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■女子中学生・進路は南(29)

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10月23-24日(土日).
 
P神社では秋祭りが行われる。
 
祭りに先立ちP大神はいつも千里(Y)の代理をしている星子に尋ねた。
 
「最近黄色の千里はめったに神社に来ないがどうなっておるのじゃ」
「あの子最近ほとんど休眠してるんですよ」
「やはりそうか」
「去年の夏付近からどんどん休眠時間が長くなってましたもんね。でも必要な時は、蓮菜ちゃんか宮司から電話してください。起きてきますから」
「ほほぉ、いいこと聞いた」
 

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それでP大神の指示により22日(金)の20時頃、蓮菜は千里Yの電話番号に掛けたのである(蓮菜はいつでもP大神と会話できるし、P大神から蓮菜に話しかけることができる)。この番号で着信する携帯は、千里Vと星子も持っているが、もちろん取らない。7回くらい鳴ったところで
 
「はい。千里です」
という眠たそうな声。
 
「千里、P神社の秋祭りだよ。出ておいで」
「はーい」
 
この時、千里Uが村山家に帰宅していたので、自宅から40mほどの所に千里Yが出現して電話を取った。そしてそのままP神社に向かう。社務所の入口のところで宮司と遭遇したので
 
「お早うございまーす」
と言った。宮司は反射的に「おはよう」と返事したものの、千里ちゃんは今日の16時頃からずっと神社でご奉仕していたので、なぜ唐突にそんな挨拶されるのか訳が分からなかった!(千里の平常運転)
 
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もちろん千里の振りをしていた星子は千里Yが神社の敷地に入ってくるのと同時に司令室に戻してもらった。
 

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10月22日23:50、神社の社務所の囲炉裏でずっと維持されている神聖な火が採られカンデラに移される。
 
この火の予備は、神社の社務所門柱の灯りとしてもずっと燃やされている。この門柱の灯りを維持するのは現在小町の仕事である(1月から小鳩にリレー予定)。燃料を補充する時、必ず左右に差を付ける。それで万が一にも両方同時に消える事態を防げる。
 
カンデラに採られた火は0時ジャストに神殿に置かれた3つの燈台に移される。
 
(再掲)

 
そして境内に設置された多数のLEDランプも点灯され最近では“灯りフェスティバル”とも呼ばれる秋祭りがスタートする。
 
神殿の灯りは3人の“不寝番(ねずのばん)”によって維持される。今年この役割を務めたのは下記3名である。
 
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杉本洸(浅美の夫)、望田啓(梨花の夫)、琴尾笹代(蓮菜の母)
 
責任が重いし、きつい役目なのでだいたい“身内”の人にお願いしている。杉本さんと望田さんには昨年もお願いした。蓮菜の母は、長いこと神社に娘がお世話になったが、来春は留萌を離れる予定なので、最後のご奉公にと名乗り出てくれた。この役割には必ず女性を混ぜることになっている。当然彼女がリーダーである。
「嘘!?私がリーダーなの?」
と焦っていたが。
 

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神事のほうは、宮司、孫の和弥、善美、浅美、を中心に進める。花絵はハネムーン中ということで免除である。「来年は妊娠してなかったらよろしく」と言われている。(巫女長の梨花は妊娠中でお休み)
 
朝9時、神職が、和弥の太鼓、千里Yの龍笛に合わせて祝詞を上げ、それから姫奉燈が神社を出発する。今年、この姫奉燈を先導する巫女は、守恵・千里・広海・純代の4人である。この4人はメンツが4年間変わらなかった。
 
千里が
「去年しなかったから2年ぶりだなあ」
などと言ったが、
 
「何言ってんの?あんた去年もしたじゃん」
と純代さんから言われて
「嘘!?」
と驚いていた。昨年この姫奉燈の先導役をしたのは千里Rで、今年出て来たのは千里Yである。
 
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「ちなみに千里は去年も2年ぶりだと言った」
「うーん」
と本人が悩んでいる。
 

「来年もこの4人で」
「処女を卒業してこのメンツを卒業するかも」
「その時はこの神社で盛大な結婚式を」
「処女をあげた人と結婚するとは限らないよー」
「妊娠しちゃえばきっと結婚してくれる」
 
