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■春零(5)

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「お母ちゃん、ナプキン買いたいからお金ちょうだい」
とその日、日和は言った。
 
「ナプキンとか何するの?」
「よく分からないけどお股から血が出てて、とりあえず持ってたナプキン当てておいたけど、足りないから」
「あら、あんたもとうとう生理が来たのね」
「生理なのかなあ」
「きっとそうよ。はいこれ。普通の日用と多い日用と買っておくといいよ」
「分かった。ありがとう」
 
「今夜はお赤飯炊こうかね〜」
「お赤飯なの?」
「女の子が初めて生理が来たらお赤飯炊くんだよ」
 
「ぼく女の子じゃないけど」
「生理が来た以上は女の子だよ」
「そうかなあ」
「来週から女子制服で学校に行く?」
「どうしよう?」
 
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7月2日、彪志を送っていった後の能登空港から伏木へのマーチニスモにはこのように乗った。
 
運転席:初海
助手席:ケイ
運転席の後ろ:青葉
助手席の後ろ:コスモス
 
青葉からの信頼度が高いコスモスが隣に乗っている。しかしコスモスは言った。
 
「私からもお願いがあるのですが、その件は後からにして、先にケイ先生の御用事を」
 
それで、効率は悪いが斜めに話すことになる。
 
「ミュージシャンアルバムの次の放送が迫っているんだよ。その取材をお願いしたい」
とケイ。
 
「もしかして私の家でやるんですか?」
「私、コスモス、響原常務(◇◇テレビ)、漆野部長(〒〒テレビ)の4者でネット会談をした。青葉の負荷が物凄いことになっているから、何とか少しでも負荷を下げようということで、今後のミュージシャンアルバムは青葉の自宅に各々のミュージシャンを招待する形を取ることにする」
 
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「あのぉ、それ私抜きで決まったんですか?」
 
私の家なのに!
 
「事後承諾で申し訳無い。それにここまで取材した6組の中で実際に御自宅を訪問できたのは、長沼さんとアクアだけなんだよ」
「ああ」
 
これまでのミュージシャンアルバムの取材場所↓
 
放送 取材
4.10 1.26 アクア 自宅(代々木)
4.24 1.24 長沼清恵 自宅
5.15 1.25 XETIMA 事務所のスタジオ
5.29 1.25 富士川32 レコード会社のスタジオ
6.12 4.02 三つ葉 熊谷のコテージ
6.26 4.02 ボニアート・アサド 熊谷のコテージ
 
つまり何年か売れてきていて、自宅が買える程度の蓄財ができている人しか無理である。“旬”の人に取材する番組方針とは相性が悪い。自宅を持っていても、若い女性などはなかなか撮せない。アクアの自宅が撮せたのは、厳重なセキュリティのある高級マンションだったからである。
 
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「今後のことを考えても、御自宅を訪問できるミュージシャンって、かなり少ないんじゃないかと思う。それに作曲家さんみたいに御自宅の外見などを映すこともできない。だったら『笑っていいとも』みたいな感じで、ゲストをどこかにお招きしてトークするという形のほうがいいかも知れないということになった」
 
「それで私の家を使うんですか」
と青葉はさすがに抗議するように言った。
 
「だから青葉は東京に出て来なくていい。ミュージシャンを富山に呼ぶ」
「あ」
「それで青葉の負荷を下げるんだよ」
「なるほど」
 
青葉はそのことに気付いた。
「だったらラピスとケイさんが大変なのでは?」
「だからまとめ撮りになるね、基本的に」
「・・・・・何日掛けるんです?今回」
「今日明日2日間付き合って」
「そのくらいならいいですよ。やります」
と青葉はやっと“逃避態勢”から“戦闘態勢”になって言った。
 
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この時青葉は2日間なら2組だろうと思った。が、それは甘かったのである!
 

やがて伏木の青葉邸に到着する。中に入ると、既にサンルームに撮影のセットが組まれている。サンルームの内側には仏檀があるのだが、そこは衝立を立てて隠している。そもそもこのサンルーム自体が壁ではなく衝立で仕切られているのだが、その衝立には、早月画伯の可愛い絵が描かれていた。しかし放送向きではない!ので、その上に誰かが描いた十二支の動物の絵が磁石シートで貼り付けてあった。
 

 
青葉はその中の虎の絵に見覚えがあった。
「もしかして十二支の絵を描いたのは、川口遙佳ちゃん?」
と初海に尋ねる。
「ああ、そういえば雰囲気似てますね。もしかしたらそうかも」
と初海は答える。初海はどうもこの“作戦”には関わってないようだ。
 
