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千里たちが旅館に着き、フロントで「留萌S中学です」と学校名を言うと
「はいはい、北海道の“るもえ”S中さんですね。307号室をご用意しておりますので」
と言われる。
仲居さんが番号を“1つ”しか言わなかったことでだいたい予想は付いた。S中に用意されていた部屋は、もちろん1つだった。
「こちらが4人部屋になっていますので自由にお使いください。トイレは部屋に付いております。お風呂は大浴場へどうぞ。お風呂は25時まで使用できます。朝は8時からの営業です」
と言って仲居さんは去った。
この部屋に案内されたのは、千里、沙苗、公世、由紀の4人である。
女の子に作り変えられた子、女の子に変わっちゃった子、一時的に女の子になっている子、現在女の子である疑いが濃厚な子、でも全員生理がある!
「問題無いよね」
「多分問題無い」
「もう諦めた」
「私、女子の先輩方と一緒でいいんでしょうか」
「多分こう布団を敷けば問題無い」
と沙苗は言って。“予め”紙に書いていたものを広げた。
■=枕の位置
┏■┓┏━┓
┃沙┃┃公┃
┃苗┃┃世┃
┗━┛┗■┛
┏■┓┏━┓
┃千┃┃由┃
┃里┃┃紀┃
┗━┛┗■┛
「まあ女性度順だね。千里が90%女、私が80%女、きみちゃんが60%女、由紀ちゃんが50%女」
「ぼく60%も女かなあ」
と公世が言うが
「生理が来た以上半分以上は女だと思う」
と沙苗。
「うん。沙苗の言う数字がわりと正確だと思う」
と千里も言った。
「じゃ、これでいいねー」
「まいっか」
ということで、各々の布団の近くに荷物を置いた。また公世と由紀の布団は180度回転した。
お風呂については由紀が
「ぼく、水着着て先輩たちと一緒に女湯に行ってもいいですか」
と言ったのたが、沙苗は言った。
「ゆきちゃん、ひとりでお風呂行ってこよう」
「え〜〜!?」
「私と千里が先にお風呂行ってくるからさ、そのあとでゆきちゃんひとりで行って来なよ。そしたら知ってる人が、ゆきちゃんの身体を見ることは無い。清香ちゃん・詩歌ちゃんは別のホテルだし。この伊勢では、ゆきちゃんが女湯に居るのを見ても誰も変に思わないよ」
由紀は考えている。、
「由紀ちゃんがどっちのお風呂に入ったかなんて詮索しないからさ」
「そ、そうですね」
「ちなみに1人で入る時は水着は着けないほうがいいよ。人は“隠してあったら詮索する”けど、堂々と曝されているとわざわざ注視したりしないから」
「じゃ行ってくるね」
と行って沙苗と千里は部屋を出る。
公世は
「ぼくは寝てるねー。そっちを見たりしないから自由にね」
と言って本当に寝ていた。
由紀は溜息を付いたり少し悩んでる風だったが、結局水着を脱いだようだった。
やがて千里たちが帰って来る音で目が覚める。時計を見ると22:20である。多分由紀ちゃんがゆっくり入れるように早めに上がったなと思った。
由紀が「うしお・ゆき、覚悟を決めてお風呂行って来ます」
と言って出掛けて行った。千里と沙苗はおしゃべりしていたが、公世は寝ていた。由紀は23時すぎには戻って来た。きっと怖いから手っ取り早くあがったのだろう。
「うしおゆき、逮捕されませんでした」
などと由紀は言っている。
「じゃ寝よう」
と言って灯りを消して全員寝た。
公世は24時すぎ、「ゴールド千里ちゃん、居る?」と心の中で呼びかけた。例外はあるがどうも彼女はこの時間に反応しやすいようである。
どこかに転送された。
「お風呂でしょ?ここのお風呂に入るといいよ」
とGold千里は言った。
公世はあたりを見回す。
「ここ天野道場?」
「その建物を早川ラボのあった所に移動した」
「ああ、早川ラボは新しい場所に移転すると言ってたね」
「そうそう。だからその跡地にこの建物を持って来たんだよ」
