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■女子中学生・十三から娘(22)

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「だけどお母さん、凄い積極的だね」
と千里。
 
「たぶん雅海ちゃんの家では雅海ちゃんが女の子になるのは既定路線になっていたんだと思う」
と沙苗。
 
「そうかな」
「だって、雅海ちゃんがショーツとかブラジャーとかスカートとか洗濯して干してたら、取り入れた人はそれを雅海ちゃんの部屋に置いてくれるんでしょ?」
 
「うん」
「つまり雅海ちゃんは女の子になりたい子だというのが家族には認識されている」
「それはそうかも」
 
「それでどうせ女の子になるのなら、早く治療した方がいいと御両親は思っていた」
「母ちゃんからも『どうせなら早く手術した方がいい』と言われた」
 
「だからバックダンサーしたという件はきっかけにすぎない。そういうのが無かったとしても、夏休みくらいに睾丸を取る手術を受ける話は出てたと思うよ」
「じゃどっちみち、ぼく、今年中に男の子はやめてたのかなあ」
「いやとっくに男の子はやめてると思う」
「そうなの!?」
 
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「クラスで雅海ちゃんを男の子と思ってる人は居ないと思うなあ」
「私もそんな気がする。少なくとも男の子としては扱われていない」
「そうかなあ」
 

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「じゃ、睾丸を取っちゃえば問題解決?」
と千里が言う。
 
雅海は少し考えていたが
 
「やはり取っちゃおうかなぁ。無くても困らない気がするし。病院行ったほうがいいかな」
と言った。
 
「睾丸取るくらいなら、私が取ってあげるよ」
と千里は“ある方向”を見ながら言った。向こうは頷いている。
 
「取れるの?」
と雅海。
「ちんちんも取る?」
と千里。
「どうしよう?」
と雅海。
「ついでに取ってもらったら?」
と沙苗。
「それでもいいかな」
と雅海は言った。
 

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「じゃ取っちゃうね」
と言って千里は、雅海のスカートの裙から手を入れ、パンティをちょっと下げるとちんちんとタマタマを掴んだ。そしてグイッと引き抜いた!
 
「え!?」
と雅海は驚いている。
 
千里の手に雅海のちんちんとタマタマが握られている。ちんちんはとても小さい。セナのちんちんより更に小さい感じである。
 
雅海は自分のお股に手をやり、ちんちんとタマタマが無くなっているのを確認した。
 
「どうする?やはりちんちん取られたくないと思ったら、すぐ戻してあげるけど」
「いや、これでいい。びっくりしたけど」
 
「じゃそれで。このちんちんとタマタマはどうする?捨てちゃう?」
と千里は言ったが、沙苗が
 
「冷凍保存でもしといたら?念のために」
と言う。
 
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千里はチラッと“その方角”を見る。
「じゃ保存しておくね」
と言って、千里は奥の部屋に入り、大神に手渡した。
 

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そして部屋に戻った。
 
「今ちんちんが無くなったから、単におしっこの出る穴がポツンと開いてるけど、いっそ割れ目ちゃんも作る?」
 
「それ無いとおしっこした後、拭くのが大変だよ。作ってあげなよ」
と沙苗が言うので
 
「じゃ朝目が覚めるまでには出来てる」
と千里は言った。
 
すると雅海は眠ってしまった。
 
奥の部屋からさっきの2人の女性が出て来て、雅海を別の個室に運び入れた。
 

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沙苗が言った。
 
「雅海ちゃんは、まだペニスまで取る覚悟ができてないと見た。今夜取るのは睾丸だけにしときなよ」
 
千里は“そちら”を見た。“そのお方”は不満そうだが、まあそれでもいいかという表情である。
 
「ではそういうことで。その代わり、沙苗、雅海ちゃんにタックを指導してあげなよ」
「分かった。教えておく」
 
「まあこれは夢だからね」
「その“夢”という意味、こないだは分からなかったけど、今日は分かった。夢と現実が混じっているんだ」
「全部夢なのに」
と千里は言った。
 
「その証拠に私自身が存在していない」
「存在ということばの定義が分からない」
 

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「で、沙苗の悩みは何?」
 
「ひとつ確認したいんだけど、私に卵巣あるよね?」
「3つある」
「3つ!?」
「沙苗の身体に干渉しているのが2組あるみたいだね」
「へ!?」
「ひとつは“さるお方”、もうひとつは“ある人物”」
「さっぱり分からない!」
 

