広告:ここはグリーン・ウッド (第2巻) (白泉社文庫)
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■春四(11)

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28日になると、各局は27日に放送予定だった番組で何とか編集の終わった番組を1日遅れで放送するが、それでも、アクア、北里ナナ、常滑舞音、などは出て行った。アクアと北里ナナは火の鳥、シンデレラを思わせるようなセットで歌い、舞音はまたコスプレショーをしていた。昨日が猫を始めとする動物系・縁起物系だったので今日はロボットとか有名な彫像などをやっていた。(水谷姉妹演じる“乙女の像”など)。またロボットに扮したらそのロボットを主人公とするアニメの主題歌を歌ったりして盛り上げた。
 
今日は月城姉妹は3人とも男装して出て行き、まだすずみのギターでコブクロ、ケミストリーなど男性デュオのヒット曲を多数歌った。「さすがに生リクエストは勘弁して」と言われたので事前にネットで“男声または男女デュエット”でリクエストを受け付け、それにもとづいてチャゲ&石川優子の『ふたりの愛ランド』、鈴木雅之と菊池桃子の『渋谷で5時』、AAAの『恋音と雨空』、セリーヌ・ディオンとピーボ・ブライソンの『美女と野獣』、クリスタルキングの『大都会』、狩人の『あずさ2号』、猿岩石『白い雲のように』、KinKi Kids『硝子の少年』などを歌った。
 
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月城としみが『大都会』のバス音域まで出すので「すげー」と言われていた。(実は低い声でも男声っぽくならないよう倍音の混ざり方に気を付けている)
 

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バニショコ・ももくり・くれは西は今日は8人で出て行き、山本コリンも司会で入って、ダーツで当てた楽器で1曲演奏するというゲームをやり楽しい番組に仕上げた。題して『ダーツってミュージック』。
 
8人がクラリネットとかトロンボーンとか、あるいは三味線とか尺八とか、様々な楽器が当たってもちゃんと演奏するので「この子たちすげー」と言われる。
 
チャルメラ・大正琴・篠笛・ハーモニカと当たってもそれでベートーヴェンの第九『喜びの歌』を演奏したので、ディレクターさんが
「ほんとに君たち“芸人”だね」
と感心していた。これにも
「リゲイン飲んで頑張ってます」
と紺青セイラがすぐ応じるので「参った」と言われた。
 
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(この企画はその後あけぼのテレビでレギュラー化される)
 

29日はあけぼのテレビがお休みなので、鈴鹿あまめまで動員されて出て行き、青い傘、Transparent Wall、Flower Sunshine といった“売れてないグループ・アイドル”を使って、それで充分面白い番組を生で構成した。彼女の上手さに驚愕したプロデューサーさんが思わず
「君学校出たらうちの局に入らない?」
などと勧誘したとか!?
 

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テレビ局の混乱は続き、30日のRC大賞は選考が全てやり直され、既に発表されていた賞も全ていったん取り消された。その上で今年は生出演を条件とせずに賞が選考され、生出演が不可能な人にも賞を出した。ローズ+リリーはとうとう連続出演が途切れたと思っていたものの、これで復活して金賞をもらった。逆にせっかく金賞が決まっていたのに、作詞者などに今回摘発されていた人が入っていたため取り消された気の毒な歌手さんとかもいた。
 
せっかく何年とかぶりの大ヒットだったのに、CDとかが回収されJASRACからまで抹消され、ステージでも歌うことができないという可愛いそうな歌手が何人も居た。でも多分薬のせいで凄い歌詞とか曲とかができたのだと思う。
 
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また摘発された人がメインライターだった歌手は歌うべき楽曲が無くなり、年末年始に予定していたツアーなどが中止に追い込まれた人もあった。ディナーショーでカバーばかり歌う羽目になった人もあった。
 

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そのRC大賞の授賞式の最中(12/30 21:30) にコスモスに電話が入る。NHKからであった。
 
