広告:放浪息子-完全設定資料集-ホビー書籍部
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■春四(27)

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千里は少し考えていた。そして唐突に訊いた。
 
「彪志君、性転換したの?」
 
(2Bには“光辞”を読んだ子(Y2)の魂が宿っている。千里たちの中でも特に霊力が強く更に目がほとんど見えない代りに透視力なども強いので服の下の月子の身体を見通した)
 
彪志は“この”千里さんなら何か解決のヒントをくれるかも知れないと思い
「少し相談があります」
と言った。すると千里さんはどこかに電話して
「ちょっとしばらく誰か留守番して」
と言った。すると別の千里さんがリビングに入ってきて
「どうぞ」
と言うので、千里さんと2人で彪志の部屋、2階の204に行く。
 
それで彪志はここまでの不思議な出来事を“この”千里さんに話した。
 
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10.11 郷愁村で仮眠中に突然女の身体に変化した。
−胸があるのでやむを得ずブラジャーを着けた。
−その後、10/25 11/22 12/21 1/20 に生理が来た
−ナプキンを付けるため女性用ショーツを穿くようにした。
11.01-03 自分のミスだがレディススーツを着て研修に参加した。
11.04 早朝気付いたら運転免許証が“鈴江月子”になっていた。
−11月から12月に掛けて、二輪免許・大特免許・大型免許・ドローンライセンスを取ったが運転免許証が鈴江月子になっていめので、これらの免許も鈴江月子で取った。女性名で申し込んだのでやむを得ず学校にも女装で通った。
12.23-26 夢の中で毎晩何かの薬を飲まされた。
1.5 深夜、採卵される夢を見た。
1.16 “鈴江月子”の名前で移動辞令を受けた。
1.20 生理が物凄く重かった。
 
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「ああ、だいたいのことは分かった」
と千里さんは言った。
 
「彪志君本人としてはどうなの?このまま女の子になりたい?それとも戻れるものなら男に戻りたい?」
と千里さんが訊く。
「男に戻りたいです」
と彪志は即答した。
 
「了解。たったらきっと4月頃までには男に戻れると思うよ」
「ほんとですか!」
 
「そのためには・・・・女の身体でも会社には男として出社したほうがいいな」
「はい、そうしたいです」
「ちょっと一緒に来て。女の格好してね」
「え〜?」
 
でも千里さんの言うことはきっと間違い無いと思い、ポール・スチュアートのベージュのレディススーツを着、千里さんに言われてお化粧もした上で一緒にガレージに行く。
 
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「あれ〜、オーリスが出てる。仕方無い。こっち使おう」
と言ってインプレッサに乗り込む。彪志も助手席に乗り込む。
 
それで千里は日本橋のデパートに行った。
 
月食の晩と同様、目はほとんど見えなくてもちゃんと周囲が“分かる”し信号も“分かる”ので運転できる。この視力でフランスのLFBにも参戦している。たださすがに自動車は180km/hくらいまでが限界だし飛行機はプロペラ機やヘリコプターしか操縦できない。
 
“この”千里のためにミューズ飛行場には Beach 1900D (pax19 519km/h range 2511km 着陸距離1423m) が駐めてある。時々気分転換に練習レベルで飛ばしている。念のため基本的には人は乗せない。
 

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車をデパートの地下駐車場に駐め、一緒に2F紳士服売場に行く。
 
「男性用スーツを作りたいんだけど」
と千里は30歳くらいの女性スタッフに言った。
 
「はい。ご予算は?」
「20万円くらい」
 
ひぃ〜!
 
「急ぐからパターンオーダーで」
「そのご予算でしたら、こちらのゼニアの生地はいかがですか?」
 
店員さんが見せてくれた生地の中で千里はいくつか触っていたが
「これがいい」
と言って選んだ。選び方なんて、さっぱり分からない。
 
(2Bは目がほとんど見えないので触って確認した)
 
「この生地でしたら仕上がりは16万円ほどになります。今日はご本人様はいらしてないのですか」
と店員さんは訊く。
 

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「それでちょっと面倒なことを頼みたいんだけど、この子の身体に合わせて作って欲しいのよ」
と千里は言った。
 
店員さんは顔色ひとつ変えず
「かしこまりました。体型補正が大きくなりますので、少しお高めになるかも知れませんが」
と言った。変に驚いたりしない。このあたりはさすがデパートの店員である。教育がよくできている。
 
