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■娘たちのタイ紀行(3)

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結局この医師が話し好きなようで、雑談?が30分以上掛かった!
 
長時間の検査が終わって千里が病院から解放されたのはもう夜の12時である。おそらく夜間に空いている検査機器を使って検査をしたからこの時間で終わったのだろうと思った。今日受けた診察内容なら、普通の人間ドックなどなら丸一日掛かる内容だ。
 
またパティさんの車で戻ったが、千里が晩ご飯を食べ損なったがどこかで食料が調達できないかと尋ねると、深夜営業のレストランにつれていってくれた。
 
「You'd better use a taxi on return to the hotel」
「Thank you. Khob khun Kha」
 
と言って別れた。彼女も微笑んで
「MaiPenrai Kha」
と返してくれた。
 
千里が分かるタイ語はSawasdee kha(サワディ・カー:こんにちは)、Khob khun Kha(コップクンカー:ありがとう)、MaiPenrai Kha(マイペンライ・カー:気にしないで)程度である。サワディとかマイペンライはタイ語をあまり知らない人にも結構知られている。
 
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(子供の頃の友人でフィリピン人の子がいて彼とは今でも実は交友が続いているので、千里はタガログ語は少し分かるものの、タイ人の友人はいないので、タイ語はほとんど分からない)
 

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レストランに入る。玄関の所にVISAのマークがあるのを見て安心する。千里は入国したばかりなので、タイのお金は用意していない。レストランは営業しているが、千里が入って来ても誰かが寄って来る訳ではないようだ。勝手に座っていいのかなと思い中に入り、空いている席に座った。
 
通りがかりのウェイターに手を挙げて呼び止める。
「コードゥーメニュー・ノイカー(メニュー下さい)」
 
すると少ししてその人がメニューを持って来たが、何か言う。
 
『いんちゃん、なんて言った?』
『今の時間はパッタイとバミーとトムヤムクンしかできないって』
『どれがおすすめ?』
『パッタイ』
 
「コーパッタイ、ラー、チャローン、ノイカー(パッタイと熱いお茶を下さい)」
 
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それでウェイターは伝票に何か書いて行った。15分ほどで料理が出てくる。何だか焼きそばみたいな料理だ。フォークが付いているのでそれを右手に持って食べようとしたら、《いんちゃん》が『フォークは左手』と注意してくれたので、それで左手に持ち替えて食べる。
 
千里は基本的に右手でも左手でも食事をしたり字を書いたりすることができる。
 
握力なども左手の方が強いのだが、千里は左利きを矯正された覚えは無い。千里と腕相撲をして右手では勝って左手では負けた暢子などは「千里って、潜在的な左利きかもね」と言っていた。
 

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『味が薄い』
『自分で好きなように味付けして食べればいいんだよ。そこの左から2番目の瓶がおすすめ。ただしちょっとだけ』
『ありがとう』
 
パッタイは美味しかったし結構ボリュームもあって満腹した。お茶は砂糖が入っているようで、かなり甘かった。
 
一息ついたところでウェイターを呼び、VISAカードを見せた上で
「チェックビン、ノイカー」
と言って会計をしてもらう。
 
ウェイターが伝票を持ってくる。このレストランはチップ制ではなくサービス料10%が自動的に加算されているようである。それとVAT(消費税)7%も加算されていた。サインして伝票を渡す。控えを受け取った。
 

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お店を出てからタクシーを拾おうとして、ふと気づく。
 
『ね、ね、レストランはカードで払えたけどタクシーはカードで払える?』
『まあ現金だろうね』
『使えないじゃん!』
『明日にでも少しバーツを用意しておいた方がいいよ。ホテルのフロントでもやってくれるよ』
 
今日は到着するなり病院に連れて行かれたので両替などしている時間が無かったのである。
 
『そうする。じゃ、今夜は、りくちゃんホテルまで連れてってくれる?』
『了解了解』
 
それで千里は《りくちゃん》の背中に乗ってホテルに帰還した。戻ったのはもう1時である!
 
部屋割りは玲央美と一緒になったことを玲央美からのメールで把握していたので、教えられた部屋番号に行き(玲央美が寝ているようだったので)《げんちゃん》に鍵を開けてもらって中に入った。
 
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お風呂のお湯出るかな?と心配したものの、ちゃんと出てくれたので、きれいに今日の汗を流してから寝た。
 

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翌20日。
 
朝は玲央美に起こされた。
 
「何時頃帰って来たの?」
「1時過ぎ」
「よく部屋に入れたね」
「私、オートロックの鍵を開けるの得意」
「危ない奴だ」
と言って玲央美は笑っている。
 
千里が徹底的な性別検査されたというと「大変ね〜」と同情するかのように言っていた。
 
一緒に食堂に降りて行く。ジョーク(タイ式おかゆ)・ムーピン(豚の串焼き)・それにソーセージエッグ、豆乳などをトレイに取り、座って食べ始めた時、華香たちのそばに座っていた、20歳くらいの長身のタイ人女性が席を立って、こちらに来た。
 
