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■女子中学生・進路は南(18)

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一方千里Rは休みなので、昼間は勾陳相手にずっと稽古をしていた。
清香は学校があるので、朝登校していき、夕方16時半頃に戻って来た。
 
それでセーラー服から道着に着替えて、千里と稽古を始めようとした時、きーちゃんがやってきた。
 
「千里、金環食見に行くぞ」
「金環食があるんですか?」
「どこで見る?スーダンの砂漠地帯でもいいし、インド洋の海の上でもいいし、エスパーニャ(スペイン)のマドリース(*12)でもいいし」
 
「エスパーニャがいいです」
 
「金環食って、いつあるの?」
と清香が訊く。
 
「今日の18時」
と貴子は答える。
 
「それなのに今からマドリッドに行くの〜?」
「すぐ行けるよ。清香ちゃんも見る?」
「うん」
「じゃ目立たないように普段着に着替えて」
「道着着てたら目立つよね!」
「日本の女侍とエスパーニャの闘牛との試合させられたりして」
 
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(*12) 現地では「マドリース」と発音するので、貴子はその発音をした。日本では一般に「マドリード」と書かれることが多いか何語か不明である。普通のスペイン語の読み方なら「マドリー」。清香は「マドリッド」と言っていたがそれは英語読み。
 
この国の国名は正式には定められていない!が、同国の人はエスパーニャと呼ぶ。スペインは英語。
 

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ということで、マドリースの一軒の家に3人は移動する。ここは実はきーちゃんのお友達 Elissa Vernier の自宅のひとつである。エスパーニャ(スペイン)は現在まだ夏時間なので(10月最終日曜で終わる)日本との時差は7時間である。日本の17時がエスパーニャでは午前10時になる。
 
「あ、太陽が欠けてる」
と清香が言う。太陽の上の方がちょっと欠けているのである。
 
「既に部分食は始まってるね。これ使って」
と言って、きーちゃんは千里と清香に日食観察用のグラスを渡した。
 
「これで見ないと目を潰すからね」
 

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なんかアイスランドだかアイルランドだかで金環食見て以来だなあと思って千里は見ていた。千里たちは家のバルコニー(むしろルーフバルコニー:早い話がただの屋根!)で、おやつを摘まみながら見ている。おやつはスペインのクッキーだが、なかなか美味しい。エリッサがエスパーニャ・ワインを出そうとしたが
 
「中学生にワイン飲ませる訳にはいかない」
と言って紅茶にしてもらった。
 
「こっちでは小学生でもワイン飲んでるのに」
などとエリッサは言っていた。
 
現地時間10:56:11(日本時間17:56:11)、金環食が始まる。
 
「きれいだね!」
と清香が声を挙げる。
「これ初めて見た?」
「うん。初めて」
 
「私は金環食2度目だけど、何か宇宙の神秘を感じるよね」
「神秘かも知れない。これは素晴らしいよ」
と清香は純粋に感動しているようである。
 
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現地時間11:00:20(日本時間18:00:20)金環食は終了する。
 
4分9秒の天体ショーだった。
 
「ああ、終わっちゃった」
「アイスランドだかアイルランドで見たのより長かった気がする」
「アイスランドね。あれは確か3分30秒くらいだった」
 
「まあ後はランチでも食べながら部分食を楽しもう」
とエリッサが言い、どーんと10人分くらいのバエリヤが出てくる。
 
「子供たちよく食べるからと言われたからたくさん作った」
「これなら思いっきり食べられそう」
と清香は言い、本場のパエリアをもりもり美味しそうに食べていた。
 
12時(日本時間19時)頃には太陽の欠けは随分小さくなったが
 
「素晴らしい天体ショーだった。そして素晴らしい料理だった」
と言って、千里たちはエリッサによくお礼を言って日本に引き揚げた。
 
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「なんかあんな素晴らしいもの見たら、うちの父ちゃんの問題もパーっと解決するかもという気がしてくる」
「うん。きっと今週中くらいには解決するよ」
「千里がそう言うならきっと解決する」
と清香も言った。
 

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10月3日(月). 日食を見た日の夜21時すぎ、清香の父から清香に電話が掛かって来た。
 
「おい姫路に行くぞ」
「え〜!?」
 
詳しい話をどこかでというので、結局両親に早川ラボに来てもらった。千里は席を外しておくと言ったのだが、
 
「ぜひ村山さんもご一緒に」
と言われるので同席した。サハリンにお茶を出してもらい軽食も提供する、
 
最初にお父さんはここ1ヶ月ほど清香が千里の家(?)にお世話になっていて申し訳無いと感謝した。
「それは全然問題無いですよ」
 
清香のお父さんの話はこうだった。
 
清香の両親は札幌で知り合って結婚した。清香の母“雅”の父藤井信雄(1925)は元々は兵庫県明石市の出身だが、転勤族で、全国を飛び回り、あちこちで子供を作った。長男の海(1951)は福岡、次男の真(1956)は東京、長女の光(1960)と次女の雅(1962)は札幌で生まれた。(各々の母が違う!)
 
