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さて、11月2日は“さだん”で結婚吉日である。
この日の夜、千里・小春は、鈿女神社の拝殿で、小町と源次の結婚式をしてあげた。
今回小町に昼間のお留守番をさせなかったのは、結婚前の花嫁を酷使するのは可哀想だったからである。
千里Yは11月1日夜から丸1日寝ていたのだが、Gからの電話で起こされてこの結婚式に出た。
千里Yが
「とうとう小町ちゃん、結婚するんだ?おめでとう」
などと言っているのはみんな気にしないことにした!
結婚式のために鈿女(うずめ)神社には多数の松明(たいまつ)を灯した。集落からは夜中山中の神社に多数の灯りを見て、まさに“狐の嫁入り”だろう(*41).
小町と源次に、ちゃんと花嫁衣装・花婿衣裳を着せて、千里Yが祝詞をあげ、コリンとミッキーの手により三三九度をした。小糸と小鳩が巫女舞をしてくれた。
(コリンは姫路に行っていたが、結婚式の間、サハリンと位置交換して留萌に戻した)
(*41) 日本語で“狐の嫁入り”と呼ばれる現象には2つある。
(1) 夜中の山中に多数の灯りを見るもの(きっと蜃気楼の一種)
(2) 晴れてるのに雨が降ること(多分雨が落下するまでの間に雲が消えた)
ここでは(1)の意味。昔は人間の嫁入りでも、提灯を持った多数の人と一緒に花嫁さんが婚家に向かった。それで多数の灯りの列を嫁入り行列に例えたもの。
狐の嫁入りがよく観察される地域があり、大規模な場合、3-4km続いているようにも見えるという。この現象を見た年は豊作になるとも言われ、こういう現象を起こしやすい大気条件があるのだろう。狐は穀神のお使いとみなされているので、おキツネさんが結婚して稲作を支援してくれるという信仰が成立したのだろう。
なお小鳩というのは先日、野犬(のいぬ)に襲われてた所を助けてあげた“一族”のキタキツネの女の子“ハト”を眷属に加え新たに命名したものである。
現在3歳である。
お正月が終わったあと、半年くらい小町はお休みということにし、代わってその小鳩がP神社にご奉仕してくれることになった。小町は現在“設定小6”であったが小鳩は“設定小3”ということにしておく。小鳩はそれまで約2ヶ月間、P神社の舞と笛の訓練を受ける。先生は小春である。
小町は結婚後も、お正月の多忙期までは、神社でのご奉仕・大神のお使いを続ける。新任の小鳩だけでは不安である。
だから小町は日中は小学校およびP神社に居て、夜はコリンの家に帰宅。源次と夫婦生活をすることになる。“奥様は小学生!”(*42)
コリンは既に姫路に本拠を移した。荷物の運搬は今月中にする予定。取り敢えず空いているので、そこを夫婦に貸した。小春も旭川に移動する予定なのでこの家は4月以降空き家になる予定である。
(*42) 『おくさまは18歳』18歳で結婚したヒロインが夫となった教師が勤める高校に転校してきちゃったという話。学園長は2人に夫婦であることを秘密にするよう命じる。番組(1970)の視聴率は30%を越え、主演した岡崎友紀(放送開始当時17歳)は国民的アイドルとなる。半年の予定が1年間放送は続いた。相手役は石立鉄男(当時28歳)。
ほかに寺尾聰(当時23)、冨士眞奈美(同32)、うつみ宮土理(同28)、北林谷栄(同59)、松坂慶子(同18)、などが共演している。このタイトルはもちろんアメリカの伝説的なシットコム『奥さまは魔女』を強く意識している。
結婚式のあとは、いよいよドキドキの初夜になるが源次は千里と小春から“避妊具”を渡された。
「何これ〜?」
「今小町に妊娠されると困るからな」
「あと2ヶ月はそれを付けてて」
そういう訳で!源次は年末まで小町との生セックスが許されない。キツネ用の避妊具を提供してくれたP大神に感謝!
11月3日(祝).
10月31日に姫路に行っていた千里Gは、この日コリンを姫路に置いたまま単身、飛行機で北海道に戻った。
なお、コリンは10/31まで留萌に居たが11/1にGと一緒に姫路に行き、11/2の夜だけサハリンと交換で留萌に戻り小町の結婚式が終わるとまた姫路に戻った。
11月3日(祝).
