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■娘たちのタイ紀行(13)

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(C)Eriko Kawaguchi 2016-09-30
 
この日の結果。
 
GrpE AUS 92-65 CZE / LTU 54-42 CAN / BRA 68-66 ARG
GrpF USA 109-68 JPN / ESP 74-62 FRA / RUS 67-62 CHN
 
GrpF暫定順位 1.ESP(5-0) 2.USA(4-1) 3.JPN(3-2) 4.RUS(3-2) 5.FRA(2-3) 6.CHN(1-4)
 
ここでロシアと日本は同じ3勝2敗であるが、直接対決で日本が勝っているので、順位の上では日本が上位ということになる。
 
そして、この時点で中国の脱落と、スペイン・アメリカ・ロシアの決勝リーグ進出が決定した。
 
なぜ暫定3位の日本ではなく、暫定4位のロシアの決勝進出が決まったかというと、順位決定方法の複雑なカラクリがある。
 
勝ち点が並んだ場合は
■2チームが並んだ場合は、直接対決の結果で決める
■3チーム以上が並んだ場合は、そのチーム同士のみで計算した勝ち点で決めるが、それも全チーム同じである場合は、相互得失点率で決める
 
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というルールになっている(2014年の改訂で得失点率ではなく得失点差が使用されることになったが2009年時点では得失点率の比較である)。その結果、明日の試合結果による最終順位は次のようになる。
 
ロシア○日本×フランス×→3.ロシア 4.日本 5.フランス
ロシア×日本×フランス×→3.日本 4.ロシア 5.フランス
ロシア○日本○フランス×→3.日本 4.ロシア 5.フランス
ロシア×日本○フランス×→3.日本 4.ロシア 5.フランス
ロシア○日本×フランス○→3.ロシア 4.フランス 5.日本
ロシア×日本×フランス○→3.ロシア 4.日本 5.フランス
ロシア○日本○フランス○→3.日本 4.ロシア 5.フランス
ロシア×日本○フランス○→3.日本 4.ロシア 5.フランス
 
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これを見ると全てのケースでロシアは必ず4位以内に入るのである。従ってロシアは暫定4位であるにも関わらず、暫定3位の日本より先に決勝トーナメント進出が確定してしまったのである。
 
逆に言うと、フランスが決勝トーナメント進出して日本が脱落するのは、ロシアとフランスが勝ち、日本が負けた場合のみである。
 

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2009年7月29日。
 
二次リーグの最終日である。日本は13:00からの第1試合でスペインと当たる。日本はこの試合に勝てば、文句なしに決勝トーナメント進出が決まる。
 
千里たちは今日も朝から分析担当マネージャーの谷浜さんが作ってくれた資料を元に相手チームの分析をした。
 
「まあ圧倒的に強いチームだから、分析してもあまり意味ないんだけどね」
と片平コーチは最初に前置きしてから説明を始めた。
 
「中核選手はフォワードのフェルナンデスとセンターのロペス。フェルナンデスが196cm, ロペスが192cmで、どちらも無茶苦茶背が高い。一応センター、パワーフォワードと登録は別になっているけど、どちらもよくシュートしてよくリバウンドを取る。フェルナンデスは今大会で現時点でリバウンド女王だ」
 
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と片平コーチが言うと、サクラと華香の目が燃える。
 
「スモールフォワードのマルティネスはしばしば司令塔を務めている。だから彼女は得点も多いけど、アシストも多い」
 
リストを見ていた彰恵が発言する。
「フェルナンデスってふたり居るんですね?」
 
「そうそう。今言っていたのはパワーフォワードのフェルナンデスで、マリア・サラ・フェルナンデス。背番号は5番、副キャプテン。もうひとりはシューティングガードでマリア・クララ・フェルナンデス。背番号は15。
 
「どちらもマリアさんか!」
「まあマリアという名前は多い」
「フェルナンデスという苗字も多いですね」
「そうそう。渡辺さん、鈴木さん並みに多い」
「5番の方は M.S.Fernandez、15番の方はM.C.Fernandezとユニフォームには印刷されている」
 
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「5と15の違い、SとCの違いって凄く紛らわしくないですか?」
「まあ身長が違うけどね。5番のフェルナンデスは196cm、15番のフェルナンデスは174cm」
「もうフェルナンデス・グランデ、フェルナンデス・チコでいいな」
 
