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■女子中学生・十三から娘(5)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-07-02
 
福川司はその日旭川のショッピングモールに来ていて、トイレに行きたいと思った。何気なくトイレのような所に来る。小便器が見えるので男子トイレと思い中に入る。30歳くらいの女性が3-4歳くらいの男の子にそこでおしっこをさせていた。このくらいの子供だとお母さんが付いてないと不安なのかなあと思い、少し離れた所で待つ。
 
その時、司は気付いた。奥の方に個室が3つあり、そこに女性が3-4人並んでいることに。
 
なんで男子トイレにこんなに女性がたくさん居るの?
 
そんなことを考えていた時、唐突に福川は声を掛けられた。
 
「あれ?司(つかさ)ちゃんじゃん。旭川に来てたの?」
それは村山千里だった。中学に入ってからは別のクラスになったものの、小学4-6年では同じクラスだった。村山さんって、男の子なのか女の子なのかよく分からない。学生服を着てる所もセーラー服着てる所も見たことある。でもやはり男の子なのかな。男子トイレ使うんだから、などと考える。
 
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「うん。お母ちゃんやお兄ちゃんたちと一緒に出て来たんだけど、みんな映画見ると言うから、僕だけお店の中見て回ってた」
「ああ。あまり興味の無い映画だと見るのも退屈だよね」
などと言っている内に、奥のほうの個室が空いた。
 
「空いたみたいよ。どうぞ」
と村山さんが言う。
 

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自分は小便器の所で待っていたのだが、男の子は服を直すのに手間取っているようである。それで個室でもいいかと思い、そちらに入った。便座をあげて用を達し、終わったら便座を戻しておいた。
 
個室を出て手を洗っていたら、村山さんも出て来てまた一緒になり、何となく一緒にトイレを出た。
 
トイレを出た後で、村山さんが小さな声で言った。
 
「でも司ちゃん、女子トイレ使うのね。でもどうせならスカート穿いてた方がトラブル無く使えると思うよ」
 
「女子トイレ!?え?もしかして今入ったの女子トイレだった?」
と言って、福川は青くなる。
 
「女の子が男子トイレ使うわけない。トイレの中も女性だらけだったでしょ?」
「でも小便器があったよ」
「あれはお母さんが同伴する幼児のための小便器だよ」
 
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うっそー!?俺、女子トイレに入っちゃった!?
 

福川が頭の中パニックになっていたら、村山さんは言った。
 
「折角旭川のデパートに出て来たんなら、可愛いスカートとかでも買って帰ったら?私、選ぶの付き合ってあげるよ」
 
「そ、そうだね。でもあまりお金無くて」
「だったらリサイクルショップで選ぶといいよ」
 
それで福川はうまく乗せられて、リサイクルショップに行った。レディス専用の店のようで、たくさん女の子用の服が並んでいる。レディスの服の店なんて入ったこと無かったので、くらくらとする。しかし値段が凄い。100円!とか200円!なとという値札が付いているので、すげーと思った。結局300円のレースたっぷりの白いロングスカートを選んだ。
 
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「ウェストが合うかどうか試着してみなよ」
と言われて、フィッティングルームで生まれて初めてスカートなるものを穿いてみたが、なんか可愛い気がした。村山さんからも
「似合ってる。やはりいつもスカート穿いてるのね。穿きこなしてるもん」
などと言われた。
 
それでそのスカートと、もう一枚、紺色のロングフレアースカート(250円)を買ってしまった。村山さんもスカートを2着選んだ。そして会計した後でフィッティングルームを借りて、紺色のロングスカートを穿いてお店を出た!
 
「スカート穿いてたら、女子トイレに居ても、性別疑惑もたれることはないよ」
 
と彼女が言うので、福川はさっきは、自分が女子トイレにいたら痴漢か何かと間違われると思って声を掛けておしゃべりしてくれたんだ、ということにやっと思い至った。村山さんがいなかったら、俺、マジで痴漢として捕まってたかも。
 
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それで村山さんとは別れたが、お母ちゃんたちと合流する前にはズボンに戻らなきゃと思って、ドキドキした。
 
彼はその“スカートからズボンに穿き換える”のをどこでするのか、という問題について、何も考えていない!
 

