広告:オトコの娘コミックアンソロジー恥ぢらひ編 (おと★娘シリーズ4)
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■春転(1)

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4月4日に男子寮から女子寮に引っ越して来た上田信希だが、彼女はこれまでの生活で充分女子としてやっていけるつもりであったし、女子寮にも普通に入っていた。しかし実際に“女の園”で“暮らし始める”と「女子寮の中に居る」というのと「女子寮で暮らす」というのはまるで違うことを認識し、女の子としての自信がぐらつく思いだった。
 
入寮した途端、それを待ち構えていたかのように花咲ロンド・海浜ひまわり・桜井真理子がやってきて入寮祝いと言って、コーラとケーキで歓迎してくれたが、身体にベタベタ触られるし“女の子の匂い”が強烈なので、信希はキャーっと思った。むろん女の子にべたべた触られて性的に興奮したりすることはないが、こういう女子との濃厚接触は経験が無かったので、結構ドキドキした。
 
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4人で話していた所に、女子寮専属看護師の山口さんが来る。
 
「上田さん、パレ・ドラ・メール(Palais de la mer)へようこそ」
「あ、どうもどうも」
 
信希は篠原倉光などと同様、頻繁に女子寮自体には出入りしていたので、山口さんとも既に顔見知りである。
 
「上田さん、生理用品は何使ってる?」
「え、えっと、センターインのハッピーキャッチかな」
「ああ、それなら常時在庫してる」
「センターインはこの寮でもファンが多いよね」
と花咲ロンド。
 
「パンティライナーは?」
「ロリエの“しあわせ素肌”フローラルかな。あの肌触りが好きで」
「ああ、それも常時在庫してるよ」
と山口さん。
 
「じゃ、ここでは生理用品は無料配布してるから、必要な時はナースルームに取りに来てね」
「はい、ありがとうございます」
と言いながら、生理用品について、人と話したのは初めてなので、結構クラクラと来ていた。
 
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「みんな最後の1袋を開封したら、新しいのを取りに行ってるよ。つまり未開封のパックが常に1個ある状態」
と花咲ロンドが言う。
「そうしないと、いざという時にパックが空だったってことあるもんね」
と桜井真理子。
 
「あと、これ渡しておくね。これ知ってる?」
といって、山口さんは信希に何か銀色で一辺5-6cmの四角い包装で密閉された柔らかいものを渡した。中身は丸いようだ。信希は少し考えてから、ひょっとしてと思って言ってみた。
 
「もしかしてコンドームですか」
「そうだよ。これ大事なことだから。本当は男の子とのセックスは高校卒業するくらいまでは控えた方がいいけど、どうしても彼氏とする雰囲気になっちゃった時は、絶対これ付けさせて」
 
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「はい」
「するなら付けろ、付けないなら1人でやってろ、だよ」
「分かりました」
 
「本当は男が用意するもんだけどね」
と海浜ひまわり。
「まあ万一の場合の予備だよね。女が持っているものは」
と花咲ロンド。
 
「生理用品入れに一緒に入れておくといいよ」
「そうします」
 
それで山口さんは帰って行ったが、その後で桜井真理子が言った。
 
「要するに、信希ちゃん、生理があるのね?」
「え、えーっと」
 
信希はどう答えるべきか悩んだ。
 
でもこの日の内に女子寮の全員に、信希には生理があるらしい、という情報が伝搬していた!(でも1ヶ月後には本当のことになる)
 

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4月10日(土)に日本選手権が終わった青葉たちは、4月11-15日に代表合宿が組まれていた。場所は千里姉が合宿中のNTC(NTC-W)に隣接するNTC-EおよびJISSだが、女子長距離陣は強化部長の許可を取り、熊谷の郷愁プールに移動してそちらで合宿をおこなった。
 
長距離は泳ぐのに時間がかかることもあり、他の組との共同使用だと、練習時間が充分に取れない。NTC/JISSで合宿しようとすると普段に比べて練習量が大きく落ちてしまう。これが郷愁村の50mプール(これは千里の私有物で一般には開放しない)だと他の人は入れないので、1人1レーンを完全独占して24時間練習できる。
 
メンツは実際には津幡組+金堂であるが、金堂も合宿終了後はそのまま津幡に移動することになっている。
 
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「最初から津幡に行ってもいい気がする」
「私も同感」
などと言っていた。普段の練習とは水野コーチがいるかどうかの違いである。その水野コーチも
「あんたたちには特に教えることはない。ひたすら練習するだけだね」
と言っていた。
 
