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■女子中学生・十三から娘(11)

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10分間の休憩を置いて準々決勝が行われる。準々決勝はこのような組み合わせになる。
 
村山S−中山K
前田R−原田S
木里R−羽内S
麻宮R−沢田S
 
千里は中山さんに、木里さんは如月に、順当に勝った。如月は「全く勝てる気がしなかった」と言っていた。しかしそうい相手と真剣勝負をしたことで物凄い勉強になったはずだ。
 
玖美子と麻宮さんの対戦はかなりの熱戦になったが、時間切れ間際に玖美子の返し胴が決まり、玖美子が1本で辛勝した。
「延長になったら勝てなかったと思う」
と玖美子は言っていたが、彼女はわりと運のいいタイプなのである。
 
沙苗は前田さんに攻撃が全く通じず「うっそー」と思った。あっという間に1本取られ、2分ちょっと過ぎた所で更に1本取られて完敗である。その対戦を見て千里は、前田さん、かなり進歩してる!と思った。
 
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沙苗は女子剣道部に入って初めて、自分を鍛え直そうという気持ちを強く持った。でも千里ちゃんのお陰で全力で戦ったからこそ、得られた境地かもしれない気がした。本当に私、女の子になって良かったと思った。男子のままで居たら、きっとずっと中途半端な気持ちのままだったろう。
 
(後で種明かしを聞くと前田さんは沙苗と当たるかもと思い、沙苗の対戦のビデオを見て癖を研究していたらしい)
 

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そういう訳で、ベスト4は、千里・玖美子・木里さん・前田さん、とシードされていた2年生4人である。この日のここまでの対戦を見ていても、留萌地区で、この4人の実力が抜きん出ているのがよく分かる。
 
10分の休憩を置いて、準決勝か行われる。
 
が、どちらもあっけなく片が付いた。
 
千里−前田は1分で千里が2本取ったし、木里−玖美子も30秒で玖美子が2本取られて決着が付いた。実力差が大きいのでここはどうにもならない。
 
準決勝がすぐ終わったので休憩時間は5分に短縮され、まずは3位決定戦が行われる。
 
前団さんと玖美子が対決するが、この2人も本当に良いライバルである。前田さんもかなり進化していたが、玖美子は彼女の太刀筋をよく読んでいるので、スピードではやや彼女に劣るものの、うまく相手の攻撃をかわしく行くし、少しでも隙があれば返し技を出して行く。
 
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結局本割ではどちらも1本取れず、延長戦に入る。これもなかなか決着が付かなかったが、終了間際、双方最後の勝負という感じで面を打ちに行く。
 
止めがかからない!
 
つまり相打ちだったようである。残り5秒でふたりは再度面打ちに行ったがこれはどちらも決まらず、試合終了となる。
 
そして判定は、引き分け!
 
前田さんの方が勢いがあったから判定になると不利かなと思ったのだが、玖美子も充分対抗していたという判断だったようである。
 
そういう訳で、2年生最初の大会では、玖美子と前田さんは3位を分け合った。昨年春の大会で千里と木里さんが3位を分け合ったのと似たような展開になった。
 

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決勝戦になる。
 
千里も木里さんも気合充分である。
 
「始め」の合図で試合が始まるが、木里さんは物凄い気魄である。
 
最初から激しく、しかもスピーディーな戦いとなる。どちらもほとんど気配の無いところから瞬間的に攻撃に行くが、双方、それをしっかりかわして、反撃に行ったりする。
 
「この子たち二段同士?実際には三段レベルだよね。え?嘘!?どちらもまだ初段なの?信じられない!」
などという会話が飛び交うほどハイレベルの戦いだった。
 
本割終了間際、木里さんがほんとに何も気配も無いところからいきなり面を打ちに来た。
 
が千里も超反応して、ほぼ同時に面を打ちに行く。
 
両者の面はほぼ同時に決まった。
 
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相打ちかな?と思い、残心を残したまま、いったん引き、すぐ態勢を立て直す。
 
が「面あり」の声。
 
あらぁ。負けたかな?と思って審判を見たら、旗は赤??
 