千里Vは“千里Rに司令室の留守番をさせて”、小糸を髪留めに変えて伴い、サハリンにライフを運転してもらって旭川に出た。天子と一緒に暮らしている瑞江も連れて3人で、姫路に飛んだ。
だからGとVは完全に入れ違いになった。
実はA大神が、この地区での千里たちのサポートをするため、伊勢のT姫様大神の親戚筋にあたるK大神を紹介してくれていた。
T姫様はA大神からは盟友にあたる。A大神は北海道の神様なので、内地の神様に千里の保護をお願いしてくれた。
それで千里Vと、A大神の名代に任じられた瑞江が、K大神にご挨拶するため姫路市内のK神社を訪れたのである。
「お前、凄い優秀な巫女だな、私の声が聞こえる、よな?」
と大神は、気さくに声を掛けてこられた。
「はい、大神様。聞こえております。私は北海道のA大神のしもべです」
「先約があったか!!しかしなんか凄い大物の名前を聞いた」
「伊勢のT姫様大神からこちらを紹介していただきました」
と言って、千里はA大神から渡されたT姫様大神の名刺?を渡した。
瑞江がA大神からの親書も渡す。
「ああ、分かった分かった。こちらに引っ越してくるのか?」
「来年の春になると思います」
「そうか。引っ越して来たら毎週うちに来ないか」
「寄れる時に寄らせていただきます」
「お前さすが、神様との付き合い方を知ってるな」
K神社のあと、橘丘新町の新居に行く。そして、P大神から渡された“洞門の鏡”を設置した。(設置場所は後述)
千里Vはきーちゃんの雑用係として小糸を残し、自身は瑞江も連れて一緒にこの“洞門の鏡”を使い、北海道に戻った!(姫路まで日帰り!)
「これ楽でいいね。ドラえもん世界で、どこでもドアの発明で鉄道会社が潰れたという意味が分かる」
と千里(V)。
「ドラえもん世界では自動車も飛行機も要らないですよね」
「そうだね。学校や会社行くのもどこでもドアだよね」
「寝過ごした人は走って会社へなどというリカバー法が無い」
「道路を通るのは散歩やジョギングする人だけかも」
「高速道路も無くなってるだろうね」
なお“洞門の鏡”のもう片方は取り敢えず留萌のP神社“中深部”(深部とリアル世界の遷移部)に置かれている。千里V(P大神には千里Yに見える)と瑞江はそこからP大神様にご挨拶して退出した。瑞江は高速バスで旭川に戻った。これは早川ラボの管理人が交替した時点でそちらに持って行くことになっている。
瑞江はA大神のしもべなのでP神社深部には入れない:しかしP大神様からこの鏡を使うためにここに来る許可を得た。
一方サハリンはコリンが買っておいた2tトラックを運転して留萌に向け出発した。サハリンはしばらくトラック係である。北海道と姫路の間を数回往復してもらうことになる。
コリンは大型免許を持っているがサハリンは普通免許しか持っていない。しかしこの時代は普通免許でも2tトラックが運転できた(*43).
(*43) 2007年6月2日以降の免許更新でそれまでの普通免許は「中型免許8t限定」と変更された。同様に2017年3月11日までに取得した普通免許はそれ以降の免許更新で「準中型免許5t限定」に移行している。また以前あった特定大型車の区分は2010年6月(制度変更の3年後)に事実上死文化した(免停期間のあった人を除く)。昔の特定大型車が現在の大型とほぼ同じ、昔の大型が現在の中型とほぼ同じである。ただし中型を取っても3年後に自動的に大型にはならずあらためて取らなければならない。
2023年現在の免許制度
大型免許→どれでもOK。
中型免許→6t車はOK。8t車NG。バスは定員29人まで。
中型8t→4t車までOK。バスNG。ワゴンは定員10人まで。
準中型免許→3t車までOK。4t車NG。
準中型5t→2t車までOK。
普通免許→1t車までOK。
つまり2017年3月11日までに普通免許を取った人は2tトラックが運転できる。
コリンとともに姫路に残った小糸は初対面になる貴子に言った。
「雑用係を務めさせていただきます、小糸と申します」
「あら、可愛い子ね」
と貴子は言った。
小糸は身の危険!を感じた。
「あのぉ、私、男の狐(こ)が好きですので」
11月に入ってから千里(U)は旭川N高校から健康診断書を出してくれと言われ、11月4日(金) 市民病院に行って健康診断を受けた。この日は蓮菜も健康診断を受けていて、病院で一緒になった。
千里は普通に女子トイレで尿を取り、検査室で身長・体重を計られ、血圧を測って採血される。その後。視力検査・聴力検査を受けた後、心電図検査に行く。ここでも蓮菜と遭遇した。
蓮菜は千里のバストに触れながら
「千里は時々自分の身体をよくよく確認するといいよ」
と言った。
千里は何のことだろうと思った。
それで千里は普通にバストと足に電極を付けられ心電図を取られた。
レントゲンでもまた蓮菜と遭遇してお互いの生バストを見ることになる。最後に内科医の所で診察を受け、健康診断は終了した。
