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■春転(6)

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「でも中学では男子制服着ないといけないみたいだったから憂鬱だったんだけど、昇格試験に合格して東京に出てくることになったから、転校のどさくさで女子中学生になっちゃった」
 
「まあ徳世ちゃん見て、性別を疑う人は居ないよ」
とセレン。
 
「数紀ちゃんも、この際、転校のどさくさに紛れて女子高生になっちゃえばいいよ」
と徳世。
 
「僕は別に女子高生にはなりたくないんだけど」
 
「でもせっかく女子制服作ったんでしょ?着てみなかった?」
「着てはみたけど。母ちゃんに乗せられて。記念写真まで撮られたし」
「ああ、数日以内には数紀ちゃんの女子制服姿の写真が、女子寮生たちの間でシェアされてそうだ」
「え〜〜〜!?」
と数紀が言うと
 
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「私がセーラー服着て小学校の卒業式に出ている写真、ここに入った翌日には女子寮のみんなが見てた」
と徳世が言っている。
 
「あははは」
 
「女子たちの情報収集能力は凄いよね」
 

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この夜は22時すぎになって、夢夜が眠そうにしていたので
「自分の部屋に帰って寝なよ」
と言って帰した。
 
セレンとクロムは23時頃まで数紀とおしゃべりをしていたが、2人は結局数紀の部屋で、押入れから布団を出してきて、こちらの部屋で寝た。
 
「だって女の子と同じ部屋では寝られないよ」
と2人は言っていた。でもおかげで数紀は、セレンとクロムが女の子下着を着けていて、胸はあるように見えるし、お股には何もないように見えるのを目撃してしまうことになる(慌てて後ろを向いた)。
 
「ユカリちゃんと恵夢ちゃんも女の子なのでは?」
「ボクたちのは偽装だよ」
 
「数紀ちゃんも、ちんちんが無くておっぱいがあるように見えるように偽装してあげようか」
「そしたら女子制服で通学できるよ」
「いや、いい」
 
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「女声の出し方も教えてあげるよ」
「数紀ちゃんの声なら、わりとすぐ女声が出ると思う」
「それはちょっと興味あるかも」
 
「そもそも数紀ちゃんの声って、女の子と思い込んでいたら女の子の声に聞こえる」
「そう?」
「制服業者さんが、男の子だと気付かなかったのは声の問題もあるかも」
「それはあり得る気がしてきた。ボク、セールスの電話が掛かってきた時に出たら『お嬢さんですか』と言われたこととある」
 
「ボクたちもそれが普通だよね」
とセレンとクロムは言っている。
 

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一方、この日の夜、アクアF・M、コスモス・ケイ・千里の5人は会談をして、現在は1%の株をコスモスが持ち、残り99%をケイが持っている§§ホールディング株について、アクアと千里が株主に加わり、次のような所有比率にすることを決めた。
 
ケイ・コスモス・アクアが各33% 千里が1%
 
それでアクアと千里には無役の取締役にもなってもらうことにした。
 

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翌日、5月8日(土)朝から、アクア写真集の撮影は開始される。
 
アクアはお姫様の衣装を着けていて、信濃町ガールズのメンバーは侍女の衣装を着ける。セレンとクロムが楽しそうに侍女の衣装を着けているのを見て数紀は「あのぉ、僕もこれ着るんですか?」と不安そうに言う。
 
「あぁ、数紀ちゃんには別の衣装があるはずだよ」
と言って、セレンが騎士の衣装を持って来てくれたので、数紀はホッとしてそれを着た。それでこの最初のシーンの撮影では
 
水谷康恵・水谷雪花・鈴鹿あまめ・花貝パール・今井葉月・花咲ロンド・山鹿クロム・三陸セレン・長浜夢夜の9名が侍女の衣装を着け、数紀だけ騎士の衣装で撮影された。
 
お昼を食べてから、迷宮内のお城で撮影する。
 
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ここでは数紀は将軍の服を着て、花咲ロンド・山鹿クロム・三陸セレン・長浜夢夜の4人か衛兵の格好。残りの5人は午前中とは違う侍女の衣装を着けた。むろん主役のアクアは何通りものお姫様衣装を着けて撮影されている。
 
