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■女子中学生・進路は南(7)

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さて、千里(R)たちはこういう連絡で北海道に戻った。
 
伊勢市8/21 10:54(近鉄特急)12:15近鉄名古屋/名鉄名古屋12:34(名鉄特急)13:11中部国際空港13:55(ANA325)15:40旭川空港
 
S中とR中の共同での行動になった。お昼は空港の手荷物検査を通った中で買い、機内で食べた。旭川にはS中のマイクロバスが迎えに来てくれていて、それに一緒に乗って留萌に戻った。
 
留萌駅にこんな横断幕が出ていた。
 
「祝・R中木里清香選手、S中村山千里選手、第34回全国中学校剣道大会・女子の部優勝、S中工藤公世選手、準優勝」
 
公世は自分も女子の部で準優勝したみたいに読めるのはもういいや、と思った。
 
それにしても自分の名前がこんな所に張り出されるのは恥ずかしい。これいつまで張っておくんだろう。
 
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R中で清香たちを降ろしてからS中に向かう。校長、教頭、生徒会長、それに応援団全員に出迎えられた。その日の夕方は校長の主宰で祝勝会と称して、市内の中華レストランで食事会が開かれた。剣道部の男女代表として竹田君と玖美子もこれに出席する。沙苗が撮影した写真を披露する。また表彰式の様子がビデオで披露されると
 
「このビデオは永久保存版だな」
などと校長は言っていた。かくして公世が白い道着で表彰されているところがずっと残ることになる。
 
千里がもらってきた木刀については「ほんとに素晴らしい名誉だね」と言って校長もほんとうに喜んでいた。
 
夜21時近くに解放されたので各々自宅に戻るが千里は例によって
「疲れたぁ」
と言って消えちゃった。荷物はコリンが持ち帰る。
「コリンさん、千里さんはまだですか?」
と女の子に変えられたままの源次が情け無さそうに言うが
「あと何日か待って」
とコリンは言っておいた。
 
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8月22日(月).
 
早朝、武矢の船は1週間ぶりに出港していった。
 
津気子は他の奧さんたちと一緒に手を振って出港を見送りながら、色々不安を覚えた。奧さんたちの中からこんな声があった。
 
「あと何回出港できるんだろう?」
「もう限界が近いみたいね」
「借金がどんどん膨らんでるみたい」
「漁獲が燃料代に達するかどうかギリギリみたいだし」
 
え?そんなにひどいの?あの人全然そういうこと言わないし。
 

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8月22日(月)は始業式である。これは表彰などがあるので千里GはA大神様にお願いして、Rを強制的に起こす。Rは「眠いよぉ」と文句を言いながら学校に出て行き、全校生徒の前で賞状・トロフィ・金メダル、木刀を披露した。公世も賞状、カップ、銀メダルを披露した。
 
また道大会での女子団体3位、男子団体ベスト8の成績が発表され、3位の賞状を玖美子が披露した。また道大会個人戦で、玖美子と竹田君が5位の賞状を披露した、千里と公世の優勝の賞状も披露された。
 
また全国大会表彰式の様子のビデオが流されていた。このビデオは取り敢えずDVD-Rに焼いたらしい。
 
校長は
「我が校の生徒が全国大会で1位・2位になるとは本当に素晴らしいことです」
などと言っていた。
 
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公世は自分が女生徒扱いなのはもういいやと思っていた。
 

なお、司と雅海はこの日から、ブラウスにリボン、そしてスカートという完全な女子生徒の服装で通学し始めた。2人に関して「福川司さんは今日から女子生徒になります。みなさん仲良くしてあげてくださいね」みたいなことは一切言われなかった。
 
既に修学旅行の時に、2人が完全な女子制服で参加し、部屋も女子の部屋に組み込まれていたことで充分であった。
 
生徒手帳に関しては、雅海は1学期終業式の時に「3年1組33番・性別女」の生徒手帳を受け取っていたが、司も2学期始業式の2日前、8月19日(金)に学校に出て行き「3年3組34番・性別女」の新しい生徒手帳を受け取って、これまでの「3年3組11番・性別男」の生徒手帳は返却した(実際はは穴を開けて無効化した上で戻された)。
 
