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■春四(7)
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4人はみんな荷物は旅行バッグ1個なので熊谷からはカローラ・フィールダー1台で充分乗った。身体の小さな日和が後部座席の真ん中に乗っている。両脇が高校生のあんころ・きんつばである。身体の接触が生じるが、いつも五月や美奈子に抱きしめられたり、おっぱいを揉まれているので特に何も感じなかった。
「うん。おっぱいは成長途中だな」
と高校1年のあんころに胸を揉まれる。
「春に入学した時はまだジュニアブラ着けてたんです。今年ブラジャーを3回買い直しました」
「ああ、女の子は胸が急成長する時期があるんだよ」
「男の子の胸が急成長することは無いだろうね」
「その場合はたいていお腹も急成長している」
「女の子でお腹も急成長したら大変だ」
「それきっと妊娠してる」
寮に着くと、日和(入瀬コルネ)は萌花(ホルン)の部屋C105、古屋姉妹は古屋あらたの部屋C203 および同じフロアのC209 に入った。
●12/23 Beach 400XPR 神戸空港16:00(400km) 16:30郷愁-18:00 五反野
西宮市の白石乙羽(清水スピリ)が母の運転する車で引越荷物とともに神戸空港まで来た。母及び引越の手伝いに弟2人共にビーチ400に乗り熊谷に移動する。これに姫路スピカの従姉・竹中花絵が同乗した。
乙羽は昇格試験の時は Honda-jetだっので、
「これ少し広いんですね」
と言っていた。
「古いですけどね。これは元々は40年くらい前に日本の三菱が開発した飛行機なんですよ」
と、この機体にも何度も乗っている竹中花絵が説明する。
「へー。その時代に日本で飛行機作ってたんですね」
「日本では売れなくてアメリカのビーチクラフトに身売りしてそちらでたくさん売れて人気機種になったんですよ」
「ああ、日本じゃ需要無かったでしょうね」
「中身も日々更新されてエンジンも新しいのにして、これは15年くらい前にうちの取締役(千里のこと)が買った機体を一度中身を換骨奪胎して最新のと同じ仕様にしたものですね」
「へー。換骨奪胎って凄いですね」
「まあ古い亭主を換骨奪胎して若い亭主に生まれ変わらせるようなものですね」
「あら、それいいわね」
「昼は元気に仕事して、夜は元気に“お仕事”して」
「私壊れちゃいそう」
「その時はお母ちゃんも換骨奪胎されてるよ」
「換骨奪胎して男女逆転したりして」
「あ、私男の側もやってみたい」
「亭主に女になってもらって子供も産んでもらって」
「ああ1人くらい産んで欲しい」
「そうだ。あんたたちも換骨奪胎してもらって女の子に生まれ変わったら?女の子の骨格に交換して女の臓器に交換して。お嫁さんに行けるよ」
と弟たちに言う。
すると小学3年生の椿季(つばき)は「いやだぁ」と言ったが、小学5年生の春佳(はるか)は恥ずかしそうに顔を伏せた。
ああ、換骨奪胎されてお嫁さんに行きたいのね、と花絵は思った。髪も長くしてるし。そのジーンズのパンツもシャツもレディスっぽいし。
夕方五反野の女子寮に到着する。花絵はいつもの通りスピカの部屋に入る。
白石一家はみんなで荷物をA302に運び込む。この時、母と春佳は"Guest"という札をもらって首から掛けたが、椿季はチェキでインスタント写真を撮られ、それを貼り付けて名前も記載された「家族特別入館証」を作ってもらい、首からさげていた。春佳との違いは見た目問題だなと乙羽は思った。椿季は「女臭ぇ」と文句を言っていた。