「実際チーム内でもグランデ、チコと言っているみたいですよ」
と谷浜さんが言う。
 
「へー!」
「クララとサラって聞き間違いやすいでしょう」
「それも思った!」
 
ビデオを見ていた江美子が言う。
 
「そのグランデですけど、見てるとランニングシュートと、ゴール下からのシュートばかりですね」
「あ、それは私も思いました」
と谷浜さん。
「どうもミドルシュートが苦手っぽいんですよ。フリースローをかなり失敗してますよ」
「ということは、中に入れなければいい?」
 
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「この体格の選手の突進を停められるならね」
と片平コーチが言うと、みな「うーん」と言って腕を組んでいた。
 

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ところで、性転換手術を受けにバンコクに来ていたジーナさんは、昨日退院したということで、昨日は市内のホテルに泊まり、この日千里たちの試合を見に来るということだった。
 
「ずっと寝てたせいか、歩く時に身体がふわふわする感じで」
などと彼女は電話で言っていた。
「きっとある部分で200-300gほど体重が減ったからですよ」
と千里が言うと
「あ、そうかも!」
と言って、何だか喜んでいた。
 
会場に行くと車椅子に座ったジーナさんが客席から手を振っているのが見えた。千里たちも微笑んで手を振った。
 

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今日の試合、両軍のスターターはこのようであった。
 
JPN PG.早苗/SG.千里/SF.玲央美/PF.王子/C.華香
ESP PG.ラーニャ/SG.イグレシアス/SF.マルティネス/PF.フェルナンデス/C.ロペス
 
ロペスと華香でティップオフをする。ロペスが勝ってマルティネスがボールを取ると、自らドリブルで攻め上がってきた。フェルナンデスにパスすると、彼女はそのまま中に突進してくる。
 
王子が停めようとしたものの、吹き飛ばされる。
 
フェルナンデスのシュートが決まる。
 
ファウルの笛は吹かれない。
 
つまりこの試合ではこの程度の衝突はファウルを取らないという意味だろう。
 

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スペインが先行はしたものの、その後は、結構互角の戦いで進んだ。
 
やはり、日本側は昨日の大敗の後で各自好きなように時間を使ったことで気持ちがふっきれている。それでまるで今日が初戦のような気分で戦っていた。一方でスペインは、日本ごときに負けられるかという気負いが空回りしている感じもあった。
 
今日の審判はあまりファウルを取らないようなので、相手の強力なフィジカルな当たりに対しても、こちらも臆することなくぶつかっていく。途中で桂華・百合絵も投入して、体格的に当たり負けない選手で運用していく。
 
「うーん。。。今日は出番無いかなあ」
などと166cmの江美子がつぶやいている。
 
日本チームで身長が低いのは朋美159<早苗164<渚紗165<江美子166<千里168といったところである。
 
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むろん審判も全くファウルを取らない訳ではない。ファウルされてボールを落としボールが転がっていったようなものは取る。それで前半、マルティネスが1つ、フェルナンデスとロペスが2つ、ガルシアとゴメスが1つ、日本も王子とサクラが2つ、華香が1つファウルを取られた。
 
前半は最後に彰恵がブザービーターを決めて、34-34と同点で折り返した。
 

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第3ピリオド。スペインはどうも気合いを入れ直して出てきた感じである。ロシアにもアメリカにも勝ったのに、こんな所でアジアの弱小国に負けてなるものかという、怒りにも似た気持ちが選手たちに満ちている。
 
最初から激しい攻めを見せる。いきなり8-0にするが、その後、日本はまず千里のスリーで3点返す。
 
向こうはある程度スリーは仕方ないかと考えている雰囲気もあった。スペインの攻撃に移るが、むろんゴール下からのスローインから始まる。
 
この時、控えセンターのゴメスがボールをパワーフォワードのゴンザレスに送ろうとしたのだが、彼女のすぐ近くに自コートに戻りかけの玲央美が居た。
 
すると玲央美は後ろ向きであったにも関わらず斜め後ろに手を伸ばすようにしてそのボールをカットしてしまった。
 
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そのままシュートに移る。ゴメスがほとんどタックルのようなチェックをする。しかし玲央美はびくともせずにボールをしっかりゴールに放り込む。これがファウルを取られて、バスケットカウント・ワンスローとなる。玲央美は当然フリースローも入れて8-6. あっという間に2点差に詰め寄る。
 