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清香の祖父にあたる藤井信雄の兄・忠雄(1923)は、姫路の造り酒屋の娘と結婚してそこの杜氏も務めた(このあたりで話が見えてくる)。
 

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忠雄には息子(1959)がひとりいたので、忠雄としてはその人に自分の後を継いでほしかったし、彼も杜氏の勉強をしていた。ところが5年前に息子さんは急死した(42歳の厄年)。彼の子供(忠雄の孫)は当時まだ幼稚園。忠雄自身の他の子供は全員女で全員が普通の勤め人さんと結婚している(実は女ばかり生まれて最後に生まれた待望の男の子だった)。
 
忠雄は自分の直系に継がせるのは諦めて、社員の中で酒造りにもっとも優秀な吉井さんという人に後を頼むと言っていた。ところがその吉井さんが今年の春に亡くなり、後継者問題は宙ぶらりんになってしまった。
 
「それで父ちゃんに杜氏をしてくれというの?」
 
父は酒を飲むのは好きだが、酒造りなんて全く未経験のものをできるとは思えなかった。
 
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「いや、杜氏は他の幾つかの酒蔵を渡り歩きながら30年ほど杜氏の助手をしていた人を雇って今年の酒を造っているところらしい。ただ彼は自分は酒造りにしか興味無いから、蔵元にはなれんと言ってるらしい。忠雄さんは息子さんが亡くなるまでは蔵元杜氏(*13)だったんだけどね」
 
「その蔵元になってくれという話か!」
「そうなんだよ。こちらが廃船になったと聞いて、借金を2000万肩代わりしてあげるから、うちの酒蔵の経営を継いでくれないかと頼まれた。2000万貸してもらえたら、それで漁船員たちに退職金と労働法規で定められた1ヶ月分の給与を払うことができるし、銀行からの借金もかなり返せる。船と家と土地は競売になるだろうけどな」
 
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ここまで忠雄さんが熱を入れるのは、雅の母(清香の祖母)にあたる八重子さんが忠雄さんの奧さん・昭子さんと従姉妹同士であり、元々仲が良かったこともある。
 
つまり忠雄・信雄の兄弟が、昭子・八重子の従姉妹と結婚したのである。(上記家系図参照)
 
だから清香の母・雅は酒造りの家の血筋を継いでいる。
 
「でも経営できるの?」
「頑張る」
と清香の父は言った。
 

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(*13) 元々、酒造りの専門家である杜氏(とうじ)というのは技能集団であり、あちこちの酒蔵を渡り歩いて、酒造りの期間だけ蔵と契約を結び酒造りに従事する「特殊技能を持つ季節労働者」であった。
 
しかし近年は1年間通して酒蔵に雇われている“社員杜氏”が増えた。
 
また酒蔵の経営者を蔵元(くらもと)というが、近年は蔵元が自ら杜氏を兼ねる蔵元杜氏も見られるようになった。
 

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10月4日(火).
 
S中では身体測定が行われた。
 
セナ・沙苗・雅海・司は、普通に女子と一緒に身体測定を受けた。
 
公世は普通に!個別測定された。
 
由紀だが、彼女は9月中旬からセーラー服(ボトムはスカート)で通学している。
 
「ゆきちゃん、もう普通の女子だもん。身体測定も私たちと一緒に受けようよ」
と保健委員から言われた。
 
(本音:由紀の下着姿を見たい!)
 
「それでもいいかな」
と由紀も同意?したので、とうとう同じクラスの女子たちと一緒に測定された。それでブラジャーとパンティの女子下着姿も披露した。むろん彼女の下着姿は普通の女子下着姿にしか見えない。
 
「由紀ちゃん、水着姿でも思ったけどかなりおっぱい大きいね」
と言ってみんな触る!
 
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「恥ずかしー」
「更衣室も保健室着替えじゃなくて女子更衣室においでよ」
「だってわたし男子なのに女の子と一緒に着替えられないよー」
「君は女子にしか見えないのだが」
 

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「剣道部も女子剣道部に移動する?」
と同じクラスの清水好花から言われる。
 
「どうしよう?」
と彼女は悩むように言った。
 
そして
 
「千里先輩たちが離脱して強い相手がいないからこっち来てよ」
 
と言われて、結局男子剣道部に籍を置いたまま、女子たちと練習するようになってしまった。
 
「なんか男子の方で試合してた時より強くない?」
「だって男の子たち私に手加減するから、こちらも本気でいけないよー。女子相手ならみんな本気で掛かってくるからこちらも本気」
 
「だったらやはり君はこちらに居なさい」
 
そして由紀が女子の方で練習しているのを見てみんな
「とうとう女子剣道部に移籍したか」
と言っていた。
 
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