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■娘たちのタイ紀行(14)

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審判は笛を吹いた。
 
言葉で説明する。
 
「ボールはバスケットを通過しなかったので得点は認められない。しかしその前に青の10番のファウルがあったのでフリースロー2本が与えられる」
 
玲央美はファウルを取られたのは不満そうであったが素直に手を挙げる。
 
それでフェルナンデスのフリースローとなる。彼女が1本でも入れたらスペインの勝ち、2本とも外せば延長戦である。しかし日本側が事前に分析していたように実は彼女はミドルシュートがあまり得意ではない。この試合でもフリースローを6本撃って実は1本しか入れていない。それでもスペインとしてはここは彼女に決めてもらうしかない。
 
逆に日本側としては、彼女が2本とも失敗することに賭けるしかない。
 
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フェルナンデスが審判からボールをもらい、慎重にセットする。
 

シュートする!
 
するとボールは勢いよく飛んで行ってリングの端に当たり、シュートしたフェルナンデス自身の所に直球で飛んできた。
 
「あっ」
と叫んで手で防御しようとしたものの、間に合わなかった。
 
ボールは彼女の顔面にまともにぶつかってしまった。
 
ボールの勢いが強すぎて、反応が間に合わなかったのである。
 

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フェルナンデスが倒れる。
 
慌ててチームメイトが駆け寄り、
「サラ!」
と名前を呼んでいるが、彼女は気を失っている!?
 
会場の医師が出てきて診察する。
 
目を開けて瞳孔を確認する。脈拍と血圧を測っている。しかしそうこうする内に彼女は目を開けた。
 
何とか意識を取り戻したようである。
 
しかし医師は、すぐにプレイできる状態ではなく、しばらく安静にした方がいいと主張した。
 
それで担架を持って来て、慎重にそちらに乗せ、コート脇のベンチの所まで運び出した。
 

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フェルナンデスはフリースロー2本の内1本撃ったところであった。普通はフリースローは途中での交代は認められない。また、ファウルで得たフリースローは、ファウルされた本人が撃たなければならない。
 
しかし負傷の場合は例外である。
 
審判が代わりの選手にもう1投をさせるよう、スペインの監督に言う。
 
スペインはフェルナンデスを出して来た。
 

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会場がざわめいた。
 
「あぁ・・・」
と日本側の選手たちが悲鳴に近い声を漏らした。
 
負傷で退いたのは5番を付けたパワーフォワードのマリア・サラ・フェルナンデスである。代わってコートインしたのは、15番を付けたシューティングガードのマリア・クララ・フェルナンデスである。
 
彼女を認めてスペイン応援席が盛り上がった。
 
千里は参った!と思った。
 
同じマリア・フェルナンデスでも、サラの方はミドルシュートが苦手であるものの、クララの方は、シューティングガード登録されている選手だ。この大会ではあまり出番がなく、プレイ映像もわずかしか無かったものの、おそらくフリースローは上手い。
 

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マリア・クララ・フェルナンデスは両腕を回して準備運動をしている。この試合でここまで一度もコートインしていなかったものの、最後の最後で大役が回ってきた。緊張もしているだろうが、彼女が緊張に勝てるかどうかか勝負の分かれ目だ。審判からボールをもらう。ひとつ息を吐いてからセットする。
 
撃つ。
 
ゴール!
 

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日本選手がみな一様に大きなため息をついたのに対して、スペイン選手は大騒ぎである。シュートを決めたクララがみんなから頭や肩を叩かれていた。最後の最後に1シーンだけ出てきてヒロインになるというのも凄いことである。
 
審判が整列を促す。
 
「81 to 80, Spain won」
と審判が告げた。
 
ガルシアと朋美が握手したのに続き、みんなお互いに握手をして、健闘を称えあった。
 
なお、倒れたマリア・サラ・フェルナンデスだが、そのまま10分くらいベンチ脇の所で医師の診察を受けていたが、その後、担架に乗せたまま医務室に移されたようであった。
 

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しかし、こうして日本は惜しい星を落として結局3勝3敗となり、ロシアとフランスの試合の結果待ちとなったのである。
 
試合終了後着替えてから客席に行く。ジーナさんの席は日本選手団の席のそばに確保してある。高田コーチが準備してくれた席であろう。
 
「お疲れ様でした」
「負けちゃいました」
「いえ、あんなに凄い試合を見られて幸せです。私バスケファンになっちゃいました」
「それはぜひ全快したら、国内の試合も見に来てください」
 
「手術の経過はどうですか?」
「痛いですけど幸せです」
「ああ、そうですよね」
「包帯は取れたんですか?」
「まだです」
「じゃ、まだ自分のお股をまだ見てないの?」
 
「それは見ましたよ〜。感激しました。わあ。無くなっている。嬉しいと思った」
「自分は女の子だという意識のある子にとっては凄い邪魔なものなんだろうなあ」
 
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「そうなんですよ。あれで20年間悩んできたから。でも表面の傷口が治るまでは包帯してないといけないんですよね。だからトイレが大変なんですよ」
 
「ホースが無くなっちゃったからよけい大変ですよね」
などと王子が言う。
 
「まるで経験者みたいなことを言う」
と百合絵から言われている。
 
「あら?あなたも手術して女性になったんですか?」
とジーナさん。
「私、もうそういうキャラということにしとこうかな」
と王子。
 

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フェルナンデスだが、本人は30分ほどで回復して平気平気と言っていたものの、念のため病院に連れて行って精密検査をしたらしい。特に異常は無いということで、決勝トーナメントには問題無く出られるということであった。日本は高居代表の名前でお見舞いの花を贈っておいた。
 
日本−スペイン戦の後、アメリカとロシアの試合が行われた。意外に点差がついて75-56でアメリカが勝った。
 
この結果、次のフランス・中国戦の結果を待たずに、日本は決勝トーナメント進出が決まった。アメリカの勝利が確定した時点で、千里たちはお互いに握手しあって、喜びを分かち合った。
 
ジーナさんも
「皆さん、おめでとうございます!」
と笑顔で言っている。
 
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事態を把握していない王子が
 
「これどうなったんですか?」
と訊いたので
「日本が決勝トーナメント進出」
と教えてやると
 
「おぉぉぉ!!!」
と叫んでいた。
 

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娘たちのタイ紀行(14)

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