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また2人はこれまでも女子トイレを使用していたが、更衣室は雅海は女子更衣室だが、司は保健室で着替えていた。しかし2学期からは女子更衣室で着替えることになった。修学旅行で女湯に入ったら、もう今更である。
 
それで保健室で着替えるのは公世と由紀になった。
 

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ちなみに佐藤学は別に女子制服は着ておらず、普通にワイシャツと学生スボンだった。ただ、竹田は男子トイレで彼と遭遇したが、彼は個室に消えた。まさかまだ女子制服の準備ができないので男子制服着てきたけど、実は女になったので小便器が使えず個室を使うんだったりして?女子制服は注文中だったりして??
 
また佐藤はこれまでずっと丸刈りだったのが、どうも髪を伸ばし始めたようだった。女として通学する布石で髪を伸ばし始めたんだったりして???
 
工藤公世は、この日凄く女っぽい気がした。やはり生理が来たから本人も女の子的な気分になっているのかもという気がした。来月の衣替えあたりからセーラー服に換えるのかな。
 

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潮尾由紀は1学期まではブラウスと女子用スラックスのみだったが、新学期からは他の女子と同じようにリボンを着けるようになった。
 
「あ、ゆきちゃんリボン着けたんだ」
「着けてみようかなと思った」
「可愛いよ」
「まだ恥ずかしー」
 
クラスメイトたちは彼女がスカートを穿くのも時間の問題だなと思った。
 
実際、由紀は↓の用事でお昼休みに出掛ける時は、冬服のセーラー服を着て、ボトムもスカートにした。
 
「あ、やはりスカート穿いたんだ」
「第一礼装でないといけないから」
「じゃ衣替えからはその格好で」
「そうするかも」
「頑張れ、頑張れ」
 

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この日のお昼、千里と公世は、市長さんか優勝・準優勝の3人を祝福してくださるということだったので、道着に着替えて竹刀、それに賞状・トロフィー・カップ・メダル・木刀を持って校長の車で市役所に行った。荷物が多いので荷物持ちに沙苗と由紀が付いていった。ふたりともセーラー服を着ていた。市役所のロビーでR中の校長と清香、荷物持ちの詩歌と合流する。それで一緒に市長室に行った。
 
この様子は昨年同様テレビ局の取材も行われた。市長の祝福を受けた上で、テレビカメラの前で千里と清香がひとことずつ今後の抱負などを語る。
 
3人が各々メダルを掛け、トロフィーとカップを机の上に置き、賞状を持ったところで記念撮影1枚、また千里と清香が木刀で各々中段に構えて向かい合い、公世はその間の後ろ、審判の位置に立っているところで記念撮影を1枚撮った。
 
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テレビ局が帰った後は、市長さん、両方の校長、千里と公世、清香と由紀。それに付添いの沙苗と詩歌まで含めて昼食を頂く。
 
「私たち付添いなのに」
と沙苗たちは言った。
 
表彰式の様子を収めたDVDを再生する。
 
「すごいね。留萌の女子3人が全国の頂点を極めたというのは素晴らしい」
と市長さんは言っていた。
 
市長との食事が終わって帰る時、R中の校長がS中の校長に「その表彰式のビデオ、あとでコピーさせてください」というとS中の校長は「これをどうぞ」と言ってDVDをそのまま渡していた。どうも既に何枚もコピーしている感じだ。
 
保護者全員に配られたりして!?
 
なおこのDVD-Rの中には、表彰式のみでなく、3人の対戦の様子も収められている。コリンとミッキーが手分けして撮影していたものである。
 
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この日学校では、公世はいつものように、トイレは男子トイレの個室を使用した。今日は体育は無かったものの、授業が終わったあと、いつものように保健室で“紺色”の道着に着替えて剣道部の練習があっている体育館に行く。由紀も一緒に保健室で着替えるがお互いの裸は見ないのがいつもの習慣である。
 
あらためて、岩永先生・鶴野先生から2人の成績が紹介され、みんなにお祝いしてもらった、ここでまた表彰式のビデオが流された。どうもDVD-Rは既に20-30枚は焼いてあるようだぞと公世は思う。
 
3年生はこれで部活は引退になるので次の部長を決める。女子では満場一致で如月が選ばれる。男子では由紀を押す声と吉原君を推す声があったが、
「潮尾さんは女子に移籍するかも」
ということから、吉原君が次の部長に決まった。
 
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竹田君は下校仕掛けの公世を捉まえて言った。
 
「工藤さん、僕の彼女になってくれたりはしないよね」
 
やはり告白ラッシュか!
 