しかしアクアがお姫様衣装でひたすら撮影していて男物の服は着ないので、やはりアクアさん、女の子になっちゃったのかな、と数紀は思った。そもそも邦江姉(高崎ひろか)は「アクアは女の子だよ。私裸見たもん」などと最初から言ってたし。
 
この日、数紀を含む信濃町ガールズは夕方であがったが、アクアと葉月だけで、夕食後もずっと撮影をしていたようである。
 
実はこの夕方からの撮影でアクアは王子様や騎士などの衣装を着けていたのだが、ガールズたちはこれを見ていない。
 
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この夜もセレンとクロムは夢夜に
「君はこの部屋で1人で模なさい」
 
と言い、セレンたち2人は数紀の部屋で寝た。
 

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翌日、5月9日(日)は、七人の小人の小屋での撮影から始まった。7人の小人に扮したのは下記である。
 
柴田数紀・花咲ロンド・山鹿クロム・三陸セレン・長浜夢夜・鈴鹿あまめ・花貝パール
 
数紀はスカート?を穿かされたが、
「中世の男性の普通の服装だよ」
などと言われた。
「当時の女性のスカートは足首付近まであるロングスカート。女性が素足を見せるなんて、とんでもないという時代だよ」
 
「なるほどー!」
「だから膝丈スカートは男の服」
「へー!」
 
なんか欺されたような気もしたが、そのスカートの衣装で小人を演じてアクアの白雪姫と一緒に写った。
 
「でも数紀ちゃん、スカートで歩いても転ばないね」
などとセレンから言われる。
 
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「僕、小学生の頃から、松梨詩恩姉のスタンドインやらされてたから」
「なるほどー!」
「じゃスカートは慣れたもんだ」
「あまり慣れたくないですー」
 

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午後からは、また迷宮内で多数の写真を撮った。数紀はまた騎士の衣装をつけて、様々なお姫様衣装のアクアと一緒に写った。他の子たちはセレン・クロムを含めて侍女の衣装だった。
 
信濃町ガールズのお仕事は日曜日の夕方で終了し、数紀はセレンたちと一緒にG450に乗って熊谷の郷愁飛行場に移動した。ここで帰ったのはこのメンツである。
 
水谷康恵・水谷雪花・鈴鹿あまめ・花貝パール・山鹿クロム・三陸セレン・長浜夢夜・柴田数紀・コスモス・花咲ロンド・緑川志穂・コスモスの母 (12名)
 

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※Flight Timeline
 
●Honda-jetBlue
5.5 AM (ラピスラズリ)熊谷→伊丹
5.5 PM 伊丹→熊谷
5.7 14:00→15:00 (伊藤母)熊谷→小浜
5.8 小浜→伊丹
5.8 18:00→19:00 (ラピスラズリ)伊丹→熊谷《隔離!》
 
●Honda-jetRed
5.6 2:00→3:00 (アクアFM・千里)熊谷→小浜
5.6 10:00→11:00 小浜→熊谷
5.7 6:30→8:00 (ワルツ)熊谷→帯広
__ 10:00→12:00 (ワルツ・数紀)帯広→小浜
 
●G650
5.6 16:00→17:00 (桜井・コスモス)熊谷→小浜
5.11朝 (桜井・千里・アクアM・葉月・和紗)小浜→熊谷
 
●G450
5.7 16:00→17:00 (ケイ・ガールズ)熊谷→小浜
5.9 19:00→20:00 (ガールズ・コスモス・コスモスの母など)小浜→熊谷
 
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5月9日の夜、G450が熊谷の郷愁飛行場に到着すると、コスモス社長と花咲ロンドは何か急用があるという話で、そのままヘリコプターに乗り換えて、どこかに飛んで行った。コスモス社長のお母さんは、旦那さん(コスモスの父)が迎えに来ていて、一緒に日産キューブに乗って自宅に戻っていった。大企業の社長のお父さんなのに庶民的な車に乗ってるなと数紀は思った、
 
(実態は大きな車は扱いにくいからこれがいいと言って乗っているだけ)
 
水谷姉妹・鈴鹿あまめ・花貝パールの4人は、SCCの女性ドライバーさんが運転するベンツ(花ちゃんの車だと思う)に乗って女子寮へ、山鹿クロム・三陸セレン・長浜夢夜・柴田数紀の4人は、SCCの男性ドライバーが運転するヤリスに乗って男子寮に向かう。
 
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なんか男女で扱いが違う気がするが、きっと配車の都合による偶然。
 
男子の方で席は、長浜夢夜を助手席に座らせて、クロム・セレン・数紀の3人が後部座席に座った。
 
女の子と身体をくっつける訳にはいかない!
 