「紅白の出演者がどうしても足りないんです。紅組と白組1名ずつ推薦して頂けませんか」
 
前日のこんな時間になってから電話してくるというのは本当に切羽詰まったのであろう。
「では紅組は白鳥リズム、白組は立山煌で」
 
NHKから出場者一覧が発表されたのは22:00であった。元々は各1枠にまとめられていた、富士川32と利根川32、また FireFly20, WaterFly20, WindFly20 が各々1枠もらっているのにも、苦労の跡が見えた。
 
結局今回§§ミュージックからは下記の6組が出場することになった。
 
北里ナナ『若草の少女』(2) ラピスラズリ『プロポーズ・ラプソディ』(3)
常滑舞音『オールシーズン・コスプレ』(2)
白鳥リズム『銀のエクスプレス・青のエクスプレス』(2)
薬王みなみ『変わらない距離』(初)
立山煌『山があるから山ガール』(初)
 
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(北里ナナはアクアと通算すると連続8回)
 

12月29日(木).
 
彪志の会社は仕事納めであるが、納会の時、異動のことが話題になる。
「水川係長と鈴江主任は異動ですか?」
「それ私たちも聞いてないんだよ」
と水川は言い
「報道機関に発表前だからまだ言えない」
と課長は言う。
「何か新設の部門なんですね」
「今は言えない」
 
ということだった。
 
この後は正月休みを休む人と、ずらして休む人に別れる。前にずらして12/22-28を休んだ人たちもいる。労働体制としては正月休みが必要だが、彪志たちの部門は誰か出てないといけないので大変である。12/30-1/3の5日間は半分くらいの人数で作業をすることになる。彪志は1/4-10を休むことになっている。
 
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水川さんは12/29, 彪志は12/30 でドローンの講習を終了した。どっちみち卒業試験は年明けになる。それに合格すれば国土交通省の学科試験(と身体検査)を受けることになる。これはかなりの勉強が必要で、お正月の間に勉強しなきゃあと彪志は思った。
 
それにしても12月30日から1月3日までは少ない人数でオペレーションしているのでかなり忙しかった。緊急の薬の配送も多数発生し、かなりあちこち走り回った。
 

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12月31日(土).
 
百十事件の影響で信濃町ガールズは朝から晩まで大忙しであった。花園裕紀は本当は高校生だから22時で開放してもらえるはずが、テレビ局を出たのが22時半だった。女子寮の部屋に帰宅する。この状態がたぶん1月3日か4日まで続く。
 
帰宅したらすぐに晩御飯が配送されてきた。今日は大晦日で年越し蕎麦である。大きなエビ天を含む具だくさんのおそばである。ぶりのお刺し身もある。
 
お刺し身というのは夕食が“帰宅時配送”に変更された以降で時々現れるようになったメニューで、女子寮生たちにはとても好評である。やはりお正月ということで、鰤が登場したようだ。男子寮には無いメニューである!
 
「凄いなあ。女子寮は人数多いのによくやるなあ」
などと思う。裕紀は高校に入る時には女子寮に移らない?というお誘いもあったが結局男子寮に近い高校を選び、こちらに引っ越す話は断っていた。
「だってぼく、男の子だもん」
と裕紀は思う。女の子の服着るのは好きだけど。そして不本意に?女子制服で通学してるけど(←嬉しいくせに)。
 
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御飯を食べてからトイレに行く。裕紀のペニスは自然消滅してしまったので、現在彼の股間は“ヌル”に近い状態である。陰嚢の痕跡のヒダの多い部分のどこかからおしっこはにじみ出してくる。本人は『ペニスはある』と主張してはいるが、実際にその付近を指で触って探してもペニスらしきものは発見できない。
 
え?
 
出ない。。。。
 
出そうとしても先が詰まってる感じで出てこないのである。指でその付近を色々いじってみるものの、どうしても出ない。尿意はあるのに出せない。
 
これヤバいのでは?
 

