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■春零(3)

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それで真珠だけ“マイ器”、他の5人は紙の器にうどんが盛られる。
みんな驚く。
 
「何、このきつねうどん?麺より油揚げの方が多い」
「うどん入りきつねですね」
そして食べてみてみんな
「美味しい!」
と声を挙げる。なお、幸花が頼んだ“半熟?卵”は実際ちゃんと半熟になっていた。それを言うと
「当りですね」
と従業員さんは言っていた。
 
「油揚げは地元の##豆腐店のものだそうです。材料は北海道の美唄(びばい)市産の大豆を使っているそうです」(*7)
「へー」
 
「このうどん、出汁も美味しい」
「羅臼産の昆布で出汁を取って、地元の**醤油店の醤油を使っているそうです。油揚げの味付けもですが」
「まこちゃん詳しいね」
 
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「先日来た時にちょうど支配人さんがおられて、色々教えて頂いたんですよ」
「へー」
「若い人?」
 
「支配人さんは37-38歳かなあ。女の人なんですよ。氷見糸うどんのお店に15年くらい務めていたらしいです」
「それで独立したんだ?」
「その人は麺の茹で方と味付けの監修をしているだけで、社長さんは別におられるらしいですけどね」(*8)
「へー」
 
「でもこんなきつねうどんはほんと珍しい」
「でも美味しい」
「稲荷寿司も美味しい」
 
(*7) H新鮮産業の大豆を使った油揚げは、食欲が旺盛すぎるH南高校の生徒専用で、一般向けは美唄市の契約農家のものを使用する。
 
(*8) 千里は脳間直信でお店に出ていた日宮に「自分のことは知らんぷりしろ」と命じたので、千里に「社長、お早うございます」などとは声を掛けなかった。
 
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おしゃべりしながら完食する。すると真珠は器を自分で洗っている!
 
「自分で洗うんだ!」
「自分の器ですから」
 
それで真珠は洗った後の器と箸をキッチンペーパーで拭き、カードをタッチして空のトレイが出て来た所で器と箸を置き、再度タッチする。それで倉庫に格納されるようである。
 
「器を洗う所までセルフなのか」
「確かにそれが感染防止には良い」
「従業員さんが洗うのなら、紙の器のほうが手間が掛かりませんから」
「確かにそうだ」
 
「ここあらためて取材に来ようよ。支配人さんのお話が聞ける時間を聞いて」
「うん。それもいいね」
 

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うどん屋さんを出た後は、国道160号を南下し、西海老坂交差点で左折する。ここは右折すると金沢方面(県道32号上り)、直進すると国道8号に合流するが、真珠は左折した。左折すると伏木方面(県道32号下り)である。
 
青葉が
「ほんとに帰れるんだ」
などというので真珠が
「もちろんです」
と言う。
 
そして後は細かい道を走って青葉の家に到達した。
 
「お疲れ様でした」
「川上さん、ありがとね」
「嬉しい。おうちに帰れた」
「良かったね」
 
それで取材陣は青葉を置いて、金沢に向けて出発した。
 
青葉が玄関でピンポンを押そうとしたら先にドアが開く。
 
「お帰り」
と言ったのは、彪志であった。
 
「ただいまあ」
と言って、青葉は彪志に抱きついた。
 
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昨年12月に数時間だけ見た新居である。あれ?そういえばこの家の建築代金はどうしたんだっけ?と思ったが、請求されたら払えばいいだろうと開き直る。結局建築費がいくらなのかも聞いてないのだが、まさか100億とかは言われないだろう!
 
居間に誰も居なかったので、結局彪志と一緒にリビングの右手奥にある青葉の部屋に入る。そしてあらためて“愛の確認”をした。青葉としては世界水泳の最中の6/20 19:30 (CEST) = 6/21 2:30AM (JST) (*9) に一度しているのだが、彪志はそれは夢だと思っていたようなので、それを除くと、3月13日以来、3ヶ月半ぶりの“愛の確認”となった。
 
(*9) CEST = 中欧夏時間(UTC+2), JST=日本標準時(UTC+9)
 
UTCは“協定世界時”で、天体観測から得られる補正世界時UT1と1秒以内の誤差になるように管理されている原子時計の時刻である。ずれが大きくなると“閏秒”が挿入されたり引き抜かれたりする。
 