「なるほどー」
バスケットのゴールが置いてあるのは気にしないことにする。
ふと思う。
「でもここ、元の早川道場の場所なら、ヒグマ出ないのかな」
「この時間には出ないよ。今は寝てる。熊の活動時間は午前と午後の3時から9時頃だよ」
「へー」
「ここの風呂は小さいから15分くらいでお湯が溜まると思うけど、それまで私と稽古する?」
と千里Goldは言った。
「したい」
「じゃいつもの」
と言って千里は真剣を渡す。
「じゃ勝負。間違って殺しちゃったらごめんね。香典に100万円くらい包むから」
などと千里は言っている。千里ちゃんっていまいちジョークとマジの境界線か分からないよなあ、などと公世は思った。
(千里は99%のジョークと1%の嘘で出来ている)
「こないだの子はうっかりちんちん切り落としちゃって。その子は仕方無いからセーラー服来て学校に通ってるけど」
「ちんちんに当てるのは反則だと思うけど」
お湯を溜めながら真剣同士で稽古する。これは絶対に相手に当ててはいけない。寸止めにしなければならないので高い精度で攻撃する必要がある。集中力の維持が必須である。
でも“この”千里ちゃんもかなり強い。確かにいつもの千里ちゃんほどの強さではないけど、自分より上であるのを感じる。だから対戦も向こうがこちらを指導してくれているような感じだ。
10分稽古してから甘いケーキと紅茶を飲んで休む。妹千里ちゃん?がお茶を持って来てくれるのも前回同様である。
「きみちゃん、前より動きが悪い気がする」
と千里ちゃんは言った。
「実は昨日の朝起きたらなぜか分からないけど女の子の身体になっちゃってて、しかも生理がきちゃったんだよ。動きにスピードがないのは女の子の身体のせいかも」
「ああ、それは多分生理が出てくるために一時的に女の子の身体になったんだよ」
「そういうもん?」
「だって男の子の身体では生理の出てくる所が無くて困るじゃん」
「確かに困るけど」
「きっと生理が終わったら、男の子の身体に戻るよ」
「ほんと?」
「だから女の子の身体で攻撃の精度を上げるように頑張りなよ。そしたら男の子の身体に戻った時は精度がもっと上がるよ」
「うん」
ゆっくり休んでいる内にお風呂は溜まってしまった。でも蛇口を締めてもう一度10分間ほど稽古をした。
「じゃ明日も明後日も24時になったらここに連れてきてあげるよ」
「ありがとう」
それでこの日は旧天野道場の建物で入浴し、その後伊勢の旅館に戻されて眠った。
8月18日(木).
この日の旅館の朝御飯は普通の旅館らしく、御飯に味噌汁、ゆで卵に焼き海苔、焼き鱒といったものである。お昼は先生たちと一緒に、伊勢うどんを食べた。
「ここで松阪牛のステーキをおごってくれたら先生たちの株も上がるというもの」
などと清香が言っているが
「じゃ優勝したらおごってあげるよ」
と安藤先生は言っていた。
(こんな約束して後悔しなきゃいいけど)
この日は女子の団体戦が行われる。また同時に近隣の幾つかの体育館で、男子の団体に出る人の練習が行われた。
千里たち4人もR中の2人も女子の団体戦を見学したが。例によって座り大将の状態で決着するものが多く、なかなかいい勝負は観られなかった。
晩御飯は焼き肉の食べ放題になっていて、輸入牛や豚・鶏などではあったが、好評だった。剣道大会に出る生徒については、毎晩焼き肉になっているらしい。
この日のお風呂も、千里・沙苗がお風呂に行った後で由紀がお風呂に行った。今日は早い時間なので、どちらも1時間ほどかけて入浴してきたようだ。由紀も2度目で少しは度胸が付いたのたろう。今日も
「うしおゆき、逮捕されませんでした」
と言っていた。
そして24時になると、公世は千里Goldに連れられて天野道場に行き、真剣での稽古をした上で、お風呂に入った。
8月19日(金).
