広告:トランス・ヴィーナス-1-リュウコミックス-たまき-ひさお
[携帯Top] [文字サイズ]

■女子中学生・進路は南(23)

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 
前頁次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

その金曜日の17時頃。
 
Q神社には千里U、P神社には千里Y代理の星子が出ていて、どちらも忙しくしていた。
 
星子が昇殿しようとしていた時“Yの携帯”に着信がある。発信者を見ると札幌で新婚生活中の花絵である。
 
星子は電話を取るのを少し待った。同じ携帯のクローン携帯を持つ千里V(司令室に居る)も少し待った。
 
携帯がオフフックされる。
 
「はい」
と言って“千里Y”が取った。
 
「あ、千里ちゃん、忙しいとこごめんね。宮司よりはまだマシかなと思った千里ちゃんに掛けた」
「いやいいですよ。なんですか?」
「P神社の縁起ものの“藁造りの三尾の狐”をよかったら1個うちに送ってくれない?旦那のお母さんが『これ可愛いー。ほしーい』と言ってるもんで」
 
↓ ↑ Bottom Top

「分かりました。じゃ在庫を確認してあったらそちらに送りますね。在庫切れでもまた正月に向けて造ると思うのでその時送ります」
「ごめんねー。よろしくー」
 

↓ ↑ Bottom Top

それで千里Yは電話を切った。
 
そして呟くように言った。
「なんで私こんな所にいるんだろう。神社は七五三前で忙しいはずなのに」
 
突然Vに直信する。
「ね?私をP神社に転送してくんない?」
 
VはGに断って千里Yを“Q神社から40m離れた場所”からP神社の星子のそばに転送した!星子は千里Yに太鼓のバチを渡し「昇殿して太鼓打って」と言う。次の瞬間、Gが星子を司令室に転送で戻した。
 
そばに居た恵香は突然千里が2人になった気がしたものの、すぐひとりに戻ったので気にしないことにした!この手の事象も千里の周囲では日常茶飯事である。恵香は「昇殿するよ」と千里に言って一緒に拝殿に昇り、祈祷の補助をした。
 
千里Yは拝殿を降りてから“藁造りの三尾の狐”の在庫を確認し、1575円を授与所に座っている玲羅に払い、菊子さんの所に行って
 
↓ ↑ Bottom Top

「これ頼まれたので花絵さんに送ってあげてください」
と言った。1575円は菊子さんが千里に払ってくれた。(*20)
 
千里Yはこの日遅くまでP神社でご奉仕した。そして
「疲れたぁ」
と言って消えちゃった!
 
(*20) 菊子さんは宮司の正式な妻ではないので、古手の氏子さんの感情に配慮して原則として神社の“表”には出ない。巫女さんが出払っている平日の昼間くらいである。また服装は巫女ではなく事務員を表す、松葉色の袴で、千早も着けない。
 
かえって菊子さんのお友達(サルビア・クラブというらしい)の近所のおばちゃん(敢えて“あ”の文字を外す)が普段着で授与所の留守番をしていることもある!
 

↓ ↑ Bottom Top

千里Gと千里Vは、千里Yが出現している間、Q神社に居る千里の所は青のランプ2つと黄色のランプひとつだけ(青青黄)になっていることを認識した。そしてP神社でYが消えた時、もう村山家に帰宅していた千里Uの所はランプが青青黄黄のランプ4つに戻ったことも確認した。
 
「P神社に行ったのが千里Y1で、Q神社に残ったのがBw+Bs+Y2だろうね」
「Y1はやはりパワーが大きいみたいね」
「そして“調整者”の存在にも気付いていた」
 
「Yが2人に分裂したのはパワーが大きくなりすぎてひとつの身体では耐えきれなくなったからかも」
「それもあるかもねー」
 
「電話で目覚めるのは変わらないな」
「Y2の電話は星子ちゃんが持ってるからね」
「返しましょうか?」
「いや。光辞の朗読でほんとに疲れてるだろうからまだ何ヶ月か寝せておこう」
「その内起こす?」
「多分起こすべきタイミングが来ると思う」
とGは言った。
 
↓ ↑ Bottom Top


10月15日(土).
 