「ごめん。ぼくは男の子との恋愛には興味無いから」
「あ、そうだよね。そんな気はしたけど、言わずにはいられなくて。これ忘れて」
「うん。ぼくも忘れる」
 
「これからも友だちのままでいい?」
「もちろん友だちだと思ってるよ」
「ありがとう」
 

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千里Rは部活が終わると「疲れたぁ。寝る」と言って消えちゃう!
 
それで道具はまたコリンが持ち帰る。
 
なお、賞状はカラーコピーを取ってコピーを学校に展示する。トロフィ・カップ・メダル・木刀は1ヶ月間学校の職員玄関に飾った上で本人に返却することになった。
 

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その日(8/22 mon) 公世が帰宅すると、母が言った。
「明日あんた学校休ませると連絡したから」
「なんで?」
「病院にいこう」
 
ギョッとする。まさか性転換手術が予約されていて、明日その手術を受けないといけないとか。
 
と思ってから「あれ?」と思う。今僕の身体女の子になってるから、性転換手術したら男の子になったりして??
 
公世が戸惑っていると母は言った。
 
「それで病院で、あんたの性別検査してもらうから」
 
性転換手術ではなくて、性別検査か!
 
え?でもやばくない?今の状態で検査されたら「生理も既に来ている完全な女」という結果が出て、ぼく法的な性別も女の子に変更されて、女子生徒になっちゃって制服もセーラー服着て通うことになっちゃう。スカート穿いて通学とか恥ずかしい!
 
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公世が疲れているのに寝付けないでいたら24時になったところで金色の服を着た千里ちゃんが現れる。これは小さい方の金色千里ちゃんのようだ。
 
「きみよちゃん、こんばんわ。ぼくは“男の娘の味方”魔女っ子千里ちゃんだよ。何かお困りかな」
 
「良かったぁ。多分千里ちゃんならできるよね。ぼく全国大会が終わった翌朝目が覚めたらまた女の子になってたんだよ。それで明日、ぼく性別検査受けさせられて、それで医学的に女の子ということになったら、法的な性別も女子に変更されて学校の登録も女子生徒になって、女子の生徒手帳をもらって、男子から大量にプロポーズされちゃう」
 
「凄くいいことじゃん。公世ちゃん、女の子になったら凄くもてるよ」
「僕は男の子のままでいたい。だから千里ちゃん、ぼくを男の子の身体に戻したりできない?」
 
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「うーん。折角可愛い女の子になれたのを男の娘に戻すというのはぼくのポリシーに反するけど、どうしても男の娘に戻りたいなら戻してあげるよ」
「お願い!」
 
「じゃ眠ってて。その間に性転換を掛ける。目が覚めた時は残念なことに男の娘だよ」
「ありがとう」
「ヴァギナは生理の時のために開口させておく?」
「閉じて!」
「穴が無いと不便なのに」
 
そんな声を聞きながら、公世は眠りに落ちて行った。
 

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翌朝(8/23 tue)、公世は不快な感覚で目が覚めた。
 
身体に触ってみる。おっぱい・・・あるじゃん!でもかなり小さくなってる。ちんちん・・・付いてる。たまたまもある。でも小さい。まあ小さいのはいいか。
 
公世はトランクスと男物シャツを着た。実はこういう男物下着はもはや自分の部屋の衣裳ケースには入っていない。しかし絶対必要な時があると思って三重に行った時に買っておいたのである。それが役に立った。ブラジャーも着けない。ブラ跡があるのは仕方ない。
 
それでその上に大きめのTシャツとジーンズのパンツを穿いて居間に出て行く。
 
「ズボンじゃなくてスカート穿いて」
と母は言うが
「ぼくは男の子だからスカートは穿かない」
と公世は言う、母もそれは妥協したようだ。それで母の車に乗って旭川に出る。実は母は旭川の裁判所に提出する性別修正の申立書も書いて準備していた。
 
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