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■春零(8)

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青葉は現在できている曲を聴かせてもらった。葉月が仮歌を入れている。彼も自身歌手として売れるくらい上手い(たぶん常滑真音といい勝負)のだが、本格的な歌手活動をしたらアクアをサポートできないからといって、その話は断りずっとアクアの代役に徹している。
 
彼はアクアと背丈・体格も近く、何といっても雰囲気が似ているので代役として最高である。アクアが多忙な仕事をこなしていけるのも葉月あってのことだ。
 
仮題:Angel in High
曲目:−
『お気に召すまま』加糖珈琲作詞・琴沢幸穂作曲(映画主題歌)
『緑の天使たち』森之和泉作詞・水沢歌月作曲(アルバムの実質タイトル曲)
『金色の太陽』翔太&リル子作詞・醍醐春海作曲(太陽光パネルCM曲)
『私を口説いて』阿木結紀作詞作曲(映画挿入歌)
『ごめんね。私女の子だったの』夢倉香緒梨作詞作曲(映画挿入歌)
『夢の余韻』波斯魔琴作詞北沢晶菜作曲(チューハイCM曲)
『沖に娘だ』未来居住作詞・琴沢幸穂作曲(先頭曲のパロディ。舞音がカバー予定)
 
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変名が多いな、と青葉は思った。
 

加糖珈琲は、千里姉の長年のソングライト・パートナーである作詩家・葵照子(本名:田代蓮菜)さんのアクア専用ペンネームである。琴沢幸穂も醍醐春海も、ちー姉だ。どのちー姉かは知らないけど!
 
森之和泉はアクア・プロジェクトのリーダーであるKARIONの和泉さんのペンネーム、水沢歌月はケイさん(KARIONでは蘭子)のペンネーム。翔太&リル子はアクア自身のペンネームのひとつ(*22). きっとアクアMとアクアFが2人で一緒に書いたのだろう。阿木結紀はコスモスのお姉さん、秋風メロディー(本名:田船秋好)さんのあまり使わないペンネーム。彼女は大半の作品は上野美由貴の名前で書いている。
 
ちなみに姓名判断で見ると“阿木結紀”はとても良い名前だが“上野美由貴”は、こんな酷い名前を考えるほうが難しいというほど最凶の名前である。実際、上野美由貴名義でヒットした曲は数える程しか無い!でも本人は気に入っている!!
 
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阿木 結紀
総32◎幸運的中 天11◎成長大樹 地21◎朝日黎明 人16◎仁心覆幸 外16◎仁心覆幸
 
上野 美由貴
総40△投機失敗 天14△離散徒労 地26△孤独戦士 人20□分裂統合 外20□分裂統合
 
夢倉香緒梨は花ちゃん(山下ルンバ/本名?川内峰花)の多数あるペンネームのひとつ。
 
北沢晶菜は青葉の元同級生・清原空帆が管理している松本花子のサブシステムの名前である。事実上、空帆自身のコピーになっている。波斯魔琴(ぺるしゃ・まきん)も彼女のペンネームである。ペルシャ伝来の琴(琵琶)をテーマにした『宇津保物語』が元ネタである。本名の空帆という名前自体がこの物語から採られたものである。“うつほ”とは“空っぽ”とい意味で、木の樹洞と弦楽器の共鳴胴を掛けている。
 
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しかし・・・『ごめんね。私女の子だったの』って、映画の挿入歌のようだが、絶対“わざと”こういうタイトル付けたなと青葉は思った。Mが反発するだろうけど、きっとFが面白がって歌うだろう。和泉さんが怒ったりして。
 

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(*22) 翔太&リル子 syota riruko は tasiro ryuko 田代龍虎のアナグラムになっている。
 
アクアのペンネームとしては、水野歌絵(←aqua vitae)、東風(とんぷう)などもある。とくに水野歌絵名義では、常滑舞音に多数の歌詞を提供している。
 
アクア・ウィタエ(aqua vitae)“命の水”とは、青森県の某所(龍虎の祖母・長野松枝の生地)にある秘泉で、アクアは小学生の時に千里と勾陳に連れられていき、この泉の水を飲んだことから、明日死ぬ運命だったのを救われた。
 
