広告:メイプル戦記 (第2巻) (白泉社文庫)
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■女子中学生・進路は南(19)

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10月5日(水).
 
下記7名が、姫路に飛んだ。
 
木里蔵人・雅(清香の両親)、清香、明音(妹)
R中の安藤先生
千里・S中の鶴野先生
 
「なぜ私も行くの?」
と千里はよく分からないまま尋ねたのだが、こういうことだった。
 
清香の両親が姫路に移動した場合、清香と妹も一緒に付いて行くことになるだろう。すると姉妹は現地の小学校・中学校に通うことになる。小学校はまだいい。しかし中学3年生の場合、目の前に高校受験を控えている。
 
その場合、入試直前の県外からの転入というのでは公立は難しい。特に清香は成績が悪いので、そもそも公立高校に入るのは難しい。その時、安藤先生が気付いたのである。
 
姫路なら、姫路H高校からも千里と清香(と公世)に勧誘のお手紙が来ていた。H高校は兵庫県内の女子剣道で1〜2位を争っている高校である。それで安藤先生は担当者というH高校の鐘丘さんという人に連絡を取ったのである。
 
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・まだ確定ではないのだが、木里清香が一家で姫路市に引っ越す可能性がある。もし引っ越した場合、そちらの高校に入れてもらえる可能性はあるか?
 
・ただし清香は学校の成績はとても悪い。
 
鐘丘さんというのはH高校の教諭で女子剣道部の顧問の41歳。剣道六段で過去にインターハイ優勝の経験もある人という。鐘丘さんは
「来てくれるなら大歓迎。ぜひ村山さんと工藤さんも」
と言った。
 

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「よし。千里、一緒に姫路に行くぞ」
「なんで私まで・・・」
「だって高校では一緒のチームでやろうて約束したじゃん、結婚してもいいけど」
「やはり清香、レスビアンなの?」
「ちんちん切っちゃったからレスビアンするしかない」
「そのジョーク人前では言わないほうがいいよ」
 
公世にも声を掛けてみたのだが
「女子高生になるとか嫌だぁ」
と泣いていた!ので(H高校は別に女子高ではない)、取り敢えず清香と千里だけで会いに行くことにしたのである。それで安藤先生と鶴野先生が付き添うことになった。
 
鶴野先生は千里の母に電話し
「姫路に千里さんに興味を持っている高校があって、一度会ってみたいという話なので連れて行っていいですか」
と尋ねた。
 
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母は唐突に姫路なんて名前が出て来たことで戸惑ったものの、鶴野先生が付いているのなら大丈夫だろうと思い、承諾した。
 
ちなみに“千里”はその日も普通に帰宅し、翌朝も全然普段と同様に「行ってきまーす」と言って出かけたので
 
「千里の行動はさっぱり分からない!」
と津気子は思った。
 

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さて、清香と千里たちはこのルートで姫路に向かった。
 
留萌駅前6:30(高速るもい号)9:09札幌9:25(エアポート92号)10:01新千歳空港11:45(ANA774)13:35伊丹空港14:35(空港連絡バス)15:50姫路駅前
 
駅前からはバスで20分ほどでH高校に到達する。H高校まで行ったのは今回、千里・清香と鶴野先生・安藤先生だけである。お父さんを連れて行くとそのまま“話が決まってしまう”可能性があるので生徒だけにした。
 
お父さんたちは酒蔵のほうに行ったようである。
 

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「だけど姫路にも酒蔵があったんだね。姫路といえば鉄の町で、兵庫県のお酒といったら“灘の生(なだのき)一本”の神戸かと思ってた」
 