東京から熊谷への移動は、水連がバスを出してくれたが、合宿終了後に津幡に移動するのは、千里姉の G450 を使わせてもらう予定である。
 
今回日本選手権に出てくるのには、津幡組はG450で能登空港から飛んできたし、金堂さんはお父さんの車(トヨタ・ライズ)で仙台から移動してきている(お父さんは仕事もあるのですぐ帰った)。また幸花たち津幡組のスタッフでトレーナーたちは熊谷での合宿をサポートするためにこちらに残っている(放送局の仕事がある幸花と、今回は代表入りを逃したメンバーは Honda-Jet で金沢に帰還した)
 
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4月11日(日)まで新婚旅行をする予定だった貴司・千里1・桃香は実際には10日(土)の夕方帰還した。
 
「疲れたぁ」
 
と言って、貴司は201、千里は2SR、桃香は203に各々入って、そのまま熟睡してしまったので、朋子が呆れていた。
 
千里が戻って来たので、4月11日の午後に、千葉に行っていた早月・由美をこちらに戻すことにし、“向こうの桃香”に連絡した。
 
11日のお昼になっても、3人は起きて来ない。よほど疲れてるんだな思う。しかしこの2週間こちらも疲れたよと思いながら、廊下の掃除をし、地下のバスケット練習場はルンバを起動し、ガレージのエレベータ経由で母屋に戻ると台所で千里が茶碗などを食洗に入れている。
 
「ごめーん。洗い物放置しちゃって」
と朋子が言う。
 
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「いえ。人数多いから大変ですよね」
「もう疲れは取れた?」
 
「結構熟睡しましたよ。それに家事してるとそれで疲れが取れる部分もあるし」
 
「そんなの私には無理だわー。でも、千里ちゃん、よくこれを毎日やってるね。人数も多いのに。桃香はこういう家事には役に立たないしさ」
 
「まあ今はどっちみち買物は代行の人にお願いしてますけど、桃香さんに買物とかさせたら、お金ばかり掛けて量が足りなかったりするし、掃除させると物を壊すし、そもそも片付けないし」
 
「あの子は昔からそういうのがダメなのよ」
と朋子も言っている。
 
それで朋子はもうひとつの食洗機(千里家には食洗が2台ある)に入っていて既に洗浄乾燥が終わっている食器を取り出して食器棚に片付けたりしながら、しばらく千里と話していたのだが、唐突に言った。
 
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「あんたどの千里ちゃんだっけ?」
「ああ、さすがお母さんには分かりますね。桃香さんや貴司は全く見分けつかないみたいなんですよ。私は実は千里の代理です」
 
「ああ」
 
「さすがにこの家の家事は千里1人では手が回らないから、私が手伝ってます。本当は私の仕事は千里を守ることであって、こういう作業までするのは契約外なんですけどね」
 
「あんた、精霊みたいなものだっけ」
「ええ、そんな感じです。実は買物代行してる子も、私の仲間で、数人で千里の守護をしているんですよ」
 
「なるほどねー」
「千里のように見えるのは、そう装っているだけで、元々千里と似ている訳ではありません。京平ちゃんは勘がいいから、区別がつくみたいですけどね」
 
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「あんたの名前は?」
「千里Bとでも呼んでもらっていいですけど、あるいは《きーちゃん》で」
「じゃ、きーちゃんと呼ぼう」
と朋子は楽しそうに言った。
 
「京平ちゃんからは“キーママ”とか言われてますけどね」
「なるほどねー」
 

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千里1は「よく寝たなー」と思いながら、2SR(京平の部屋)から出ると、トイレに行ってから下に降りてきた(この家は2階にもトイレがある)。
 
そしたら台所に“自分”と朋子が居るので『ぎゃっ』と思う。
 
朋子が笑顔で言った。
 
「おはよう、千里ちゃん。ぐっすり眠れた?今、きーちゃんと2人でお昼御飯用にピザ作って今焼いてるよ。もうすぐ焼き上がるよ」
 

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4月11日までNTCで第1次合宿をしていた千里3は、4月12日の午前中、いったん自宅に戻った。朋子が「お疲れさん」と言って迎える。
 
「貴司たちは帰って来た?」
「一昨日帰って来たけど、なんかよほど疲れたみたいで3人とも昨日は丸一日寝てたよ」
 
「まあ2週間の車中泊はきついだろうね」
と言って千里3は笑っていた。
 
そこに早月が2階から降りてくる。
 
「あれ、ちーかあちゃん」
「早月ただいま。いい子してた?」
「いいこしてたよ。らいさちゃんたちともけんかしなかったよ。あれ?でもいま、2かいで、ちーかあちゃんみたのに」
 