龍虎をそこに連れていった千里自身も様々な奇蹟の積み重ねで生きているし、龍虎の存在は奇蹟の連綿である。
 
彼の寿命はその時いったん51歳(6歳+45年)になったが、後に霧島大神が(気まぐれで)もっと長くしてくれた。ついでに“ある操作”をした。
 
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東風(とんぷう)というのは、十二支で辰(龍)も寅(虎)も東の方位であることから付けたペンネーム。
 

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(7/2) 千里がコスモスを夕食に誘い、青葉邸で、青葉・千里、朋子・緩菜・由美と一緒に夕食を取った。緩菜・由美がコスモスにに懐いていた。コスモスは奈良のお祖父さんの家でも子供たち(従姪・従甥たち)に懐かれたなあと思っていた。
 
この日の御飯は“青葉がスタジオでコスモスと打合せしている間に”千里が作った、お刺し身と、茶碗蒸し・すりみの味噌汁、などといったものである。
 
(千里も一緒に打ち合わせしてたはずだが!? (*23))
 
コスモスが
「お魚が美味しい!」
と言っていた。
 
「田舎はあまりお見せするようなものも遊ぶ所も無いですけど、東京からいらっしゃった方はみんなお魚が美味しいと言いますね」
と朋子が言っていた。
 
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「まあ、お魚・水・空気が美味しいのが田舎の利点かな」
などと千里は言っている。
 
子供たちは焼き海苔に御飯を載せ、お刺し身を載せて手巻き寿司にして食べている。緩菜は上手に食べているが、由美は次第に悲惨になっていきつつある。食事が終わったら着替えが必要そうだ。
 
「でもテレビの収録とかしてる間はどこに居たの?」
と青葉が訊くと、朋子も千里もコスモスまで!
 
「第2リビング」
と言った。
 
「何それ?」
と青葉は訊いた。
 
この家の主人だけが知らない!!
 

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(*23) コスモス・青葉と打合せしてたのは6番で、御飯を作ったのは4番。3番は合宿直前でチームで練習している。2Aは妊娠中で浦和にいる。2Bはグラナダで“あること”の準備をしている。1番はアメリカでWBDAをしている。
 

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「青葉、もう5日もここに居て、まだ家の中、見て回ってないの?」
「ごめん。ひたすら寝てた」
「やはり1年ほど休んだほうがいい」
「今新しい仕事の話をしたのに!」
 
千里が説明した。
「隣の家にスタジオを作ったから、元の制作室と楽器倉庫が不要になった。そこに、ここでテレビ番組の収録をする話が出て来たから、収録をしている間、子供たちの居場所が必要になった。それで家の裏手に家族用のリビングを作ったんだよ」
 
「家を拡張したの?」
「してない。してない。新しい図面は・・・」
と言って、千里はパソコンの中を探している。
 
「あった。これだ」
と言って、千里は新しい家の画面を見せてくれた。
 

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(再掲)青葉宅の新見取図(2022.7以降)

 
左側(北側)に広いリビングができている。
 
「こんな広い空間が確保できたんだ!」
「元々結構無駄なスペースもあったしね」
「ああ」
「太陽光パネルのバッテリーだけが入らなかったから、それはピアノ室の裏手に倉庫を増設した。その分だけ拡張した」
「なるほど」
 
「これはヨーロッパで言うところのドローイングルームですね」
とコスモスが言った。
 
「そうそう。昔のヨーロッパの大きな家では、来客があって“パーラー”で男たちが経済や政治の話をしている間に、女たちは内側の“ドローイングルーム”に移動して、ファッションやおやつの話などをしていた。ドローというのは引くとか引きこもるいう意味だね」
 
