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2004年6月1日(火).
体育祭代休明けのこの日からS中は衣替えになり、夏服になる。但し6月中については寒い日は冬服を着てもよいことになっている。今年は雪こそ降らなかったものの、6月7-11日の週が寒くみんな冬服に逆戻りした。
男子は学生服を脱いでワイシャツ姿になる。女子はセーラー服型のブラウスである。千里や沙苗、セナは当然、女子のセーラー・ブラウスに変えたが、スカートは冬服のスカートを穿いて出て来た。まだ結構寒いので裏地の無い夏用スカートでは寒い。
しかし雅海はワイシャツ姿の登校で
「まさみちゃんはどうして女子制服じゃないの?」
と男子たちから言われて、
「いやちょっと」
などと照れ笑いしていた。
しかしその反応がこれまでとは違い、“単に恥ずかしがっているだけ”っぽかったので、からかった男子たちが顔を見合わせた。(雅海が体育祭のソーラン節で女子と一緒に着替えたことはこの時点ではまだ男子たちには認識されていない)
「まさみちゃんはセーラー服は持っているはず」
「セーラー服着てるまさみちゃんをジャスコで見た」
「私は留萌駅前で見た」
と女子たちの声。
「夏服も持ってるよね?たぶん」
「ごめん。ノーコメントで」
「否定しないということはやはり持ってるんだ!」
6月1日(火).
この日から、今年の水泳の授業も開始された。
水泳の授業は“水着”を着用しておこなう。
男子は“華美でないもの”なら自由ということで、多くの子がトランクス型またはハーフパンツ型を着ていた。小学校の男子用スクール水着に多かったブリーフ型を着ている子はいない。あれは、ちんちんの形がきれいに見えるので、女子も目のやり場に困っていたし、男子たち自身も嫌だったようである。
「まあチンコの形が分からないということはチンコが万一無くても分からない」
「チンコの無い男なんているの?」
「まあ各々事情はあるかもしれない」
「ところでお前、チンコあるの?」
「あるけど」
「どれどれ」
「こら、よせ!」
何人かちんちんの存在確認をされている子がいたが、女子は見ぬ振りをしていた。
クラスが違うので直接見てないが、2組の鞠古君は女子用スクール水着を着た上にトランクス型の水着を着けていたらしい。彼は病気治療のために女性ホルモンを投与されているのでバストがある(留実子によるとBカップのブラジャーを着けているらしい:女性ホルモンのレセプターが物凄く優秀なようだ)。それで上半身の裸を曝すことができないので、体育の香田先生(男性)の許可を取って、上半身を女子用水着で覆っている。しかし普通のMサイズの女子用スクール水着を着られるのが鞠古君の凄さだ!
「まりこちゃん、女子用スクール水着だけでいいと思うけど、なんでその上に男子用水着まで着けてるの?」
「女子用水着だけだと、チンコが目立ってみっともない」
「まりこちゃんはチンコは切ったと聞いたけど」
「ちょっと切っただけだよ。大半はある」
「それ女子用水着にパレオとか付けたらだめなの?」
と2組の女子からは言われたらしい。
「本来、学校の授業ではパレオ禁止だけど、鞠古君の事情なら認めてもらえると思うよ」
「俺、女じゃないから、パレオは付けない」
「鞠古君なら、別にスカート穿いてもいいと思うけどなあ」
「スカート似合いそうだけど」
「そうか?俺、スカート穿いて学校に来たら変態にしか見えんとか言われるんだけど」
(つまり“スカートは持ってるのか”と2組女子たちは思った)
さて、1組で、千里や沙苗は当然普通の女子用スクール水着を着用する。セナも、ちゃんと女子用水着を着けていたが、お股に変な形が出ていないので、他の女子たちも頷いていた。なおセナは着替え用のバスタオルを使用して制服から水着にチェンジした。
「まあセナちゃんはゴールデンウィークにはトマムでプールに入ったらしいし」
「その水着で入ったの?」
「なんか可愛い水着買ってもらったけど、恥ずかしいし、違反っぽいから普通のスクール水着を昨日、ジャスコで買ったもらった」
中に入った水を排出するお腹の所の合わせがあるタイプである。
なお学校のルールではセパレートや腰・首を紐で結ぶタイプは禁止なのだが、セナがトマムで着たのは、後ろ身は上下に分かれているが、前身頃はつながっているタイプであり、ルール的には微妙である。でも普通のスクール水着がいいとセナが言うので、昨日の代休に母と一緒に買いに行ってきたのである。
「でもセナちゃん、身体のラインが凄く女っぽい」
「そうかなあ」
「やはりかなり長く女性ホルモン摂ってたのね」
最近女子たちの間で出来上がっているストーリーでは、セナは小学5年生の時から女性ホルモンを飲んでいて、昨年の夏休みに静岡の大学病院で性転換手術を受けたらしいということになっている(どこから静岡なんて地名が??)。
この日、女子たちはセナの腰回りが凄く女らしく発達していて、バストもBカップサイズあるのを見て、その噂が概ね正しいようだと判断したようである。むろんスクール水着のお股には膨らみが無いので、ちんちんが除去済みというのは既に確定情報である。セナに生理が来たというのも恵香!が言いふらしている。
さて、問題は雅海であった。
雅海は結構おどおどしたような顔でみんなと一緒にプールに向かった。目の前に2つの更衣室の入口がある。左側には男子更衣室、右側には女子更衣室という表示がある。その前で雅海は一瞬立ち止まってしまった。
雅海に気付いた男子体育委員の加藤君が声を掛けた。
