヤング賞では『憧れのビキニ』を歌ったので、ゴールド賞では『ときめき病院物語III』のエンディング曲『ナースのパワー』を歌った。三つ葉もヤング賞・ゴールド賞の両方を受賞したので、ヤング賞の方で『大きな恋の物語』を歌い、ゴールド賞では別の曲を歌っていた。
 
リダンダンシー・リダンジョッシーはボーカルの信子が産休中(予定日は12/9)なので、今日は仲良しグループのひとりであるフェイ(レインボウ・フルート・バンズ)が代理歌唱していた。フェイの出番が続かないように登場順は、レインボウ・フルート・バンズ→丸山アイ→ハイライトセブンスターズ→リダンダンシー・リダンジョッシー、と調整されていた。
 
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ローズ+リリーは最後から3番目の登場(KARION→AYA→Golden Six→Rose+Lily→松原珠妃)でトリは松浦紗雪であった。紗雪は珠妃より5歳年上の35歳だが、この年齢で第一線で活躍しているのが凄い。
 
この賞は年間5万枚以上売ったアーティストが選考対象なので、しっかり売れているということだし、実際の歌唱を聴いても、伸びのある歌声で音程もリズムも安定しており、日々物凄い練習をしていることを伺わせるものであった。
 
松浦紗雪は1996年に木ノ下大吉先生から楽曲の提供を受けてアイドル歌手としてデビュー。いったん下火になった後、2005年に上島雷太先生から楽曲の提供を受けるようになってポップス歌手として再生した。この時期、上島先生は篠田その歌にも楽曲を提供しており、この2人に楽曲を提供したのが作曲家としての上島先生の実質的デビューであった。つまり松浦と篠田は初期の《上島ファミリー》の中核である。それと同時に松原珠妃・芹菜リセなどの《蔵田ファミリー》との競争が始まる。
 
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その後、篠田は2009年以降上島雷太と秋穂夢久との共同制作に移行し、2013年に引退。松浦紗雪は上島グループからは実質離れて歌詞は本人が書き、曲は藤崎亜夢(つぐみ)が提供する形のセルフプロデュースに移行している。現在はローズ+リリー同様《上島カズンズ》に分類されている。
 
その珠妃や紗雪の熱唱をアクアや詩恩、三つ葉たち若い歌手がじっと見つめていた。紗雪はアクアのファンクラブ会長も務めている。
 

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11月15日(水)、ローズ+リリーの25枚目のシングル『青い豚の伝説』および3枚目のベストアルバム『Rose + Lily ランチセット2017』が発売され、私とマリは、★★レコードで発売の記者会見をした。
 
いつものようにスターキッズをバックに楽曲をショートバージョンで演奏した後、私と七星さん、氷川さんの3人で楽曲の解説をし、質疑を受けた。
 
最初『青い豚の伝説』のPVアニメについて質問がある。
 
「これはマリが見た夢をベースに書いた詩に私が曲を付けたものですが、出来が良かったため、今回はこちらを発売しようということになり、別の曲の発売を予定していたものを直前に差し替えたので、普通のアニメ制作過程を経ていては発売に間に合わないという問題がありました。それで今回友人でフラッシュアニメをよく作っている人に依頼して、超特急でこのようなアニメを作ってもらいました。最初は紙芝居にしようかという案もあったのですが、まあ紙芝居とアニメの中間のようなものですね」
 
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と私は笑顔で説明した。
 
オリジナル・アルバムの進捗状況についても尋ねられた。
 
これについては氷川さんが説明させてくれと言って説明した。
 
最初は『Four Seasons』というアルバムを作る予定で準備が進んでいたこと。ところが『郷愁』という別のアルバムを11月上旬発売、つまり8月までに制作して欲しいと、5月になってから唐突に求められ、『Four Seasons』に関する作業を中断して『郷愁』の制作を始めたこと。しかしどうしてもそんな短期間に制作することはできなかったので、無理だということで発売の延期を求めたこと。その延期が認められたので急遽、『郷愁』に代わって、今回はベストアルバムをこの日程で発売することにしたこと。『郷愁』は今月初めから再度作り直しているので、発売は現時点では春くらいの予定であることを説明した。
 
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私はそこまで言っていいのか?と少し不安になった。
 
「その唐突に『郷愁』を作ってくれと言ってきたのは誰なんですか?」
という質問に対しては、私が氷川さんを遮って回答した。
 
「済みません。守秘義務があるのでお答えできません」
と私は回答した。
 
記者達は顔を見合わせていた。
 
「『Four Seasons』の方も制作するのですか?」
と話を進めてくれる記者がある。
 
「一部の楽曲をまとめて、近い内にシングルとして発売する予定です。その他の曲については、またあらためて別の企画にまとめることになるかも知れません」
と私は説明した。
 
「その企画については何か案があります?」
と更に質問がある。
 
「ひょっとしたら12月(つき), Twelve months, Двенадцать месяцевなどというのもいいかもと思っています」
 
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「それ『森は生きている』という日本語タイトルになっている童話の原題ですよね?」
 
「そうです、そうです。マルシャーク作の童話です」
と私は笑顔で答えた。
 

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ネットではこの日の会見内容について、最近よく聞かれる★★レコードの内紛の影響ではと想像する人が多かったようである。
 
「三つ葉のアルバムのタイトルも二転三転したし」
「南藤由梨奈のシングルも出る出ると言われながら出ないのが同じ理由だと思う」
 
「どうもあの会社は命令系統とかがめちゃくちゃになっているみたい」
「前線の営業マンに別系統から矛盾した指示が来るから、どっちを優先したらいいか分からないなんて嘆きの声もあるみたい」
 
「あの会社はもうふたつに分割した方がいいと思う」
「松前さんが社長していた時期は、両系統がちゃんとうまく動いていたのに」
 

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氷川さんはローズ+リリーのアルバム制作が混乱しているようだという噂が立っていたので、その責任が私たちには無いことを明確にするためああいう発言をしてくれたのだが、彼女はこの会見の後、内紛を示唆するような発言をして申し訳無かった。責任を取って辞職したい、という上申書を書いて辞表とともに、上司の森元課長に即、提出した。
 
辞表は最初から用意していたのだろう。
 
森元課長は
 
「いや、よくあそこまで言ってくれた」
と言って、
 
「俺があの発言をしたいくらいだったよ」
 
と言い、氷川さんの上申書は町添制作部長(専務)に渡すものの、辞職の必要は無いから、これからもローズ+リリーを守るため頑張って欲しいと言って、辞表はその場でシュレッダーに掛けてしまった。
 
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上の方でも、へたにつつくと結果的に内紛をもっとさらけ出すことになるため、氷川さんを咎める動きは無かった。
 
 
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夏の日の想い出・郷愁(12)

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