広告:よりぬき-TSFのFのほん-アンリアルコミックス-温野りょく-ebook
[携帯Top] [文字サイズ]

■春四(25)

[*前p 0目次 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 
前頁 次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

 
「全くもうLちゃん何にも頭が働いてないんだから」
と文句を言いながらグラナダの青葉Rは彪志に電話をした。
 
「ねえ、月子さあ」
「うん」
「引越に伴ってあれこれお金が必要でしょ?」
「けっこう細かいところでお金がかかるかも」
「それでそちらに取り敢えず300万くらい振り込むからさ」
「300万も!?」
「きっと使う」
「・・・もしかしたら使うかも」
「可愛いお洋服とか通勤用のバイク買ったりとか、この機会に性転換手術受けたりとかで掛かると思うのよ」
 
「性転換手術を受けるつもりは無いし、バイクは千里さんのをしばらく借りれることになった」
「性転換手術までしなくても、去勢したり、ちんちん切断したり、割れ目ちゃん作ったりくらいはするよね?」
「そこまでやったら性転換じゃん!」
 
↓ ↑ Bottom Top

「まあ取り敢えず振り込むから」
「助かるかも」
 
それで青葉(R)は自分のパソコンを操作して“鈴江月子”の口座に314万1592円振り込んだ。Rは彪志の口座の名義が月子に変わっていることを認識しているが青葉Lも月子本人もこのことに気付いていない。
 
(スペインからなら日本の銀行のネットバンキングは可能。ただし幾つか注意点がある。詳細は各銀行のサイト参照)
 

↓ ↑ Bottom Top

1月28日(土).
 
この日は富山県高校バスケットボール新人戦の準決勝・決勝・北信越大会代表決定戦(事実上の三決)が行われる。
 
午前中の準決勝。H南高校は砺波E高校と対戦する。3回戦では強豪の富山B高校を僅差で破っている。
 
かなり強いチームではあったが、何とか10点差で勝つことが出来た。
 
そして午後からの決勝戦に臨む。相手は高岡C高校である。午前中の準決勝では黒部S高校に2点差で勝って決勝戦に上がってきている。
 

↓ ↑ Bottom Top

決勝は高岡C高校がホーム用の白いユニフォーム、H南高校はアウェイ用の濃緑のユニフォームを着る。両者の登録選手はこのようであった。
 
H南高校
4 山口夏生(SF) 5 竹田松夜(PF) 6 原田河世(C) 7 綾野美奈子(SG) 8 鶴野五月(PG) 9 砂井梨央(2C) 10 菓子弥生(SF) 11 山口一恵(PG) 12 津田秋奈(F) 13 藤永弘絵(F) Man 吉川日和 AC 高田晃
 
高岡C高校
4.鳩川(C) 5.小西(PG) 6,小岩(SF) 7.賀茂(SG) 8.白崎(PF) 9.寺下(C) 10藤川(SF) 11実田(SF) 12稲葉(PG) 13村田(PF) 14堀山(PF) 15芦谷(C) 16府中(SF) 17山上(PF) 18鶴田(SG)
 
高岡C高校は15人の選手が揃っているがH南高校は10人である。しかもそのうち藤永弘絵は事実上のマネージャーで3回戦にだけ出してもらった。残りの9人で戦う必要がある。
 
↓ ↑ Bottom Top

しかし高岡C高校はスターターが一新された。今の3年生が強すぎたので2年生でスターティング・ファイブに入っていた人がいなかった。なお↑の府中と寺下は3年生の府中・寺下の妹である。
 

↓ ↑ Bottom Top

高岡C高校の矢作監督はかなり厳しい顔をしていた。H南高校の春貴監督も難しい顔をして腕を組んでいた。
 
試合が始まる。ティップオフは高岡C高校165cmの鳩川とH南高校同じく165cmの河世の勝負だが、河世が勝ってH南高校の先攻で試合が始まった。
 
H南高校のメンバーは首をひねりながら戦っていた。
 
相手が全然高岡C高校らしくないのである。
 
ドリブルで攻めて行く先に相手選手が居た場合、これまでは簡単に停められてしまっていたのが逆に簡単に抜ける、あるいは向こうのファウルになる。
 
向こうが攻めてきた場合、これまではたいていそのまま進入されていたのが、大抵停めれる。或いは向こうのファウルになる。
 
そういうわけで第1クォーターの段階で14-20とこちらが6点もリードしていた。しかも向こうは6ファウル、こちらは0ファウルである。12月の練習試合の時も第1クォーターで6点こちらがリードしていたが、あの時は晃が入っていた。今回は晃抜きのメンツなのにである。
 