守恵は2000年にも一度リーダー(扇を持って先頭を歩く)を務めているが今回2度目のリーダーとなった。
 
1994 文代L 梨花 花絵 小春
1995 花絵L 梨花 美輪子 小春
1996 美輪子L 花絵 梨花 小春
1997 梨花L 乃愛 美輪子 小春
1998 乃愛L 洋子 美輪子 小春
1999 洋子L 守恵 美輪子 小春
2000 守恵L 朱理 美輪子 小春
2001 朱理L 純代 守恵 美輪子
2002 純代L 守恵 広海 千里
2003 広海L 純代 守恵 千里
2004 千里L 広海 純代 守恵
2005 守恵L 千里 広海 純代
 
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姫奉燈(車輪付き)は、4人の巫女が先導し、赤い服を着た氏子さんたちの手で曳かれて、町内を巡回する。
 
先導巫女−宮司−姫奉燈を曳く氏子さんたち−姫奉燈−宮司補助者(和弥)−末尾巫女
 
という並びで歩き回る。末尾巫女は浅美と善美が務めた。
 
奉燈の巡行経路には多数のLEDランプが置かれている。昔はロウソクだったが、安全性と消えやすい問題で1994年に祭りが復活した時に蛍光灯に変更され、2002年からはLEDに変更された。LEDの方が昔のロウソクの雰囲気に近い、と昔の祭りを知っている人たちは言う。
 
この灯りが道に並ぶ様が美しいので、毎年テレビも取材に来るし、観光客も多数訪れる。しかしこの祭りは夏祭りのように威勢良く神輿を担いだりしない、静かなお祭りである。
 
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拝殿では夕方から4回、先導役4人の巫女による巫女舞が奉納される。これの太鼓は妊娠を押して出て来た巫女長の梨花、龍笛は恵香が吹いた。
 

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翌日(10/23) も、朝9時に神職が、和弥の太鼓と千里Yの龍笛に合わせて祝詞を上げ、それから姫奉燈が神社を出発、町を一周した。
 
夕方からまた4回、巫女舞が奉納される。
 
21:00に最後の巫女舞が奉納された後は、神殿の燈台にはこれ以上燃料を追加しない。
 
宮司、和弥、善美、浅美の4人だけが、拝殿で静かに火を見守る。
 
やがて3つ目の燈台の火が消える。最後に消えるのは必ず奥の側の神座に近い燈台の火である。この火が消えた所で、小町(30歳くらいの姿に見える)を呼んで笛を吹かせ、和弥が太鼓を叩いて、宮司が締めの祝詞を奏上する。
 
ここで小町を使うのは、小町が現在の“P大神のお使いのお狐様”だからである。この役割は来年は“小鳩”にリレーされることになる。
 
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これで2日間にわたったお祭りは終了し、境内のLEDランプも落とされる。
 
町中のランタンは、明日、氏子さんが軽トラを運転して回収しに回ってくれる。
 

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P神社で秋祭りが行われている時期、Q神社の方は普通の営業状態で、映子や千里Uなどが普通にご奉仕していた。映子は千里の腕時計のベルトがまた違っているのに気付いた。
 
なんか星条旗の★の部分を塗り潰したような模様なのである。
 

 
なんか不思議なマークだなあと思って見ていた。
 

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千里Yは大神様に呼び出された。
 
大神様に言われて蓮菜が電話を掛け、出現した所をGが転送したのである。
 
Yはまだぼーっとしている。
 
「あれ?大神様。お早うございます」
「秋祭りが終わったから、私は今年も伊勢に神様会議で行ってくる。今年も留守番を頼む」
「分かりました」
 
それでP大神様は飛んで行ってしまった。
 
「私、何日まで留守番すればいいんだっけ?」
と思いながら、神座の横に座る。千里はこの役目を2000年来もう6年やっている。
 
「千里さんお疲れ様。今年もよろしくお願いします。御飯持って来ました」
と言って食卓をカノ子が運んで来る。
 
「ありがとう」
「でも寂しくなるわあ。千里さん、来年から兵庫県に行っちゃうんでしょ」
「兵庫?私兵庫に行くんだっけ?」
「だってこないだ願書出して合格の通知も来てたじゃありませんか」
 
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あれ〜?私兵庫県に行って何するんだろう・・・と“この”千里は悩む。
 
千里はカノ子が出してくれた御飯を食べたものの、まだ頭がぼーっとしている。
 
「暇だからドリルでもしてようかな」
などと言っているので、Gが中学1年生の数学と社会の問題集を転送してあげた。
 
「数学はいいけど、社会は苦手だなあ」
 
普段の年なら千里は昼間は学校に行くのでその間お留守番は小町がするのだが、今年は後述の日程があるので千里Vが昼間のお留守番を代わってYは寝せておいた。夕方Vがコリンに“電話を掛け”させて起こしていた。
 

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10月24日(月).
 
