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■春零(2)

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更に「役作りのため」と言われて女の子下着を着けるよう言われ、女の子の服を着て街を歩く練習までさせられる。家の中ではいつもスカートを穿いているように言われる。またトイレは必ず座ってするように言われた。更にちゃお・なかよしなどの女の子が読むような雑誌を渡されて読むように言われた(精神的女子化教育)。
 
本人も最初は恥ずかしくてたまらなかったものの次第にそれが普通になってきつつある自分が怖い。ちゃおもなかよしも面白いじゃんと思った。それで学校で女子のクラスメイトと話が合ったりする。「片想いミステイク!」とかはまりつつある。
 
ブラジャーはちゃんと後ろ手で留められるようになった。最近の悩みはブラ跡が付いているのを体育の時間の着替えの時に(男子の)クラスメイトに指摘されたりすることである!
 
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彼が女の子の服を身に着けて金沢の名所をバックに撮影した『カノンin金沢』という写真集まで出て、北陸限定発売ではあったものの5000部も売れ、そのことでまた地元テレビ局の取材を受けたりした。
 

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カノンは囲碁初段の腕前であることから、村里泰蔵さんの紹介で2020年夏に撮影されたアクア主演の映画『ヒカルの碁・プロ試験編』では、棋士採用試験を受ける“女子”受験生役を演じてアクアと握手してもらっている。映画の出演者一覧にも“槇原歌音”の名前でクレジットされた。映ったのは3秒だけだったけど!
 
なお“槇原”というのは『泣原はさすがに酷い』とアクアのマネージャーさんの50歳くらいの女性に言われて少し変えたものである。結局苗字が「なしはら」→「なきはら」→「まきはら」と変化した。ついでにカノンも「歌音」と女の子らしい!漢字に変更された。この漢字もその山村という女性マネージャーが考えてくれた。ついでに性転換手術受けたいなら、いい病院紹介するけどと言われたが断った!
 
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(“こうちゃん”に目を付けられちゃったみたいだけど無事で済むといいね)
 
更に2022年1月に放送されたアクア主演ドラマ『ピーターパン』ではインディアンの中性聖職者リトル・ホーンを演じて、セリフこそ無かったものの目立つ役柄で、槇原歌音という名前に注目する人が増えた。更に2022年夏に公開予定のアクア映画(4-6月撮影)では、とうとうセリフのある役をもらうことができた。どうもアクアのマネージャーさんが歌音を気に入ってくれているようで向こうから話があった。(歌音は“身の危険”が迫っていることに気付いていない)
 
父の死亡は息子が売れるようになると、その収入で劇団員たちにまともなギャラを払えるようになるかも知れないと大いに皮算用をしている。公演の度にみんなにお願いしていた“出演料徴収”は現在無くなり、逆にネット中継1回につき1人2万円の出演料を“劇団員に払って”いる。
 
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ただ、死亡には気になることもあった。
 
妻が経営していたナイトクラブはコロナ流行以来客足が途絶え2020年夏に閉店した。妻は現在他のお店でホステスをして日銭を稼いでいる。また妻とは様々な問題で感情的な対立が深刻化し、2021年春、妻は金沢市内にアパートを借りて別居してしまった。
 
ただし、劇団には関わり続けるし、今すぐ離婚するまでの気持ちは無いと言っている。ただ一緒に暮らしたくないだけだと言う。子供たちは父親の元に残す。
 
そもそも妻は子供嫌いで、これまでも育児というものをほとんどしていなかった。料理も絶望的に下手なので、家で御飯を作るのは死亡の仕事だった。
 
浅子は高校を中退してすぐの頃から、ずっと夜の世界で生活してきていたので、生活のサイクルが会社勤めの夫や、学校に通う子供たちと全く合わない。
 
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子供たちから見ると浅子は、朝自分たちが学校に行く時はまだ寝てるし、学校から帰ってきたらすぐ派手なお化粧して出掛けて行く、変なおばちゃん程度の感覚だった。だから子供たちは母親とは日常的にほとんど話していなかった。参観や運動会などに来るのも父だけだった。
 

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2021年夏には、10年前に劇団を立ち上げて以来、脚本・演出を担当して死亡と二人三脚で劇団を運営してきた、地獄大佐(本名:四国大輔)がネット中継中心の現在の運営に反発して離脱、独自の劇団『死国巡霊』を立ち上げた。劇団員8人の内、やはり観客の居ない所で演技することに疑問を持っていた2人の俳優がそちらに付いていった。
 
『墓場劇団』はその3人が抜けて5人(死亡と戦死を含む。カノンは含まない)になってしまったものの、以前劇団に居て経済的な問題から離脱していた夜野棺桶に頭を下げて、月5万円の“内緒のギャラ”を払うという密約で復帰してもらう。それで6人になったので、後は何とか少ない人数でやれるように脚本(*4) を工夫し、また息子のカノンの出番を増やし、更に3つ下の弟・コーラス(本名:幸助)もやはり女装!で出演させて何とかやりくりしている。
 