↓ ↑ Bottom Top

春貴は「リードしているからといって油断するな。向こうは試合経験の少ないメンバーが多くて調子が出ないだけだ。すぐ本気になってくる」と部員たちに声を掛ける。夏生たち2年生も「絶対油断するな。向こうは強い」とみんなに声を掛ける。
 

↓ ↑ Bottom Top

それで第2クォーター出て行ったのだが、第2クォーターは16-24である。前半を終えて30-44 となる。
 
「後半、きっと向こうは全開で来る。気を引き締めろ」
とハッパを掛ける。
 
しかし第3クォーター、向こうは最初から出ていた子のファウルがかさむ。キャプテン・センターの鳩川をはじめ、ポイントガードの小西、パワーフォワードの白崎とスターターの内3人が退場になる。第3クォーターの点数は10-18である。ここまで40-62 と大きく点差が開く。
 
ここで6番でキャプテンマークを付けた小岩が全員を引き締めて少し立て直す。第4クォーターは何とか頑張ったものの、16-20で完全にH南高校に圧倒されたままであった。
 
「82-56でH南高校の勝ち」
「ありがとうございました」
 
↓ ↑ Bottom Top

握手して健闘を称え合ったものの、高岡C高校のメンツは泣いていた。H南高校のメンツは拍子抜けした気分だった。
 

↓ ↑ Bottom Top

矢作監督は厳しい顔をしていたが選手たちを叱ったりせず軽くお尻を叩いたりして「よくやった。また頑張ろう」と言っていた。春貴監督も厳しい顔をしていたが「ラッキー、ラッキー、たまたま向こうは調子悪かったみたいだ」と、選手たちに声を掛けていた。
 
要するに高岡C高校はあまりにも強すぎた3年生が抜けて戦力が大きく落ちた。それに対してH南高校は主力が1年生だったので3年生が抜けてもそんなに戦力が落ちたわけではなかった。それで新人戦では大きな差になったのである。
 
しかしインターハイ予選までには向こうも何とかしてくるだろう、と春貴は思った。
 
ともかくもH南高校は2月の北信越大会に進出することになった。
 
↓ ↑ Bottom Top


表彰式では、初めて優勝旗なるものを渡されて、夏生キャプテンが超笑顔であった。松夜が優勝の賞状を受け取った。
 
「先生、私たち優勝しましたよ。今日はお寿司行きましょう」
「はいはい」
 
それで春貴はみんなに「きときと寿し」をおごってあげたのであった。この近辺の“回るお寿司屋さん”の中では最も美味しいお店である。バスを運転してくれた松夜のお父さんも一緒であるが、さすがに
 
「先生大丈夫ですか」
と心配していた!
 
「まあ初めての優勝ですし」
と答えたが、今年も春貴の食費支出は増える!
 
でも初優勝ということもあり、月曜日には校長先生も中華をおごってくれた。
 

↓ ↑ Bottom Top

2月3日(金).
 
月子(彪志)は赤羽支所での最後の勤務をした。そしてこの日は夕方17:00-18:00に水川沙耶係長(→UDD準備室長)と“鈴江月子”主任(→UDD準備室長代理)の送別会が行われた(アルコール無し:車通勤の人が多いから)。
 
「でも月子ちゃん、ずっと遠距離恋愛だったんでしょ?」
 
「高校1年の時知り合って、3ヶ月くらい恋人未満の状態で過ごしたんだよ。でもその後、ぼくは父が転勤になって、手紙のやりとりはあったんだけど、次に会えたのが1年半後。震災の後だったんだ」
「その年齢での遠距離恋愛はきついね」
わ「うん。でも何とか交際再開して、ほんの1ヶ月後には、しちゃった。当時は高校3年と中学2年だったけど」
「まあ本人たちが良ければ、いーんじゃない」
「その後、ぼくは千葉の大学に進学して結局11年間遠距離恋愛を続けたことになるかな。やっと結婚しても半年間遠距離夫婦で」
 