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彼はその後、本屋さんでしばらく時間を潰した後、再度(今度は意識して)女子トイレに入ったが、特に何も騒がれなかった。でも女子トイレって順番待ちの列がいつもできてるのかなと思った。
 
そして彼はスカートを穿いていると、立っておしっこがてきない!という問題にも気付いてしまった。便器に座ってしたが、座ったのに小だけをするのは変な気分だった。だけどスカートで便器に座る場合、スカートをめくってパンツ下げるだけだからズボンより楽だという問題にも気付く。つまり女性はスカートの方がトイレは楽なんだなということを認識し、なんか凄い発見をした気分になった。
 
トイレを出た後、通路を歩いていたら、白い上着に白いミニスカート、青い帽子をかぶったお姉さんがティッシュか何か配っている所に遭遇。何となく受け取ったが、どうもティッシュではないように思えた。しばらく見ている内に、これは女性用のナプキンではないかということに思い至り、かぁっと真っ赤になった。
 
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こんなの持ってるのお母ちゃんに見付かったら変態か何かと思われそう。どこに隠しておこう、などと考えていたら、自分が今スカートを穿いている問題は、ほぼ忘却してしまった。
 
彼はこのスカートの“洗濯問題”についても、まだ何も考えていない。
 

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4月23日(金).
 
授業はいつものように6時間目が15:25に終わるのだが、千里YはいつものようにS町15:26(←一応授業は終わっている!が、帰りの会には出てない)の幌延行きバスに乗ると15:31頃にC町で降りた。そのままP神社に入り、(温水の)シャワーを浴びて、下着まで交換してから巫女衣装を着る。これからだいたい20時頃まで、ここでご奉仕するのが、千里Yの日常である。その内、蓮菜か恵香あたりが来たら勉強会を始めるが、その前から千里は小学5年生(やっと5年生になった:Rはまだ4年生)の算数ドリルをやる。
 
翻田宮司が来て言った。
「あ、まだ千里ちゃんだけか」
「ええ。みんなだいたい16時半くらいに来ることが多いですね」
 
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(帰りの会に出て、掃除にも参加したら、どんなに早くてもその時間になる!)
 
「千里ちゃん、明日何か用事ある?」
「特に無いですよー。中体連の大会があちこちであって、部活に入ってない人はどこでもいいから応援に行ってと言われたけど、どこか応援に行ったことにしておけばいいですから」
「じゃ明日、家のお祓いに付き合ってくれる?」
「はい、いいですよー」
 
「なんかポルターガイストみたいなのが起きてるらしくて」
「そういう家は引っ越した方がいいんですけどねー」
「うん。でもまあ現地の状況を見てから」
「分かりました」
 

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そういう訳で、明日・明後日の土日は、中体連の大会があちこちで開催されるのだが、女子バスケット部も、女子剣道部も、今回は会場が市外なので、保護者の車に相乗りして向かうことにしている。
 
女子剣道部では、このように計画した。
紅音の母の車:紅音・真南・聖乃
香恵の母の車:香恵・如月・好花
沙苗の母の車:沙苗・玖美子・千里・セナ
 
グループ分けは地域的な理由が大きい。純粋に地域別なら如月も真南たちと一緒のほうが都合がいいが、1年生の好花が3年生の香恵と2人だけでは緊張するだろうということで、如月が同乗する組合せにしている。
 
女子バスケ部では、このように計画した。
久子の母の車:久子・数子・雪子
友子の母の車:友子・泰子・伸代
千里の母の車:千里・留実子・雅代
 
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これも主として地域的な分け方である。雪子は実は泰子たちと一緒の方が便利だが、雪子は孤独癖があるので、同学年の泰子たちより、他学年の数子などと一緒にした方が気楽だろうという判断。雅代はシューターなので千里とたくさん話したそうだったので、そちらに乗せる。
 