「全然構いません」
と千里は答えた。
 
「ではお客様、ご採寸を」
「はい」
 
それで彪志は女性のスタッフさんに身体のあちこちの寸法を測られた。その数値をコンピュータに入れている。
 

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「お客様、体型補正のために通常体型より多めの作業が必要になりますので、17万9800円+消費税になるのですが」
「うん。それでOK」
「かしこまりました。お仕立て上がりは1月14日でも構いませんか?」
「それ何とか12日までにできないかなぁ。追加料金たくさん払うから」
「では追加料金に2万円いただければ」
「じゃそれでお願い」
「出来上がりましたらご連絡差し上げます」
「うん。よろしく」
と言って千里さんは自分の携帯番号とメールアドレスを登録していた。
 
「電話とメールとどちらがよろしいですか?」
「多分メールの方が速いだろうからメールで」
「かしこまりました」
 
「じゃこれお代ね」
と言って千里さんは現金をさっとバッグの中から取り出すと店員さんに渡した。
 
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「お預かりします!」
と言って数えている。その上で主任さん?にも渡して確認している。
 
「22万円お預かりします」
「うん」
 
それでお釣り220円と注文控えをもらい、2人は紳士服売場を後にした。
 

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しかし千里さんの対応はテキパキしていて感心した。これ自分がひとりでメンズスーツを作りに来ても作れなかったろうと思った。きっとレディススーツができている!
 
「千里さん、代金は私が払いますね。あとで振り込みますから」
「ああ。青葉から取るから心配しないで」
「いえ。引越に伴って色々入り用だろうからといって青葉から300万円振り込んでもらっていたんです」
「そうなんだ!」
 
それで彪志はデパート内のATMに行き、22万円を引き出して千里さんに渡した。
 
「じゃ今もらった220円は月ちゃんに渡すね」
「すみません!」
「じゃ私がお土産買ってあげるよ。これは私のおごり」
「ありがとうございます」
 

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「12日に連絡もらったら、そのままそちらに持たせるから、13日の初出社に間に合うよ」
「ありがとうございます!」
 
「お土産見に行こう」
 
浦和の家へのお土産にケーキ20個、伏木の家のお土産にバームクーヘンを買った。それで浦和に戻る。もう夕方だから夕食食べてから伏木に行くといいと言われる。千里さん、貴司さん、桃香さん、真珠さん、子供たち4人と一緒に食事を取った。(夕月ちゃんは別の千里さんが見ている)
 
ご飯のあとケーキを食べる。20個のケーキは下記の人たちが食べた。
 
千里1・2A・2B・3・4・5・6
桃香・貴司・彪志・真珠
京平・早月・由美・緩菜
プリマ・帰蝶・天后
東野親子
 
(おキツネさんたちには稲荷寿司をたくさんあげた)
 
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彪志をデパートに連れて行ったのは2Bである。後述のポルシェを持って来たのは6番である。3番は地下に居て急ぎの曲を書いていた。2Bが出掛けたあと代わりに留守番をしたのは4番である。買物は今日は天后がした。
 
1番はバスケの練習に出ていた。2Aは夕月に添い寝していた。地下で子供たちと遊んでいたのは千里を装った帰蝶(ルミナ)である。今日は浦和の家に6人(7人?)の千里が出入りした。5番は浦和には来ていないが、調整に一番苦労していたので1個もらった。
 
ドライバーの東野さんにあげたら「持って帰って娘にあげます」と言っていたのでもう1個あげて「娘さんと2人でどうぞ」と言った。
 

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夕食が終わり、ケーキも食べた所で彪志は出発する。
 
「じゃ京平、春休みにな」
「うん」
「早月も由美も緩菜もちゃんとお母ちゃんたちの言うこと聞いて、いい子してろよ」
「はーい」
「じゃ後はよろしくお願いします」
と千里・貴司・桃香に言って、夜8時頃出発した。
 

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子供たちの手前、特に京平が見ていたので男物のスーツを着ていたが、関越に乗ってから最初のPA・三芳PAで女物の普段着に着替えてしまった。ボトムは裏起毛のジーンズパンツの上にオーバースカートした。運転中スカートを穿いていると便利だからである。別に女になりたいわけではない。
 
トイレにも行ってから出発する。これが21時頃である。
 
21:40頃に藤岡JCTを通過。こないだ甘楽PAで休憩したら変な夢?見たしなあと思い、もう少し先まで行く。
 
東部湯の丸SAで休もうかなと思ったが人が多いかもと思い、あと2つ進行して23時頃、松代(まつしろ)PAで休憩した。トイレに行って来た後、後部座席で仮眠する。妙高高原は霧が晴れて朝になってから通過しようと思う。
 
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夢?の中にまたあの白衣の女性が出て来たので「げっ」と思う。
 
また何かされるのかなあ。
 
「先日は卵子を取ったから今度は精子を取りましょう」
と女性は言った。
 
精子を取るといっても今ぼくには男性器が無いんですが・・・と思ったが、女性はカップのようなものを渡して「この中に入れてください」と言われ、個室に案内される。
 
男性器も無いのにどうしろと?と思ったのだが、ショーツを脱いで見るとペニスが存在した。
 
うっそー!?
 

