[携帯Top] [文字サイズ]
■春四(12)
[*
前p 0
目次 #
次p]
そして2023年は明けた。
彪志と青葉は電話で話していて「明けましておめでとう」を言い合った。邦生と真珠も電話で話していて「ハッピーニューイヤー」と言い合った。邦生はアクアの音源制作をするのに、11月7日から東京に出て来ていた。現在五反野の§§ミュージック女子寮に滞在中である。
アクアMは彩佳と電話で話していた。アクアFは理史と電話で話していた。どちらも「明けましておめでとう」と言い合った。葉月も桜木ワルツと電話で話していて「明けましておめでとう」と言い合った。
浦和の家で貴司と千里(2A)は「明けましておめでとう」と言い合ってから“突入”を開始した。同じ家の別室で桃香(B)と千里(1)も「あけおめ」と言って突入開始した。千葉の家では桃香(A)と季里子が「あけおめ」と言って突入開始した。
1月1日の朝、花園裕紀は夢を見ていた。
何か表彰台のような所に立っている。なんか偉い感じの人が居る。
「ヒョーショージョー。あなたは立派な女の子になりました。よってこれを賞します」
え〜?ぼく女の子になったの?嫌だよぉ。
「おめでとう」
と言って偉い人は賞状をくれた。
「これで君は立派なお嫁さんになれるよ」
え〜?ぼくがお嫁さん??
突然場面は変わり、自分がウェディングドレスを着て、タキシード姿の篠原君と結婚式を挙げるところのようだ。え〜?ぼくやはりお嫁さんなの?
「さあ今日も邪魔なおちんちんは切り落として元気に女の子しよう」
「きっとなれる。君も可愛いお嫁さんに」
とセレンとクロムが言っていた。
嫌だぁ!!
と思った所で目が覚めた。
「ふーっ」と溜息をつく。
「夢かぁ。良かった」
と思う。
しかし篠原君が女の子と結婚するとは思えないけど(*11)、ぼくそのうち男の子と結婚することになるのかなあ、などと考えて少し憂鬱な気分になった(*12).
取り敢えずトイレに行く。
思わぬ所からおしっこが出てくる。
「わっ」
と思わず声をあげた。
あっそうか。おしっこが女の子の位置から出るようにしてもらったんだ。
しかし・・・・
これ楽じゃん。
おしっこするのに何のストレスも無い。いいじゃん、これ。悪くないよ
と裕紀はこのおしっこの出方が割と気に入った。
出終わってからトイレットペーパーで拭くが、今までに比べて凄く簡単に拭けた。今まではあのあたりからじわっとにじみ出てきてたからかなり広い面積を拭く必要があり大変だった。どうしても完全には拭ききれないのでいつもナプキンが必要だった。でもこれなら簡単に拭けるし、ナプキンまでは要らないと思った。
でもパンティライナーくらいは付けとこうかな?
(そうだね。女の子の身体は、おりものもあるしね)
(*11) 篠原倉光は「自分はゲイだ」と公言している。
多数の信濃町ガールズ女子から「セックスさせてあげるよ」と誘惑されてきたものの「ぼく女の子には興味無いから」とお断りしている。裸で抱き付かれたりあそこを握られたりしたこともあるが、何とか逃げた!
「なんで握っても大きくならないのぉ?」
「ぼくは女の子に触られたりしたら萎える!」
(*12) 肉体上の性別・性自認・兼愛対象はそれぞれ別だから女の子になって女の子と結婚してもいいのだけど。そもそも裕紀は肉体的に中性であって、女の子でもないのだが。
1月1日の午前中は§§ミュージックのタレントは全員テレビ局はお休みにさせてもらい、毎年恒例の年会をした。今年もオンラインでの開催である。§§ミュージックの全所属タレント、信濃町ガールズ、地方ガールズ、トラフィックのメンツが参加した。
午後からはまた各テレビ局に出て行く。鈴鹿あまめたちもあけぼのテレビに行く。そして13時からは越谷の小鳩ホールでローズ+リリーのニューイヤーライブを実施した。これにマリーンコートの北陸組4人にも参加してもらった。
この年末年始のカウントダウン・二ユーイヤーライブは2017年末から始まったものである。2015-16はローズ+リリーのカウントダウンだけが行われ、1月1日にライブは行われていなかった。
2015.12 安中榛名でR+L カウントダウン
2016.12 宮城県M市でR+L カウントダウン
(当時新人の姫路スピカが前座に登場)
2017.12 博多ドームでR+Lカウントダウン/翌日アクアが同じ会場で新年ライブ
この時は両者の日程が偶然連続しただけ
R+Lの前座に石川ポルカ・桜木ワルツ・花咲ロンド・西宮ネオン・今井葉月が入る
2018.12 初めて小浜でR+Lカウントダウン/翌日アクアは博多ドームで新年ライブ
R+Lの前座には§§ミュージックの歌手が大量に出場した。マリは立体映像。
(2019.2 あやめ出産)
2019.12 再度小浜でR+Lカウントダウン/翌日アクアは博多ドームで新年ライブ
R+L前座に§§ミュージックの歌手大量出演。
(2020.10 大輝出産)
2020.12 深川で§§ミュージック・カウントダウン(ラスト:アクア)/翌日小浜からR+L新年ライブ
2021.12 深川で§§ミュージック・カウントダウン(ラスト:アクア)/翌日小浜からR+L新年ライブ
(2022.8 かえで出産)