「祐川さんは女子更衣室に入らなきゃ」
「女子の方に入って良いのかなあ」
などと本人は不安を口にするので、加藤君は
「誰かいないかな」
と小声で言ってから、女子更衣室のドアをノックした。
「新田(しんでん)さんか誰かいない?」
と大きな声で呼ぶ。
「まだ来てないけど何?」
と言ってクラス委員の恵香が顔を出す。
「大沢さん。祐川さんを女子更衣室に入れてあげてよ」
「OKOK、雅海ちゃん、こっちおいで」
「うん」
それでわりと親しい恵香に手を握ってもらって、雅海はプールの女子更衣室に入ったのであった。
「体育祭の時も女子と一緒に着替えたんだから今更じゃん」
「それはそうだけど。ぼく男子制服着てるのに」
「平気平気。るみちゃんだって学生服を着て、女子トイレ・女子更衣室使ってる」
「あの子は凄いね!」
それで雅海はプール付属の女子更衣室の中で、まずはワイシャツとズボンを脱ぎ、ワイシャツの下に着ているアンダーシャツを脱ぐと、その下には最初から女子用スクール水着を着ている。
そして大事なことは!水着のお股の所がすっきりしたフォルムで、男の子ならあるはずの突起が見られない!この瞬間、女子更衣室のほぼ全員の視線がそこに集中したのに雅海は気付かなかった
空気が一瞬緊張して、すぐに弛んだ。
「そのアンダーシャツ意味ない」
「暑いだけじゃん。直接ワイシャツ着ればいいのに」
「そしたら水着の線が見えて恥ずかしい」
「今更じゃん」
「それが恥ずかしいなら、そもそも女子制服を着ればいい」
「そうそう。この制服のブラウスは透けない素材だから、私みたいに水着の上に直接着ても外に響かない」
「女子制服とか恥ずかしいよぉ」
「性転換手術まで受けておいて今更だよね〜」
「全く全く」
「でもぼく、おっぱいが全然無いから」
「平気平気。**ちゃんだって絶壁だし」
「なぜ私を引き合いに出す〜〜!?」
そんなやりとりを見ていて、雅海はやはり女の子たちって楽しい!と思った。男の子たちはもう少し殺伐としてるもんなあ。(雅海はまだ女の子の怖さを知らない)
遅れてきた優美絵が手をつないであげて一緒にシャワーエリアを通ってプールに出る。プールには男子たちもいるが、やはりみんな雅海のお股のフォルムに注目した。
それで
「祐川君は(まさみちゃんは)、やはり性転換手術は終わってた。お股に何もないのを確かに見た」
という情報が授業終了後1時間以内に2年生の女子にも男子にも知れ渡っていた!
プールでは最初に準備体操をする。
通常の体操をした上でストレッチをし、そのあと柔軟体操をする。この時、この日はこのような組み合わせで柔軟体操を行った。
雅海−沙苗、セナ−千里
(なお2組で女体化している鞠古君は、親友の田代君と組んだらしい。鞠古君に触った感じはほぼ女の子の感触なので、田代君は柔軟体操なのにある部分が硬くなるのを感じたが!我慢した)
授業は、(A)ターンができる人 (B)25m泳げる人 (C)25m泳げない人、の3グループに分けて行われる。
玖美子や蓮菜は(A), 千里や沙苗は(B), 恵香やセナ、雅海などは(C)である。沙苗は昨年6月の段階では15mくらいしか泳げなかったのが、授業の度に少しずつ進化して25mに到達することができるようになり、水泳大会ではリレーにも出ている。千里などとも一緒に今シーズンはターンの練習に取り組むことになった。
恵香・セナ・雅海などは今年もバタ足練習やビート板練習などからである。セナも雅海も昨年は男子水着を着て胸を曝していたが、今年は2人とも女子水着になっている。セナはバストがあるのが見えるが、雅海は胸は平らで、
「セナちゃんは1年掛けておっぱい育てたのね」
「雅海ちゃんはこれから育てるんだろうけど、来年の夏には結構大きくなってるかもね」
などと言われていた。
授業が終わった後は、シャワーを通って更衣室に戻る。女子の大半は着替え用のバスタオルを使用して水着を脱いでふつうのパンティとブラを身につけた。千里・沙苗・セナもこの方式である。しかし雅海は恥ずかしそうに水着を脱ぎ、普通のバスタオルで身体を拭いてから、パンティとブラジャーを着けた。
水着を脱いでからパンティを穿くまで、5〜6秒ほど全裸になる。もっとも雅海はバスタオルで身体を拭いているので、“そこ”は見え隠れするのだが、息を呑んでそれを見る女子たちは、雅海の“生お股”に少なくともぶら下がるようなものは何も無いことを確認した。
パンティを着けたところで空気が弛む。
「ブラジャー何サイズ着けてるの?」
と訊かれる。
「A75。実はアンダーが入るブラジャーではこれがいちばん小さい」
「なるほどねー」
「75もあったら、AAとかは無いだろうね」
「でもきっとおっぱいは成長するよ」
「だったらいいなあ」
と雅海も女子更衣室に少しは慣れてきた感じで答えていた。
なおこの日、雅海に
「着替え用のバスタオルを使わずに裸を曝しなよ」
と唆したのは沙苗である。
一度裸体を女子たちに見せておいたほうが、よけいな疑惑?を招かなくて済むから、女子たちも受け入れてくれやすい。
なお、雅海も次回の授業からは着替え用バスタオルを使用するようになった。これは実は、親切な(そして空気を読まない!)美都が
「今度からは着替え用のバスタオル使いなよ」
と助言して、わざわざ買うのに付き合ってくれたからである。
でも、すっごく可愛い柄のを選ばれたので、雅海はそれを使うこと自体が恥ずかしかった!
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女子中学生・十三から娘(28)