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(*4) 地獄大佐離脱以降、脚本は戦死が書き草場影見が校正している。戦死は長年のホステス経験で面白い話の脳内ストックは多いが、学が無いので文法誤りや言葉の勘違いがわりと多い。
 

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ここに来て7月からの新演目『炭泥物語』で学校の教師役を演じることになっていた女優の黒衣魔女(本名:黒井マミ)が体調を崩して入院してしまった。
 
公演の3日前である。公演ができないと莫大な違約金をホーライTVに払う必要が出てくるし、そもそも信用を失って、2度とネット中継の話などできなくなるだろう。背に腹は代えられない。泣原は地獄大佐の所に行き、土下座して、今回の演目限定でいいから『死国巡霊』の女優・成仏霊子を貸して欲しいと頼み、出演料を20万円払うと言った。
 
「ナシちゃん、自分とこの俳優にはまともなギャラ払ってないんじゃないの?」
「それはそうだけど、舞台に穴を空ける訳にはいかない」
「その役者魂には共感する。今回だけだよ」
 
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と言って、彼は成仏霊子本人の承諾を取ってピンチヒッターをさせることを承諾してくれた。成仏本人も
 
「マミちゃん入院したの?大したことなければいいね」
と言って出てくれた。出演料は“友情”で無料で良いと言ってくれた。死亡は泣いて感謝した。
 
死亡は神棚に新しいお酒を供え、
「どうか今回の公演がうまくいきますように」
と祈った。
 
その神棚には石のかけらが供えてあった。この石のかけらをある場所から持ってきて毎日お酒を供えて拝むようになって以来、劇団は上昇気流に乗ってきたのである。
 

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「お父さん、ぼく女の子の服着るの嫌だ」
と次男の幸助(芸名コーラス)は言った。
 
「どうして?」
 
「だって学校で馬鹿にされるんだよ。お前んとこは兄ちゃんもお前もオカマだって」
「そんなの気にすることないよ」
 
「気になるよー」
 
取り敢えずその日は幸助を何とか納得させたもののの、何かあちこちほころびを抱えている気はした。弟は女装を嫌がっているが、兄のほうは逆に女装にハマってしまったみたいで、先日から何度か学校にセーラー服で出ていったみたいだし。でも学校からは特に何も言われていない!(逆に怖い)
 
その件では別居中の妻から
 
「最近、可能が物凄く女らしくなってる気がするけど、去勢したり女性ホルモン飲ませたりはしてないよね?」
などと訊かれた
 
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「さすがにそんな馬鹿なことはしない。鬼畜物のレディコミじゃあるまいし」
と答えておいた。でも実は死亡自身、可能はほんとにホルモン剤とか飲んでないか?と不安を感じていた。そんなものの入手方法は無いとは思うけど。
 
洗濯物の中に可能の“男物下着”を最近見ないので、可能が学校にも女物下着で出て行っているのは間違い無い。体育の着替えとかどうしてるんだろうと思って訊いてみたが可能は
「普通に男子更衣室で着替えてトイレも男子トイレだよ」
と言っていた。
 

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青葉の8ヶ月に渡る遍歴。
 
2021年
10.30 能登→熊谷 ワンティス・トリビュートアルバムの編曲
11.06-07 社会人選手権
12.09 伏木日帰り!で新自宅を見る(作曲家アルバム取材)
12.15 編曲終了。浦和に移動。
2022年
1.01 小浜に日帰り! NewYear Live
1.20-23 北島康介杯(東京辰巳)
 
1.24-26 ミュージシャンアルバム取材
1.27 能登空港に戻ると真珠に拉致されて金沢へ。
1.27-2.12 動く人形の怪を解決
2.13 青葉逃亡(熊谷に籠る)
2.26 津幡組も熊谷に来るのでそちらに合流
3.02-05 国際大会日本代表選手選考会(東京辰巳)
※これとぶつかったので今回青葉は震災イベント不参加。
 
3.07 熊谷で若杉千代のトリビュートアルバム編曲。
3.13 1日だけ彪志とデート
3.30 若杉アルバム編曲完了。千里たちに拉致されS市へ。白い虎事件解決。
4.02 青葉、八王子の龍虎の家に隠れる。
 
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4.13 邦生の結婚式(津幡)でリアルに司会を務める
4.22 津幡組が熊谷に来るのでそこに合流。
4.28-5.01 日本選手権(横浜国際)
5.02-05 津幡組分離合宿(熊谷)
5.06 グラナダに移動して分離合宿。
6.15 ウィーンに移動
6.17 ブダペストに移動。
6.18-25 世界水泳
6.26-27 帰国
6.28-29 能登空港で拉致されてS市へ
 
実に8ヶ月間、自宅には自分自身への取材で数時間戻っただけでずっと各地を放浪?していた。そして青葉はついに6月29日夕方、待望の我が家に帰宅できたのである!
 