この日の朝御飯は昨日と似たようなメニューであった。ゆで卵が目玉焼きになり、焼き海苔が味付け海苔になって、焼き鱒が焼きシシャモになっていた。
この日は男子の団体戦が行われる。また同時に近隣の幾つかの体育館で男女の個人戦に出る人の練習が行われた。ここで千里たちは午前中に道具の検査を受けた。
防具の品質の確認、そして竹刀の計量である。千里は道大会と同様に竹の竹刀を2本検査してもらった。清香も竹だが1本である、沙苗は道大会ではカーボンを使ったが、今回は竹を2本検査してもらった。これは万一千里の竹刀が2本とも折れた場合に自分のを使ってもらえるようにするためである。詩歌も竹を2本検査してもらった。
公世も竹を2本である。またまた例によって女子の検印を押されそうになったのを「男子の検印でお願いします」と言って係の人が首をひねっていた。由紀も竹の竹刀を2本。こちらも公世の竹刀が万一2本とも折れた場合の用心。女子の検印を押されそうになるので男子の検印でお願いしますと言っていた。
お昼はみんなでめはり寿司を食べる。これは三重県の名物とわざわざ言われないと、普通のおにぎりと思ってしまう!!
でもその後で清香が「肉食いたい」と言って生徒4人だけでケンタッキーにも行った。みんなチキン2個(由紀は1個)だったが、清香は5個食べていた。清香んち、食費がかかりそーと思った。
午後の練習については、千里と清香は今回も「手の内を見せる必要はない」というのでここでは素振りと切り返しをしただけで掛かり稽古はしなかった。公世も素振りと切り返しだけで引き上げるつもりだったが、同じ北海道代表の桐生君が
「工藤さん手合わせしてください」
と言ってきたので、控えめの力で対戦してあげた。それでも桐生君は全く公世に歯が立たず、この2人の対戦はかなり注目されていた。
練習の後で会場に行くと男子団体の準決勝が行われていた。そこから決勝戦まで見たが、さすがに男子のこのレベルの戦いは見応えあった。公世は昨年は女子の団体を見ただけでビビっていたが、この日は熱い目で見ていた。闘志を燃え上がらせているようで、いい傾向だなと思った。
この1年でいちばん伸びたのが公世かも知れない。
夕食はまた焼き肉であった。
この日のお風呂も、千里・沙苗がお風呂に行った後で由紀がお風呂に行った。由紀もかなりひとりで入るのに慣れたようである。
そして24時になると、公世は千里Goldに連れられて天野道場に行った。
「ぼくまだ男の子の身体に戻らないんだけど」
「うーん」
と金色の千里ちゃんは悩んでいる。
「セペ使ってみようか」
「なんだっけ?」
「アイン・ソフ・アウル」
と金色の千里が呪文みたいなことばを言うと、千里と同じ顔だが高校生くらい?の女性が出てくる。ゴールド千里ちゃんのお姉さん??
「ごめーん、コンビニでセペ買ってきてくれない?私が行くとこんな遅い時間に中学生が出歩いてるってので補導されちゃう」
「いいよ」
と言ってそのお姉さん千里ちゃんがどこかに行く。
その間にいつものように千里ちゃんと真剣を使った稽古をする。10分ほどの稽古をしていたところにお姉さん千里が戻って来た。
「はいどうぞ」
「ありがとう」
「きみちゃん、これ使って」
「これどうすんの?」
「生理の終わり掛けにこれで膣内を洗浄すると早めに生理を終えることができるんだよ」
「へー」
「だからお風呂の中でこれで自分で先をヴァギナの中に入れて噴射して」
「入れるの〜!?」
「処女膜を傷つけないように、膜の隙間から入れたら大丈夫だよ」
「処女膜・・・・・」
「きみちゃん誰か男の子とセックスした?」
「してない!」
「だったらまだ処女だから処女膜があるはず」
「ぼくが処女・・・・」
少しショックを受けている。
でも使い方は分かったので、ケーキを食べてからあと10分稽古し、お風呂に入った。
普通に汗を流して身体を洗う。浴槽に浸かって身体を温めてから、最後にセペを使う。説明書を読んで使い方を確認する。横になって自分の膣の中にノズルを入れ(かなりドキドキした)、ボトルを握って精製水を噴出させる。
なんか気持ちいい気がするんですけど?
癖になったらどうしようと思う。
噴出した水が自然に流れ出していくのを待つ。
そろそろいいかなというところで身体にシャワーで熱いお湯を掛ける。それからバスタオルで身体を拭いた。そして念のためナプキンを付けた生理用ショーツを穿き、浴衣を着て脱衣室から出た。