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ペニスの後ろに睾丸もちゃんと陰嚢の中に2個収まっている。
 
これなら出来るかも、と思い10月上旬にして以来、4ヶ月半ぶりの男性自慰をする。
 
しかし・・・・・女性自慰ほど気持ち良くない!
 
こんなんで出せるかなぁと自信が持てないが頑張ってあれこれ妄想してみる。この陰茎を強引に切断される場面など妄想すると何とか射精することができた。(←かなり危ない傾向)逝くまでに15分くらい掛かった。
 
(たぶん体内がまだ女性ホルモン優位だからだと思う)
 
それでその付近をティッシュで拭き、服を整えてから採精室を出、容器を白衣の女性に渡した。女性は顕微鏡でチェックしていたが
「元気な精子がたくさん取れましたよ」
と言った。元気ならよかった。
「ではこれ冷凍保存しますね。そしたらあなたパパになれますよ」
 
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あ、良かった。ぼくもパパになれるのか。ママではなくて。と少しホッとした。
 
「じゃ今日は1日何度でも自慰をしていいですから、明日2月6日から8日までの3日間は禁欲してください」
「分かりました」
 
3日間禁欲ってもしかしてその後また採精するの?
 

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「でも時間取らせてしまったね。車は適当な所まで進めておくね」
「ありがとうございます」
 
そう返事したところで目が覚めた。
 
スマホで時間を確認すると午前1時である。2時間くらい眠っていたことになる。車の外を見るとどうも松代PAではないようである。また2時間分、200kmくらい先に移動してたりして。
 
取り敢えず車を出てトイレに行ってくる。いつもの習慣で女子トイレに入り、個室に入る。アルコールをトイレットペーパーにとり便座を拭いてから座る。おしっこを出す。
 
ギョッとする。
 
股間にアレが付いてる。うっそー!?
 
青ざめる。こんなものが付いてるのに女子トイレ使ってたら、ぼく痴漢で捕まらない?
 
トイレットペーパーで拭き、流してから個室を出る。手を洗っていたら女性が1人入ってきた。きゃっと思うが、女性は特にこちらを気にすることもなく、奥の個室群のほうに行った。
 
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不審に思われないかなあと思いながら女子トイレを出る。周囲に人が居ないのを確かめてから小さな声で声を出してみる。女声が出た。ホッとする。万一女子トイレで性別を疑われても女声が出れば女と思ってもらえるだろう。
 
いや待て。ぼく男の性器が戻ったからもう女子トイレではなく男子トイレを使わなければならないのでは?
 

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悩みながら施設のほうに行くと、ここが呉羽PAであることが分かった。PAとしては割りと大きなPAである。ここから青葉の家まで30-40分で行ける。しかしこんな時間に着いてはさすがに非常識なので時間調整で寝ることにする。
 
それで後部座席に行きコンロで御湯を沸かして“緑のたぬき”を作る。お湯を入れて3分待つ時にはまだ天麩羅を入れない。3分経ってふたを開けてから天麩羅を投入し、食べている間にふやけていくのを食べる。微妙な好みの問題である。千里さんに作ってもらったおにぎりも1個食べた。
 
それからモンダミンを持ってトイレに行く。
 
ここでどちらに入るべきか悩む。
 
やはり男性器付いてるのに女子トイレに入ったらやばいかなあと思い男子トイレに入ろうとしたら、中から出て来た20代の男性に叱られる。
「おばちゃん、女は女便所に行けよ」
「すみません!」
 
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それで女子トイレに行く。こんな夜中にお化粧を直している女性がいる。自分のことをチラッと見たが何も言わない。やはり自分は女に見えるのかなあ、と思いながら、少し離れた洗面台でモンダミンをして口の中を洗った。それから車に戻って、スカートを暖かい室内用ズボンに穿き替え、それから目を瞑った。
 
(↑スカートのまま男子トイレに入ろうとしたことに気付いてない)
 
「千里さん4月頃までにと言ってたけど。もう戻って来てくれたんだなあ」
 
と思いながら久しぶりに自分の身体に戻って来た男の性器をいじっているうちに逝かないまま眠くなってきたのでそのまま眠りに落ちて行く。
 
「起きたら全部夢で、ぼくも女のままで、まだ松代PAだったりして」
などと思いながら眠りに落ちて行った。
 
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