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青葉は少し落ち着いてから彪志に尋ねた。
 
「なんでこちらに来てたの?」
「いやそれがさ。昨日郷愁飛行場で青葉を見送ってから帰ろうとしてたら、突然、全身真っ黒の衣裳の人たちに拉致されて」
 
「またかい!」
「その中の一人は声で千里さんだと分かった。それで『我々はネオショッカーだ。お前を拉致してカタツムリ女かハリモグラ女にする』とか言われて」
 
「ちー姉もネタが尽きてるなあ」
「女のフィアンセがいるから女にするのはやめて〜、と言ったけど、女同士のほうが気持ちいいぞ。ちんちんは無くなるから諦めろとか言われて」
 
「ちんちんは無くなってないみたい」
「うん。助かった」
 
「だいたいカタツムリ女って、カタツムリは雌雄同体なのに」
「考えてみたらそうだった」
「でもハリモグラってどんな動物だったっけ?」
「よく分からないけど、ヴァギナが2つあってお得だぞとか言ってた」
「ヴァギナが2つ有るんだ!」
「元々女性生殖器は左右一対だから、卵巣が2つあるなら子宮も2つで膣も2つあるものらしいよ」
「へー」
「ハリモグラのオスはペニスが4本あると言ってた」(*10)
「なんか凄い世界だなあ」
 
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(*10) ハリモグラのオスは4つのペニスの内2つをメスの生殖器に当てて精子を注入する。その間、残りの2つのペニスは休んでいる。射精が終わると休んでいた2本を再度メスの生殖器に当て、次の射精をする。
 
リボルバーが発明される前に、銃身が2本あって2発撃てる銃が使われていた時期があるが、ハリモグラのペニスは単発銃×4銃身という感じである。
 
これだけ精子を受け入れても、メスは1度には1個しか卵を産まない(*11)。そして卵が孵ったら1年ほど掛けて子供を育て、その後1年くらい休んでから次の生殖行動を取る。つまり子供を作るのは2年に1度、1匹ずつという人間に近い生殖パターンである。怠け者?のメスは6年に1度程度しか子供を作らないらしい。
 
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ハリモグラは40年ほど生きる。この点も人間とパターンが似ている。体長は30-45cm程度である。
 
(*11)ハリモグラはカモノハシ同様の単孔類で、哺乳類ではあるが子供は卵で産む。卵で産んでお乳で育てる。だからメスは“妊娠”しないし子宮も無い。
 

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「で結局、目隠しされたまま飛行機に乗せられて、さるぐつわは息苦しいだろうからと外してもらったけど。1時間ほどの飛行の後、今度は車に乗せられて」
「ああ」
「車から降ろされて目隠し取っていいぞと言われて放置されたから目隠し取ったらこの家だった。それでお母さんが入れてくれて、さっきまで待機してた」
 
「会社は?」
「メダル取ったフィアンセとゆっくり休んでと言って今週いっぱいお休みもらった」
「そうだったんだ!」
 

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1時間くらいイチャイチャしてたら、母から「御飯できてるけど」というショートメールがあったので、服を着て居間に出て行った。
 
「青葉お帰り。お疲れさん」
「ありがとう。ただいま。これお土産」
と言って、ハンガリーのお土産“シュトゥメル”のチョコレートを出した。緩菜と由美が喜んでいる。
 
「子供たちはこの2人だけ?」
「京平は小学校、早月は幼稚園があるから浦和に行ってる」
「へー。じゃ桃姉も浦和?」
と青葉は訊いたが、母は
「桃香はこの家に居るけど、このくらいの時間帯はたいてい寝てる。夜中に起き出して仕事をしてる」
と言った。
 
「何のお仕事してるの?」
「中高生の通信教育の採点」
「桃姉には天職かも!時間も自由が利くし」
「朝は寝てても緩菜に強制的に起こされるけどね。1日のリズム作るのに」
 
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と母が言うと、緩菜は得意そうにしてる。
 
この子は厳しそうだ!
 

6月30日(木).
 
部活の時間に春貴は女子部員の中の希望者(ほぼ全員!)に“きつねうどん”の定期券を配った。“ほぼ”には男子部に留学している晃・河世も含まれる。男子部から留学してきている青木・湖中も含む。食の細い日和は含まない!
 