Q神社でも七五三の客が多く、中高生のバイト巫女さんたちも忙しくしていた。
 
午後4時頃、人の波がちょっと途切れた時、千里U(この時点で青青黄のランプ3個になっている)が悩むような顔をして庭掃除をしていたら、細川保志絵にポンと肩を叩かれる。
 
「何か悩み事?」
と訊かれ、実は・・・といって状況を説明する。
 
「それは困ったことになってるね」
と保志絵は言いながらも、やや困惑している。千里ちゃんはわりと経済的余力があると思ったのに。
 
「易を立ててごらんよ」
「はい」
 
それで立てて見ると水山蹇(すいざん・けん)の上爻変である。
 
「また凄いもん引くね」
と細川さんも呆れている。蹇は“行き止まり”ということで、易では四大難卦のひとつである。
 
↓ ↑ Bottom Top

水雷屯(ちゅん)出鼻をくじかれる
沢水困(こん)困難
水山蹇(けん)行き止まり
坎為水(すい)四方八方水ばかりで立つ瀬が無い。
 
蹇の場合は目の前に大きな崖とかがあり、進みようが無い状況である。千里はなんて自分の状況にピッタリの卦だろうと思った。
 
「でもこれ上爻変だよ。意味は分かるよね」
「はい。誰か大きな人が助けてくれるということです」
「それを期待しよう」
 

↓ ↑ Bottom Top

その日(10/15) の夕方、千里が神社でのご奉仕が終わって夕飯の買物をしていたら留実子の姉(元兄)の敏美と遭遇する。彼女は千里の相談に乗ってくれて、
 
「千里ちゃんなら、お金を稼ぎながら全日制にだって通える」
と励ましてくれた。
「拘束時間が短くて千里ちゃんなら毎月何十万も稼げる仕事もあるけど」
「何ですか?」
「オカマバーに務めてみない?あんたの美貌なら、大人気ホステスになれるわよ」
「そんなのバレたら学校クビになります!」
 
(Gが予想したように「うちでは女の子は採らないから」と言われると思う)
 

↓ ↑ Bottom Top

その晩、千里(U:実質Bw)は物凄く象徴的な夢をみた。
 
それで翌日(10/16 Sun)千里Uは朝一番の留萌本線の列車に乗って深川に出た。何かに誘われるようにして石狩川のほとりまで行く。そしてその雄大な流れを見ている内、心が無になっていった。
 
その時、車のクラクションが鳴る。
 
振り返るとそれは先週の北北海道大会で出会った旭川N高校の宇田先生であった。
 
宇田先生は千里をN高校に勧誘した。そして特待生にするから授業料は要らないよと言われる、そしてぜひ御両親ともお話ししたいと言われた。それで宇田先生が夕方にも、留萌に来てくれることになったのである。
 

↓ ↑ Bottom Top

その日の午後。千里U(Bw+Y1+Bs+Y2) がQ神社でご奉仕していたら、貴司が顔を出した。
 
千里は貴司に話した。父の船が廃船になり、父が個人でも巨額の債務を負うことになったこと、それで母からは高校は定時制かどこかで自分でお金を稼ぎながら通ってほしいと言われたこと、一方で今日の午前中に旭川N高校の宇田先生に偶然会い「特待生にするからうちに来ないか」と誘われたこと、今日の夕方にもうちの両親と会いたいという話になっていることを話した。
 
