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■女子中学生・十三から娘(31)

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6月12-13日(土日)、千里Rはいつものように旭川に出て、きーちゃんから笛・ピアノのレッスンを受け、そして越智さんから剣道の手ほどきを受けた。
 
きーちゃんが櫃美の様子を見たいというので、千里はきーちゃんを“海”に吸収した。
 
中に入ってみて、きーちゃんは驚いた。
 
なんて気持ちのいい空間なのだろう。ほんとにここに数時間居るだけで疲れくらいどんどん回復しそう。ここに“住みたい”くらいだ。
 
櫃美は眠っているが、右の羽根(腕?)以外はもう復活しているので、凄いと思った。ここの環境が、再生能力を高めるのだろう。
 
でも千里ってほんとに人間なの??
 
きーちゃんは、そういう根本的なことに疑問を感じた。
 
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でも、瞬嶽は会ったことないけど、羽衣とか、そこまで行かなくても紫微や歓喜だって、本当に人間なのか疑問を感じるけどね。
 
きーちゃんは歓喜が人間を500人も殺した龍を一撃で倒した現場を見たことがある。そうだ。あの時現場には、紹嵐光龍ほか数名の龍も居た(彼らはその悪事には関わっていない。見ていただけである。止めもせずに!)。しかし歓喜がギロリと彼らを睨むと、皆、緊張した顔をしていた。そしてその後しばらく紹嵐光龍は虚空を困らせたりせずにおとなしくしていた。でもあれほどの力を持つ歓喜や、そのよきライバルかつ親友てある紫微(後の“ひまわり女子高2年A組16番白雪ユメ子”)も、羽衣には遠く及ばない。
 
(このことがあったので、こうちゃんは実は歓喜が恐い。こうちゃんが怖がっているのは歓喜と虚空くらいだったのだが、今年中にもう1人恐い人ができることになる。彼は更に7年後には、瞬嶽を見て、心底震え上がった)
 
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千里はひょっとしたら、紫微や歓喜クラスに近いパワーを持つ所くらいまでは成長するかもしれない気がした。
 
それで、きーちゃんは確信した。
 
この子ならきっと12人もの眷属を制御できる。ただ、こうちゃんが勝手なことをしないように注意しておかなくちゃ。
 

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6月12日(土).
 
中体連野球の夏大会、留萌地区予選が始まった。参加校は8校で、この日は1回戦の4試合が行われる。S中はM中と対戦したが、どちらも決定打が出ず0対0の緊迫したゲームが続いていた。
 
7回(最終回)表、M中はデッドボールとエラーで1アウト13塁という絶好の勝ち越しチャンスを得る。バッターはM中の4番バッターである。
 
2ボール1ストライクから、S中エース野中の投球が少し逸れたのを6回からマスクをかぶっていた2年生キャッチャーの福川が飛び付くようにして何とか抑えた。それを見てM中の1塁走者が飛び出す。福川は全力で2塁に送球した。
 
それを見て3塁走者が猛烈にホームに向かって突進する。
 
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が、
 
実は福川の送球は“ふり”だけだった。
 
いかにも全力で送球したかのように見えたのだが、ボールは実際には投げずに持っていたので、そのまま3塁走者にタッチの態勢である。慌てて3塁走者が引き返す。福川は冷静に追いかけ、走者が三塁手の近くまで行った所で三塁手にボールをトスする。結局、走者は三本間に挟まれタッチアウトとなる。
 

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2アウト2塁に変わる。
 
バッターのカウントは3ボール1ストライクである。
 
セットポジションから外角ギリギリへの投球を見送るがストライクの判定。バッターが思わず「わぁ」という顔をする。しかし福川は捕球した次の瞬間、矢のようなボールを2塁に投げた。2アウトでもあるので、1打出れば一気にホームに帰還しようと離塁の大きかった走者は2塁に戻れずタッチアウト。
 
スリーアウトで、S中はピンチを脱した。
 

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試合はその裏、エース野中自身のホームランが出て、劇的なサヨナラ勝ちを収め、準決勝に進出した。ヒーローとなった野中がみんなから祝福され叩かれているのを見て福川は微笑んでいた。むろん福川も彼のお尻を叩いた!
 

