広告:ここはグリーン・ウッド (第1巻) (白泉社文庫)
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■女子中学生・十三から娘(24)

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千里たちの中学では、先日実力テストをしたばかりだが、5月20日(木)には1学期の中間テスト(5科目)が行われた。今回千里は数学の成績が悪く、先生から「村山さんどうしたの?」と言われた。
 
実はいつも数学のテストはBが受けているのだが、今回Bは出現してくれなかったのである。それでやむを得ずYに受けさせた(Rよりはマシ)が、Yは60点しか取れなかった(Rなら多分30点)。
 
ただこの後Yは数学の授業にも結構出るようになり、少しずつ数学も理解できるように進化していく。これは花絵さんに課されている算数ドリルのおかげがかなりある。Yは理屈は分かるのだが、計算が正しくないので、数学の問題で正解できなかっただけなのである。
 
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Rは理屈自体分からない!!
 

5月30日(日)は体育祭になっていた。28日(金)にはその予行練習も行われた。2年生は集団演技ではソーラン節を踊ることになっている。集団演技は年々演目が変わるのだが、2年生のソーラン節は20年以上前から固定されていて変わってないらしい(50年前から変わってなかったりして)。走る競技では、1組の女子はこのように振り分けられた(800,1600,リレーは、実際問題としてクラス委員の恵香と体育委員の優美絵でほとんど決めた)。
 
100m 萌花、佐奈恵、美都 、穂花
200m 世那、優美絵、小春
800m 恵香、沙苗
1500m 千里、玖美子
クラス対抗リレー(200m) 絵梨、スウェーデンリレー(200m) 蓮菜
 
「私、去年も1500m走ったのに」
と千里。
「来年もよろしく」
 
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実際1500mを走る体力がありそうなのは、千里・玖美子・沙苗・絵梨くらいである。絵梨はリレーに使うことにした。
 
800mもきついので、クラス委員の恵香が自分で走ることにし、もうひとりは沙苗を指名した。
「私去年も800m走った」
「来年はぜひ1500mを」
 
セナは性別に疑惑?があるので、性別による有利不利が出やすい長距離には使わないことにし、200mに出すことにした(セナの脚力では関係無い気もする)。
 
雅海は男子の800mに割り当てられて悲鳴をあげていた。彼はスピードは無いから200mとかではいつもビリなのだが、持久力はわりとあるので長距離向きなのである。でも3000mに出すと体育会の進行に支障が出るかもというので800mになった。
 
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(『女子並みのタイムだ』と言われて“喜んでいた”!)
 

ソーラン節の衣裳は、黒い股引(ももひき)の上に赤白青の半纏(はんてん)を着る(太鼓係も踊り手も同じ。留実子はむろん太鼓係)。半纏は背中に波の絵が染められた格好良いもので、学校の備品である。20年くらい前に三泊の網本さんが寄附してくれたものらしい。色は1組が赤、2組が白、3組が青になっている。ここ5-6年はこの3色だったらしいが、来年は2色になってしまうかもしれない。
 
(倉庫には緑・黄・黒の衣裳も入っていて傷まないよう年に1度は洗濯・天干し、している。つまり作った当時は6クラスだったのかも)
 
半纏(はんてん)はアバウトなサイズでも着られるので、SMLと3種類用意されているが、股引(ももひき)は結構微妙なサイズになるし、肌に着るものでもあるので、各自用意して下さいということになっている。千里・玖美子・沙苗・セナは剣道部の練習が終わった後、一緒に町に出て、衣料品店で太股のサイズを計ってもらって買い求めた(股引は太股のサイズで選ぶ。例えば太股48-52cmは“中”、52-56cmは“中フト(中太)”などと言う)。
 
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「あれ?股引にも男用・女用ってあるんですか?」
とセナが訊いた。
 