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6月29日(水)S市からの帰り、真珠と明恵が交代で運転するエスティマの助手席に身を預けながらも青葉は「私ほんとに帰れるのかなあ。このまま金沢に連れて行かれないかな」などと思っていた。
 
珠洲道路を1時間ほど走る。駒渡パーキングと道の駅・桜峠で休憩する。能登空港ICから能越自動車道に入る。徳田大津JCTでは金沢方面(のと里山海道)に分岐せず、そのまま能越道・七尾方面に直進する(*5).
 
能越道は七尾市内の約3km(病院西IC-七尾IC)の区間だけが未成なので(*6), ここでいったん一般道に降りてコンビニで休憩する。七尾ICから再度能越道に乗った時、青葉が涙を流しているので真珠が驚いて
 
「どうしたんですか」
と訊く。
 
「私このままおうちに帰れるのかなあ」
「もちろん伏木に行きますよ」
と真珠は答える。
 
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(*5) 能登半島中部・南部の超略図↓

 
道路の線形は超適当です。能登空港は輪島市・能登町・穴水町の境界にあります。別所岳SAは穴水町・七尾市の境界線上にあります。のと里山海道・能越道のJCT(徳田大津JCT)は七尾市・志賀町の境界線上にあります。県境PAは富山県と石川県の境界線上にあり県境の線がペイントされています。田舎は境界が大好きです。
 
上記の図では実線で描いてますが、能越道の能登空港ICから輪島市三井ICまでの区間は2023年中に開通予定です。これができると、曹洞宗大本山総持寺の祖院へのアクセスが多分5分くらい短くなります。
 

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(*6) 正確には田鶴浜ICから七尾市街地の小島西部交差点(病院西IC予定地近く)までの七尾田鶴浜バイパスは現時点では一般道だが、実質高速道路並みの規格で作られており、七尾市内の未成区間(病院西IC-七尾IC)の工事が完了したらそのまま能越道に転換されることになっている。
 
これは「現在既に立派な道があるのに、わざわざもう1本作るより早く全線開通させてほしい」という地元の願いに応えたものである。
 
現時点では能越道に転換後も歩道は廃止しない方針で、歩行者が通れる高速道路という、ひじょうに珍しいものが誕生する予定。もっとも筆者はここで歩行者を見掛けたことは1度も無い。
 

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県境PAで休憩しドライバーは明恵に交替する。このまま高岡北ICまで行くかと思ったら氷見南ICで降りるので
「なに、何があるの?」
と焦る。
 
「このICの近くにちょっと面白い、うどん屋さんができてるんですよ」
と2列目に座る真珠が言った。
 
この日の座席配置
 
運転席:明恵/真珠
助手席:青葉
2列目:千里、真珠/明恵
3穴目:幸花、神谷内
 
エスティマはインターチェンジから少し走った所にあるうどん屋さんと体育館のある駐車場に駐まった。これが19時半頃だった。
 
「こんな所に御前の邸が移動してきてる!」
と青葉は驚いた。
 
なんか御前の侍女が2人、こちらに会釈してるし。(思わずこちらも会釈を返した)
 
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「誰かの家があるの?」
などと千里姉が訊くので、うーん。“この”千里姉は乙和御前の事件は知らないのかなあと思った。そもそも1番さん(と青葉は思っている)でも、この邸くらい見えない?
 
それにしてもここに“体育館”が建っていて、しかもその地下に乙和御前の邸があるということは、“どれかの”千里姉が乙和御前に便宜を図ったのだろうと推察された。
 
でも邸の上に体育館を建てるのは絶対“体育館建てたい病”だ!
 

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「ここは基本がきつねうどんなんですよ。それと稲荷寿司を一緒に頼むのがお勧め。トッピング入れたい人は適当に注文して」
と真珠は言っている。
 
「きつねうどん360円って安いね」
などと言って、きつねうどん6つと稲荷寿し6皿を頼む。お金はこの分は神谷内さんが出してくれて追加トッピングは各自で払ってということになった。幸花は牛肉と“半熟?卵”、千里は白身魚の天麩羅を追加していた。
 
「その“半熟”の後に付いてる“?”の意味は?」
「すみませーん。完熟になってたり生だったらごめんなさいという意味です」
と従業員さん。
 
「ああ、そんなの愛嬌」
 
カウンターに器が並ぶが紙の器のようである。コロナが落ち着くまでの暫定処置という掲示が出ている。でも真珠はそこに磁器の丼を置いた。テプラで"MAKO"という文字が貼り付けられている。
 
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「ぼく、マイ丼を買っちゃったんですよ」
と言っている。
 
「ボトルキープみたいなものか」
と神谷内さん。
 
「それに近いですよ。これ使うと30円引きだし」
「食器はいくらなの?」
「300円ですよ」
「10回来れば元が取れるのか」
「それにエコですしね〜。自分専用の器なら感染の心配無いですから」
 
「なんかカードタッチしてた」
「カードタッチすると自分の器が出てくるんです」
「ハイテクだね!」
「他人のと間違う心配無いですから」
「なるほどー」
「銀行の貸金庫と同じシステムだね」
「そうです、そうです」
 

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