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しかしコスモスが
「お名前までは聞いていませんがS市の女子高生が、お友達と2人で描いたらしいです」
と言った。
 
実は遙佳と舞花が手分けして描いたのである。バイト代に1枚1万円(画材費込み)もらい、舞花は「これでたくさん“きつねうどん”食べられる」と言っていたとか。この計画は6月中旬に起動していた。2人は人形退避作戦の時に知り合い、その場で話がまとまったのである。舞花は遙佳の描いた絵を見せてもらい、それと似たような雰囲気で絵を仕上げた。
 
なお絵はAdobeイラストレーターで描かれており、実際に貼ったのはそれを昇華型プリンタでプリントしたものである。
 

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青葉たちより30分くらい遅れてラピスとUFOが到着した。UFOとラピスは少し疲れたような表情である。特にUFOが辛そうな顔なので山道で酔ったなと思った。だから休憩を入れたり速度を落として走ったりで遅くなったのだろう。
 
と思ったらドライバーさんまで疲れたような顔をしている!あまり能登の道を走ったこと無いのかな〜?と思った。初海や真珠たちは元々能登の“峠”でたくさん遊んでいたから山道・曲道を走るのも上手いのだが。運転者が慣れてなかったら、よけいUFOは辛かったかも。
 
取り敢えず30分休憩してから撮影をすることにする。
 
青葉は長江ディレクターを捉まえて言った。
「UFOのこの後の予定は?」
「UFOにふさわしい場所ということで、羽咋(はくい)市のコスモアイルに連れていく。その後、金沢で一泊して明日の朝小松から東京に帰還。番組の編集としてはコスモアイルの映像を先に流す予定」。
 
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コスモアイルには、宇宙船やUFOの資料が多く展示されている。施設自体がUFOの形をしている。
 
「羽咋に行くの、こちらの竹本(初海)を使ってください。能登の道に慣れてますから」
 
ディレクターは少し考えたが
「そうしようかな」
と言った、
 

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待っている間に何やら車が1台入ってくる。派手な絵が描かれている。アラビアンナイト!??
 
降りてきたのは千里姉である!
 
「ケイ、この車にUFOの3人を乗せて、この車から降りて来る所から撮影しよう」
などと言っている。
「いいけど、この車は?」
とケイ。
 
「私のだけど」
「派手な絵が描いてあるね」
 
「シャランですか?」
と長江ディレクターが訊いたが
「あれ?ヘッドマークがフォルクスワーゲンじゃない」
と自分で言っている。
 
「シャランの姉妹車なんですよ。これはセアトのアルハンブラです」
「それでアラビアンな絵が貼ってあるのか」
 
「ボルボのXC90を持ってこようと思ったら、どこに行ったか分からなくて。日本国内のどこかにはあるみたいで、今探させている所だけど。それで代わりにこれ持って来た」
 
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「いやUFOにはこの絵はありですよ」
 

それで結局、ケイがこの車を運転し、2列目・3列目にUFOの3人が乗り、青葉邸に入ってきて停まり、車から3人が降りてきた所をラピスラズリが迎えるという絵を撮影した。
 
UFOの3人は移動中はセーラー服っぽい服を着ていたのだが、今は撮影用でアダムスキー型っぽいUFOの小さなイラストが多数ちりばめられたジャケットにやはりUFO柄のスカートを着ている。3人とも地はベージュで、模様の色がユニが青、フーガが赤、オクが緑の色になっている。
 
インタビューするラビスラズリは紫色のワンピース。ゲストよりいい服を着る訳にはいかないが、あまり安い服も着られない、ということでこれはアニエスベーである。
 
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ラピスラズリが案内して、UFOの3人を玄関からサンルームまで導く。経路は衝立でルートを作ってあり、生活空間は通らない。ルートの衝立(4枚)には、アクア、北里ナナ!、羽鳥セシル、UFOのポスターが貼られている。青葉が楽曲を提供している3大アーティストと、今日のゲストである。3人は自分たちのポスターを見て喜んでいた。
 
サンルームに入ると、青葉が
「いらっしゃい」
と言って笑顔で全員を迎え入れる。青葉はライトブルーのワンピースを着ている。このワンピースはディオールのカジュアルワンピースで、そんなに高いものではない。
 
ケイがカメラに向かって説明する。
 
「えー。ここは3月21日の放送でも紹介しました、作曲家・大宮万葉さんの御自宅です。今回の収録は大宮さんが世界水泳に出場して帰国した直後に撮影しております。現在大宮さんはまだ休養中なのですが、番組の放送予定が詰まっているので、御自宅に押しかけてきました。このあと4回分はここからお送りします」
 
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あくまで現時点では臨時の処置ということにしておく。青葉はケイが“4回分”と言ったのを聞き漏らした!
 
