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■娘たちのタイ紀行(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2016-09-23
 
2009年6月、小学6年生の青葉は、交通事故に遭った後なかなか快復せずに退院できずにいるという鈴江宗司さんという人の「霊障」を解決したが、その時、宗司の息子で当時高校1年だった彪志と親しくなる。
 
宗司は青葉が霊障を取り除いたら一週間で退院してしまったのだが、まだ完全ではなく、会社には復帰したもののデスクワーク中心に仕事をさせてもらっていた。青葉も何度も宗司の自宅まで行き、ヒーリングをしていたが、まだ当時の青葉のヒーリングは、そんなに強力なものではなかった。
 

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千里は2009年3月に高校を卒業した後、バスケは辞めようと思っていたものの、結局辞めることはできず、自主的に体育館で練習をしはじめたのだが、そこで千葉ローキューツというクラブチームに誘われ、リハビリするかのように半年ほど活動を続けた。そして2009年12月、ウィンターカップに出場するため東京に出てきた母校・旭川N高校のメンバーをサポートするため宿舎に行っていた時、同様に母校・札幌P高校のサポートのために来ていた佐藤玲央美と一緒に半年前の2009年7月頭にタイムスリップしてしまった。
 
結果的にはふたりとも代表活動から逃げていたのが、時間を飛んでU19世界選手権に出ることになる。ふたりは他のメンバーとともに7月初旬の東京NTCでの合宿を経て、鶴田早苗に誘われて山形D銀行の練習に参加させてもらった後、7月16-18日には伊勢市で第2次合宿を行い、Wリーグのチーム3つと試合をした。
 
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そして7月19日、一行は大阪に移動。東京から来てくれたバスケ協会幹部の人たちも入った壮行会を経て、11:45関空発のTG623便でバンコクに飛ぶことになる。「U19女子日本代表応援団」の子たちも関空まで来て見送りをしてくれた。
 

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千里たちがリムジンバスで関空まで行き、空港の建物の中を歩いていたら
 
「千里さ〜ん」
と呼び止める声がある。
 
「天津子ちゃん!」
「千里さん、どこかお出かけ?」
「うん。ちょっとタイまで」
「へー。あ、バスケットの試合ですか?」
「そうそう。アンダー19の世界選手権」
「へー。凄い。頑張って下さい」
「天津子ちゃんは、どちら?」
「私もバンコクなんですよ。ちょっと向こうの友人に頼まれごとをして」
「へー」
 
千里は彼女がわざわざ関空からタイに行くということは関西のクライアントの件であるか、あるいは神戸の竹田宗聖さんか誰かに会ってきたのかもと思った。
 
「そうだ。少し面倒なことになるかも知れないから、万一の時はパワーを貸してもらえます?」
「試合中じゃなければいいよ」
と千里は言っておいた。
 
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「必要な時はできるだけ事前に言っておきますね」
「よろしくー」
 
彼女は千里たちよりひとつ早い10:25の便で発つということで足早にセキュリティの方に行った。
 

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搭乗手続きを済ませて荷物を預け、セキュリティを通る前に見送りの星乃や留実子たちと一緒にしばしおしゃべりをしていて、百合絵が言い出す。
 
「でも、せっかくの世界選手権なら、フランスとかドイツとかでやってくれたら、シャンゼリゼ通りとか、ロマンティック街道とか、観光できるのに」
 
「フランスやドイツに行ったとしても観光している時間とか無いよ」
と彰恵は言った。
 
「まあ、練習につぐ練習だろうね」
 
「みんなパスポートの入出国欄は去年アジア選手権でインドネシアに行ったまま?」
と桂華が尋ねた。
 
「あの後どこにも行ってないね」
と言っている子が大半である。
 
「きみちゃんはアメリカまでの往復だけ?」
 
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「ええ。そうです。今年の春にパスポート作ったんですよ。それ作る時に性別間違えられそうになって『すみませーん。私、一応女です』と言ったんですけど、そしたら『戸籍の性別は修正終わっているんですか?』と訊かれて、何と答えたらいいか、一瞬焦りました」
と王子。
 
「キーミンはたぶん男のパスポートでも問題なく入出国できる」
と華香。
「あ、それなら僕も自信ある」
とサクラ。
 
サクラはバイト先で男性と誤解されたおかげで、性別男の健康保険証を持っている。
 

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「千里はフランス・ドイツに行って来たんだ?」
と桂華が千里のパスポートを覗き込んで言う。
 
「うん。パリ経由ハンブルグ・フランクフルト、日帰りやってきた」
「日帰り!?」
「成田を夕方出て、翌日朝パリ到着。ハンブルグまで行って知人に会い、フランクフルトを夕方の便に乗って、翌日の午後成田到着」
 
「弾丸ツアーだ!?」
 
「パリのクロワッサンもドイツのソーセージも美味しかったよ」
「そういうのはしっかり味わってきているのか」
 
「あれ?千里、性転換手術はどこで受けたんだっけ?」
「タイだよ」
「ああ。タイなのか」
「じゃタイに行くのは2度目?」
「うーん。そういうことになるのかなあ」
 
「やはりバンコクかどこか?」
「プーケット。いい所だったみたい」
「みたい?」
「ああ。手術とかで行ったのなら、観光とかできなかったよね」
「でもプーケットってタイだったのか。インドかどこかと思ってた」
 