「男の人はちんちんがあるから、前開きが付いてるんです」
「ああ、なるほどー」
「女には前開きは使い道が無いね」
と店の女主人。
 
「ここにはちんちんありそうな子は居ないな」
と玖美子が言うと、セナがドキドキしている。
 
「それと男用はウェストとヒップのサイズ差が10cmくらいなんですけど、女用はウェストとヒップの差が20cmあるんですよ」
「ああ。体型が違いますからね」
 
セナは、ぼく腰の形が女の子型になっちゃったから、もう男用は着れないなと思った。
 
「それと女用は裙口が男用より絞ってあるから、女用を男の人が穿こうとするとかかとがつっかえたりしますね」
「それも体型の違いかな」
「体型というより足型というか」
 
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ジーンズなども裙口が絞られているタイプは、ヒップが入っても男性には穿けないことがあるので、レディスを穿きたい男性はきちんと試着したほうが良い。ブーツカットなどはこの心配が無い。
 

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一方、雅海は家で
「股引(ももひき)は各自で用意してと言われた」
と言ったら、2つ上の羽月姉が
 
「私か2年前に使ったのでよければあげるよ」
と言う。
 
「4年前には私が使った股引だな」
と夏絵姉。
「6年前には竹夜が使った股引だね」
と母。
 
「じゃもらう」
と言って、部屋で試着してきたら、わりとちょうどよかった。
 
「ああ、ぴったしだね」
「良かった良かった」
と言いながら、母や姉たちが『お股に突起が無い』ことに注目していることには気付かない。
 
実際母は『この子、親に内緒で睾丸取ったと言ったけど、実はペニスも取ったのでは』という疑惑を持った。
 
「2年後には山登が使う?」
と羽月姉が言うが
 
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「女の股引が僕に入る訳ない」
と山登は言っていた。
 
「まあある部分が入らないよね」
 
と夏絵姉が言うので、ちんちんがあると入らないかな?と雅海は思ったが、実は“ある部分”とは裙口のことである!雅海は華奢な体型だし足も23cmなので姉のが入った。でも山登は既に25cmの靴を履いている。身長も170cmあって、きょうだいの中で最も背が高い。もうすぐ父に追いつく。
 

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そして体育祭当日。スケジュールはだいたい昨年と似たようなものであるが少し前倒しの進行になった。
 
8:30 入場行進/開会式/準備体操
9:00 男女100m走/男女200m走
9:15 1年生玉入れ/2年生大縄飛び/3年生大玉転がし
10:00 1年生パン食い競争/2年生デカパン競争/3年生スプーンリレー
11:00 男女800m走 女子1500m走 男子3000m走
応援合戦
(昼食)
13:00 1年生フォークダンス/2年生ソーラン節/3年生エッサッサ
13:45 部活対抗リレー/クラス対抗リレー/スウェーデンリレー
14:15 閉会式
 
2年生は昨年までは綱引きだったのが、今年は大縄飛びになった。この競技はリズム感の悪い子が1人いると足を引っ張るという問題があるのでリズム感の悪い子は縄を持つ係に回されている!セナとか雅海、優美絵や高橋君などが縄持ち係になっている。飛ぶ人数は各クラス20人以上という規定なのでどのクラスも20人ジャストにした。
 
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変形競争は昨年は2年借り物競走、3年障害物競走だったが、デカパン競争、スプーンリレーに変更になった。デカパン競争とは、巨大なパンツの中に数人入って走る形式のリレーである。二人三脚のバリエーションだが、足を結んだりしないので、よりお手軽。二人三脚同様、脚力の近い子を組み合わせる必要があるが、生徒たちには「無理せず協調して走って怪我の無いように」と言ってある。
 
集団演技は、昨年は3年生はマスゲームだったが、今年はエッサッサが登場した。これは過去にもやったことがあるらしい。来年はまたどうなるかは分からない。
 

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応援では、応援団やチア部に入っている人がその衣裳で応援するが、女子は全員チアに徴用され、チア部の子はまさに“チアリーダー”となる。ここで雅海もチアの衣裳を渡され、(体操服の上に)ミニスカートを穿いてボンボンを持って踊ったが、
 
「凄く上手い」
「まるでプロみたい」
「雅海ちゃん、チア部に入らない?」
などと言われ、勧誘されていた。
 
「でも、チア部って女子だけじゃないの?」
「雅海ちゃん、今年の春休みに性転換手術を受けたんでしょ?」
「女の子になったのに、どうして男子制服着てるんだろうとみんな言ってるよ」
 
あはは、なんか噂がグレードアップしてない?
 