千里母の車では“男の子”の留実子が助手席で、千里と雅代が後部座席である。千里と母が出かけるので、父と2人になりたくない玲羅は1日P神社に行ってると言っていた(花絵に言われて小学1年生!の算数トリルをやらされることになる。玲羅は1桁の引き算が怪しい。むろん九九など全く覚えていない!!)。
 
小春は、新人戦の時は会場が隣で混乱したけど、今度は留萌の北と南だから問題は起きないだろうと思っていた(←甘い!)。
 
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4月24日(土).
 
この日は中体連バスケットボール留萌地区大会が増毛町(ましけちょう)の増毛中学校および、近くの増毛町立体育館を会場に行われる。増毛中学と増毛町立体育館は600mほど離れているが、ここは留萌の中心部からR231沿いに南西へ17kmほど行った場所である。
 
一方、この日、中体連剣道留萌地区大会が羽幌町(はぼろちょう)の羽幌中学校および羽幌町総合体育館を会場に行われる。2つの会場は900mほど離れている。ここは留萌中心部からR232沿いに北へ50kmほど行った所にある。
 

 
剣道部もバスケット部も保護者の車に乗り合いして会場に向かうことにした。
 
剣道部は沙苗の母の車(ビスタ)に、沙苗・玖美子・千里・セナの4人が相乗りしていくことにした。集合場所はC町バス停である。ここは留萌市でも最北端付近なので、そこからR232を45kmほど北上すると、会場の羽幌町に到達する。
 
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「助手席はセナか私かどちらかだな」
と玖美子は言った。
 
「ん?」
 
「要するに性別の女性度が、私>千里>>沙苗>>>セナ、だからその左端か右端が助手席に乗るのが平和」
 
「よく分かんなーい」
と千里は言うが
「くみちゃん、助手席に乗りなよ」
と沙苗が言って、そういう席順になった。
 
後部座席は、千里・沙苗・セナと並ぶ。
 
「でも女性度ってあるんだ?」
「私は100%女、千里は110%女、沙苗は50%女、セナは10%女」
と玖美子は言う。
 
沙苗は妥当な数字かもとは思ったが
 
「さっきの不等号の順序と違う」
と指摘した。
 
ただ22日の晩の出来事で、自分が70%、セナも30%くらい女になったかも、という気はした。あの夜のことを後で千里に尋ねてみたものの、どうも何も知らないようである。だから、きっと“あの千里”は、普段学校にいる“千里”とは別の千里かもしれない気もした。千里が何人かいるのでは?というのは、沙苗も小さい頃から、漠然と感じていた。そしてきっと、私にずっと女性ホルモンをくれていたのが、あの千里だと思った。
 
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バスケット部では、千里の母・津気子が車(ヴィヴィオ)に千里(千里B)を乗せて家を出るが、この時ついでに玲羅をP神社にポストした。玲羅は母の車が出発してすぐに、千里姉が神社に来て
「あれ?玲羅来てたんだ?」
と言ったのは、気にしないことにした!
 
(むろん車に乗っていたのは千里Bで、神社に来たのは千里Yである)
 
津気子は留実子の家に寄って留実子を乗せ、その後、T町までR232(R239重複区間)を南下。T町バス停でお母さんと一緒に待っていた雅代を乗せる。そして留萌市中心部近くまで南下すると、ルルモッペ大橋を渡り、R231に入る。市街地を通過し、増毛方面へ南下を続ける。約30分ほどで開会式が行われる増毛町立体育館に到着した。到着したのが8:20頃で、開会式は8:50の予定なので余裕である。
 
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千里たちが到着した時、既に久子たちの車は到着していた。そして2分ほどで友子たちの車も到着した。
 

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