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「昔の上島先生の国分寺のお邸では、応接室で多数の歌手やA&R(*24) が先生の作品ができるのを待っていたから、家族は内側にある居間で過ごしていました。居間まで入れる来客は、本坂先生を含むワンティスのメンバーとか、上島先生の妹さん、アルトさんの親友の丸井ほのかさん、日野ソナタさん、ケイ先生、醍醐先生、アクア、くらいでした」
とコスモスは補足する。
 
(*24) A&R = Artists and repertoire. レコード会社のアーティスト担当のこと
 

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「ああ、ちー姉も上島邸の居間まで入ってたんだ?」
「私、アルトさんから“優秀な女子大生占い師”とみなされてたから、何度も相談事に乗っている」
「なるほどねー」
 
もう千里姉の性転換時期は中学か高校の頃ということでいいんだろうな。
 
「占いというより、実際は話し相手が欲しかったんだと思うよ。電話占いにハマる主婦とかも、だいたい話し相手に飢えている。出会い系にハマるよりは健全で安全だしね。アルトさんも、上島先生が忙しすぎてほぼ放置されてたし、姉妹とかも居ないし、中学高校では孤立してたみたいだし、親には早く死なれて、紅川会長、日野ソナタさん、丸井ほのかさんとかくらいしか話し相手は居なかったと思う」
と千里。
 
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「アルトさんもほんとに孤独な人生を歩んでこられたんですね」
と青葉は感慨深げに言った。
 
青葉はつい自分の昔の人生をアルトさんに重ねてしまった。
 

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「アーティストはたぶん幸せな家庭環境で育った人より悲しい人生を歩んできた人のほうが多い」
とケイが言った。
 
「アクアなどもその典型ですね」
とコスモスは付け加えた。
 
「あの子、いつも自分は感情というものが分からないと言うけど、本当は私なんかと同じで、感情を封印してきたんだと思う。でないと辛すぎたから」
と青葉は言った。
 
「あの子には幸せな結婚をしてほしいね。妊娠している間はMだけで頑張ってもらうとして」
と千里。
「Mのほうまで妊娠しちゃったりして」
とコスモス。
「きっとその時はNが復活しますよ」
と千里。
 
朋子などは会話の内容が分からないようで首を傾げている。
 

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「でも工事が終わったの、あんたが帰ってきた前日だったのよ」
と母は言っている。
 
「まあ工事といっても、元々この家には外壁以外の壁がほとんど無くて、パーティションを移動しただけだけどね。ボルト外して新しい所に移動してそこで締めるだけ。だから3日くらいで終了した」
と千里。
 
(バストイレはユニットごと移動して配管を調整している。ピアノ室は1mほど東に移動した。播磨工務店のメンバーは4人で四隅を持ち「よいしょ」と移動した!)
 
「荷物の移動まで工務店の人にしてもらって。散らかってるの恥ずかしかった」
と母。
 
「壁で区切らずに。間仕切り・襖(ふすま)・障子(しょうじ)、屏風や衝立、昔なら御簾(みす)とかで区切るのが元々の日本家屋の考え方だよね。壁で固定的に区切るのは西洋式」
と千里は言っている。
 
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「“室礼(しつらえ)”というものですよね。書院造りとかの考え方」
とコスモス。
 

「ちなみに改装費用は私が個人的に出した。これは青葉は払わなくていい」
と千里。
「そういえば、この家の建設費は?」
「確か4600万円くらいだったよ。太陽光パネルの代金入れて」
 
その5倍くらいを考えてた!!よくこの広い家が4000万円で建つなと青葉は思う。
 
「私その建築代金払ってないんだけど」
「私が取り敢えず払っておいたから、都合のいい時に私にちょうだい。正確な数字は、請求書を会計士さんに渡しておいたから問い合わせて」
「じゃ後で確認して振り込む」
 
「なんか4600円取り敢えず払っといた、みたいな話だ」
と朋子。
 
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「アクアが代々木のマンション買った時(6500万円)も探してあげた千里さんと似たような会話してましたね」
とコスモス。
 
「ああ。アクアも忙しくて自分で探す暇無いでしょうね」
と青葉も言った。
 

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青葉は「やはりコスモスさんって馬鹿な振りをしてただけだよな」と思う。
 
英語だけでなくドイツ語もできるみたいだし。結構な暗算ができるし。PCの仕組みや操作もよく知ってるし。経営用語などもよく理解しているし。本人はアイドルとして売れてたから高校の授業もほとんど出てないはず。でも自力で頑張って勉強したのだろう。凄い努力家だ。歌と字は下手だけど!
 