引越作業をしていたら“寮長臨時代理”の三田雪代が声を掛ける。
「何か足りないものがあったら私にでもフロントででも声を掛けてくださいね。生理用品とか無料で支給してますし、一般的な配線器具とかもお渡ししますから」
「へー、配線器具とかもですか」
「正直言って安物で配線されて出火事故とかあったら困るんですよ」
「なるほどー!そういうことか」
「100円ショップの延長コードとかの類いは使用禁止にしています」
「火事は怖いですよね」
三田が春佳に目を付ける。
「ね、君も信濃町ガールズに入らない?」
春佳は驚いたような表情で口に手を当てている。
「乙羽ちゃん、この子小学6年生?」
「まだ5年生なんですよ」
「5年生かぁ。残念。6年生なら卒業したらこちらにと思ったんだけど」
「今西宮の教室でレッスン受けてます」
「そうか。君には今年いっぱいで終了する姉妹特別枠を付与しておくから。1年後にでも、もしその気になったら東京に出て来てね」
「この子はやりたがるかも」
と乙羽も言った。よく誤解されてるけど信濃町ガールズに性別は関係ないし。もっともこの子は女の子になってから信濃町ガールズに入りたいかもね。
結局春佳は冬休み一杯こちらに居て、信濃町ガールズの活動を見学することになった。その間乙羽の部屋に滞在する。新しい中学の制服を乙羽はもらったが、向こうの中学の女子制服を“母が見ている前で”春佳にあげて
「自由に着ていいよ」
と言った。母の目の前で渡さないと『お姉ちゃんの服を勝手に着てる』と思われてしまう。
水戸市の水巻アバサにはSCCの車を迎えに行かせた。
本人は(男子)制服のまま車に乗るつもりだったのだが、女子の友人たちが
「東京行くのならちゃんと制服着なくちゃ」
と言う。
「ぼく制服着てるけど」
「男子制服とかで行っちゃダメだよ」
と言われ、女子制服に着替えてから車に乗ることになった。
「まあこの方が気楽だしいいか」
女子寮のフロントで、受け付けた三田雪代は
「イビザちゃんの部屋はA403に移動してるから。寝具は後で持っていかせるね」
と言った。しかし彼は
「ぼくまだ男の子なのに女子寮に泊まるのはやばいですよ」
と言う。
「そう?じゃカデットに泊まって」
と言ってそちらのキーも渡す。
しかし23時過ぎても部屋に滞在しているようなので
「やはり寝具入れるね」
と言って運び込ませた。でも結局彼は24時前に女子寮を出てカデットで泊まったようであった。カデットの玄関まで警備員さんが送り届けた。
彼はイビザから「お姉ちゃん」と呼ばれて嬉しそうにしていた。
彼はこの後、冬休み中、ほぼ女子寮に居て、ほんとに睡眠の時だけカデットに行っていたようである。5時にはこちらに戻って来るので朝夕の御飯も妹と一緒に食べていた。(そのまま女子寮で寝れば良いのに)。
都城市の広瀬のぞみは終業式が終わると母の車で約2時間掛けて薩摩川内市の藺牟田飛行場まで行った。ここで同市内に住む月城としみと合流する。そしてHonda-Jet
blueに乗り熊谷の郷愁飛行場まで飛んだ。
●12/23 Blue 藺牟田15:30(960km)17:00郷愁-18:30五反野
ふたりは立場が似ていることもあり、道中かなりおしゃべりがはずんだ。
広瀬のぞみはC101広瀬みづほの部屋、月城としみはC103月城すずみの部屋に入って休んだ。
12月24日(土).