うっそー!?
 
つまり千里の面が有効で、木里さんのは無効という判定である。
 

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残り3秒だが、両者向かい合って、試合再開する。
 
むろん木里さんはすぐに面を打ちに飛び込んで来る。千里はそれを軽やかに交わし、彼女が態勢を立て直した瞬間、こちらが面を打ちに行く。でも彼女もそれをギリギリでかわす。
 
ここでブザー。
 
それで千里は新人戦に続き、春の大会の個人戦でも優勝したのであった。
 
双方礼をして下がる。
 
木里さんは千里に言った、
「私もだいぶ鍛えたつもりだったけど、村山さん、異次元に進化してる。また夏までに鍛え直す。夏の大会の決勝でまたやろう」
 
「そうだね。今年は栃木(全国大会)に行こうよ」
「行きたいね!」
「留萌から2人行けたら画期的だよ」
「うん。頑張る!」
 
2人はそう言って握手をした、
 
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最終勝敗表
村山S┳村┓
阿部H┛ ┣村┓
田_R┳中┛ ┃
中山K┛   ┣村┓
前田R┳前┓ ┃ ┃
井上C┛ ┣前┛ ┃
原田S┳原┛   ┃
木下M┛     ┣村
木里R┳木┓   ┃
広島K┛ ┣木┓ ┃
羽内S┳羽┛ ┃ ┃
倉岡C┛   ┣木┛
沢田S┳沢┓ ┃
桜井F┛ ┣沢┛
麻宮R┳麻┛
吉田M┛

 

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さて、羽幌町総合体育館で行われていた男子の個人戦だが・・・
 
参加者が135人なので、1回戦(7)→2回戦(64)→3回戦(32)→4回戦(16)→5回戦(8)→準々決勝(4)→準決勝(2)→三決(1)・決勝(1)、という進行になる。
 
竹田君は、昨年度の春・夏・新人戦とBEST16だったのだが、今回はついにBEST8まで進出した。K中の門田さんに負けて準決勝には進めなかったものの、5位の賞状をもらった(5-8位決定戦はしない)。
 
そして今回、工藤君も凄かった。これまではBEST32までしか行ったことは無かったのに、竹田君同様、BEST8まで進出する。R中の来宮さんに負けて準決勝には行けなかったものの、竹田君同様、5位の賞状をもらった。
 
彼が白い道着で次々と紺色の道着の選手を倒していくので、“白い稲妻再び”?という騒ぎが一部で起きていた。新聞記者が寄ってきて、取材を申し込んだ。
「工藤公世(くどう・きみよ)さんって女子選手ですよね。また何かの事情で男子の部に出たんですか?」
と岩永先生に尋ねたのだが・・・
 
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「彼は普通の男子ですよ。名前も“きみよ”じゃなくて“こうせい”です。彼は、うっかり自分の道着を全部洗濯して、お姉さんのを借りて来ただけです」
と先生は答える。それで記者も
 
「なーんだ!そうだったんですか」
とがっかりした様子であった。
 
それで『白い稲妻・再び』というのは、幻の記事となった!
 

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そのやりとりを見てて、竹田君が言った。
「工藤が今回凄い成績を収めたのは、その白い道着のおかげかもな」
「え?白を着ると強くなるの?」
 
「違うよ。白を着てると、工藤って元々女顔だし、声もハイトーンだから、女子が男子の試合に出てるように相手は思ってしまう。すると、あまり強く打って怪我させたらとか思って相手は自然と手加減してしまう。それで勝っちゃった」
 
「うーん・・・」
 
「去年、原田が3位になっちゃったのも、同じ原理だと思う」
「そういえば、そうかもしれない」
と佐藤君が言う。
 
「じゃやはり夏の大会ではここまで行かないかなあ」
と工藤君。
 
「原田みたいに性転換して“女子の部”に行く?」
と竹田君が言うと
 
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「どうしよう?」
と工藤君は悩むような顔で言った!
 
