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■春零(18)

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さて水泳の授業で着ける水着であるが、小学生ならスクール水着なのだが、中高生だとスクール水着では身体の線が出て、男女とも恥ずかしがる。それでH南高校は、水着は基本的に自由とする。但し下記のようなものは禁止される。
 
(1) ビキニ、Tシャツなど水泳に適さないもの。
(2) トップ水泳選手用の水着など、ひとりで着脱できないもの
(3) シースルーを含め、陰部・陰毛や女子の乳房が見えてしまうもの。
(4) ふんどし
(5) その他、常識的でないもの
 
女子のパレオはOKである。むろん男子がパレオを着けても構わない!女子が男子用水着を着けるのはバストが露出するので↑(3)違反になる。しかし男子が女子用水着を着けるのは構わない!
 
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「うーん。どれにしようかなあ」
などと言って、舞花は凄く可愛い水着が並んでいる付近を見ている。
 
「こんなのどうかな?」
「それ絶対泳いでいるうちに外れると思う」
 
かなりのダメ出しがあり、最終的にはワンピースではあるものの、かなり可愛いタイプを舞花は選んだ。パレオ付きである。
 

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舞花がかなり時間を掛けて選んだのに晃はまだ悩んでいる。
 
「君も優柔不断だなあ。私が選んであげよう」
「え〜〜!?」
 
姉は絶対“恥ずかしい水着”を選ぶ。
「お母ちゃん、お母ちゃんが選んで」
「そうだね。マイより私のほうがましかもね」
 
といって母が選んでくれる。いったん母が選んだのはスクール水着に毛が生えたようなデザインで、パレオ付きである。
 
「おかあちゃん、アキはパレオ無しのほうがいい」
と舞花が言う。
「なんで?」
「アキがパレオ着けてると、ちんちんをパレオで隠しているのではと思われる。堂々とお股のラインを見せたほうがいい」
「え〜〜!?」
と晃は言うが母は
「確かにマイの言う通りだ。堂々と女の子であることを見せたほうがいい」
ということで母は、パレオの無いタイプで、おとなの女性が水泳教室に通うのに使うような感じの水着を選んだ。
 
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「あまり可愛くない」
と舞花はやや不満だったようであるが!
 

7月10日(日).
 
幸花、真珠、明恵、初海は特にすることも無いのにいつものように北陸霊界探訪の編集室で、おやつを食べていた。今日のおやつは中田屋のきんつばである。幸花は他の番組も担当しているがその仕事はだいたい平日なので、土日は“タイムカードを押さないまま”ここに来て、誰かしら来ている編集部のメンバーとおしゃべりしていることが多い。
 
今日のおやつは、さっき初海のお母さんが来ていて、持って来てくれたものである。初海の就職先が内定したので、その挨拶だった。初海の母と幸花の話し合いで、初海は今年の12月くらいをめどに番組を卒業することになった。
 
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初海の妹の双葉は来年金沢市内の大学に進学“できたら”編集部に正式参加する話になっている。現在は明恵・真珠の後輩の間島和栄・米山舞佳などと同様の“協力者”という立場である。むろん放送局の入館証はもらっているので、いつでも自由にここに来ることができる。
 
明恵と真珠は編集部に残る予定である。真珠は正式に局のADになったし、明恵は“金沢ドイルの助手”という名目で出演料をもらっている。またふたりとも青葉のドライバーになっていて、青葉から毎月20万円の報酬をもらっているので、どちらかというとこちらの収入のほうが大きい。初海は青葉のドライバーも12月一杯で退任する。初海の後任ドライバーはこれから検討する。
 
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「ネタなんですけどね。6月に一言主神社をレポートしたでしょ?そしたらそれとは別口で“願いを叶えてくれる石”があるという情報がネット上では流れているようなんですよ」
と初海は言った。
 
「石?」
 
「場所については情報が錯綜しててよく分からないんですけどね」
「誰か実際に行った人がいないか情報が欲しいなあ」
「ただ、この石、良くない噂もあって」
と初海は言う。
 
「ほほお」
「だから番組で紹介するのまずいかもという気もするのですが」
「そのあたりを詳しく」
 

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7月10日(日).
 