貴司は腕を組んで悩んだ。
 
「千里。真剣に聞きたい。午前中、宇田さんと会った時、千里の服装は?」
「セーラー服だけど」
 
「ってことはさ、宇田さん、千里を女子選手として勧誘してるんだよね?」
と貴司。
 
↓ ↑ Bottom Top

「そうかな?やはり」
「いや、そうに決まってる」
 

それで貴司は宇田先生が千里の両親に会う前に、千里と貴司の2人だけで宇田先生と会うことにしたのである。
 
宇田先生は貴司を知っていた。しかしT高校が熱心に勧誘していたので諦めたらしい。
 
宇田先生はN高校の実績を紹介し、また練習のシステムなども説明して、ぜひうちに入ってほしいとあらためて勧誘した。
 
「凄く行きたい気分です」
「うんうん」
「でも、私、凄く大きな問題があるんです」
 
「何だろう?」
と先生は笑顔で訊く。
 
「私、男子生徒なので」
「は?」
 
「千里、生徒手帳を見せなよ」
「うん」
 

↓ ↑ Bottom Top

それで、千里はバッグからS中の生徒手帳を出して、その最後のページを開いて先生に見せた。
 
《村山千里・3年1組16番平成3年3月3日生・性別男》
と書かれている、
 
「えーーーー!?」
「ごめんなさい。紛らわしくて」
 
「だって、そのセーラー服」
「私、心情的には自分は女だと思っているのでこれを着ています」
「実際その制服で通ってるよな」
「そうですね。最近はずっとこれですね」
と千里も言う。
 
「でも、女子チームに入っているのに」
「女子バスケ部に入ってしまったのは、色々な偶然や巡り合わせの産物なんです。でも医学的に女子ではないので、公式試合には出場しません」
 
「うーん。。。。」
と宇田先生は絶句している。
 
↓ ↑ Bottom Top


「すまん。5分考えさせてくれ」
と宇田先生が言う。
 
「はい」
 
貴司がチキンと飲み物を買ってきて、各自の前に置いた。
 
「あ、ありがとう」
と宇田先生は言ったっきり、ずっと目を瞑って考えている。
 
先生は5分考えさせてくれと言ったが、10分以上考えてから口(くち)を開いた。
 
「それでも僕は村山君を勧誘したい」
 

↓ ↑ Bottom Top

「一般にスポーツでは男子と女子は体力や運動能力で大きな差がある。だから馬術など一部のスポーツを除いて、男子と女子は純然と分けて競技が行われている」
 
「バスケットでもフォワードなんかは体力・運動能力の差が大きい。男子と女子で試合をやらせると、ゴール下の乱戦で女子はまず男子にかなわない」
と先生。
 
「S中の花和なんかは例外だよな」
と貴司。
「うん。るみちゃんは身長が175cm体重80kgあるから、男子選手でも吹き飛ばしてダンクシュート決める」
 
「ああ、なんか背の高い選手がいたね!」
 
「あの子、握力が75kgあるし、垂直跳び60cmだし」
と千里。
 
「それはプロスポーツ選手並みじゃん!」
と宇田先生。(これで留実子もN高校に勧誘されることになる)
 
↓ ↑ Bottom Top


「しかしバスケットの中でも、シューターというポジションだけは体格差があまり問われない。だから日本の女子バスケットチームが欧米のチームと戦う時もゴール下で勝てないから、主として3ポイントで得点を取っている」
 
(この頃までの日本女子代表の状況。リアルでもちょうど千里くらいの世代からフィジカルで負けない体格の女子選手が出て来た。バスケ協会が全国から180cm以上の中高生女子選手を集めて特別強化体制を作ったのが利き始める)
 
「だから村山君が男子チームの一員として出ても、多分シューターとしてなら活躍できると思うんだよ」
と先生は言った。
 
「なんなら一度試してみましょうか?」
と貴司が提案した。
 
それで貴司はその場でS中バスケ部のキャプテンである田代君に電話し、S中の男子チームに千里を入れたチームと、S高のチームとの練習試合をすることを決める。
 
↓ ↑ Bottom Top

またこの日は千里の父と会うのは中止し、千里の母に挨拶するだけにすることにした。
 

その日の夕方、千里・貴司・宇田先生と会った津気子は、旭川N高校が千里をバスケットの特待生で取ってくれて、授業料も要らないという話に大喜びする。
 
姫路なんてとんでもない遠くではなく旭川なら近くていいじゃんと思う。
 
ただ母は困惑した。宇田先生も細川さんも、千里本人まで千里のことを男だと思っている???なぜ今更そんな話が出てくるんだ??もう性別を女に修正してから3年も経つのに!
 
ともかくも津気子は(10/16) 千里の旭川N高校進学に同意したのである。
 

↓ ↑ Bottom Top

↓ ↑ Bottom Top

前頁次頁目次

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 
女子中学生・進路は南(23)

広告:清楚女子高校生セーラー服 XL MIRIPARIS-ミリパリ-コスプレ【あこがれ2】-初々しさにドッキ