↓ ↑ Bottom Top

「離れて暮らすのが普通になってるから、一緒に暮らしたら即別れるなんてことにならないように」
「それ意識してお互いに自制しようって話した」
「あれこれ違う所を認め合って」
「うん。それぞれ1人で暮らすパターンが成立しているから何かで不快なことがあっても、ぐっと我慢」
 
「それはやはり意識してないと大変だろうね。たぶん半年くらい一緒に過ごしてたら落ち着くだろうけど」
「うん、最初はほんとに些細なことで対立しやすいと思う。例えば箸の置き方とかでも」
 
「ありそうですね。そんなのどうでもいいのに」
「うん。概して離婚の原因って冷静に見たらほんとにどうでもいいことなんだよ」
 

↓ ↑ Bottom Top

この日は帰宅してから、来訪している青葉の助手・吉田真珠さんと一緒に節分の豆まきをした。彪志の帰宅を子供たちが待っていてくれた。昨年は貴司さんと彪志が鬼を勤めたのだが、今年は貴司さんと桃香さんが務めた。彪志が鬼をして「鬼は外」と言っていて、その彪志が居なくなったら子供たちが
 
「『鬼は外』なんて言ったから彪志お兄ちゃん居なくなった」
 
などと思ったらいけないから、と桃香さんが言って代わったのである。考えすぎだと思うけどなあと千里さんは言っていたが。
 
その後、恵方巻きを丙(ひのえ)の方角を向き、無言で食べた。
 
なお彪志は明日(2/4)午前中に荷造りをして、昼頃に出発する予定である。
 

↓ ↑ Bottom Top

2月4日(土).
 
真珠は貸してもらったCBR250RRで都心に出て、『関東不思議探訪』の編集部を訪れた。
 
「すみませーん。金沢メールこと竹本が追試受けてるんで、代わりに来ました金沢パールこと伊勢真珠(いせ・しんじゅ)でーす」
「お疲れお疲れ」
 
実際には初海はレポートを3本月曜の朝までに出すよう言われて今必死で書いている、
 
「伊勢真珠って本名?」
「出生名ですよ。本当は“まこと”と読むんですが、たいてい“しんじゅ”と読まれますね。ついでに宿帳にサインすると『本名書いて下さい』と叱られます」
「あはは」
「結婚したんで今は吉田真珠ですが」
「ああ、私も結婚しても“谷崎”潤子のままでやってるし」
 
「こちらへは車で走ってきたの?」
「§§ミュージックでちょうどヘリコプターで東京に移動する子がいたから、同乗させてもらいました。帰りも同乗の予定でーす」
 
↓ ↑ Bottom Top


「あそこはタレントの移動にお金掛けてるね」
「タレントを絶対にコロナに感染させない、というので200-300億単位の金を注ぎ込んでますね。そのために何機も飛行機・ヘリコプターを買って、ムーラン・播磨工務店と協同で飛行場まで作っちゃったし、社員寮も整備して、清掃会社・タクシー会社を買収して」
 
「おそろしい」
「おかげで、ここまでタレント・マネージャー・バックバンドの人には感染者が出ていません。一般社員には出てますけどね」
「凄いよね」
「アクアとか舞音ちゃんが感染したら被害額はこの投資分を越えますもん」
「確かに」
 
「いやアクアが感染して1ヶ月動けなかったら倒産すると思う」
「200-300億投資するわけですよね」
「投資できるところが凄いけどね」
 
↓ ↑ Bottom Top

「ケイ会長も醍醐春海取締役も資産が1000億円超えているらしいですから」
「そのくらい稼いでいたかもね」
「ここ5年くらいのその2人の活動は凄かったもん」
 

↓ ↑ Bottom Top

↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁目次

[*前p 0目次 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 
春四(25)

広告:プリティフェイス 3 (ジャンプコミックス)