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「ひとつのグループは1年前に沙苗が生死の境を彷徨っていた時に、密かに沙苗の細胞を採取した。それを万能細胞に変えた」
 
「そんなことができるの?万能細胞って、受精卵の時しか取れないものと思ってた」
 
「まあ人間にはできないよね」
「なるほどー」
 
(山中伸弥がiPS細胞に関する技術を発表したのは2006年8月であり、2004年の時点で、万能細胞としては受精卵から採取するES細胞のみが知られていた)
 

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「まあそれでその万能細胞を女性性器に育てた。それを最近沙苗の身体に移植して戻した」
「うーん・・・・」
「だからこの女性器セットはまだ0歳児サイズだけど、ちゃんと膣、子宮、左右の卵巣と卵管がある」
「凄い」
 
「神社によく居る黄色い時計を填めてる千里も同じ方式で、小学4年生の時に万能細胞を取ってそれを女性器に育てて、1年くらい前に移植戻している。だからあの子は30歳くらいになったら子供を産むかもね」
 
「じゃ私も子供を産めるの?」
「今沙苗の卵巣・子宮は0歳児の状態なんだよ。20年後、35歳くらいになったら子供を産めるようになる」
「ほんとに?」
と沙苗は驚いている。
 
「普通の女の子は11歳くらいで生理が始まる。だから沙苗もたぶん24-25歳になったら生理が始まるよ。原理的には生理が来たら赤ちゃん産めるけど、最初は機能が弱いから最低でも30歳くらいまでは我慢したほうがいい」
 
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「私、既に生理が来てるんだけど」
「それは別系統の卵巣・子宮・膣だね」
「別系統?」
 
「ある人が最近亡くなった女性の子供を作りたいと考えた。それで今代わりに産んでくれる女性を探している最中なんだけど、それまでの間、卵巣を保管しておきたかった。人間の卵巣は人間の身体の中に保存するのがいちばんいい。それで卵巣を放り込んでも迷惑じゃなさそうな男の子を探していた」
 
「女性じゃだめなの?」
「本人の卵巣と干渉するから」
「そうか!」
 
「普通の男性だと、そんなものを身体に入れたら身体が女性化して困る。だから女性化したい男の娘が最適だった。一方、沙苗とセナは女性ホルモンの補充を望んでいた。それでその卵巣を1個ずつ勝手に沙苗とセナの体内に入れちゃったんだな。これシールドされてるからMRIとかには映らない。手術とかしようとして身体を開いたら見えるけど」
 
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「うーん・・・・・」
 
「最終的に産んでくれる人が見付かったら沙苗あるいはセナの卵巣から卵子を採取して、適当な男性の精子と結合させて代理母さんの子宮に入れる。その作業が終わったら今沙苗とセナの身体に入っている卵巣は取り外してもらえると思う」
 
「それ勝手にやったの?」
「そうみたい。酷いよね」
 

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「でも確かに卵巣があるのは困らない」
「多分代わりに産んでくれる人は数ヶ月以内には見付かると思うし。それまで悪いけど、入れさせておいて」
 
「いや、むしろ代理母さんが見付かっても取り外さないで欲しい」
「じゃそのままにするよう言っておく」
 
「ありがとう。でもちょっと待って。卵巣があるなら、私、女性ホルモン剤、飲む必要無い?」
 
「ああ。不要かもね。この1月頃から、沙苗の身体が急速に女性化したのは、ホルモン過多のせいかも」
 
「それひとこと言って欲しかったなあ」
「ね?」
 
つまりその卵巣の(勝手な)移植は1月頃に行われたのだろう。
 

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「でも状況が分かって安心した」
と沙苗は言ってから
 
「あれ?セナにも埋め込んだわけ?」
「私は関与してないけど、どうもそうみたい。セナも生理が来たらしいし」
「あの子も?だったらどうして生理が来たか悩んでいるのでは?」
「あの子はきっと何も疑問を感じていない」
「そんな気がする!」
と沙苗も脱力ぎみに言った。
 