「確かに灘は有名だけど姫路にも10以上の酒蔵があるらしいよ」
「へー」
 
「それと父ちゃんから聞いたけど実は“灘”は神戸市と西宮市に跨がってるらしい」(*14)
「へー!」
 
(*14) 下記の地域を“灘五郷”と呼ぶ。
 
西宮市今津郷・西宮郷
神戸市東灘区魚崎郷・御影郷
神戸市灘区西郷
 
この地域で、単一の酒造所のみで作られた純米酒だけが、“灘の生一本(なだのき・いっぽん)”を名乗ることができる。
 

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鐘丘先生はすぐ出て来てくれてまずは4人を剣道場に案内してくれた。
 
校舎の近くに小ぶりの体育館(30m×20m)があり、そこの1階が剣道場、2階が柔道場になっていた。隣接して弓道場も設置されている。
 
「凄いですね。練習場が6つもある」
「実は一辺が8mしか無いんですけどね」
「愛嬌ですね」
「大会前とかは正式の10mサイズの試合場を2つ設定して本来の広さに慣れます」
「まあ飛び出さなきゃいいんですけどね」
 
現在の女子部員数は3学年あわせて15人らしい。
「よく4人ずつ4チーム編成してリーグ戦とかやるんですけどね」
「いいですね」
「多すぎず少なすぎずだなあ」
と清香が言った。千里も同感だった。50人とかもいたら多すぎてまともに練習できない。5人とかだったらチーム編成に制約が出る。
 
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「あ、木里さんと村山さんだ」
と声を掛けてきた部員がいる。
 

「もしかして、島根さんのお姉さん?」
と千里は尋ねた。
 
「そうです。妹が『全然勝てる気がしなかった。やはり負けた』と言ってました」
「いや、妹さん、凄い実戦能力の高い人だと思いました」
「いや村山さんのほうが1枚上でした」
 
島根さんは攻めたくなるような隙を見せてそこに千里を誘い込もうとした。それで千里は敢えて反対側から攻撃して1本取ったのである。
 
「もしかしてうちに来てくれるんですか?」
「木里がもしかしたら姫路に引っ越すかも知れないので、その時はお世話になるかもです。私は今回は付き添いです」
と千里は言った。
 
「それはぜひ村山さんも来て下さい。工藤さんも。彼女、今回は男子に出てましたけど、実際は女子ですよね?うちの妹も入れば最強のチームが作れる」
 
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やはり公世は完全な女子になってもらうべきかな?と千里は思った。
 

応接室に移動する。教頭先生も交えてお話をする。
 
千里は先日の模試の成績票を見せた。
 
「この成績なら、成績で特待生にしてもいいですよ」
 
『模試を受けてくれた誰かさんありがとう』
とRは心の中で思った。
 
「木里は電話でも話しましたように勉強のほうは全然ダメで」
「剣道が強ければ成績は不問ということで」
 
それで実際問題として2人とも入ってくれるなら授業料の7割を免除にするので、公立高校よりかえって安くつくはずという話であった。
 
「父ちゃんもこちらで仕事が決まればそのくらいは出してくれそう」
と清香は言った。
 
「実はこの子のお父さんは経営していた会社が倒産したばかりで。でも何とかこちらの市内で新しい仕事が決まりそうなんですよ」
 
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「そういうご事情でしたか。もし保護者の収入が低い場合は更に安く出来る場合もありますよ」
と教頭先生は言っていた(最終的に全免になる)。
 
千里のほうは、はなから親に頼る気は無いので
「公立高校の授業料程度なら楽勝だな」
と思っていた。
 
その後も、千里と清香は、鐘丘先生・教頭先生と1時間ほど話したが、話し合いはお互い気持ち良いものであった。
 

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この展開に千里GとVは困惑した(10/5)。
 
「どうする?」
「このまま話が決まってしまいそうだよ」
「そしたらどうするの?」
「この司令部も姫路に引っ越すしかないのでは?」
 
「私もびっくりした」
と言って、なんとA大神のエイリアスが示現するのでGとVは仰天する。
 
「全く千里という奴は、神様の想像の斜め上を行く奴だ」
とA大神は言っている。
「ほんと千里って行動の予測が付きませんよね」
とGも呆れて言う。
 
「千里Tの方は多分旭川に行くぞ。バスケットボールの強い学校に進学すると思う」
「Sは?」
「あの子は高校に行きたがらないかも」
「そしたらどこかに就職ですか?」
「私にも分からんが、札幌で性別が曖昧でも務まる仕事に就くかもしれん」
「あり得るなあ」
「オカマバーに勤めたりして」
「いや、あの子がオカマバーに行ったら『うちは女の子は採らないから』と言われる」
「ああ、言われそう」
 