迷うのか!?
 

千里の父の船は、4月29日(木・みどりの日)は休まずにそのまま働いた。そして4月30日(金)の夕方帰港すると、次の週は一週間お休みで、次は5月10日(月)の朝出港である。
 
千里と玲羅の学校、また津気子の会社はカレンダー通りなので、次のような休みになる(●休◇出)。
 
4/29木● 30金◇ 5/01土● 02日● 03月● 04火● 05水● 06木◇ 07金◇ 08土● 09日● 10月◇
 
連休中、千里YはずっとP神社に詰めていて、勉強会に参加しながら、昇殿祈祷や笛の演奏をしていた(笛は千里・恵香・小町の3人で交替)。また“光辞”の朗読も進めていた、
 
玲羅は学校の無い5月1-5日,8-9日は一日中神社に行って・・・算数ドリルをやらされていた!玲羅は勉強は苦手たが、父と話したりするのは、もっと嫌である。
 
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父は30日に帰港した後、疲れがたまっていたのか5月3日くらいまでひたすら寝ていて、4日は福居さんの所に行ってビール飲みながら将棋をしていたようである。長時間居て申し訳無いので、津気子はビール券を持たせて福居さんの奧さんに渡してあげていた。
 
千里はこのふたりの将棋を1度だけ見たことがあるが、二歩どころか三歩になっていても気付かず、王手掛かっているのに掛けたことになった側も気付かず、掛けられた側も他の手を指すとか、全く酷い将棋だった。まだ歩を斜めに動かしたりしない分だけマシな程度だった(そこまで行くともはや別のゲーム!)。
 

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玲羅は神社ではお勉強のかたわら「お姉ちゃんがあれだけ上手いなら、きっとあんたもできる」と言われて取り敢えずプラスチック製の龍笛を渡され、笛の練習もすることになった。
 
玲羅は確かに笛とは相性が良かったようで、笛の腕前はかなり上達する。姉との違いは、千里は龍笛もフルートも吹けるのに、リコーダーが全く吹けないという変な人であるのに対して、玲羅は龍笛が吹けるようになると、それまで苦手だったリコーダーもちゃんと吹けるようになり、音楽の先生から褒められた。
 
「村山さん、龍笛吹くなら、ファイフも吹けるよね?」
と言われて、鼓笛隊でも、小太鼓係から、ちょうど欠員が生じたファイフ係にコンバートされた。
 
「ファイフですか?」
「スカート穿けることが条件だけど問題無いよね?」
「スカートあまり好きじゃないけど、穿くのは問題無いです」
 
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ファイフは、千里に頼んで旭川まで連れて行ってもらい、自分で購入していた。旭川まで行ったついでに色々ゲームの本なども買っていた。
 

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千里Bは休みの間は毎日Q神社でご奉仕していた。こちらでは休み中はメインの笛担当となり、京子・映子の姉妹と3人で昇殿祈祷の笛を吹いていた。
 
神社の一室でいつも漫画を読んでいる(正確には漫画読みながらオナニーしている)貴司は、しばしば神社の力仕事に徴用される。捧げ物の移動をしたり、建物の高い所が壊れたのを修理したりなどしていた。
 
千里の手が空いている時は、バスケットボールを持って1on1などしたりもするが、千里はどんどん進化している。この頃はまだ貴司が圧倒的に強いのだが、たまに抜かれたりする場合もある。
 
「千里、女子の試合に出られないんだったら、いっそ男子の試合に出ない?千里の力なら男子チームでもベンチメンバーに入れると思う」
などと誘う。
 
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「嫌だ。男子の試合には出たくない」
と千里は答えていた。
 
(4月24日の大会では男子は増毛町立体育館、女子は増毛中学で試合をしていたので、貴司は千里(実は千里Y)の出た試合を見ていないし、千里Bは自分が出た覚えは無いので「私が女子の試合に出る訳ない」と言う)
 

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