「これを見せれば、きつねうどん・お稲荷さんに関してはいくらでも食べられるから」
と春貴は女子部員たちに説明した。
 
実は女子たちから相談されたのである。
「きつねうどん屋さん、安いんですけど、毎日きつねうどん・お稲荷さん食べてると1日280円、1ヶ月で6000円くらいになっちゃって。お小遣いが厳しくて」
 
それで春貴が、きつねうどんの支配人・三島美耶さんに相談したところ
「H南高校の生徒さん専用で定期券を設定しましょう」
ということになったのである。
 
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きつねうどん(180円)、お稲荷さん2個セット(100円)を部活のある日に毎日食べたとすると、月間20日として、280円×20=5600円となる。それで定期券を特別高校生割引で4000円で販売することにした。しかもその半額を春貴が負担することにしたのである。だから定期券の券面には価格を印刷しない。そして生徒たちの負担は1人2000円で済む。多くは親に出してもらったようである。
 
春貴は半額を個人的に負担するが
「宝くじで10万当たったからいいや」
と思っていた。(勝手に10万当たったと思い込んでいる)
 
なお男子部員にも個人的に4000円出して定期券を買っている生徒が結構居た。
 

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7月1日(金).
 
その日の朝、日和がトイレに行くと、ショーツが真っ赤に血で染まっていた。何?何?ぼくどこ怪我したの?
 
日和はいったん自分の部屋に戻ると、ショーツの替えと生理用ナプキン“肌思い”(なぜか持っている)を取り出し、ショーツを交換。新しいショーツにナプキンを付けてから穿いた。
 
「これってお股を怪我した時にも使えるんだよねー。筒井康隆さんの本にあったもん。なんかでお股怪我した時に、ナプキン取り付けてたって」(*12)
 
などと考え、取り敢えずそれで様子を見ることにした。念のためナプキンの替えを入れたナプキン入れ(なぜか持ってる)を通学鞄に入れた。
 
血だらけになったショーツは黒い袋に入れて台所の生ゴミ入れに捨ててしまった。
 
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(*12) 筒井康隆の短編集に書かれているものだが多分実話。筒井氏はこのナプキンを歩いている最中に落っことしてしまう。トランクスとナプキンの相性は最悪である。ナプキンを使うならショーツを穿こう。
 

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7月1日(金).
 
この日有休をもらった春貴はしっかり仮免試験に合格し。午後からは教習用のトラックを運転して路上教習に出た。
 
この日は部活もお休みにさせてもらったので、夕方アパートで夕食を取っていたら、大型車が止まる音がして、やがてドアがノックされた。
 
「はい」
「播磨工務店の清川です。千里さんから言われて奥村さんに実車練習をさせてあげてということだったので」
「ありがとうございます!」
 
それで清川は、持って来た三菱ふそうSuper Greatの10tトラックの前後に“仮免許練習中”の札を付けた。それで春貴が運転席に座り、清川が横に乗って、運転練習に出た。国道160号を北に向かう。
 
市街地を走る間は怖いが、氷見北ICの入口を過ぎると交通量が少なくなるので、だいぶ気楽になる。ただし道幅も狭くなる!ので道幅からはみださないよう充分な注意が必要である。特にカーブは注意が必要だが、国道160号のこの付近はカーブだらけである!(よい練習になる)
 
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この日は道の駅“いおり”まで行き、休憩してから戻って来た。
 

「これ毎日やりましょう。明日・明後日は自動車学校での教習が終わったら連絡下さい。この車持ってきますから」
 
「ほんとにありがとうございます!」
 
翌日はR160を七尾市の起点(*13)まで走って七尾漁港で休憩。仮眠の後、帰りは夜中の誰も居ない道の駅“いおり”で駐車や方向転換の練習もした、
 
日曜は高速に乗って小矢部砺波JCTを通過し、福光ICまで往復して来た。高速は道幅が広いしカーブも少ないのでかえって一般道より運転が楽だった。
 
春貴は毎日清川とこのようなオプションの練習をしていたので早く運転が上達し、スムーズに教習も進んだのであった。
 
(*13) R160の起点は七尾市川原町交差点。小さな丁字路だが、国道159号、160号、249号という3つの国道の起点になっている。以前その丁のぶつかる部分(下図★)に、かまどや(当時は能登北限のお弁当屋さんだったかも?)があったが、交通量が凄まじく絶対に路上駐車など許されない場所のせいか移転したようである。
 
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R159とR249は、起点(七尾市川原町交差点)と終点(金沢市武蔵交差点)が同じで経路の異なる国道である。R159はまっすぐ金沢に向かうが、R249は能登半島を一周してから金沢に向かう国道。ひのR249が全線開通したことから、戦前は能登半島に点在していた“陸地からはアクセスできず船でしか行けない集落”がほぼ解消された。
 
R160は高岡市で国道8号に合流する。この高岡市内の合流点の構造は北陸自動車道の終点・米原JCTと似ていて筆者は通る度にワクワクする。逆に国道8号から160号に入る所は難しく、初心者殺しである。
 

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