[*
前頁][0
目次][#
次頁]
(C) Eriko Kawaguchi 2022-07-22
さて、雅海が女子水着デビューすることになったのは、実は先週末の話し合いに基づいたものであった。
体育の広沢先生(女性)は、体育祭前の5月28日、体育祭予行練習が終わった後で雅海本人、体育委員の優美絵、そして最近雅海と随分親しくしている感じの沙苗を呼んで話し合った。
「祐川さん、あなた来週からの水泳の授業、どんな水着を着るつもり?」
「去年着た水着を着るつもりですが」
「去年どんなの着けてたっけ?」
「トランクス型です」
「まさか胸を曝す気?」
「えっと・・・いけませんかね」
「女の子が胸を曝したらいけないよ!」
「ぼく、男なんですが・・・」
「でも性転換手術したんでしょ?」
「えっと・・・」
「まさみちゃん、女子用スクール水着を着けなよ」
と沙苗が提案した。
「女子はみんなまさみちゃんが今年は女子用水着で参加するだろうと思ってるよ」
と優美絵。
「そんなの着けていいのかなあ。ぼく、胸も無いし」
「胸の無い子なら、けっこう居るから気にしない気にしない」
と沙苗。。
「**ちゃんとか、**ちゃんとか男みたいに胸が無いし」
「個人名あげるのはやめようよぉ」
「まあでもまさみちゃんが、まだ胸無くても誰も問題にしないよ」
と優美絵は言った。
「胸が無いなら女子用水着つけちゃいけないのなら、小学3年生以下の女子はトランクス型の水着を着けなければいけないことなる」
「そんな学校があったら校長が逮捕される」
この話し合いの後、広沢先生が、雅海・沙苗・優美絵の3人を自分の車に乗せて祐川家まで行き、お母さんと話し合って、雅海は水泳の授業で女子用水着を春ることが確定した。
「この子、セーラー服で通わせた方がいいでしょうか?」
とお母さんは広沢先生に訊いたが
「それはご本人がその気になった時でいいと思いますよ。水着の問題は緊急性があったので話し合わせてもらいました」
と広沢先生は笑顔で言った。
広沢先生が帰った後(優美絵は先生に送ってもらって帰宅した)、雅海と母は沙苗に付き添ってもらって、ジャスコまで行き、女子用スクール水着を購入した。
沙苗は最近、私、男の娘たちのガイド役になってるなあと思った。
(千里が男の娘とは認識されてないので、沙苗にこういう役が回ってくる)
水泳授業のあった翌日の6月2日、雅海がやはりワイシャツにズボンという姿で登校してくるので
「まさみちゃん、女子制服を着ればいいのに」
と男子からも女子からも言われた。でも本人は
「いや、ちょっと・・・」
と恥ずかしそうにしているだけであった。
でも、この日から雅海は男子トイレの使用を拒否されるようになった。
「女の子は男子トイレを使ってはいけません」
と言われて追い出される。
どうしよう?と困ってたら、恵香が声を掛けてくれて
「まさみちゃん、トイレ一緒に入ろ」
と言って、手を握って一緒に入ってくれた。
そして男子制服のまま列に並んだ。雅海は女子トイレの列に並ぶのは全然問題無い。前に並んでいた他のクラスの子も、特に変な顔をせずに普通にしているので、雅海は、いいのかなあと思いながらも並んでいた。むろん雅海が「女の子になっちゃった」という件は2年生の全女子が知っている。
それでこの後も雅海は男子制服を着ているのに女子トイレを使い、プールでは女子更衣室を使うということになってしまった。
6月4日(金)には身体測定が行われた。
先に女子が呼び出されので、沙苗や、やっと女子としての自覚が育ちつつあるセナも席を立つ。この時、雅海は何も考えずに席に座ったままだったのだが、女子保健委員の蓮菜が気付き
「雅海、何やってんの行くよ」
と言う。
「え?でも先に女子では」
「雅海は女子になったんだから、女子と一緒に身体測定も受けなきゃ」
「え〜?でもぼくの書類は男子の方に入っているのでは」
と雅海は言うが
「大丈夫、女子のほうに移しておいた」
と男子保健委員の増田君。
それで雅海は蓮菜と優美絵に両手を握られ、強制連行されて女子と一緒に身体測定を受けることになった。
みんな女子制服を着ている中、ひとりだけ男子制服を着たまま保健室に入る。雅海はいいのかなあと思いながら、他の女子と一緒にアウターを脱いで下着姿になる。下着姿になると、ブラジャーとパンティという状態だから、他の女子と一緒なので、よけい違和感が無い。それで雅海は服を脱いだ後のほうが心が穏やかになった。
雅海の書類は、(沢田)玖美子と(高山)世那の間に入れられている。雅海もわりと親しい子に隣り合うので、気楽だった。特に玖美子は色々雅海とおしゃべりしてくれて、随分緊張せずに済んだ。
ちなみに本当なら、玖美子の後には新田優美絵(しんでん・ゆみえ)が入るはずであった。しかし担任の吉永先生が、生徒名簿を作る時に、最初沢田玖美子と高山世那の間に新田優美絵が入っていたのを見て
「あれ?新田(にった)さんがこの位置に来たのは、パソコンのソートのバグかな」
などと言って、那倉絵梨と原田沙苗の間に手動で移動してしまったせいである。(どっちみち男の娘の隣!)