その日の朝、唐突に泣原死亡(本名:梨原志望)の別居中の妻・戦死(本名:浅子)が死亡と3人の息子(可能・幸助・有明)の住んでいるマンションを突然訪れた。
 
「あ、お母ちゃん」
と可能。
「浅子がこんな朝早くに稼働しているというのは珍しい」
と志望。
 
「あんたたちなんで3人ともスカート穿いてるのよ?」
と浅子が言うと、可能がいち早く
 
「ぼくはスカート穿くのが好きだから穿いている」
と言った。
 
「あんた女の子になりたいの?」
「なりたい。いづれは性転換手術も受けたい」
と可能は言う。
 
「ふーん」
と言って浅子は可能の胸に手を当てる。
 
「おっぱいかなり大きくなったね」
「ただのブレストフォームだよ」
と言って、可能は母の手を自分の服の中に入れて触らせた。
 
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「凄く精巧だ。これ高かったんじゃない?」
「モデルのお仕事とかもしてたくさんギャラもらったし」
 

「なるほどねー。幸助は?あんたも女の子になりたいの?」
「ぼくは別に女の子になりたい訳じゃ無いけど、舞台で女役するから、慣れるのに穿いてるだけだよ。役作り」
 
「それ嫌じゃないの?」
「全然。スカート穿くの涼しくて気持ちいいし。さすがに女になりたい訳じゃないからこれで学校に行ったりはしないけどね。スカートは結構好きだよ」
 
志望は内心驚いていた。幸助はいつもスカート穿くの嫌だと言っている。それなのにこんなことを言うのは、幸助が自分をかばってくれてるんだ。
 
「有明はどうしてスカート穿いてるの?」
「ぼくスカート好き。ぼく中学にはセーラー服で通いたいなあ」
 
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いや、この子はきっと本気でそう思ってる、と志望は思った。可能が女の子下着を着けてたら「ぼくもそういうのがいい」と言って。自分で進んで女下着を着けるようになった。性格的にも凄く女らしい。この子はズボン穿いてても女の子にしか見えない。妻の美貌を最も強く受け継いでいる。
 
実際は3人とも「スカート穿くの嫌だ」と言ったら、母に連れ出されそうなので、「この母ちゃんと暮らすのは嫌だ」と思い「それよりは女装させられる方がマシ」と思っている。朝起こしてもらえなくて学校に遅刻しそうだし、ごはんなど全く当たらなそうだし(標準語で言うと「もらえなさそうだし」)。
 

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浅子は言った。
 
「子供たち3人が無理矢理女性化させられてるんじゃないかと思ったけど、そういう訳じゃないみたいね」
 
「そりゃそうだよ」
と幸助が言う。
 
「分かった。子供たちが女性化を強要されてたら、私が子供たちを引き取って保護するつもりだったけど、そういう訳ではないのなら、子供たちはあんたの所に置いておく。でもこれにサインして」
と言って、浅子は志望に書類を渡した。
 
「離婚届け?」
「私、なんかあんたに愛想が尽きたからさ。別れてよ」
「そんな唐突に」
「劇団も辞めるから」
「え〜〜〜?」
 
「当面はホステス1本でやってく。コロナが終わりそうだからさ。お金を貯めて来年の春くらいに自分のお店を再建するよ」
「お芝居は?」
「当面しない。10年くらい経ったら考えるかもね」
 
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「離婚届けは少し考えさせてくれ」
「いいけど2〜3ヶ月以内には署名してよ」
「考える。あと劇団はせめて8月の公演が終わってからにしてくれないか」
「そうだね。じゃ8月の公演が終わったら退団」
「分かった」
 
しかしこのままでは劇団に残るのは自分と黒衣魔女・夜野棺桶の3人だけになってしまう。しかも黒衣は病気で休養中である。つまり自分と棺桶しかいない。それにシナリオを書く人も居ない!
 

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墓場劇団のメンバー・元メンバー
 
泣原死亡(座長)
夜野棺桶:4年前に退団/2021夏復帰
黒衣魔女:病気で休養中
泣原戦死(脚本)離脱表明
極楽昇天:離脱表明
草場影見:離脱表明
 
地獄大佐(元脚本演出)2021離脱(死国巡霊)
成仏霊子:2021離脱(死国巡霊)
死神大鎌:2021離脱(死国巡霊)
 
死国巡霊には、死国巡霊結成後に参加した涅槃安楽、三途川守も居て現在5人でやっている。一応劇場で生公演しているが、客はほとんど居ない!!毎回せいぜい2〜3人で0人の日もある(無観客と大差無い気がする)。
 

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7月10日(日).
 
