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■娘たちのタイ紀行(17)

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(C)Eriko Kawaguchi 2016-10-01
 
今日の試合の相手はオーストラリアである。オーストラリアにはこのチームの大半の子が昨年夏のオーストラリア合宿で行っているものの、当時は向こうの女子高チームや女子大生チーム、あるいは似たような年齢のクラブチームとだけ対戦しており、U18代表メンバーとの試合は経験していない。初対戦になった。
 
日本がここまでロシアに勝ち、フランス・スペインともあわやの接戦をしていることをオーストラリアも意識している。向こうは最初から本気で来た。
 
第1ピリオドから猛攻を掛けてくる。こんなに頑張って後で息切れしないかとよけいな心配をしたくなるほどの激しい攻撃であった。点数としては26-17と圧倒的である。
 
第2ピリオドになってもオーストラリアは主力組が頑張って日本を攻め、日本は防戦一方となった。結局20-10とダブルスコアである。前半合計で46-27.
 
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第3ピリオドでは、さすがに主力組の疲れが出てくる。そこに日本は全力を注ぎ込む。それでこのピリオドは15-23と日本がリードする展開に持ち込めた。
 
しかしこれがオーストラリア選手に「やはり油断は禁物」という気持ちを強く抱かせたようである。向こうはもう体力の限界を超えているのだが、第4ピリオドでオーストラリアは、ファウルを使って短時間で選手をどんどん入れ替える作戦で各選手が2−3分に集中して点を取りに行く体制できた。それで日本を圧倒。日本も頑張ったものの26-17と大差を付けられた。
 
さすがに向こうはくたくただったようで、オーストラリアの主力選手たちがみんな試合終了のブザーが鳴った後、フロアで倒れてしばらく動けないようであった。
 
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この試合は、後半だけ見ると41-40と良い勝負をしていたのだが、前半の得点差が効いて、日本はこの準々決勝を87-67で落としてしまった。
 

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「あぁあ、今日は身体が調子良く動く気がしたのに」
「竜巻のおかげで、ここ環境よくなったみたいだったのにね」
「いや、環境が良くなったのは向こうにも良いように作用するから」
「そっかー!」
 

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試合が終わってから会場を出た時、出入口の所のコンクリート製の車止めに何か緑色のものがくっついているのを見つけて、サクラが手に取る。
 
「カマキリ?」
「あ、なんか暴れてる」
「それ危ないよ。カマキリのカマって、人間の皮膚を傷つけるよ」
と彰恵が心配する。
 
「大丈夫。カマキリは捕まえ方があるんだよ。この部分を持てば、カマキリは反撃できない。噛まれたりもしない」
とサクラは言っている。
 
「それを知っているというのは凄い」
「子供の頃、近所の男の子たちと一緒にたくさん昆虫捕まえてたから」
「すごーい」
「なんかそういうの格好いいね」
「サクラ、さすが男の子だね」
などと言われて、サクラは得意そうである。
 
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「でも灰色のコンクリートの上でも緑色のままだったね。カマキリって保護色で周囲の色に同化するのかと思ってた」
と早苗が言うが
 
「カマキリは変色しないよ。ただ元々緑色のカマキリと茶色のカマキリが存在する」
とサクラは答える。
 
「ああ、生まれつきなんだ」
「そうそう」
 
「でも逃がしてやるかな」
と言ってサクラはカマキリを草むらに放した。
 
「あ、飛んで逃げてく」
「あれ?もう着陸した」
「あ、また飛んだ」
「また着陸した!」
 
「カマキリは空を飛ぶの苦手だから。でも今は必死に逃げようとしてるんだろうね」
とサクラが言う。
 
千里は昨日のカマキリ大王様の移動を思い出していた。
 

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「でもカマキリって、カマを切るって読んじゃいますよね」
と唐突に王子が言い出す。
 
「は?」
「つまりオカマさんを切る、と」
と王子。
 
「どこを切るの〜?」
と桂華。
 
「そりゃ、オカマさんが切る所っていったらあそこですよ」
と王子はわざわざ答える。
 
「君は発想がオヤジだ」
と百合絵が呆れて言っている。
 

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「でもオカマって語源は何だっけ?」
と桂華がなぜか千里を向いて訊く!
 
「色々説があるよ。インドの愛欲の神カーマから来たという説。それなら英語のgayが楽しいという意味から乱れた愛という意味になって、同性愛を意味するようになっていった過程と似ているかも」
と千里は苦笑しながら解説する。
 
「なんか格調高い」
 
「女性のあそこをホトというけど、ホトって火山の火口の意味もあるでしょ。それで男性の場合は火口を表す別のことばでオカマと呼んだという説もある」
 
「類語な訳だ!」
 
「男性のズボンのチャックが開いてるのを社会の窓というから、女性のスカートのファスナーが開いているのを理科の窓というようなものか?」
 
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「微妙に違う気もする」
 
「あそこをホトと言うの?」
「ネットにはしばしば『あー、なるほど』って書き込みがあるよね」
「うんうん。『あなる・ほと』というのを連想するように書かれている」
「あなるって何ですか?」
「肛門のこと!」
「そうなんだ!」
 
「正確にはanal(アナル)は『肛門の』という形容詞で、『肛門』という名詞はanus(アヌス)だけどね」
 
桂華が唐突に「天王星」といって笑っている。
 
「へ?」
「天王星は日本語式英語ではウラヌス(Uranus)と言っているけど、英語ではユーラヌスという感じの発音で、これが Your Anusと聞こえる」
「うーん・・・・」
「天王星って色々変な星だからね」
「横たくりになって自転しているし」
「へー」
「ちょうど産業革命の頃に発見されたから、占星術では改革の星、革命の星とみなされている。同性愛などの変則的な愛や性を表すという説もあるんだよ」
「へー!」
 
