広告:オンナノコになりたい!
[携帯Top] [文字サイズ]

■女子中学生・十三から娘(3)

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 
前頁次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

4月20日(火).
 
S中の岩永先生は剣道連盟に呼ばれた。そして、沙苗の女子の部への出場を認めるという、北海道剣道連盟の文書を手渡された。
 
連盟の人は出場を認めた理由として下記を挙げた。
 
・骨格、特に腰の付近が女性的に発達しかけており、この年齢の女子の骨格と類似している。またペニスがマイクロサイズまで縮小しており、このペニスのサイズと骨格の形から、男子の思春期以降の男性ホルモンのシャワーには、曝されていないと判断される。
 
・睾丸は1年前に除去済みであり、女性ホルモンが過去1年に渡って、この年齢の女性の標準値の範囲であり、また男性ホルモンも過去1年に渡って、この年齢の女性の標準値の範囲である。
 
↓ ↑ Bottom Top

・筋肉の量がこの年齢の女子のアスリートの標準値の範囲下方であり、男子のアスリートの標準値からは大きく離れている。
 
以上により、本人が男子であった時期の身体的発達による優位性は無いと認められる。
 

↓ ↑ Bottom Top

文書では、2004年度内の、北海道内の剣道連盟主催の大会に出場できると書かれていて、来年の春頃に再度検査させて欲しいということであった。
 
「原田さんがもし全国大会に出場できる順位になった場合は、再度東京の病院あたりで、性別の検査をさせてもらうことになるかもしれません」
 
「分かりました。本人もそれは受け入れると思います」
 
「それとね。これ僕個人の希望」
と連盟の人は言って、岩永先生に小さな声で
 
「この子、団体戦に出すならできたら大将に」
と付け加えた。
 
岩永先生は
「はい、考慮させて頂きます」
と答えて、明言は避けた。
 

↓ ↑ Bottom Top

そういうことで、今度の大会に沙苗は女子として出場できることになったのである。S中では、沙苗の出場資格がギリギリまで分からなかったので、個人戦には沙苗を女子としてエントリーするとともに、団体戦については、下記のように出場候補者を提出しておいた。
 
羽内如月(1)・沢田玖美子(2)・村山千里(2)・原田沙苗(2)・武智紅音(3)・月野聖乃(1)・御厨真南(1)・宮沢香恵(2)
 
沙苗が出られないということになった場合は、聖乃を起用する手である。
 
しかし沙苗の出場が認められたので、今回のオーダーはこのようにすることにした。
 
先鋒・武智紅音(3年)2級
次鋒・羽内如月(1年)1級
中堅・沢田玖美子(2年)1級
副将・村山千里(2年)初段
大将・原田沙苗(2年)初段
 
↓ ↑ Bottom Top

3年生の部長が先鋒というのは、普通は最強の人を先頭に置く作戦と思われるところだが、実は5人の中で最も弱い!武智部長は
 
「これが私が出場する中学最後の大会になるかも」
などと言っていた!
 