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「そうなるとどうなるんですか?」
「結局、深川あたりと姫路に司令室を作るしかないと思う」
「誰がコントロールするんですか〜?」
「もちろん君たちだよ」
「うーん・・・」
 
「深川司令室をヴィクトリア、姫路司令室をグレースが見るしかないと思う」
とA大神は言った。
 
「え〜〜!?私が深川なんですか?そちらが大変そうなのに」
とVは不安そうに言う。
 
だって千里TとSを見るのは大変そう。特に千里Sは手間がかかりそうだし。
 
「だって、ヴィクトリアは留萌の善美をリモート制御する必要がある」
 
「あっそうか」
 

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「助手はどうしましょう?」
「星子を深川でVの助手、コリンを姫路でGの助手に使って、ミッキーを連絡役に使いなさい」
 
「ああ、その担当がしっくりくる気がします」
「コリンはRとのつながりが強いからね」
「ええ。あの子Rに恩義を感じているから、Rのためなら身を犠牲にしてもいいくらいに思ってますよ」
 
「あと、小糸と小町を使いっ走りに使うとよい」
「なるほど。でも2人をこちらで取っちゃったら、P大神のお使いは?」
「源子ちゃんがいるじゃない」
「ああ」
 
「ということは小町が深川で、小糸が姫路だな」
「小町の子供が3歳くらいになったら交替させればいい」
「ということは源次ちゃんは女の子になること確定だな」
「じゃ小町が妊娠したら、源ちゃんは去勢ではなく性転換ということで」
 
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ということで本人の知らない所で勝手に性転換させる計画が進んでいた。源次は自分が去勢される予定であることもまだ知らない!
 

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さて公世なのだが、10月4日(火)の昼休みに千里から
「きみちゃん、姫路に行かない?」
と誘われた。
 
「なぜに突然姫路とか」
と公世。
「姫路って何県だっけ?岡山県?」
などと雅海が訊いている。
「兵庫県だよ!」
と沙苗が修正する。
 
「清香がさあ、一家で姫路に引っ越すことになったんだよ」
と千里。
「ああ、木里さんのお父さんの船が廃船になったと言ってたね」
と沙苗。
「それで姫路に行くのなら、姫路のH高校からお誘いが来てたのをR中の安藤先生が覚えててさ。向こうと電話で連絡したら、ぜひ来て下さいと大歓迎なんだよ」
 
「へー」
 

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「清香と私は同じ高校に行こうよと約束してたから、私にも姫路に来いよと誘われてさ」
「ああ、千里ちゃんと木里さんが同じ学校になったら最強チームになるだろうね」
「全国1位を分け合ったふたりだからなあ」
 
「そういうわけで、清香はほぼ確定。私は明日とにかく話を聞きに行ってくる。きみちゃんも来ない?私、清香、きみちゃんが入れば間違い無く最強チームができる」
 
(↑千里がこの最後のひとことを言ってなければ公世は翌日一緒に行った可能性がある)
 
公世は想像した。自分が中堅(←なぜ大将になることを想像しない?)、千里ちゃんが副将、木里さんが大将のチームを想像する。もし先鋒・次鋒が敗れても自分たち3人でかなり勝ち上がれる気がする。同じチームというのは悪くない。
 
