広告:男の娘塾-ミリオンコミックス-OTONYAN-SERIES-20
[携帯Top] [文字サイズ]

■春零(1)

[*前p 0目次 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 
前頁 次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

 
「令和という元号が発表された時、まるで“零和”つまり“ゼロサム”ゲームみたいで縁起が悪いという意見があったね」
と明恵は言った。
 
「実際、令和になってから、ほんとよくないことが続いている。川崎小学生襲撃事件(2019.5.28)(*1), 京アニ放火事件(2019.7.18), 消費税増税(2019.10.1), 首里城全焼(2019.10.31), 大阪こころのクリニック放火事件(2021.12.12)」
 
「2019年秋に発生した新型コロナ COVID-19 (corona virus disease 2019) が流行して全世界で5億5千万人が感染して630万人が死亡、日本だけでも900万人が感染して3万人が死亡している(*3). ロシアが2022年2月にウクライナを軍事侵略開始して、それを引き金に石油価格が高騰し、小麦も不足し、物価が上がりまくっている」
 
↓ ↑ Bottom Top

と真珠が言う(*2).
 
(*1) 川崎市登戸で、スクールバスを待つ小学生たちが襲われたもの。保護者の1人(外務省職員)が犯人と戦い、自らは死亡するも、被害を最小限に留めてくれた。
 
(*2) この会話をしたのは7月の初めで、安倍元首相の暗殺(7.8)直前。
 
しかし2019年は本当に大事件が多かった。この他にゴーンの逃亡事件などもあった。
 
(*3) 2022年7月1日現在の統計で、全世界の感染者数は 552,820,079人、死者は6,358,305人。日本の感染者数は9,329,520人(世界14位)、死者は31,281人。出典は↓
worldometers(7.1)
 

↓ ↑ Bottom Top

「ゼロサムゲームって何だったっけ?」
と幸花が言う。
 
神谷内が説明した。
 
「“ゲームの理論”という社会現象を数学的に捉える理論の中で提唱された類型のひとつなんだよ。世の中には誰かが得すれば誰かが損する、win-lose (ウィン・ルーズ)の仕組みと、誰もが得する win-win (ウィン・ウィン)の仕組みがある」
 
「ああ、それはありますね」
 
「仮想通貨の仕組みは典型的なゼロサム・ゲーム。仮想通貨の取引はそれ自体何も生み出さないから、誰かが得した分だけ誰かが損してる。仮想通貨を買った人の投入したリアルマネーの総額と、仮想通貨をリアルマネーに戻すことのできる総額は最終的には等しくなると考えられる」
 
「言えてる言えてる」
 
↓ ↑ Bottom Top

「今仮想通貨って1万種類以上存在するそうですよ」
「実際問題としてその大半が詐欺だろうね」
 
「ところが株取引はゼロサムゲームじゃない。多くの人が株を買うことで企業は活動資金を得ることができて、経済活動が行われ、その利益が配当の形で株主に還元される」
 
「経済活動自体が基本的にwin-winゲームですよね」
「そうそう。商いというものは、売り手は金銭を得られるし、買い手は商品を得られて双方得するんだよ」
 

↓ ↑ Bottom Top

「ギャンブルとか宝くじは基本的にマイナスサムゲーム。競馬の投票券を買った人が投入した金額の総和より、払い戻しされる金額の総和のほうが小さい。宝くじを買った人の購入代金の総和より、当選金の総和のほうが小さい」
 
「でないと胴元は儲かりませんよねー」
 
初海が何か考えてるようなので
「どうしたの?」
と幸花が訊くと
「いや、胴元、腰元、膝元って、似たような雰囲気の単語なのに随分意味が違うなと思って」
と初海は答える。
 
「殿様のお膝元で胴元をしている腰元の堂本さんの足元に殿様が寝ていた」
「良くパッと出てくるね」
「それ凄く艶っぽい状況を連想する」
「心が汚れてるな」
「胴元の堂本さんが『どうも』と言う」
「ダジャレ大会か」
 