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「その肛門から来たという説もある。肛門のことをその形から菊とも言うでしょ。この菊を表す隠語としてカケマという言葉が生まれた。これはカキクケコの中で、カとケの間にキクがあるから」
 
「なぞなぞか!?」
 
「それで江戸時代に女装して春を売る人のことをカケマ、あるいは濁ってカゲマと呼ぶようになった。それを省略してカマと言うようになった」
 
「いや、日本語って結構なぞなぞで出来てる。最近では死語だけど無賃乗車のことを薩摩守(さつまのかみ)とも言っていたけど、これは平清盛(たいらのきよもり)の弟の薩摩守平忠度(さつまのかみ・たいらのただのり)から来た語呂合わせ」
と早苗が言う。
 
「小鳥が遊ぶと書いてタカナシと読む苗字とかもなぞなぞだよね。鷹が居ないから小鳥が遊べる」
 
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「本当にご飯を炊くお釜から来たという説もある。元々日本の鍋のふたって、落としぶた方式が主流だったらしいんだよね。ところが、お釜のふたってお釜本体より大きいから、単に乗せておくだけになって、釜本体の中には入り込まない。それで、中に入れることができない状態で単に接触しているだけなのをお釜とふたになぞらえて、オカマと呼んだという説もある」
 
「それ、むしろ男性同性愛より女性同性愛に似ている気がする」
と江美子が指摘する。
 
「まあ、本当の語源は誰にも分からない。みんな好きなように想像している。偉い大学の先生とかが言っている説でも、根拠は怪しいよ」
 
「言葉ってそんなものかもね〜」
 

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この日(7月31日)の結果。
 
AUS 87-67 JPN / USA 82-78 CAN / RUS 67-46 CZE / ESP 92-47 LTU
 
これで明日の準決勝はオーストラリア対アメリカ、ロシア対スペインで争われることになった。日本は5-8位のクラシフィケーションに回ることになった。
 

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この日、ホテルに戻って休んでいる時に天津子から電話がある。
 
「千里さん、私は今夜の便で帰ることにしましたから」
「お疲れ様!でも何とか解決して良かったね」
「千里さんのおかげで助かりました。また何かあったら貸してください」
「試合とか大事な予定が入ってない時なら、いいよ。それとあまり無免許運転しないようにね〜」
「大丈夫です。警察には見つからないようにしますから」
 
どうも開き直っているようだ。
 
ちなみにタイの運転免許は18歳以上で取れるが、実際には無免許運転者が多く田舎に行くと小学生で車を乗り回している人がいたりすると言う。なお日本の免許証所有者の場合、18歳以上で国際免許証が取得できる。国際免許証には実はジュネーブ条約とウィーン条約があるが、日本もタイもジュネーブ条約の加盟国なので、相互に国際免許証が有効である。
 
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天津子はタイ滞在中は女子高生を主張していたっぽいが、実は高校生でも18歳になっていないと免許は取れない。実際には天津子は13歳の中学2年生である。おとなびて見えるので、女子大生だと言われても信じられてしまうことがある。
 
ちなみにこの時点ではまだ千里が知り合っていなかった青葉もおとなびて見えるが、天津子の大人びて見えるのが演出であるのに対して、青葉のは地である!
 

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同日、大船渡。
 
青葉はこの日はお昼に彪志とサンシャイン公園のシンボルの所で待ち合わせ、まずは一緒に食事をした。
 
夏休みに入ってから青葉と彪志は何度もお昼ご飯を一緒に食べながらのデートをしている。食事代は彪志持ち(実際には彪志のお父さんからお金をもらっている)。実を言うと、夏休みの間は給食が無いので、未雨・青葉の姉妹はお昼御飯というものにありつけずにいるのである!しかし彪志とデートした日はお昼を食べることができていた(母は彼氏の所に入り浸りだし、未雨は友達や先生の家などで食べさせてもらったりしている模様)。
 
「昨日はありがとうね。助かったよ」
と青葉は彪志に言った。
 
「ああいうのこそ、男手が必要なものだよ。遠慮無く使っていいから」
と彪志は言う。
 
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昨日とても自分ひとりでは片付けきれないと思った青葉は彪志を呼んだのである。彼が友人を更に2人連れてきて男3人で片付けてくれたが彼らは
 
「テレビのブラウン管が爆発してるのって初めて見た」
などと言っていた。
 
ガラスが多数突き刺さっているカーペットやカーテンなどもとりあえず廃棄した。廃棄物は祖父母の古い友人でもある££寺の川上法嶺の息子(川上法満)が軽トラを持ってきて、処分場まで運んでくれた。ついでに法満はお寺で余っていたテレビや蛍光灯などを持って来て接続もしてくれた。
 

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「ありがとう。ガラス屋さんのお金出してもらったのは、近いうちに依頼主からお金が入るはずだから、それで払うから」
と青葉は言っている。
 
「了解。でも凄かったね。爆弾にでもやられたのかと思ったよ」
と彪志は言っていた。
 
「凄かった。私自身、しばらく動けなかった。昨日は12時間くらい眠った」
「無茶苦茶疲労していたみたいだったね」
 
ふたりは食事した後は、またサンシャイン公園や海岸などを散歩したり、ベンチなどに座ったりして、たくさんおしゃべりをしていた。青葉は男の子との付き合い方がよく分かっていなかったのだが、昨年末に嵐太郎と何度かデートしたおかげで、少しだけ分かるようになっていた。
 

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