「おはようございます」
と合掌して言うので、千里も合掌して
「サワディ・カー」
という。
 
「タイ・バスケット協会、Basketball Sport Association of Thailandのワンナポーナミラ“アミ”カリャノンドです。アミとお呼び下さい。私はこの世界選手権の期間中、日本チームの皆様のサポートのためにチームに付いております。もちろん守秘義務を守りますので、何でもお気軽にお申し付けください」
 
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「ありがとうございます、アミさん。村山千里です。コートネームのサンでいいですよ」
「分かりました。サンさん・・・あれ?」
 
「千里はコートネームに更に敬称をつけると変だよね」
と玲央美が言う。
 
「敬称無しでいいかもね」
と隣から彰恵が言う。
 
「もうみんな敬称無しでいいんじゃない?」
と江美子も言う。
 
「では敬称無しで。アミでいい?」
「はい。いいですよ。サン」
 

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「でもアミって日本人みたいな名前ですね」
「私、日本大好きです。それで日本の女の子のような名前を付けたんですよ」
「なるほどー」
 
「タイって自分のミドルネームは自分で付けちゃうらしいね」
と彰恵。
「ミドルネームというより愛称と言った方がいいよね。そして結構コロコロ変えますよね」
と玲央美。
 
「そうですね。私も小さい頃はケンって呼ばれていたけど、中学生くらいからノンになって、高校ではポイになって、高校卒業してからはアミにしています」
 
「タイの人って愛称だけじゃなくて正式の名前も苗字も結構変えますよね」
「ええ。私も名前は最初ソンバットテルトイナク・チャイヤカーンだったんですけど、小学3年生の時に個人名をワンナポーナミラに変えて、高校を出る直前に家族名をカリャノンドに変えました」
 
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「しばらく会ってなかったら姓名、愛称全部変わっている訳だ」
「顔も変わっていたりして」
「性別も変わっていたりして」
「タイは多いよね」
 
「あ、私も性別変えました」
とアミさん。
 
「え?そうなんですか?」
と千里は驚く。
 
「そうそう。その件で昨日も食事の時にけっこう盛り上がった」
と彰恵。
 
「声も女性の声ですね」
「ええ。声変わり前に去勢したので」
「なるほどー」
 
「私が出た中等学校(タイは日本でいう所の中高一貫校が一般的)は緩い所で女子制服での通学を認めてくれたので、女子中学生、女子高校生を6年間やることができました。実際には小学校の頃から、女の子の服で通学していたんですよ」
 
「タイはそのあたりが本当に寛容みたいですね」
と千里は言ったが
 
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「日本も昔はそのあたりがかなり寛容だったみたいだけどね。むしろ戦後一時期変にかたくなになったんじゃないかな」
と玲央美は言う。
 
「確かに元々日本って性の問題には寛容な国だもんね」
と千里も言った。
 
「アミさん、高校2年で手術したらしいよ」
「同級生で高校1年で手術しちゃった子がいて、私も早く手術したいと親に言ったら翌年受けさせてくれました」
 
「いい親御さんですね」
 

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「そうだ。両替って、どこでするのがいいですかね?」
「ここのホテルは割といいレートですよ。もしクレジットカードをお持ちなら、それでバーツで引き出すのがもっと率がいいです。このホテルの1階にもありますよ」
 
「じゃ食事が終わったら行ってこよう。昨日の病院の帰り、もうホテルのレストランはしまってるだろうと思って深夜営業のレストランの所で降ろしてもらって、食事の代金はカードで払ったけど、タクシーは現金が無いからジョギングで帰って来た」
 
「そんなことしてたんだ」
「鍛錬だな」
 
「あ、でもタイのタクシーは特に深夜は結構危険ですよ。ぼったくりが多いですし、女性1人だと、たまに悪いことしようとする運転手もいますから」
などとアミさんは言っている。
 
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「タクシーに乗る時は必ずメーターを倒させることが必須と言ってたね」
と玲央美。
 
「そうそう。メーターで走ればそこに表示されている料金で乗れますから」
とアミさんも言っていた。
「あとはできるだけ2人以上で利用することですね」
 

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「でも昨夜はそんなに遅くなったの?」
と彰恵が訊く。
 
「病院を出たのが夜の12時だったから」
「そんなに掛かったんだ! 千里がそんなに遅くなると知ってたら少し食事を取っておいたのに」
と江美子が言う。
 
「病院って、何かお怪我でもなさいました?」
とアミさんが訊く。
 
「性別検査受けてました」
「ああ」
「またやってたのか」
 
「全身くまなくMRIに掛けられて、どうも身体のどこかに睾丸が温存されてないかチェックしていた感じ。MRIの中に1時間以上入っていたよ」
 
「たいへんねー」
と彰恵は同情するように言うが、アミさんが怪訝な表情。
 
「コウガンって、男性の生殖腺ですか?」
「そうそう。ルーク・アンタ。私も性転換しているので」
 
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「え!?そうだったんですか?全然気づかなかった。ごく普通に女性に見えるのに」
「アミもごく普通に女の人に見えるよ」
と千里は言った。
 

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