千里の診断書に
「村山千里・平成3年3月3日生・女」
と印刷されているのを見て、なぜか蓮菜は笑っていた。
千里は何だろうと思った。
今日の健康診断についてGとVは話し合った。
(Gは3日飛行機で北海道に戻った。Vは昨日の夕方“鏡”で留萌に戻った)
「千里Uってその時必要な子が表面に出るみたいね」
「今日健康診断を受けたのは千里Bsだった」
「4人もいれば結構代わる代わるトップに立つのかも」
「マラソンで交替でトップに立って風除けになるみたいな感じかな」
「ああ、あれも美しい習慣だよね」
「高校の授業も、数学と理科はBが受けて、国語と社会はYが受けたりして」
「それ普通にやりそうな気がする」
「髪の毛はどうするの?」
「きっと髪を切るのはW(W on Bw)という気がする」
「ああ、するする」
「だからWには髪を切ったあと、ウィッグを付けさせればいい」
「ああ、それで行けそう」
(11/04) 千里Uが健康診断を終えて家に帰ると玲羅が泣いていて、母が難しい顔をしている。
「どうしたの?」
「うん。私の卓球のラケット、うっかりそこに置いてたら、お父さんが通る時に踏んで割れちゃったの」
と玲羅が言う。
「ありゃあ」
「お父さんは、どうせ部活なんて金が掛かるから、これを機会に退部しろって言うのよ」
「それいくらするんだっけ?」
「ラケットとラバーで25000円くらい」
「それ、私が出すよ」
と千里は言った。
「ありがとう!お姉ちゃん大好き!」
(あまりお金を持っていないBでもこのくらいは出せる)
それで千里は母に車を出してもらう。
「ね、どうせなら少しいいの買ってもいい?」
「まあいいよ。いくらくらいの?」
「4万くらいのがいいなあ」
「はいはい」
それで千里は銀行で5万下ろしてから市内のヘリンボーン・スポーツに行った。
それで結局ラケット本体とラバーで税込み43050円になるのを買ってあげた。
「ありがとう」
「まあ練習頑張ってね」
11月7日(月).
武矢たちの船・第7$$丸の(元)船長・鳥山さんが所有していた“山”2つが1000万円で売れたという話が飛び込んできた。
「まさかこんな田舎の山が売れるとは思ってもいなかったから驚いた」
と鳥山さんは言っていた。あまりにも換金性が無いとして銀行も担保として認めてくれなかった山らしい。
しかしお陰で、鳥山さんは10月いっぱいで解雇した船員さんたちに退職金を払ってあげることができた。更に岸本漁労長・村山機関長から鳥山さんが借りる形になっていたお金500万円ずつの内300万円ずつを返済した。これにより武矢は、弾児さんに保証人になってもらい信用金庫から借りていた借金200万全部と、勝手に津気子の名前を書いて保証人にして消費者金融から借りていた100万を返すことが出来た。残る借金はJFマリンバンクから借りていた200万円である。
「岸本さん、村山さん、残りの借金はできるだけ早く返すけど、4月以降払ってなかった給料と退職金は少し待って」
と鳥山さんは言った。
「ああいつでもいいいですよ」
と武矢も岸本さんも言った(2人とも奧さんに睨まれる)。
11月7日(月).
千里Vは広沢摩那男からの電話を受けた。
「村山さん、あの物件の建築確認が取れましたから。工事始めていいですよ」
「え?もう建てちゃったけど」
「え〜?建築確認が取れるまでは建築始めちゃいけないんだけど」
「そうだったの?ごめーん」
「勝手に工事してて建築確認が取れなかった場合は取り壊し命令が出ますよ」
「ごめんなさい」
「次から気をつけてくださいね」
「うん。気をつける」
「それから多分後日、固定資産税の調査員から連絡があると思いますから」
「あ、それは大丈夫。留萌で建築したのも調査員来たから。ヒグマに追いかけられて危なかったけど」
「なんかワイルドな生活してますね!本州じゃせいぜいイノシシだなあ」
Vは書類をもらうのに姫路まで“鏡”を使って行ってきて、ついでに建築関係の資格の話も詳しく教えてもらった。(これは後述する姉歯事件の直前)
そして留萌に戻ると、九重・清川・南田兄弟・前橋・七瀬を集めて6人に言った。
「あんたたち、一級建築士の資格取って」
「え〜〜〜!?」
「取り敢えず来年度から西宮市のM女子大に建築学科が創設されるから、そこに入学してよ。名誉ある第1期生になれるよ」
「あのぉ。前橋と七瀬はいいですけど、俺たち男だから女子大には入れません」
「可愛い女の子に変えてあげるよ。別に痛くないし、子供も産めるようになるよ」
「勘弁してください」
「おっぱい触りたい放題になれるのに」
「そういう一瞬心が揺らぐこと言わないでください」
「ああ、男ってみんな心の中のどこかに女になりたい気持ち持ってるからね」
と前橋は言っていた。
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女子中学生・進路は南(32)