「ちー母ちゃんは素早いからね」
 
早月は首をひねっていた。
 

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千里1が帰還して、家の中も動くようになるので、朋子はいったん高岡に戻ることにした。4月13日(火)に千里3が黒いインプレッサで朋子を郷愁飛行場まで送っていく。
 
「この車は初めて見た」
「美映さんから買い取ったんだよ」
「へー!」
「姫路で一時期美映さんと貴司が住んでいた家を買い取りたいというからさ。7000万円で売ることにした」
「わっ」
「美映さんに5000万円慰謝料払ってたから、そのお金に美映さんの新しい旦那が2000万円プラスして、買い取った」
「なんか単位が大きい」
 
「でさ、美映さんはもらった慰謝料5000万円の内、100万円くらいはもう使ってたといってさ、その100万円の代わりにこの車をもらったんだよ」
「そういうことか」
と朋子は納得していた。
 
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朋子はHonda-JetBlueで帰還していった。(Redは西宮ネオンが使用中)
 

貴司は新婚旅行が終わって11日丸一日休んだ上で12日(月)からチーム練習に復帰した。
 
「長らく休んで申し訳ありません」
「2週間休んだのなら、2週間分、進化しててもらわないとな」
などと言われて、この日、レギャラーメンバーと手合わせすると、ひとりも貴司に勝てなかった。
 
「強ぇー」
「2週間分どころか2年分進化してる」
「毎日妻と練習していたので」
「世界の3P女王にみっちり鍛えられたら進化もしそうだ」
と前山アシスタントコーチ。
 
「細川君は、来期スターターほぼ確定だな」
と佐原ヘッドコーチも言った。
 

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4月12日(月).
 
龍虎はこの日は珍しくオフだった。土日に『ロミオとジュリエット』の撮影をかなり集中してやったので、みんな疲れているだろうということで、この日は休憩が宣言されたのである。
 
龍虎Fは理史と連絡を取り、日中デートをすることにした(彼も映画出演者なので一緒にオフになっている)。
 
Fはまだ寝ていたMにキスして「行ってくるね」と言い(例によってMは怒るが放置)、Ninja250に乗り、川口市の彼のマンションに向かう。
 
ところが途中まで来て、信号待ちしていた時、
「おい」
と声を掛けられたのである。
 
「こうちゃんさん!?」
「ちょっと脇に寄れ」
「うん」
 
それで信号を通過した所で、小さな脇道に入れて停める。《こうちゃんさん》はHarley-Davidson に乗っている。このバイクは以前にも1度見たなと思った。
 
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「お前何してんの?」
「ちょっと友だちの家に行こうとしてただけ」
「私用でも緑川か高村呼び出せばいいじゃん。バイクで移動してて事故でも起こしたらどうする?」
「大丈夫だよぉ」
 
「取り敢えず俺が転送してやる。友だちの家ってどこだ?」
「えっと川口市なんだけど」
「地図で教えろ」
と言うので、龍虎は自分のスマホを取りだし、Google Mapを開いて、理史のマンションの位置を示した。
 
「ここはマンションか?」
「うん。いつもマンションの裏手にバイク駐めてる。だから建物の裏手に飛ばしてくれると助かる」
 
「うーん。。。地図だけでは微妙だな。失敗すると、お前がマンションの建物と融合してしまうし」
 
「ボクやはり自分のバイクで走って行こうかな」
 
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「よし。俺のバイクの後に乗れ。それで俺が連れて行く。1度そこを見れば大丈夫だ」
「ボクのバイクは〜?」
「あとで転送してやるよ」
 

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それで龍虎は《こうちゃんさん》のバイクのリアシートに乗り、川口市の理史のマンションまで行ったのである。
 
「ああ。なるほど。じゃここにお前のバイクを転送すればいいな」
と言うと、目の前に途中で置いて来たNinja250が現れる。
 
「帰りも俺を呼べ。代々木まで転送してやるから」
「じゃ彼と別れて少しバイクで走ってから」
「彼?」
 
しまったぁ!
 
「お前、もしかして男と付き合ってんの?」
「え、えーっと・・・」
「変な男じゃないだろうな?」
「彼も俳優だよ。ちょっと真面目すぎるくらいかな」
 
「ふーん。まあいいか。お前も男と付き合えば女としての自覚が出るだろうし」
「えーっと」
「やはり誕生日の会見で女になりましたと発表しよう」
「それは勘弁して」
「いつかは発表しないといけないのに。まあ、それはお前の心の整理がつくまで待つよ」
「ありがとう」
 
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「でもデートには協力してやるから、行き来は俺を使え。バイクごと転送する」
「分かった」
 
それで理史とのデートには《こうちゃんさん》が協力してくれることになったのである。
 

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