2022.12 越谷で§§ミュージック・カウントダウン(ラスト:アクア)/翌日同会場でR+L新年ネットライブ(マリのパートは録音。マリは会場でMCとサービテージのみ)
2020年からローズ+リリーとアクアのライブが逆転している。これは意図したものではなく、紅白との絡みの問題で、アクアの負担を下げるためにこうなったものである。今回小浜を使わなかったのはマリの体力問題を考慮したためである。
地方ガールズまで集める§§ミュージック年会は2018年に始まった。この年から1月1日に博多ドームでアクアが年始ツアーの初日をするというのが始まったので、それに合わせて、アクアライブのバックダンスに参加してもらうのを兼ねて全国から招集したのである。しかしリアルで実施したのは2018-2020の3年間で、2021-2023はコロナのためオンライン開催になっている。地方ガールズの数が物凄く増えてしまったので、コロナが終息したあと、リアルに戻すかは不明である。
アクアのアルバム『六星座2』の制作のために11月7日に東京に行っていたマリーンコートの北陸組、日高久美子・田中世梨奈・吉田邦生の3人が1月3日、東京ヘリポートから氷見飛行場へ帰ってきた。邦生は翌4日から銀行に出勤した。
邦生が東京に行っていた間は、真珠と瑞穂(邦生の妹)との女2人暮らしだったが、邦生が戻ってきて女3人の暮らしになった!
1月4日(水).
竹本初海は大学を卒業した後入る予定の会社に新年顔を出すように言われていたので、その日金沢市内、山環(金沢外環状道路・山側)沿いの小さなビルに来た。エレベータで3階まで昇り、事務所に行こうとしたら何だかロープが張ってあり、ヤクザっぽい男が2人立っている。
何?何?と思ったら男の1人が言った。
「姉ちゃん、ここは入れないよ。この会社倒産したから」
「え〜〜!?」
「私物取り出すなら、見てるから取り出してもいいけど」
「いえ、私物は置いてません。私4月からここに入る予定だったんですけど」
「そりゃ気の毒だけど、他の会社を探すんだな」
「そんなぁ」
初海が思わず
「4月から入るはずの会社が倒産してたぁ」
とmixiに書き込んだら、速攻で千里さんがメッセージを送って来た。
「初海ちゃん、§§ミュージックのカウンセラーになる気無い?」
ああ、そういえば§§ミュージックでカウンセラーが足りないからってコネで探しているという話だった。確かにあんなところで一般募集掛けたりしたら、アーティストに会いたい目的の人が大量に応募してくるに決まっている。人選も大変だろう。
初海は興味は感じた。でも東京で勤務するとか言ったらお母ちゃんがなんて言うかなあ。でも話だけでも聞いてみようかな。それで初海は返信した。
「すぐには決断できないですが、関心はあります。細かい条件とかお話を聞いてみたいのですが」
「だったら青葉の家で」
ということで、初海はお昼頃、青葉の家で千里から話を聞くことにしたのである。
千里は11時頃青葉の家にVolvo XC40で現れた(つまり来たのは6番victoria:菫色)。
「サンルーム借りるね」
と言って中に入る。
「お土産〜」
と言って、朋子と青葉に鰤カツ弁当を渡す。
「わあ、ありがとう」
「今日は何かの用事?」
「うん。初海ちゃんと打合せ」
「へー」
「初海ちゃんが就職する予定だった会社が倒産したらしい」
「ありゃー」
「で、§§ミュージックの女子寮カウンセラーにならないかというお誘いなのよ」
「ああ」
「美津穂ちゃんもいるしね」
「北陸組がじわじわと§§ミュージックに浸透してるな」
「あれ、ちー姉は食べないの?」
「初海ちゃんが来てから一緒に食べる」
「なるほどー」
初海は11時半頃Kawasaki Ninja 250 でやってきた。ちなみにこのバイクは長らく彼氏のを借りたまま使っていたのだが、昨年夏に彼氏と別れた時に「買い取らせて」と言って初海が10万で買い取った。従って現在は初海の物である。彼氏はその10万を就職活動の資金にしたらしい。
ちなみに明恵が乗っている Yamaha YZF-R25は青葉から借りっ放なしだが、多分青葉は既に忘れている。真珠が乗っている Suzuki GSX250F は兄の金剛から借りっ放なしであるが、兄は特に文句を言わないのでそのまま使用している。
初海が来たので朋子は「部屋に行ってるね」といって退席する。青葉も席を立とうとしたが「青葉さんも一緒に」と初海が言うので一緒に聞くことにした。
「お弁当買って来たけど」
「頂きます」
というので、千里と初海で鰤カツ弁当を食べる。
その食べている間に、青葉は向こうのカウンセラー1号は青葉の同級生の上野美津穂であると説明し、富山大学を出た後、最初地元の電子機器関係の企業にカウンセラーで入ったものの、あまりにヘビーでダウンして退職。少し休養の後、§§ミュージックに入り、既に2年半近くカウンセラーをしていると説明する。
「電子機器企業よりはきつくないということですね」
「電子機器というのが、そもそも神経を使うみたいだし、当時はコロナの流行り初めだったのもあるかもね」
「ああ。コロナだけでも辛かったですよね」
お弁当のあと、お茶も飲んで一息付く。
「まそれでお給料は額面月70万とかでどう?」
と千里が数字を提示すると
「やります!」
と初海は即答した!