ケイはシックなグレイのワンピースである。これはローズ+リリーの衣裳を手掛けている宮里花奈さんの作品である。
 

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「ということで今日のゲストはUFOの3人です」
と町田朱美が笑顔で3人を紹介した。
 
「UFOのユニこと上中雅美でーす」
「UFOのフーガこと藤沢満奈実でーす」
「UFOのオクこと小倉真弓でーす」
と3人は名乗りをあげた。すると青葉が首をひねっているので、町田朱美がこのネタを投げる。
 
「3人は最近ニックネームを改訂したんだよね」
 
「はい、そうなんです。以前は、宇良々(うらら)、房枝(ふさえ)、奥奈(おくな)だったんですけど、『8時のあんた』に出ていた時、山田次郎さんから『その名前はインパクトが無さすぎる』と言われて、改名することになったんです」(*16)
 
とユニが説明する。
 
「私たち元々は上中雅美・藤沢満奈実・小倉真弓の頭文字を取ってUFOだったんです。“まさみ”“まゆみ”“まなみ”の各々真ん中の文字を取って“さゆみ”という案もあったのですが」
 
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とフーガ。
 
「ああ3人とも本名が“ま”で始まって“み”で終わるんだ?」
と青葉が感心したように言う。
 
「そーなんですよ」
と3人が同時に言う。この3人、息が合ってるなと青葉は思った。
 

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「それでファンクラブで投票して、新しいニックネームとして、音楽関連用語のセットで、ユニゾンとフーガとオクターブというのが決まったんです」
 
「でも長いから略して、ユニ、フーガ、オクということで」
と上中雅美(ウララ→ユニ)。
「私は全然略されてない」
と藤沢満奈実(ふさえ→フーガ)。
「私は前のとあまり変わらない」
と小倉真弓(おくな→オク)。
 
3人がよどみ無く、リズム良く話すので、この3人はほんとによく息があってる。人気が出るわけだと青葉は思った。
 

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2018-2019年頃に、トライン・バブル(2001年度生/††オフィス/★★レコード)が結構な人気を博した。そしてそれに影響される感じで、トラインバブルと似た路線で、UFO(2006年度生/ζζプロ/ライミューズ・レコード)とスパイスミッション(2006年度生/○○プロ/パール&ゴールド・レコード)などが出てきた。
 
そしてこの2つのユニットが激しく争っている内に、トライン・バブルを抜き去り、若手女子(非集団)歌唱ユニットとしては、現在UFOとスパイスミッションがトップ争いをしている状況である。むろんこういう話は今回はできない。
 
当時は他にも3〜6人程度の女の子のユニットがいくつか出て来たが(男の娘ユニットまであった)、UFOとスパイスミッション以外の多くが消滅または活動停滞している。
 
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(*16) 「宇良々・房枝・奥奈」の命名者は事務所社長の観世さんだが、お笑い界の大御所・山田次郎さんに言われては改名せざるを得ない。山田次郎はその番組で“うん*・ファッ*・オ*ニー”と言い、UFOの3人が「ひっどーい」 と言った。さすがにこの場面は編集でカットされた!
 
カットしていいか若手のテレビ局員が悩んでいたが、社長にお伺いを立てて!カットした。山田次郎への説明は社長が直々にしたが「そんなんカットするのに一々断らんでもええ」と言ってたらしい。
 
観世社長はファンクラブの組織を動かして選定させた。最初に「3つセット」のニックネームを投稿してもらい、マネージャー会議で検討。10個の候補からあらためてファンクラブ投票で決定した。「ユニゾン・フーガ・オクターブ」は全体の60%の票を獲得した。他の候補は全て10%程度以下だった。2位は「うえ・ふじ・おぐ」の11%だったが
 
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「2位以下に投票してくれた人たちごめんね。でも1位のを使わせてもらいます」
と3人が述べると、みんな
「それでいいよー」
と言ってくれた。
 

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また山田次郎さんも
「おお。いい名前になったな」
と喜んでくれた。
 
「うんと・ふとった・おっさん、でもなくて良かったな」
「それも酷いですが、よくそういうのパッと思い付きますね」
「実は20年前から考えていた」
「私たちまだ生まれてません!」
 
「君たちがUFOを結成することを予感していたのだよ」
「羊羹だったら大好きですけど」
 
とユニが間髪入れずに言うと「お、やるな」という表情。
 
「甘い物食べ過ぎると太るで」
「でも忙しくて太る暇も無いんですよ」
「お前らほんと忙しそうやな」
 
などと言っていたのだが・・・
 
後から羊羹が段ボール1箱事務所に届いた!
 

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