夢夜は実際、手を握っても身体に触っても、完璧に女の子の感触なのである。恐らくは小さい頃から女性ホルモンを摂取していたのだろう。
 
ということで、クロムとセレンが視線で会話を交わし、夢夜に助手席に乗るよう言った。小浜に行く時は、3人で乗ったので、身体が接触する恐れはなかったのだが。
 

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4人とも撮影疲れで移動中はひたすら寝ていた。数紀もふと気付いたら自分の頭をセレンの肩に置いてたみたいで慌てて起きて「ごめん」と言ったが、徳世ちゃんの隣でなくて良かったと思った。
 

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アクアはガールズたちが帰京した翌日、5月10日(月)も写真撮影を続けていた。この日は水着写真の撮影が主で、下半身がお魚の人魚姫の衣装まで着けさせられた。この衣装は上半身は貝殻ブラだけであり、撮影されたアクアFは
「これって、ほとんどヌードじゃん」
などと思いながら撮影されていた。もっとも桜井さんによれば
「乳首が写ってないからヌードではない」
という話である!?
 
「だけど、人魚姫ってどうして貝殻ブラを着けてるんでしょうね」
とアクアは疑問を呈した。
「人魚姫は本来裸だったと思うよ」
と桜井さんは言う。
 
「そうなんですか?」
「でも裸だと、映画にした時にまずいじゃん。だから貝殻で隠したんだよ」
「なるほどー!」
「だから貝殻はテレビのバラエティとかで放送してはいけない所に使われる“伏せ”なんだな。昔は黒塗りモザイクばかりだったけど、最近は技術が進んでるから、猫の顔とか、果物の絵とかで伏せてるじゃん。人魚姫は貝殻で伏せたんだよ」
 
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「そうだったのか」
「アクアちゃんも、その“伏せ”を外して、本来の姿をカメラに映さない?」
「勘弁してくださーい」
 

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水着にも異様に布面積が小さいものが多く、こんな写真公開したら、もう、「ボクは男の子です」と主張するのは無理って気がした。でもFとしては「アクアは女の子です」ということになってもいいじゃん、という気持ちがあるので、開き直って撮影されていた。《こうちゃんさん》は「アクアは実は女の子です」という記者会見をさせたいみたいだし。
 
さすがに長時間に撮影が及ぶので、バストが一応隠れる程度の水着については、Mに撮影を代わってもらって、休憩していた。Mは
「ボクがこんな水着を着るの〜?」
と恥ずかしがっていたが、その恥じらっている所がまたいい、などと言われた。
 

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撮影は23時頃まで続き、アクアは2人ともくたくたになって藍小浜の特別室に戻った。
 
一方、アクア同様にくたくたになっている葉月が千里と話していたら、山村マネージャーが走ってくる。
 
「千里、龍は?」
「向こうで桜井さんと何かしてたよ」
「社長からの連絡で、撮影が終わったらすみやかにアクアを東京につれてきてくれということなんだ。ケイ会長と俺も一緒に行った方がいいらしい。この時間にホンダジェット飛ばしていいかな?エレナちゃんは動ける?」
と山村(こうちゃん)が千里に訊く。
 
こうちゃんさん、男になってる〜と葉月は思った。
 
「こうちゃんも何か人間っぽくなってきたね。急ぐなら転送すりゃいいじゃん」
「あ、そうか」
「コスモスちゃんに連絡して“誰もいない部屋”を用意してもらって、そこにアクアを転送しなよ」
 
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「ケイ会長は?」
「一緒に転送しちゃえばいい」
「いいの〜?」
 
「ケイなら構わないよ。たいがい不思議なことには慣れてるから。桜井さんは私が付き添って明日G650で帰京する」
「分かった」
 

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