↓ ↑ Bottom Top

「腰元さんが『腰もっと揉んで』と言う」
「それも艶っぽい状況を連想した」
「心が汚れてるな」
 

「スポーツの試合は表面的にはwin-loseゲームのように見えるけど、その試合をすることで、各選手は自分の技術をみんなに見せることができて満足するし、試合を通じて様々な交流が生まれて楽しい。そういう意味では負けた側も別の所で得してるんだよね」
 
「スポーツをするのはやはり楽しいからですもん」
 
「恋愛もwin-winなんだよ。相手の喜びが自分の喜びになる。悲しみも2人で共有することによって随分やわらぐ」
と神谷内が言うと
「喜びは倍になり悲しみは半分になるのが愛ですよねー」
と初海が言っている。
 
「これに対してレイプはwin-loseだよ。男は気持ち良くて満足するかも知れないけど、女は痛いし辛いし妊娠の不安に怯える。実際妊娠してしまうかも知れない。そしたら物凄い身体の負担に耐えなければならない」
 
↓ ↑ Bottom Top

「レイプは死刑でいいと思う」
と女子たちが言う。
 
「男が受ける社会的な制裁を考えれば lose-lose かもね」
「日本はレイプ犯に対する刑罰が軽すぎますよ」
 

↓ ↑ Bottom Top

「多くのロールプレイングゲームは、プラスサムだよね。ゲームが進行するにつれて参加者はみんな少しずつゲーム内の資産や武器を増やして行くことができる。対戦して負けると一時的には武器や資産が減るけど、また回復していけるから、大筋ではあまり問題無い」
 
「まあゲームの理論は第二次世界大戦終了間際の1944年に生まれて一時期は随分注目されたんだけど、その理論に基づいてアメリカがベトナム戦争をやって美事に負けたから、評価は随分低下した」
 
「ああ」
 
「結局アメリカは、戦争をやっている人々の心情というものを定量化できなかったんだな。人間は損得だけでは行動しない。ベトナムの人たちは損得抜きにして愛国心で戦っていた。アメリカの兵隊たちは無理矢理徴兵された人たちが多くイヤイヤ戦っていた」
 
↓ ↑ Bottom Top

「彼らは素人で技術も低いから、ベトナムではベトコンに殺された兵士より友軍兵士の誤射で死んだ人のほうが多かったと言われる。突撃する時に普通は後方部隊の援護射撃で相手の陣地を攻撃して向こうがひるんでいる隙に突撃隊が突っ込む。ところが米軍兵士の援護射撃は下手糞だからほとんど突撃隊自身に当たったという」
 
「ひどいな」
 
「そんな状態だから、アメリカがベトナムに勝てるわけが無かったんだよ」
 
「それ今のロシア・ウクライナ戦争と構図が似てますね」
「全くだね」
 
「まそれでベトナム戦争の結果、ゲームの理論自体の評価は低下したけど、今でも結構部分的には様々な社会現象の定式化に使われている」
 

↓ ↑ Bottom Top

アクア主演・七浜宇菜助演(実質“3人”が主演のようなもの)の映画 『黄金の流星』は2022年6月14日(火)に、日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・アンドラ・ベネルクス・オーストラリア・ニュージーランドなどで同時公開された。それ以外の国・地域での公開は順次各国・地域の映画会社に委ねられる。
 
「アクアだらけだ」と言われた映画だが、実際この映画で、アクアはアルケイディア、ジルダル、ルクールの3役、宇菜もセス、セルジュの2役をしている。↓はラテン文字圏用のクレジット
 
Arcadia Walker : MS AQUA & MR AQUA
Seth Stanfort : UNA NANAHAMA
 
Mireille Lecoeur : MS AQUA
Zephyrin Xirdal : MR AQUA
Serge Bernard : UNA NANAHAMA
 
↓ ↑ Bottom Top

この物語の原作を知っている人はそう多くはなかったものの、充分楽しめる映画になっていた。昨年のロミオとジュリエット・白雪物語での、アクアと宇菜の演技が高く評価されていたこともあり、かなりの興行成績が出ていた。
 

↓ ↑ Bottom Top

日本国内では2つの噂が生まれることになる。
 
・アクアってやはり男女の双子なのでは?
 