(もっとも普通の人の場合、去勢手術と性転換手術の違いが分かってなかったりする)
 
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また、女子の間では、パトロールガールズの“北海道地方生”のメンバーの1人が雅海に似ているという噂が広まっている。
 
(実を言うと、非公開だが、パトロール・ガールズの正メンバーのひとりは男の娘なので、男の娘の参加について事務所はほとんど気にしていない。とはいえ、白浜は雅海を普通の女の子と思い込んでいる)
 

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昼休みが終わる少し前くらいの時間に1年生は体操服のまま入場門に集合してフォークダンスを踊るが、2年生は男子は2年1組、女子は2年2組に行き、ソーラン節の衣裳に着替える。
 
千里や沙苗は他の女子とおしゃべりしながら2年2組に入る。セナは不安そうな顔をしているのを沙苗が手を握ってあげて一緒に2組に入った。
 
雅海は2年1組の前でどうしよう?と悩んでいたのだが・・・優美絵と恵香にキャッチされる。
 
「まさみちゃん、ひとりじゃ不安でしょ。私たちが付いててあげるから、一緒に着替えようね」
と言って、2組に連行された。(2人が雅海を女子の更衣場所に連れ込んだ理由については後述)
 

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これが雅海にとっては初めての学校での女子と一緒の着替えになった。
 
でも誰も雅海の方を見ないし、誰も騒がないので、雅海はいいのかなあと思いながらも、体操服のズボンを脱ぎ、股引を穿く。ズボンを脱いだ時、パンティが見えるが、優美絵も恵香も頷いている。
 
その後、股引を穿くが、股引というのは身体にピタリとフィットするので、当然お股のところもそのままのラインが出る。雅海はむろん何も突起のようなものは無く、スッキリしたラインである。
 
それを多くの女子がチラリと目の端で見て納得していたことに、雅海は気がつかなかった。
 
その上に半纏(はんてん)を着れば出来上がりである。
 
「さ、行こう行こう」
と言われて、優美絵たちと一緒に集合門の所に行ったので、結局雅海は彼女たちと一緒に踊ることになった。ソーラン節は特に男子と女子で動きは違わないし、衣裳も同じなのだが、女子の中で踊るとなんか暖かい感じがした。
 
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そして雅海はまた先日のパーキングサービスのライブでのダンスを思い出していた。
 

踊りが終わると、退場し、そのまま他の女子と一緒に2年2組の教室に行く。この時は雅海も踊りの後で気持ちが高揚しているので、あまり抵抗なく女子の更衣場所に入った。
 
半纏(はんてん)を脱ぎ、股引(ももひき)を脱いで体操服のズボンを穿く。このボトム交換の時もさりげなく雅海のお股を見ている女子が多数居た。
 
なお今回は雅海が注目の的(まと)?となっていたので。セナはほとんど注目されずに済んだ。
 
そしてこの後、
「やはり雅海ちゃん、ちんちん取っちゃったみたい。ちんちんがあるなら、股引穿いた時に、形が見えるはずだけど、何も見えなかったもん」
 
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ということで、雅海はやはりもうちんちんが無いというのが“確定情報”として広まることになる。(この噂に先行して男子の方から、雅海は個室しか使わないという情報が伝わってきていた)
 

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なおクラブ対抗リレーで、女子バスケ部は、久子→数子→泰子→留実子と繋ぎ、アンカーの留実子が力走して陸上部に次ぐ2位に入った。
 
「最後が男というのはずるい」
という陰口もあったが、留実子は気にしない。
 
女子剣道部は、紅音→香恵→千里→玖美子と走って女子バスケ部に次ぐ3位に入った。
「さすが地区大会で優勝するだけある」
と称賛されていたが、3年生の2人は「これが私たちの剣道部としての最後の外部活動かも」などと言っていた。
 
 
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