↓ ↑ Bottom Top

ところがここで沙苗が異論を唱えたのである。
 
「私は団体戦出ませんから、個人戦だけに出して下さい」
「なんで!?」
「病院で恥ずかしい検査まで受けたのに」
 
沙苗は趣旨を説明した。
 
「R中はこういうオーダーで来ると思うんです」
と言って、沙苗はR中の予想オーダーをホワイトボードに書いた。
 
田・大島・前田・木里・麻宮
 
「つまりですね、向こうはこちらのオーダーがこうなると予想しています」
 
武智・羽内・沢田・村山・原田
 
最初に決まりかけていたオーダーである。
 
「この場合、田−武智、大島−羽内、麻宮−原田は、R中有利です。この3つを勝つと、前田−沢田、木里−村山がどちらに転んでもR中が優勝できるんです」
と沙苗は言う。
 
↓ ↑ Bottom Top

「うーん・・・」
「それに向こうは千里ちゃんが副将で出てくると予想してるから、木里さんが絶対に副将になりたいと言いますよ」
「言いそう!」
 
「だから敢えてこういうオーダーにします」
と沙苗はこういうオーダーを書いた。
 
羽内・月野・沢田・武智・村山
 
「これだと、(羽内)如月ちゃんは田さんに相性がいいし、(月野)聖乃ちゃんは大島さんに相性がいいし、千里ちゃんは確実に麻宮さんに勝ちます。部長は木里さんに勝てないでしょうけど、前田−沢田戦の如何に関わらず、これならうちが優勝できるんですよ」
 
「要するに私は捨て駒か!」
と武智部長。
 
「ごめんなさい」
と沙苗は謝るが
 
「いや。これでいいと思う。優勝できるオーダーで行こう」
と武智部長は言った。
 
↓ ↑ Bottom Top

岩永先生は強さ順にしないオーダー、そしてせっかく出場許可を取った沙苗を使わないことに不満だったようだが、外れる当の沙苗が提案し、捨て駒となる武智部長も賛成するので、このオーダーでよいことにした。
 
(強さ順なら、武智紅音・原田沙苗・羽内如月・沢田玖美子・村山千里になる。如月(1級)と沙苗(初段)の対戦では7割くらい如月が勝っている。武智部長と月野聖乃の実力はやや微妙である:練習での対戦はほぼ互角)
 
「でもこういう作戦は1回しか使えないよ」
と岩永先生。
 
「まあ夏には真っ向勝負ですね。それまでに如月ちゃん・聖乃ちゃん・真南ちゃんを徹底的に鍛えるということで」
と沙苗。
 
「きゃー、それこわい」
と当の新1年生3人が楽しそうな顔で言っている。
 
↓ ↑ Bottom Top

「どうもやはりこれが私の中学最後の大会になるようだ」
と武智部長は言った。それで、今大会の団体戦には、沙苗が提案したオーダーで臨むことにして、沙苗は個人戦だけに出ることにしたのである。
 

↓ ↑ Bottom Top

千里は後から沙苗に言った。
 
「自分の出場許可が後で取り消された場合を考えたでしょ?」
 
「まあね。勝ち抜き戦だと、座り大将ができるから、実際の対戦は発生しない可能性が高い。私に回ってきた場合は、千里が負けるような相手に私が勝てる訳ないから、普通に対戦して負けるだろうし。そうなると、私がオーダーに入っていても実際に対戦してないか負けたかだから順位は取り消されなくて済む」
 
「うん」
 
「でも1対1方式だと大将戦で微妙な相手と対戦する可能性がある。その時、私の対戦に上位進出が掛かることになるから、私は負ける訳にはいかないし必死になる(←普段は手抜きしてることを自白してるが千里は気付かない)。でも私で勝って上位に進出あるいは優勝を決めたら、後からその勝利が取消される危険がある。今のチームの状態なら、組合せ次第では私が出なくてもR中に勝てるかもと思って必死で考えた」
 
↓ ↑ Bottom Top

「私ならあんな組み合わせ思いつかないよ!」
「千里ちゃんはその手の論理思考が苦手っぽい」
「そうそう。私は考えるより先に行動するタイプ」
と千里(千里R)は言っていた。
 

↓ ↑ Bottom Top

4月22日(木).
 