みんな順番がおかしいと思ったが、もうその番号で生徒手帳も作られてしまっているので“いいことにした”!それで吉永先生は未だに優美絵の苗字が本当は“しんでん”であることに気がついていない!
「でも女子はブラジャーは着けたままなんだね」
と雅海が言うと、後ろのセナが
「男子はシャツまで脱いでパンツだけになるもんね」
と言っている。
そのセナちゃんの胸が大きいのがまぶしい。セナちゃん、去年の夏頃はおっぱい無かったのに1年でこんなに大きくなるって凄いと思う。ぼくも沙苗ちゃんやセナちゃんみたいに女性ホルモンを飲んだほうがいいのかなあ、などと思った。
(その前にセーラー服で登校できるようになるべき。沙苗が千里にペニスの除去はまだにしようと言ったのは正解だった気がする)
(↑ほんとに除去されてなければいいね)
それで雅海は玖美子に続いて体重計に載り、保健室の清原先生が手元の表示ユニットに表示された数字49.8kgを記入する。そして身長計で身長を測定され、体育の広沢先生が読み取った数値163.8cmを読み上げ、清原先生が記入した。
終わったらすく服を着たが、玖美子が
「体重は読み上げられないのがいい所だよね」
と言っていた。
確かに女子はそれ気にするよね!男子だった時は(あれ?ぼく女子になっちゃったんだっけ??)そういうの全然気にしてなかったのに。
結局、セナが夏服セーラー服を身につけるのを待ち、玖美子・雅海・セナの3人で一緒に教室に戻った(玖美子は男の娘を引率している気分)。
クラス委員の上原君と恵香は、雅海が実質女子化してしまった件について話し合った。
「美化委員が2人とも女子になっちゃうけど、誰か他の男子を当てた方がいいかなあ」
「雅海ちゃんが、男子制服を着ている間は今のままでいいんじゃない?」
「確かに今祐川さんは、男子しか入れない場所にも、女子しか入れない場所にも入れる微妙な状態にあるし、当面様子見かな」
「時間の問題という気はするけどね」
「既に男子トイレからは追い出されてるし」
「ちんちん取っちゃったんだから男子トイレに入っても仕方ないよね」
「しかし原田(沙苗)さんといい、祐川(雅海)さんといい、どんどん男子が女子化していくなあ」
(セナは忘れられている)
「その内、男子全員女子になったりしてね」
「ぼくは女子になりたくないけど」
「でも上原君のセーラー服姿見たことある」
「あれは黒歴史にして〜」
ところで司(つかさ)だが、5月22-23(土日)に24時間限定の女の子ライフを送り、完璧に女の子をすることにハマってしまった。24時間性転換していた後遺症で少し体型が変わってしまい、腰の骨が女性的に変化してしまった。
それで男物のズボンが入らなくなってしまったので、普段着のズボンとしてレディスのジーンズパンツ、また通学用として“女子生徒用”の学生ズボンを貴子に買ってもらった。“女子用”を買ったことの意味に、司は当日は全く考えていなかった。
5月24日(月)、司が普通に新しい学生ズボンを穿いて学校に出て行く。1時間目と2時間目の間にトイレに行った。
司は普通に男子トイレに入った。そして小便器の前に立ち、排尿用の“ホース”を取り出そうとしたら・・・・。
取り出せなかったのである!!!