中古車屋さんから連絡があったので、きーちゃんは行ってエスティマを受け取ってきた。この車はベンツとともに橘丘新町のきーちゃんの“秘密の家”に駐めておくことにする。
 

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P大神は29日の朝、いったんお戻りになった。この日は結婚式があるのでそれに臨席するためである。
 
「おお、今年も頑張ってるね。感心感心」
と言っておられた。
「しかし今年はお前ひとりでしてるのか」
「なんか他の千里が学校行ってるみたいだから、学校は任せて私はここに居ます」
「ああ、自分が何人かいると便利だな」
 
「すみません。大神様がいる間は寝てます」
と言って千里Yは消えた。
「まあ疲れたろうし、いっか」
 

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10月29日(土・大安・たつ).
 
この日は十二直でも結婚吉日で、しかも大安なので、日中P神社では2件の結婚式が行われた。いづれも千里Rが笛を吹いた。
 
P大神はこのために、いったん戻って来たのである。Yが寝ているので大神は蓮菜に言ってRを呼び出し、笛を吹かせた。
 
またRの笛に多数の龍が寄ってきて祝砲を落としてくれた。そして式の後は九重たちに捉まり、熊肉パーティーに参加した。結果的に留萌郡近辺の龍が随分九重や羅笛兄弟たちと仲よくなった。
 
大神は結婚式が終わると
「また行ってくる」
と言って、伊勢にお出かけになった。
 
また千里Yが呼び出されて、お留守番を務めた。
 

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10月29日(土・大安・丙戌).
 
この日は義浜ハイジにとって妊娠5ヶ月目の戌の日で、安産を願ってこの日から犬帯を着けた。
 
この犬帯をプレゼントし、お祝いにローカロリー!ケーキを買ってきたのは貴子2(ルミナ)である。
 
「ローカロリーケーキって美味しくない」
「甘い物はカロリーあるから妊婦にはよくない」
「妊婦って凄い制限がありますね」
「まあ妊娠というのは男性も一度は経験しておくべきものだね」
 

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10月30日(日).
 
旭川N高校に、千里と両親が行き、千里がN高校の特待生含みで、推薦入試で受験するという件について話し合いが持たれた。
 
千里の父は授業料が無しで済むならありがたい。たまたま失業して、この子の高校の学費が出してやれないと思っていたと言い、この話に同意する旨を表明した。
 
この場では千里が「女子枠」で入るということは説明されていない。その話を出すと父が怒るのは確実なので、バッくれておこうというので、宇田先生と千里の間で話が付いている。
 
「でもこいつ、こんな髪でいいんですかね?」
と父が言った。
 
「だいたい、中学でもこんな長い髪は違反のはずなのに」
「それは特例で許可されていたんだよねー」
 
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「N高校の男子の頭髪規則はどうなってましたっけ?」
と父が訊く。
 
「ええっと。一応、横は耳に付かない程度、後ろは襟に付かない程度ですね。でも運動部に入っている子には五分刈りとかもいます」
とN高の教頭先生が言う。
 
「だったら、こいつ今すぐバリカンで切っちゃいましょうか」
 
「お父さん、心配しなくても、私、ちゃんと入学までに髪は切るよ」
と千里は言った。
 
母が戸惑うように千里を見詰めていたが、千里U(実質Bw)は自分にはN高校に行く以外の道が無いから、それさえ確保できるのであれば後はどんなことでも我慢しようと心に決めていた。
 

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千里Gと千里Vは話し合った。
 
「髪を切ると言ってますけど」
「困ったなあ。私たちが代理できないじゃん」
「仕方無い。何かの時は源次を代理に」
「当然女の子になっておく前提だよね」
「もちろん」
 
やはり源次は性転換させられるようである。
 

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