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翌日6月13日は準決勝で春の大会で準優勝しているH中と対戦する。福川は控えキャッチャーなので、ブルペンで控え投手で2年生の前川君のボールを受けていた。5回、ヒットで出た正捕手の横井さんが1塁に走り込んだ時に、足首を痛めたようである。福川は代走を命じられて出て行く。
 
次のバッターがバントで福川は2塁に進む。そして次の野中の打球が三遊間を抜けて外野に転がる。福川は必死で走った。
 
三塁を最小半径で駈け抜けホームに向かう。福川が身体が凄く軽くて、また、足腰がしっかり地面を蹴ってくれるのを感じていた。
 
向こうのキャッチャーがホームをブロックするかのように立っている。送球が来る。が少し逸れる。それを見て福川はその反対側に向い、手を伸ばすようにしてベースタッチ。ボールもタッチされたが、ベースタッチの方が僅かに早かったという判定でセーフ。
 
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貴重な1点を取った。
 
その後、福川は6〜7回の守備でエース野中のボールを受けたが、6回には2塁走者を刺し、7回には1塁走者を刺したし、また次の打者のヒットで本塁に突入してきた走者をタッチアウトにして、相手の得点を阻んだ。
 
結局この試合も1対0で勝ち、S中は決勝に進出した。S中の決勝進出は3年ぶりの快挙であった。
 
試合終了後、福川は強飯監督から言われた。
「福川君、肩の調子がいいみたいだね」
「あ、そうなんですよ。理由は分からないんですが、肩がよく動くようになって」
「へー。元々君ってピッチャーだったんでしょ?」
「はい。でも肩を痛めてキャッチャーに回ったから」
「そのまま調子いいといいね」
「はい」
 
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「でもさすが元ピッチャーだよ。送球が凄い速いし正確だもん」
「それも肩の調子がいいから全力で投げられる感じで」
「じゃ無理しないようにだけしてね」
「はい、ありがとうございます」
 
一度女の身体に改造されて、再度男の身体に戻された副作用?で肩の故障も治ったんだったりしてね、などと司は思った。女の身体になっていた間は肩の付近の形からして変わっていたし。
 
走塁にしても腰が大きくなったおかげで凄く安定して走れるのである。
 
でも副作用というと、乳首が大きくなったままなんだけど、どうしよう!?先週の水泳の授業は風邪気味ということにして休んだけど。ずっと休む訳にもいかないし!貴子さんに連絡すると、もっとおっぱいを大きくされてしまいそうな気がするし(←正解!)
 
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千里Bが1ヶ月以上出現しないので、Bはやはり消滅したのではないかと小春たちは考え、B消失後の“後始末”について方針を検討し始めていた。
 
基本的には
 
・貴司とは別れる
・女子バスケット部は退部する
・Q神社のバイトはやめる
 
という方針を考えて、夏休みに入る頃に実行する方向で計画を練っていた。実際には貴司君と別れたら、その後の2件はわりとスムースに行きそうである。誰か適当な子に千里の振りをさせて貴司に別れ話をするという線で、千里役を誰にさせるか検討していた。
 

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6月15日(火).
 
この日は監督さんが出張のため野球部の練習はお休みであった。司が教室の掃除を終えて帰ろうとしていたら
「司ちゃん」
と呼ぶ声がある。
 
「ちょっと付き合わない?」
と司に呼びかけているのは、村山さんである。タクシーを停めているようだ。
 
「どこか行くの?」
「秘密の相談」
 
まあ彼女ならいいかなと思い、司はタクシーに乗り込んだ(←学習能力が無い)。
 

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タクシーは留萌の市街地を抜け、増毛方面に少し行った所にある古ぼけた病院?で停まる。
「ここは?」
「3年前までは病院だったんだけど廃業したんだよ。私の親戚の所有物件」
「へー」
 
それで司は千里に案内されて中に入った。
 
「司ちゃん、男の子みたいな格好やめて女の子の服を着なよ」
「・・・今日は持って来てない」
「じゃ適当なの貸してあげるよ」
と言って村山さんは奥の部屋からワンピースを持って来てくれたので、司は素直にそれに着替えた。
 
司が女の子下着を着けていたので千里は頷いていた。(部活が無いのをいいことに女物を着て来ていた)
 
ちなみに、司が入ってきた時、奥の部屋に居た人物は「うっそー!?」という顔をしていた。この子、千里の友だちだったの〜?
 