沙苗が部活を終えて帰ろうとしていたら、千里に呼び止められた。
「ちょっと付き合わない?」
「いいけど」
 
それで千里が呼んでいたタクシーに乗り込む。見ると既にセナも乗っている。千里はふたりを市内の古ぼけた家まで連れていった。
 
「ここは病院?」
「病院だったけど、3年前に廃業したんだよ。私の親戚の人の所有物件」
と千里は説明する。
 
「へー」
 
「それで何が始まるの?」
「ここは手術をする設備がまだ生きてるんだよ。だから、セナを私と沙苗の手で性転換手術してあげようと思って」
と千里は言った。
 
「え〜〜!?」
とセナは驚いているが、沙苗は
「それいいね!」
と言う。
 
「セナも沙苗も今夜お泊まりする許可取ってもらえる?」
「うん」
 
↓ ↑ Bottom Top

それで各々のお母さんに電話していたが、千里と一緒と言うとOKしてくれた。どうもこの手の問題に関しては千里は信頼されているようである。ついでにセナの母との電話で、千里は途中で代わって
「セナちゃんの性転換手術をしてあげたいんですけど、いいですか」
と言うと
「はい、よろしくお願いします」
とお母さんは言っていた!
 

↓ ↑ Bottom Top

「まあ取り敢えず、御飯食べよう」
と言って、千里は2人を居間に案内する。
 
既にシチューが出来ているし、人数分の食器が配膳されているので、沙苗は誰か(多分おとなの)人がいるんだというのを感じた。千里も自分たちも学校に行っている間に、これを準備した人がいたはずである。
 
「手術前に御飯食べてもいいんだっけ?」
と沙苗が訊くと
「大丈夫じゃない?胃腸の手術じゃないし」
と千里は言っている。
 
セナはこれから手術されると言われてドキドキしているが、特に嫌がる様子もなく、むしろ期待している感じである。それを見て、千里は“やっちゃっても”問題無いなと思った。
 

↓ ↑ Bottom Top

「だけど性転換って、性器の手術より重要なのが精神的な性別・社会的な性別の“壁越え”だよね」
と沙苗が言う。
 
「壁越え?」
とセナが言うと、千里も
 
「そうそう。性別を変えるのって、陣取り合戦みたいに地面に線が引いてある所を横切って男子グループから女子グループに行くようなものじゃない。男子校と女子校の間に作られている警報付きの壁をよじ登って向こう側へ行くみたいな労力が必要」
と言う。
 
「そんなものかなあ」
「様々な抵抗・逆風に立ち向かう必要があるからね。理解してくれない人も多いし」
と沙苗が言うが、セナはそのあたりの感覚がよく分からないようである。
 
「1990年代に、アメリカで男性でも女声が出せることを発表して、世界中のMTFさんに衝撃を与えた、メラニー・アン・フィリップスが言っていた。男か女かというのは、声の高さではないって」
 
↓ ↑ Bottom Top

「ふーん」
 
「メラニー・アン・フィリップスが公開した本人の声は女性の声にしか聞こえなかったから当時、世界中のMTFさんが驚いたんだけど、それだけきれいな女声を出せていても、なお、人が性別を判断するのは、声の高さではないと言うんだよね」
 
「というと?」
と沙苗も興味深そうに訊く。
 
「例えばね。マクドナルドに行って、ビッグマック2個とポテトの大盛り、コーラのLとか注文したら、いくら女の声で話しても、相手に性別疑惑を抱かせる、と」
 
「うーん・・・・・」
 
「女性の注文はこうだと言うんだよ。ハンバーガー単品にコーヒーのS。あっそうだ。それにサラダ付けてくれる?って」
 
「なるほどー」
 
「でもお腹すくじゃん」
とセナは言うが
 
↓ ↑ Bottom Top

「人前ではちょっとだけ食べて、後で隠れてたくさん食べるのが女性の常套手段」
と沙苗は言う。
 
「そうなんだ!?」
とセナは驚いている。こういう“女の裏側”のことをセナはまだよくは知らない。
 
「でもこの1年間、女子として過ごしていて、私食欲が小さくなった気がする」
と沙苗が言うと
 
「女の身体って、効率いいからね。男より小さいエネルギーで稼働できるんだよ」
と千里は言った。
 

↓ ↑ Bottom Top

↓ ↑ Bottom Top

前頁次頁目次

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 
女子中学生・十三から娘(3)

広告:オトコの娘コミックアンソロジー-奈落編-ミリオンコミックス-OTONYAN-SERIES9