その後も、このピリオドでは相手のプライドを掛けたパワフルな攻めが微妙にうまく行かず、冷静で落ち着いてプレイしている日本にうまくやられてしまう形になった。
 
結局このピリオドでは、攻守の勢いでは明らかにスペインが勝っているのに点数の上では16-21と日本がリードを奪うという結果になった。
 
第3ピリオドを終えて50-55と、何と日本が5点のリードである。会場のざわめきが大きい。
 
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第4ピリオド、スペインはあえて中核のセンター・ロペスと、パワーフォワード・フェルナンデス、スモールフォワードのマルティネスという3人をベンチに置き、背は低いものの素早いサンチェス、癖のあるプレイをするロドリゲス、そしてシューターのイグレシアスの3人を中心にした攻撃をしてきた。
 
彼らはとても丁寧にプレイし、時間を掛けて着実に点を取る作戦で来た。
 
向こうがパワーをかさにきていると、こちらは隙を突けるのだが、相手が丁寧に攻めて来ると、元々の実力に大差があるので、どうにもかなわない。このピリオドは雰囲気では先のピリオドとは逆に、むしろこれまでより互角に戦っているように見えて、実は点差ではスペインが大きくリードする形になった。
 
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残り4分半の所で、とうとう日本に追いつき点数は65-65である。
 

日本はここで桂華・玲央美・王子・サクラ・華香と背の高いメンバー中心のラインナップに代え、敢えて荒削りのプレイ、速攻中心の攻めにして相手のペースを乱す作戦で行く。
 
すると、向こうが丁寧にプレイしようとしても、王子やサクラが大雑把なプレイをするので、相手は微妙に歯車が狂ってくる。王子たちとの身体のぶつかり合いで相手選手が感情的に興奮する。
 
それでとうとう残り2分の所で69-75と日本が6点リードする状態になる。
 

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ここでスペインは「ソフト作戦」を諦め、ベストメンバーを投入した。あとは実力と実力の勝負にしようという態勢である。
 
ここで向こうの中核メンバーが頑張る。それであっという間にスペインが追い上げて、残り1分の所で79-75とスペインが逆に4点リードする状態になる。
 
しかし激しい戦いが続いたことから、双方ファウルがかさんだ。王子とサクラも1個ずつファウルを取られてふたりとも4ファウルになってしまったものの、向こうもマルティネス・フェルナンデス・ロペスの中核3人が4ファウルである。
 
玲央美が華麗にレイアップシュートを決めて79-77と2点差に詰め寄った所で残り35秒である。
 
スペインはゆっくりと攻め上がってくる。日本がプレスを掛けるも、向こうも冷静なので、そう簡単には取られない。ただ24秒計は刻一刻と数字を減らして行く。
 
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やがて20秒くらいになった所でイグレシアスがスリーを撃った。
 
しかしこれを王子がファウルして停めた。
 

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王子は5ファウルで退場になる。江美子が代わって入る。
 
イグレシアスはフリースロー3本である。
 
1本目入れる。80-77.
 
2本目外す!
 
そして3本目。スペイン選手はわざとリングの端に当ててリバウンド勝負にした。
 
しかしボールを確保したのはサクラであった。
 

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すぐ、外側に居る朋美にボールを送る。朋美が速攻で攻め上がる。
 
スペイン選手が必死に戻る。
 
朋美の前方に回り込むので朋美は逆サイドにいる千里にボールを送る。
 
マルティネスが物凄い勢いで突進してきたものの千里は冷静である。今スペイン側が自分にファウルできないことを知っているからである。
 
千里が冷静に決めて80-80.
 
実際マルティネスは千里の1m程度手前で急停止し、万が一にも審判に千里と衝突したとは思われないようにした。
 
そして日本はギリギリで同点に戻した。
 
残り12秒。
 

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スペインが最後の攻撃に移る。日本は当然全力でプレスに行くがスペインは何とか8秒以内にフロントコートにボールを進めた。
 
フェルナンデスがドリブルで、江美子を蹴散らして中に飛び込む。そして玲央美と衝突しながらシュートを撃つ。
 
ボールはリングに飛び込んだように見えたのだが、ネットに反射して!?上に飛び出してしまった。
 
直後試合終了のブザーが鳴った。
 

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娘たちのタイ紀行(13)

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