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「その出国記録はこれには載ってないの?」
 
などと言って桂華はページをめくっている。
 
「このパスポートは去年の春に作ったからね」
「それで性別がちゃんと女になっているのか。手術を受けに行った時はパスポートは性別男だったんでしょ?」
 
「うーん。どうだっけ?」
「性別を変更した場合は、ESTAなんかも取り直す必要あるらしいね」
 
と少し離れた所で朋美が言っていたが、玲央美は腕を組んで「うーん」と声を出し悩んでいた。
 

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それで星乃たちのエールに見送られてセキュリティを通り、出国手続きをしてウィングシャトルに乗り、搭乗口まで行く。
 
それで搭乗を待っていた時のことである。
 
「千里、どこ行くの?」
という声がする。
 
ん?と思って声のした方を見ると、江美子が髪が長く背の高い女性を呼び止めている。江美子はその女性の肩に手を掛け、女性が驚いたように振り向くが、千里では無い。
 
「あ。ごめんなさい!間違いました」
と江美子。
 
「えみちゃん。私はここだよ」
と言って千里は寄って行く。
 
「いや、この長い髪を見たら千里かと思っちゃって」
「ああ。だいたい私はこの髪で認識されているんだよねえ」
と千里が言うと、向こうの女性も
 
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「私も友人たちからこの髪で認識されているんですよ。髪をアップにしていたりすると友人どころか家族にも認識してもらえなくて」
と彼女は笑って言っている。
 
「私もですよ。髪を揚げていたり夜会巻きとかにしてると、彼氏も気づかないんです」
と千里も笑いながら言った。
 
「何かの選手団の方ですか?」
と彼女が訊く。
 
千里たちはお揃いの赤いポロシャツを着ていて、胸にはNIPPONの文字が入っている。実は彼女も似たような色のポロシャツを着ていたので、うっかり江美子が間違ったのである。
 
「ええ。バスケット・アンダー19の代表なんですよ」
「すごーい!日本代表ですか!」
「19歳以下のチームですけど」
「ちなみに女子代表ですよね?」
「若干性別に疑惑のある人も混じっている気はしますが、一応女子代表です」
 
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「オリンピックか何かでしたっけ?」
「いえ。世界選手権なんです」
「わあ、なんか凄い。どこであるんですか?」
「タイのバンコクなんですけどね」
「何日からですか?」
「7月23日から8月2日までです」
「わぁ。体力が足りたら見に行きたいなあ」
 
「あなたもバンコクなんですか?」
「ええ。そうなんですよ」
「観光か何か?」
 
「あ、いや、実は」
と言って彼女は頭を掻いて、小さな声で言った。
 
「実は性転換手術を受けに行くんです」
と彼女が話した声は男声である。
 
「え〜〜〜〜!?」
と百合絵が驚いたように言う。
 
彰恵が
「静かに」
と注意する。
 
「じゃ、あなたまさかM?」
と小さな声で百合絵が尋ねる。
 
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「パスポート見せてあげますね」
と言って彼女は自分のパスポートを見せる。
 
Genta Suzuki Sex:M
 
と書かれている。
 
近くにいた高田コーチも「へー」という顔をしている。彼女は完全に雰囲気が女性なので、男のようには見えないのである。
 
「でも何か男らしい名前」
「私ふだんジーナを名乗っているんです。Gentaから t を外すとGenaになるので」
と言って、彼女は自分のパスポートの名前のtの所を小指の爪の先で隠してみせる。
 
「なるほどー」
「1文字の違いでゲンタがジーナになるとは画期的」
「tを取るって、つまりtesticlesを取るんだろ?と友人から言われました」
「おぉ!すごい」
 
「ちなみにtは除去済?」
「まだです。一緒にとってもらいます。もっともホルモンの影響で機能停止済ですけど」
「やはりねぇ」
 
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「手術の日程は?」
 
「今日入院して明日20日検査して問題無ければ21日に手術なんです。一週間入院して27日の月曜か28日の火曜に退院予定なんですよね。そのあと試合を見に行けたらいいな」
 
「でもそんな大手術した後でバスケの試合の観覧とかできるかな」
「車椅子にドーナツ座布団持って行けば何とかなるかも」
 
「ドーナツ座布団?」
「あのあたりを切った後で痛いから、ふつうの椅子に座れないんですよ」
「ああ」
「いろいろ大変ね」
 
「じゃ、見に来られそうだったら連絡下さい。チケットは何とかしますよ」
と高田コーチが横から言った。
 
「助かります!」
と言ってから彼女は言った。
 
「あ、もし良かったら皆さんのサイン下さい」
と言って、スケッチブックとサインペンを取り出す。
 
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「サイン?」
「考えたこと無かった」
などと言い合っていたら、玲央美が
 
「千里は素敵なサインを持ってる」
と言う。
 
「お、それ見たい」
という声があったので、千里はスケッチブックの上の方に、鳥が飛んでいく様のようにも見えるサインを書いた。
 
「格好ええ!!」
「レオのサインも格好良い」
と千里が言うと、玲央美は千里のサインの下に、崩し字の全体がライオンの顔のようにも見えるサインを書く。
 
「なんでみんな、そんな格好良いサイン持ってるわけ〜?」
 
「まあ過去に5回くらい頼まれて書いたかな」
と千里。
「私も高校時代から10回くらい書いてる」
と玲央美。
 
「なんて有名人たちなんだ」
 
「私たちは寄せ書きで行こう」
などと言って江美子がスケッチブックのページをめくり、次のページに筆記体で《Kira》と書いた。
 
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「だったら私も」
と百合絵は《Lily》と書く。
 
それで他の子も自分のコートネームを思い思いの字体で書き、ページは寄せ書き状態になった。
 
「あ、日付書いとこう」
と言って、最後に記入した渚紗が2009.7.19と今日の日付を、寄せ書きページと玲央美・千里のサインページに入れ、あわせて「ジーナさん江」と書いた。
 
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