要するに、女子用のズボンというのは女子が穿く前提で作られており、女子には排尿用のホースは装備されていないので、ズボン自体に前開きはあるものの、そこからホースを取り出すという使い方は想定されていない。
女子用ズボンのファスナーは純粋に着脱のためのものなので、男子用のズボンほど大きくは開かない。それでホースは位置的にそこを通過できないのである。
司は仕方ないので、そのまま個室に飛び込んで用を達した。そしてこの日司は3時間目の後にトイレに行った時も個室を使ったので
「福川君、お腹の調子が悪いの?」
などとクラスメイトに言われた。
昼休みに司は貴子に電話をした。
「小便器が使えない??」
「女子用のズボンって、ちんちんを通せる仕様にはなってないみたいです」
「個室で座ってすれば、別に問題無いんじゃない?」
「友だちから変に思われますぅ〜」
↑女の子口調になっていることに気付いていない。
「トイレは女の子方式にしちゃえばいいのに。でもそれ何とかするから今日は個室の使用で乗り切って」
「分かりました」
それで貴子は夕方留萌まで来てくれた。そして部活をしている間に、司が穿いていた学生ズボンを、お裁縫で改造して男性用の長いファスナーに交換しくれたのである。
「ありがとうございます!」
「明日、残りの学生ズボンも持って来て。改造してあげるから」
「お願いします」
「司ちゃんを女の子仕様のズボンで問題無いように改造してもいいけど」
「・・・・・」
「どっちを改造する?身体を改造する?ズボンを改造する?」
「すみません。ズボン側の改造で」
「欲が無いね」
それで貴子は5月25日(火)には残りの女子用学生ズボンを男子でも穿けるように改造してくれた。それで司は普通に小便器を使えるようになったのである。
「本当にありがとうございました」
(普段着のジーンズのパンツのことは何も考えていない)
「そうだ。よかったら君の苗字を教えて」
「・・・・福川です」
生徒手帳を見せたので、貴子さんはメモしていた。
「じゃこれ渡しておくね」
と言って貴子さんは
《お引き換え券 375》
と書かれた紙をくれた。
「何ですか?」
「今月中にはできるということだったから。じゃね」
それで貴子さんは帰って行ったが、何だろうと思った。
そして5月31日(代休).
司の携帯に電話があったのである。
「**衣料・留萌ジャスコ店でございます。福川様、ご注文頂いておりました夏服ができましたので、いつでもお引き取りにおいでくださいませ」
「夏服?」
「はい。先週の日曜日にご注文を頂いた分です。代金は・・・あ。もう頂いてますね。お引き取りだけお願いします。予約の際のお引き換え券をお持ち下さい」
「はい・・・」
それで司は(念のため)中性的な格好をしてジャスコまで行ってみた。
お引き換え券というのは、多分貴子さんが渡してくれた紙だろうと想像がついたが、何を頼んでくれたのだろう?と思う。
店頭で引換券を渡すと、交換で渡されたのは、S中の夏服セーラー服である!
あはははは。やはり。
「試着なさいますか」
「そうてすね」
それで夏服セーラー服を試着室で試着してみた。
ピッタリサイズである。鏡に映してみると可愛い!
試着室から出ると、スタッフさんがあちこち触って
「問題無いようですね。胸にはまだゆとりがあるから、卒業までにバストが急成長しても大丈夫ですよ」
「そうですね」
「では冬服の方は、9月にお渡ししますので、こちらがその控え券です」
と言って、別の引換券を渡された。
もしかして女子制服の冬服も注文されている???
「急な転校で大変でしたね。またよろしく」
「あ、はい。ありがとうございます」
そうか!こんな時期に制服を注文するって、それふつう、転校生だよね。あれ?転校したら女の子になっちゃったとかいう映画あった???
(↑かなりストーリーを誤解している)
その晩、受け取ってきた夏服セーラー服の上下を鴨居に掛けて
「明日からこれ着て学校行ったらダメだよね〜」
と悩むのであった(←もう完全に後戻りできなくなってる)。
[*
前頁][0
目次][#
次頁]
女子中学生・十三から娘(29)