これで初海の東京勤務が決まった!!
「保険とか税金とか引くと55万くらいになると思うけど」
「それでも充分です」
「あと心理学専攻を出るから認定心理士の資格は申請すると思うけど、東京で大学院に通って臨床心理士の資格を取るならサポートするよ」
「わっ」
「実際美津穂ちゃんは2020年の夏にカウンセラーになってから2020年10月から2022年9月まで大学院に通って臨床心理士の資格をこの秋に取得した」
「すごいですねー。忙しそうなのに」
「カウンセリングは基本的に夕方、学校は昼間だから両立できるんだよ」
「なるほどー!」
「住まいは女子寮の中に部屋を用意するからそこに住んでほしい。§§ミュージックのタレントさんたちは学校が終わったらすぐ仕事に行き、中学生は8時、高校生は10時になったら戻って来る。それでその時間から相談に来るんだよ。だから基本的な勤務時間は、16:00-23:00 になる」
「学校が変わった後になるから16時からなんですね」
「そうそう。23時に終わって、自宅に帰るのはきついし、特に今は外部との出入りをできるだけ少なくしたいという事情もあるんだよ」
「なるほどー」
「それと、もし勤務時間外でも個室まで相談に来た寮生にはできる範囲で対応して欲しい。むろん残業手当は払うから」
「それは全然大丈夫ですよ。医者と似たような立場ですから」
「そうなんだよ。心の医者だよね」
「現在カウンセラーは美津穂ちゃんを入れて2名。3人体制になればだいぶ労働環境が改善されると思う」
「今は結構きついんですか」
少々きつくても55万もくれるならやっていいと思う。身体も心もわりと丈夫だし。
「やはりコロナで自由に外出できない状態が続いてるからねー.相談に来る子が増えてる状況もあるんだよ。タレントなんてそもそもストレスの多い仕事だし、元々悩みの多い世代だし、地方から出て来てホームシックになる子もいるし」
「ああ」
「一度東京に行って社長や先輩カウンセラーと会ってみる?」
「いいですね」
「気に入ったらそのまま契約を」
「身分的にはどうなるんでか?」
「タレントさんたちの立場で相談に乗ってあげてほしいんだよ。だから§§ミュージックとは直接利害関係のない状態にしたいので“サマーガールズ出版”という会社の社員になってもらう。もちろん社会保険付き」
「それはどういう会社なんですか」
「ローズ+リリーのマネージメント会社だね」
「ああ」
「だから§§ミュージックからサマーガールズ出版にカウンセラーの派遣依頼をする形になっている」
「なるほどー」
それで初海は今月中旬くらいにでも東京へ行ってくることになった。
初海の母は初海が東京で仕事をするという話に最初は反対したが、月70万もらえると聞くと「あら、いいお仕事ね」と言った!
「でもきつい仕事じゃないの?」
「どうかした企業のカウンセラーよりはいいと思うよ。実際には10代のタレントさんたちのグチを聞いてあげるのが主たる仕事らしいから」
「ああ。タレントなんてストレス多いだろうしね」
「それでカメラの前ではニコニコしてないといけないから大変だよね」
真珠と明恵は初海が東京に行くと聞くと
「霊界探訪・東京事務局の開設だな」
と言った!
結局初海は『霊界探訪』に関わり続けることになって、夏頃初海が“藪入り”の迷路に入り込んだ件が解決することになった。
[*
前p 0
目次 #
次p]
春四(12)