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千里は、紅茶を入れてクッキーを勧めた。
 
「ありがとう」
と言って紅茶に砂糖とミルクを入れ飲む。クッキーを摘まむ。あれ?このクッキー、最近どこかで食べたのと同じ味だ、と思ったが、どこだったか思い出せなかった。
 
「司ちゃん、女の子になりたがってるみたいだから、何かお手伝いしてあげられないかなあと思って」
と千里は言う。
 
そういえば村山さんって、元は男の子だったという噂もあるけどまさかね。
 
「そんなこと全然考えたこともなかったんだけど、最近急にそういう気持ちが強くなっちゃって。今スカートが10枚くらいあるし、女の子用のショーツも15枚近くあるんだよ。実はブラジャー着ける練習とかもしてる、まだうまく着けられないけど」
 
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夏服セーラー服もゲットしてしまったことまでは(恥ずかしかったので)話さなかった。
 
「ああ、ブラジャーは、おばちゃんたちは前でホックを填めて180度回転してから肩紐掛けるけど、あれはよくない。ちゃんと後ろ手で留められるようにならなくちゃね」
 
「180度回転!そうか、そういう方法があったのか!」
「司ちゃゃんのお母さんとか、そういう着け方しない?」
「お母ちゃんはぼくの前で下着つけたりはしない」
「へー。偉いね。うちのお母ちゃんは私や妹の前でやってるけど」
「それは女の子だから気を許してるんだと思うよ。うち男ばかりだもん」
 

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「兄弟は男ばかり?」
「男4人なんだよね〜。女の子が欲しかったみたいだけど、男が4人続いたところで諦めたみたい」
「ありがちありがち。だったら司ちゃんが娘になったら、きっと御両親喜ぶよ」
「そうかなあ」
「女物の服の洗濯とかどうしてるの?」
「自分の部屋に干して、朝出かける前に自分で取り入れる」
「それ絶対お母さんにはバレてる」
「バレてるかもしれない気はする」
 

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千里は
「ここから先は夢です」
と宣言した。
 
司はどういう意味だろう?と訝っている。
 
「ねえ。女の子になりたい気持ちがあるなら、睾丸取っちゃわない?」
と千里は言った。
 
「睾丸か・・・」
 
「だって、睾丸が付いてたらどんどん男っぽくなっちゃうよ。20歳くらいになってから女になりたいと思っても、既に男の骨格ができあがってしまってる。今睾丸を取っておけば、後から女になりたいと思ったら女性ホルモン飲めばいいし、後から男になりたいと思ったら男性ホルモン飲めばいい」
 
「つまり性別分化を保留しちゃうのか」
「そうそう。13歳はその保留をする最後のチャンス」
 
司はしばらく考えていた。
 
「あのさ。とても信じてくれないかもしれないけど、ここだけの話」
 
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と言って、司は先日、旭川で不思議な女の人に出会い、完全な女の子に変えてもらったこと、でも自分が男に戻りたいと言ったら男に戻してくれたことを語った。千里はじっと話しを聞いていたが、チラッと奥の部屋に居る人物を見る。
 
その人物が困ったような顔をしている。
 
なるほどねー。
 
世の中親切な人が多すぎる!
 

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「じゃせっかく女の子になれたのに、男に戻っちゃったんだ?」
「惜しい気はしたけどね。原田さんなんか見てると、ぼくにはとても社会的な性別の壁を越える自信が無い」
 
「確かに壁を越えるのは大変かもね」
「でしょ?」
 
「じゃ一応男になって、趣味で女装する線?」
「そういう生き方になるかも。ぼく完全な男にはなれない気がする」
「でもそれきっとその内、女になりたくなるよ」
「そうかもしれないけど、ぼくは今女になる道も、性別を保留しておく道も取る勇気が無いから。男の身体が完成してしまうのは仕方ないと思う」
 
「ああ。るみちゃんなんかと似た路線かな」
「彼女はぼくなんかよりずっと性別を変えたがってるよね」
「あの子はきっと高校くらい卒業したら性転換して男になるだろうね」
 
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司は留実子と同じクラスである。
 
「でもぼくは男として生きていく道を選ぼうと思う」
「じゃ仕方ないか」
と言って、千里Gは司の睾丸を取ってあげるのはやめることにした。奥の部屋にいる、きーちゃんも頷いている。
 

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