桜坂は悩んでいた。
 
(1) 銀行の許可を取り、レストラン琥珀の建っていた土地を1900万円で人形美術館の渡辺さんに売却したが、ローンは1950万円残っていたので、残額の50万円は通常の無担保ローンに切り替えている。このローンがわりと苦しい。
 
(2) 井原さんの家を新店舗として今改装を進めているが、この改装費用は実はサラ金(カードは放送局勤務時代に作っていた)から借りており、この後の返済がかなり苦しい。
 
(3) 亡くなった井原さんには退職金を払うべきである。長年貢献してくれていたから、相当の額を払うべき。昨年、父が入院して店がいったん閉鎖された時は、従業員には一律50万円(パートさんは20万円)の退職金を払っているが、井原さんについてはこの金額は、どう考えても少なすぎる。
 
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(4) 地震の時に火傷した少女の治療は完了し、医療費は全額支払っているものの、慰謝料の支払いが必要である。
 
要するにお金が無い!!!
 

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悩んでいたら妻が言った。
 
「宝くじでも当たったら全部払えるのにねー」
 
それで桜坂は思い出した。
 
そうだ!ドリームジャンボ買ったんだった!
 
最初に宝くじをどこに置いたか全く記憶が無かったので探しに探した。結局、妻が見付けてくれた。なんと崩壊した店舗から金沢コイルさんが手配してくれた工務店?さんが発掘してくれたカバンの中にあった。危ない所だった。
 
当選番号の表示サイトを開き、1枚ずつ確認していく。
 
「お父ちゃん、これ・・・」
「!? ちょっと待て。再度確認する」
 
桜坂は再度ひとつずつ数字を見比べて行った。
 
「当たってる」
「嘘みたい」
 
「明日にも金沢に行って交換してくる」
「うん」
 
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桜坂は少し考えてから妻に言った。
 
「このことは誰にも言ってはいけない。特に親には絶対に言ってはいけない」
「分かった!今それ言われてなかったら、私、10分後にはうちの母ちゃんにしゃべってた」
「ぼくたち2人だけの秘密。宝石くらい買ってあげるから」
「うん。誰にも言わない。来年、磁器婚式だもんね」
 
忘れてたぁ!
 

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それで桜坂は翌日(7/11 Mon)、車(既に10年乗ってるLexus GS)を運転して金沢に出た。みずほ銀行の窓口に行き、
 
「これ当たってると思うんですけど」
と言った。
 
「お調べしますね」
と言って、窓口の女性が調べてくれる。
 
「おめでとうございます!この金額が当選しています」
と窓口の女性は言って、メモに
 
《2等1000万円、6等300円》
と書いてこちらに見せた。
 
「今受け取れますか」
「少しお待ちください」
と言って、窓口の女性は席を立ち、奥の方に居た中年の男性を呼んできた。
 
「お客様、お話があります。こちらにおいで下さい」
 

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それで応接室に通される。
 
桜坂は、定期預金でも作ってとかの話だろうかと思ったら、全く違った。
 
まず高額当選金の受け取りには1週間ほど掛かるということが説明される。
 
“【その日】から読む本”という小冊子を渡される。そして宝くじが当たってから、気をつけるべきこと、詐欺などに関する注意をたくさん言われた。
 
・当たったことはどうしても話さなければならない人(基本的には配偶者のみ)以外には、親兄弟子供も含めて絶対誰にも言わない。
 
・宝くじに当たったからと言って仕事は辞めない。
 
・借金があったら最初にそれを全部返す。
 
・その次に子供の学資や、子供が既に独立している場合は老後の資金を確保する。
 
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・残りのお金の使い方は、配偶者とよくよく話し合って決める。
 

よくある投資詐欺などについても詳しく説明された。
 
「確実に儲かるという投資話は確実に詐欺ですから」
「そんな美味い話があるわけないですよね」
 
受け取りは口座振り込みでも可能ということだったので、みずほ銀行の口座を作ってもらい、そこで受け取ることにした。
 

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朝から来たのだが、銀行での話はお昼くらいまで続いた。300円の当選金だけ受け取り、銀行を出る。桜坂は大和(だいわ)デパートのエスティローダで妻から頼まれた化粧品のセット、ミスドでお土産のドーナツを12個買い、コンビニでお弁当を買った。車に戻り駐車場を出て、ガソリンをカナショク(石川・富山に多数の店舗がある激安GS)で満タン給油してから金沢を出た。
 
途中の高松SAで休憩してお弁当を食べ一眠りし、その後、西山PA, 別所岳SA, 道の駅・桜峠、駒渡パーキングで休憩してS市に戻った。
 

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