クリスマスイブなので彪志と青葉はお互いにクリスマスケーキを贈り合った。お互いに向こう側の住所の近くのお菓子屋さんに予約をいれている。当日は浦和では貴司が、伏木では真珠が取ってきた。ついでに真珠・瑞穂、明恵、初海も来て一緒にクリスマスを楽しんだ。(双葉は受験生なのでお勉強をしている)
貴司は自分で予約しておいたクリマケーキもあるので、2つのクリスマスケーキを抱えて帰ってきた。子供たちが嬉しそうにしていた。
この日は日本時間で夕方から百道事件の対応に追われたのだが、処理したのは関東司令室の千里6(グレース)と、グラナダの青葉(R) なので、浦和の千里(1,2A,3) も伏木の青葉(L) もそんな事件が起きているとは思わずのんびりとした日を過ごした。
彪志はまだ未確定のことなので、転勤になりそうと言う話は青葉にも、浦和の人たちにもまだ話さなかった。
24-25日は休日なので、彪志は浦和の家を出てから青山のレディスーツ(千里さんからもらったもの)に着替え、ドローンスクールに出掛けた。そして帰りも車内で男の服に着替えていた。彪志がレディススーツを着ているのを見て水川は言った。
「会社にもレディスで来ていいよ」
「いえ、自粛します」
「どうせみんなにバレてるのに」
「あはは」
岐阜県各務原市(かかみがはらし)の杉田由夏(鏡家トマト)は12/24(土)の午前中に小牧飛行場(県営名古屋空港)からHonda-Jet
silverで両親・弟とともに郷愁飛行場に飛んできた。
●12/24 Silver 小牧8:30(230km)9:00郷愁-11:30五反野
11時過ぎに女子寮に到着したが、12:00からのあけぼのテレビの番組に出てほしいので、すぐ海浜ひるがおを付けて五反野サテライトに向かわせた。
「遅くなって済みません」
と謝っていたが、クリスマスイブの土曜日であちこち渋滞していたのもあった。
ただ本当は渋滞を計算に入れた上での行動をしてほしかった。この点は後で花ちゃんに叱られていた。
荷物は御両親および弟さんの手でA303に運び込んだ。
「テレビ・冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・寝具・勉強机・本棚・衣裳ケースと揃っているというのは凄いですね」
とお父さんが感心していた。
「そんなのみんな使いますからね。故障したら交換しますし、いちいち買ったり運んだりしてたら面倒くさいですよ」
と海浜ひまわりが言う。
お父さんはまた寮の敷地内にコンビニ・ATM・ポスト・100円ショップ・ドラッグストア・ファンシーショップと揃っているのにも驚いていた。
「寮から出ずに生活できますね」
「そうできるように整備しています。感染リスクを減らすためというのが一番大きいですけどね」
2番目は信濃町ガールズたちを盗撮などから守るためというのもある。
母はその日、由夏の部屋に泊まり、弟と父はカデットに泊まって翌日(12/25) 3人で帰って行った。お土産に“信濃町ガールズ人形焼き”を買っていた。
「お嬢さんもこのラインナップに入るといいね」
「競争が厳しそう!」
2022年10月版の“人形焼き”メンツ
(22歳年度以下の§§ミュージック所属タレントで単純収入順Best24)
アクア・常滑舞音・今井葉月・東雲はるこ・町田朱美・白鳥リズム・
姫路スピカ・恋珠ルビー・鈴鹿あまめ・薬王みなみ・夕波もえこ・花貝パール・坂田由里・佐藤ゆか・南田容子・三田雪代・広瀬みづほ・立山煌・
水森ビーナ・三陸セレン・山鹿クロム・花園裕紀・水谷雪花・水谷康恵
(カペラやポルカが入ってない!)
メンツは半年に一度改訂される。広瀬みづほ、セレン&クロム、花園裕紀は映画のギャラで跳ね上がった。佐藤ゆか・南田容子・三田雪代・坂田由里はギャラよりスタッフとしての報酬が大きい。
東雲はるこ・町田朱美、水谷姉妹はたとえ単独の仕事であっても各々ギャラを完全等分しているため収入が等しい。葉月はアクアのギャラの10分の1をもらう契約になっている。しかし常滑舞音の収入はそれを越えている。実は今回映画の主題歌・劇中歌を多数歌ったギャラが大きかった。
舞音はアクアや葉月同様に、学費や生活費として日常的に使用する金額以外は全て資産運用グループの管理に委ねている。そのため舞音の口座には毎月50万円しか振り込まれない。
「高校生が何億というお金を自由にできていたら、ろくなもんにならない」
というのが、ケイ・コスモス・千里の一致した意見である。
資産運用グループまで付いていなくても、収入が概ね2000万円を超える子は、生活費以外を強制的に貯金させる“現金コントロール”をしている。
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