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焦っているとトイレ内に少女が出現する。
 
「こんばんわ、一葉(かずは)ちゃん。ぼくは“男の娘の味方”魔女っ子千里ちゃんだよ」
 
彼女とは過去に何度も会っているが毎回名乗るのが流儀のようだ。
 
「ねぇ、魔女っ子千里ちゃん、おしっこが出てこないんだよ」
「ちょっと見せて」
「うん」
 
魔女っ子千里ちゃんはビニール手袋を着けてその付近をかなり調べていた。
 
「これおしっこの出てくる穴が塞がってしまったのだと思う」
「どうしよう?」
「出る穴を作ってあげるよ」
「それまさか女の子の位置じゃ無いよね?」
 

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「一葉ちゃん、それ嫌がってるけど、そろそろ受け入れるべきだと思うなあ。一葉ちゃん、ちんちん無くなっちゃったんだから、女の子の位置からおしっこするしかないよ。その位置からおしっこしても、一葉ちゃんが自分は男の子だという意識を持っている限りは男の子だと思うよ。ちんちんがあるか無いかなんて性別には関係無いんだよ。ちんちんなんて無くても自分の意識として自分が男の子だと思ってたら男の子だし、ちんちん付いてても自分は女の子だと思ってれば女の子だよ」
 
「それ前にも言ってたね」
「ちゃんとおしっこできるようにしようよ。今までの状態は不衛生たったし。夏とか拭くのが大変だったでしょ?」
 
裕紀は少し考えた。
 
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「分かった。やっちゃって。ちんちんが無いのは自分としても受け入れてたし」
「OKOK。じゃベッドに戻って。溜まってる尿は注射器で吸い出してその後(あと)経路を作る」
「分かった。お願い」
 
それで裕紀が布団に戻ると、魔女っ子千里ちゃんは
「注射針刺すのに皮膚麻酔掛けるから」
と言って何かを塗った。
「このあたり感覚ある?」
「無い」
 

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「じゃ刺すね。目は瞑ってて」
と言って注射器を刺されたようだった。痛みは感じなかった。
「OK。だいたい吸い出した」
「ありがとう。楽になった」
「じゃ経路作るから後は寝ててね」
「うん」
「ついでにおっぱいも作る?」
「要らない!」
「Cカップくらいにしてあげるのに」
と不満そうであった!!
 
でもそれで裕紀は眠りに落ちて行った。
 
「よいお正月を」
「よいお正月を」
 

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裕紀の“処置”が終わった後、魔女っ子千里ちゃんは、セレンの部屋に行った。クロムも来ている。
 
「こんばんわ、ユカリちゃん、えむちゃん。ぼくは“男の娘の味方”魔女っ子千里ちゃんだよ」
「こんばんわー」
「何かあったの?結構大晦日ぎりぎり」
「ちんちんが無くなっておしっこが出なくなって困ってた子がいたから、ちゃんと出るようにしてあげてきた」
「ああ」
 
たぶん花園裕紀の処置をしたんだろうなと2人は想像した。あの状態では尿道が閉塞するのは時間の問題だと思っていた。
 
「それでやっちゃっていいよね?」
「お願いしまーす」
 
実は2人は大晦日に睾丸を取ってもらう約束をしていたのである。病院で去勢手術を受けるのでなく、彼女に頼むのは、前々から「女の子にしてあげるよ。玉取るだけでもしない?」と言っていたのと、彼女が取った睾丸を1年間は“ライブ保存”しておいてあげると言っていたからである。取って後悔することはないと思うものの、より安心感がある。それに彼女にしてもらうと多分痛くなさそうだし!
 
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「じゃ取っちゃうね」
と言って彼女は2人のお股に手をやると、ひょいと玉を取っちゃった。
 
「無くなった」
「じゃ1年間は保存しておくね(本当は大神の指示で10年保存することになっている)。まあ後悔はしないだろうけど万一戻してほしくなったらぼくを呼んでね」
「うん」
「ではよいお正月を」
「ありがとう。よいお正月を」
 
それで魔女っ子千里ちゃんは消えた。そのあとお正月を告げる時報が鳴った。
 

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