こういうことについて物凄く悩む子(沙苗自身がそうだ)と、なーんにも考えてない子(セナはその典型)とがいる。
 
「まあこれも夢の中で聞いた話ということで」
「分かった」
「じゃお休み」
「うん、お休み」
 
そこでこの日の沙苗の記憶は途切れている。
 

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5月15日(土)の朝、沙苗は爽快に目が覚めた。
 
が・・・自分が居る場所を認識して戸惑った。沙苗は自宅の自室で寝ていたのである。
 
うーん・・・
 
パジャマをポロシャツとスカートに着替えて、居間に出てみる。
「おはよう」
「おはよう」
母も父も既に起きている。笑梨はまだ寝ているようだ。
「カレーあったまってるよ。自分で盛って食べてね」
「うん」
 
それで沙苗はカレー皿を食器棚から取ると、ごはんをジャーからよそい、それに鍋の中のカレーを掛け、スプーンを持って来て食卓に座り食べる。
 
そして考えた。
 
どうも私は昨夜よそに泊まったことにはなってないみたい!
 
携帯の履歴を確認すると、確かに昨日夕方16:40に母の携帯に掛けている。だから、確かに自分は千里と一緒に“迷い家(まよいが)”に泊まったのだろうけど、そのことは両親の記憶には残っていないようだ。
 
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まいっか!今回は話を聞いただけで、私の身体は何もいじられていないし(←だといいね)。
 

5月15日(土)の朝、セナは爽快に目が覚めた。
 
「あれ〜。なんでわたし自分の部屋に寝てるの?」
と思ったが、気にしないことにした!
 
ただ昨日のマラソン大会の筋肉痛が結構残っている。
 
沙苗や千里は毎日剣道部でたくさん運動をしているので3kmくらい走っても平気だが、セナは剣道部でもそんなに運動しないで、好花ちゃんや(最近入部した)真由奈ちゃんと、おしゃべりしている時間の方が長いくらいである。それで、3kmのランニングが、わりと“利いて”いる。
 
でもホルモン問題が何とかなりそうだからよかった(←自分の体内に卵巣があることなど全く認識していない)。
 
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セナはパジャマのまま居間に出ていくと
「おはよう」
と言った。母と姉・亜蘭がいる。父は寝ているのだろうか。弟・慧瑠は土曜の午前中に起きてくるわけがない!(*18)
 
「そこにハムエッグ、ラップ掛けて置いてるからチンしてね。パンは適当に焼いて食べて」
と姉が言う。
「OK」
と言って、セナは食パンをオーブントースターに入れて3分掛けた。
 
(*18) この一家の名前は、読者は御察しのことかもしれないが、F1レーサーの名前から採られている。
 
右京うきょう 1958.5.29 ←片山右京 1963.5.29
恋蘭れら 1963.3.26 ←レラ・ロンバルディ 1941.3.26
亜蘭あらん 1989.2.24 ←アラン・プロスト 1955.2.24
世那せな 1991.3.21 ←アイルトン・セナ 1960.3.21
慧瑠さとる 1993.2.23 ←中嶋悟 1953.2.23
 
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なにげに早生まれが多い!
 
お父さんの年代が逆転しているのは愛嬌ということで(汗)
 
更にレラ・ロンバルディがF1に参戦したのは1974年で恋蘭が生まれたのより後だが、これも愛嬌で。なお、レラ・ロンバルディは2022年現在、F1史上、唯一入賞してポイントを取ったことのある女性F1ドライバーである。
 

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女子中学生・十三から娘(22)

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