何より打合せとかしている時に頭の回転が速いのを感じる。
 
テレビでお馬鹿タレントをしていたコスモスしか見てない人は、彼女はただのお飾りで、§§ミュージックを実際に動かしているのは、鈴木一郎(∞∞プロ)社長と玉雪梓紗マネージャーではないかなどと思ってしまうのだろう。
 
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実際には、アクアにしても、ラピスラズリにしても、常滑舞音にしても、コスモス以外の制作者には彼女たちを売り出すことはできなかったと思う。
 

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食事が終わって一息ついた所で、千里は庭に駐めていた Volvo XC40 (この車は千里6の車。4番がMazda CX-5)にコスモスを乗せて、金沢のホテルまで送っていった。コスモスは翌日小松から UFOと一緒に熊谷に帰還する。
 
羽田が使えたらUFOたちには楽だろうが、羽田は離着陸の枠が全く空いてないので、空くのを待つよりいつでも離着陸できる熊谷のほうが結果的には早い。来年(2023年)くらいにはコロナも少しは落ち着くだろうし、郷愁ライナーも熊谷駅に直結するし、新幹線が使えるようになると、郷愁飛行場の利便性はもっと上がるかもしれない。
 

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7月3日(日).
 
昨日の“墓場劇団”公演中継が終わってホッとした泣原死亡・戦死(本名:梨原志望・浅子)、それに助っ人を務めてくれた成仏霊子(本名:城島令子)は入院中の黒衣魔女(本名:黒井マミ)の御見舞いに行ってみた。
 
ところが「黒井さんは金曜日に退院なさいましたよ」と言われる。
 
「じゃ体調回復したのかな」
などと3人とも安心して彼女の自宅を訪問してみた。
 
ところが本人は寝ている。
 
「志望さん、浅子さん、ご迷惑掛けてすみませんでした。令子ちゃん、ありがとね」
 
「まだしばらくは自宅療養?」
と浅子が尋ねると、マミはこう言った。
 
「あの病院の医者、全く藪医者だよ。頭来たから強引に退院してきた。多分疲れが溜まってるんじゃないかなあ。株主総会の前にかなり無理したし」
 
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「なんか変なこと言われた?」
「言われた。言われた。あの医者、性転換手術を受けられたのはいつですか?とか訊くんだよ」
「マミちゃん性転換してたんだっけ?」
と令子が訊く。
「まさか」
「マミちゃんは流産してしまったけど妊娠したことがあるから、天然女であることは間違い無い」
と浅子。
 
「あれ流産してなかったら結婚してたけどね」
と本人。
 

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「医者がさあ。あなたには卵巣も子宮も無いし前立腺があるから間違い無く元々は男性だったはずとか言うのよ」
 
「それ誰か他の患者さんの透過写真と取り違えられたのでは」
「そうだと思うよ。それで怒って退院してきた」
 
「どんな感じなの?」
 
「なんか身体のバランスが取れない感じなのよ。だから歩くのも辛くて。症状をネットで検索したら更年期障害に似ているんだけどね。私の卵巣が少し不調なのかも。生理遅れてるし。むろん妊娠じゃない、念のため妊娠検査薬で確認したら陰性だった。そもそもセックスなんて2〜3年してないし。取り敢えずドラッグストアで更年期障害のお薬買ってきて飲んでる。それで一週間くらい寝てたら治るんじゃないかなあ」
 
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とマミは言う。
 
「何か食べたいものとかある?」
「お肉食べたい!」
「じゃ買ってくるよ。志望のおごりで」
と浅子。
「助かる!私、お金無いし」
 
 
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春零(8)

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