海外では普通にそう思われている。そもそもクレジットで女役がMS AQUA, 男役がMR AQUA になっている。但しこの書き分けは本来、性別に対する宗教界の締め付けが厳しい国への配慮である。実際には MS AQUA, MR AQUA は映画会社としては、ひとりの人物が例えば、DJ OZMA, 綾小路翔, ナオミ・カメリア・ヤジマなど複数の名義を使い分けるのと同様という立場。
 
しかしアクアがもし男女の双子であったのなら、アクアがテレビで性別:男になっているパスポートを見せていた一方で、アクアが性別:女のパスポートを持っているのを見たことがあるという複数の証言とも矛盾しない。
 
↓ ↑ Bottom Top

・女アクアと松田理史って、ひょっとして怪しくない?
 
今回の映画で女頭取役のアクア(多分女アクア)がたくさん船長役の松田とキスしている。映画内では「フランスではキスは日本の握手程度の挨拶です」と説明されていたものの、映画のラストではふたりが結婚するので「ただの挨拶ではなかったのでは?」と言われた。
 

↓ ↑ Bottom Top

泣原死亡(本名:梨原志望(のりもち))は有頂天になっていた。
 
彼が主宰し金沢を本拠地とする“墓場劇団”は2年前までは全く無名で、活動資金は死亡自身の会社勤めの給料と妻の泣原戦死(本名:浅子(あさこ))が経営するナイトクラブから得られる利益で賄っていた。ギャラなど払えないから劇団員も全員他に仕事を持っていた。それで劇団の練習や公演は土日祝に限られていた。また公演をする時は、劇団員に何とかチケットの販売をお願いするとともに1人1万円の出演料を“もらって”いた。
 
しかし2020年2月に『セーラー服とニンジンジュース』という演目を偶然見た東京の著名な俳優・村里泰蔵さんが絶賛してブログに書いたことからマスコミに注目される。またこの劇でチョイ役ながらも、自殺志願の女子中学生を演じた、死亡の息子・カノン(本名:梨原可能(よしたか)当時小6)が「可愛い!」と言われて、中高生女子に人気が出た。
 
↓ ↑ Bottom Top

『セーラー服とニンジンジュース』が注目された直後から新型コロナの流行が始まり、劇場公演ができなくなってしまう。しかし最初にこの劇団を評価してくれた村里泰蔵さんの口利きで、無観客公演のネット中継がネットテレビ局のホーライTVで放送してもらえた。中日本限定(プレミアム会員を除く)だったし視聴率自体はそれほど高いものではなかったものの、一応ネットテレビ局で流す価値のある程度の視聴はあり、以降定期的に放送してもらえることになる。そして得られた出演料はかえってこれまでのリアル公演での売上を大きく上回るものであった。
 
実際これまでは劇団員の方が観客より多いのが日常だった。劇団員8人なのに!
 
ネット中継開始以来、若手男優・極楽昇天と若手女優・草場影見は地場企業のCMに出演したり、ローカル雑誌にインタビュー記事が載るなどして知名度があがり、この2人はそれまでの仕事をやめて俳優に専念することにした。そして地元のテレビやFM局に出演しブログや動画投稿サイトでも人気が出て結構な収入が得られる。死亡自身も会社を辞めてこの2人のマネージングをすることでマージンを得た。
 
↓ ↑ Bottom Top


またカノンについては、興味を持ったレコード会社からCDを出さないかと言われたものの、あまりの音痴に諦められた!でもその美貌と演技力は評価され、劇団の中でも次第に出番の多い役が割り当てられるようになっていく。むろんいつも少女役である!
 
元々はこの劇を制作する時、劇団員の子供に女子中学生を演じられるような年齢の女の子が居なかったことから、死亡が「お前やれ」と言ってやらせたものである。本人は
 
「ぼくがセーラー服着るの〜?」
「何なら中学にもセーラー服で入学していいぞ」
「勘弁して〜」
 
と抵抗したものの、やらせたら演技は上手いし評判になった。それで本人の意志は無視されて、毎回女の子役を演じさせられている。
 
↓ ↑ Bottom Top


↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁目次

[*前p 0目次 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 
春零(1)

広告:アクアランド女子高生セーラー服S-XXL ハイソックス付