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でも同じチームに入るには・・・・・
 
ぼくと千里ちゃんと木里さんが同じ学校の制服を着ているところを想像する。ぼくはスカートを穿いている。スカート穿いた自分が笑顔で微笑んでいる。
 
「ぼく女子高生になるとか嫌だぁ」
と公世が泣いていたので、この日はこれ以上勧誘しなかったのである。
 

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その日の晩、公世は夢を見ていた。
 
自分は高校生で、寮に入っているようだった。館内放送でお風呂が利用できますという案内があった。勉強を中断し、着替えを持ってお風呂に行く。脱衣所で服を脱いで浴室に入り、髪を洗い身体を洗って浴槽に入る。
 
絵?(「え?」より強い驚き)
 
同じ浴槽に、千里ちゃん、木里さん、沙苗ちゃん、が並んでいる。
 
「ここ女湯だっけ?」
「ここは女子寮なんだから男湯があるわけない」
「ぼく・・・女子寮に入ってるの?」
「きみちゃんは女の子だから女子寮に入れる」
「でもぼくちんちんあるよ」
「それはちんちんではなくクリトリスだよ」
「え〜〜!?」
 
「ちんちんは体内でも1本で恥骨結合のそばでやっと左右に分かれる。でもきみちゃんのは1本になってるのは身体の表面に出ている部分だけ。体内ではすぐ左右に分かれて、各々の海綿体が恥骨につながってる。これはクリトリスの構造なんだよ」
 
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なんかそんなことを病院の先生に言われた気がする。
 

「クリトリスが付いてるし、きみちゃんには卵巣・卵管・子宮・膣があって、生理も来ているし、バストもAカップサイズあるから、間違い無くきみちゃんは女の子。それに私たちのおっぱい見ても特に何も感じないてしょ?」
 
「たしかにぼく女の子の裸を見ても特に何も感じないけど。でもぼくおっぱい小さいし」
「おっぱいのサイズならマナちゃんのほうがもっと小さい」
 
と言われてそちらを見ると、そこに居るのは佐藤君!?
 
髪はまだ男の子みたいに短く、肩が張っていて、胸はほとんど無い。
 
というか男にしか見えないんですけど!?
 
「ぼくまだ女の子たちと一緒にお風呂入るの恥ずかしー。でもちんちん無くなっちゃったから、女湯に入らないといけないんだ」
などと佐藤君は言っている。
 
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「ちんちん無くなったの?」
 
「朝起きたらちんちん無くなってたから、お母さんからちんちん無いのなら女の子になりなさいと言われて高校には女子として入学した。でもまだスカート穿くのも恥ずかしー」
 
などと佐藤君は言っている。彼が女の子になりたかったというのは聞いたことあるけど、実際には彼は女子制服着てても女子トイレに入ったら悲鳴をあげられる気がする。全然女に見えない。
 

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「千里ちゃんは3歳の時に神様が『間違ってちんちん付けてた。ごめんねー』と言ってちんちん取ってもらって女の子になった。清香ちゃんは小学校に入る時に『ちんちんなんて幼稚園で卒業。小学校入る時にそんなの取ってお姉さんにならなくちゃ』と言われてお母さんにハサミでちんちん切ってもらって女の子になった」
 
「沙苗ちゃんは『私女子中学生になりたい』と言って中学入学前に病院で手術受けてちんちん切ってもらって女の子になった。学ちゃんは『ぼく女の子になりたい』と御両親に言ったら『娘が欲しかったんだよ』と言われて、お父さんが日本刀でちんちん切ってくれて女の子になった」
 
え?そうなの?みんな男の子だったのをちんちん取って女の子になったの??
 
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「きみちゃんもそのちんちんみたいに見えるクリトリス、お医者さんに短く切ってもらって、生理の出てくる穴も開けて、完全な女の子になろう」
 
え〜〜!?やはりぼく女の子にならないといけないの1?
 

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女子中学生・進路は南(19)

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