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■春転(16)

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5月29日(土).
 
舞音はこの日はまたもや新規のCFの撮影を放送局のスタジオでおこなった。
 
ドラマ撮影のためにスタジオ内に作られている“通り”のセットを使用して、街角で撮影しているかのような雰囲気のビデオを撮ったのである。共演者はそのドラマに出演している中高生タレントの人たちであった。音楽教室のCMなのだが、元々その音楽教室がこのドラマのスポンサーなのでセットと出演者を流用したのである。舞音はこのドラマにも出てくれと言われているが、忙しすぎていつになるかは分からない。
 
朝から撮影をしていて午後2時頃終了する、舞音はそのまま音楽スタジオに行き、今撮影したCM用の歌も録音した。これは既に伴奏は作られていて、舞音が歌を乗せるだけになっていた(でもテンポが遅すぎると思ったので、少しアップテンポに変更させてもらった)。
 
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音源制作の指揮をしてくださったのは、名寄多恵(若生暢子)先生である。醍醐先生がオリンピック直前で忙しいので、代わりに名寄先生が指導するというのはここ数回あった。名寄先生は作詩家集団“松本葉子”の中心人物の1人で、醍醐先生とはバスケットの元チームメイトだそうだ。名寄先生はスポーツウーマンらしい、さばさばした性格で、話していて気持ちがいい。
 
なおこの曲は、今夜プレスして明日全国各地に発送するらしい。舞音の音源制作はこういう恐ろしいスケジュールで進んでいるものが多い。
 
15時頃から結局20時近くまで掛けて歌唱し、名寄先生のOKが出る。すぐに技術者さんにミックスダウン・マスタリングを指示していたようである。
 
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舞音はそれが終わるのを待たずに、西岡空世(悠木恵美)マネージャーの運転する車で東京ヘリポートに移動する。
 

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過去に何度か乗った、Ecureuil-2が待っている。
 
「あれ?§§ミュージックのマークが入ってる」
 
「ヘリコプター頻繁に使うから1機買ったらしいよ」
「ひゃー、うちの事務所お金あるんですね」
「舞音ちゃんが稼いでいるからだよ」
「え〜?大半はアクアさんの稼ぎでしょ?」
 
ヘリコプターには、スタンドイン役の南田容子ちゃん、メイク担当の重信さん、が既に乗っていた。西岡空世を含めて4人で熊谷の郷愁飛行場まで飛ぶ。
 

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Honda-JetOrangeに乗り換える。
 
「あ、こないだと同じ機体だ」
「どうも当面、Redはアクア、Blueはラピスラズリ、Orangeは舞音ちゃんで固定するつもりみたい。機体運用の都合で入れ替わったりはするけどね」
 
「へー!なんかVIPみたい」
「舞音ちゃんは既にVIPだと思うけど」
「Viper(マムシ・ハブの類い)だったりして」
「それ戦闘機(*10)の方でしょ?」
 
(*10)ヴァイパー(Viper)は、ジェネラル・ダイナミックスの戦闘機 F16 の愛称。
 
F4 Phantom2
F14 Tomcat
F15 Eagle
F16 Viper
F22 Raptor
 
三菱重工製で航空自衛隊が2000年以降使用している F2 はこの F16 をベースにしていて“零戦”(ゼロせん)のスピリットを受け継ぐものとして、ヴァイパーゼロ "Viper-Zero" の愛称を持つ。
 
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「また半田市に行くんですか?」
と舞音は尋ねた。
 
「今度は北九州空港」
「九州ですか!」
 
「こないだの朝日に向かって走るのが好評だったから、また同じような絵を撮りたいということなのよ。それで明日の日出は東京だと4:26、愛知でも4:39で、その時間帯は高校生の舞音ちゃんで撮影することができない。それで福岡まで行く」
 
「西に行くほど日出が遅くなるんでしたっけ?」
「地球儀を回している所に懐中電灯を照らしている様子を想像するといいね。東の方から光が当たっていく。だから西に行くほど日出は遅い」
 
「へー(実はよく分かっていない)」
 
「明日5/30の北九州の日出はこうなってる」
と言って、西岡空世(悠木恵美)はプリントされたものを見せてくれた。
 
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天文薄明 3:26
航海薄明 4:04
夜明 4:31
日出 5:07
 
「だから、5:07に舞音ちゃんが東に向かって走っている所を撮影する」
「天文薄明って何でしたっけ?」
 
「夜が明ける前に最初に空が明るくなり始めるでしょ?あたりはまだ暗くても。あれが天文薄明」
 
「ああ」
 
「夜明けというのは、まだ日は昇ってなくても充分明るくて、灯りなしで屋外で活動できるようになる状態。航海薄明というのは、船が航海していて、水平線が視認できるようになった状態」
 
「いろいろあるんですね」
「もうひとつ市民薄明あるいは常用薄明というのもあるけど、夜明けとほとんど時間が変わらないからあまり使われない」
 
「なるほどー」
 
「というのを、醍醐春海先生から昨日教えてもらった」
と空世。
 
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「わぁ」
 
「醍醐春海先生も一緒できたらよかったんだけど、オリンピック前で時間があまり取れないみたいで」
 
「それで今日も名寄先生が代わってくださったんですよね。醍醐先生はバスケット女子代表なんでしたっけ?」
 
「代表候補ね。選手枠は12人だけど4月に合宿を始めた時は30人だった。今16人まで絞られてきたらしい」
 
「30人招集されて、1人また1人と落とされていくんですか」
「うん。厳しいね。歌手のオーディションより厳しいと思う。実力だけでなく“結果を出せる”ことが求められる。各ポジション毎の枠も決まってるし」
 
と空世が言うと、舞音も容子も腕を組んで考えた。
 

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この日は北九州空港に近いホテルで休む。
 
そして前回同様午前3時に起こされる!
 
今回の撮影場所は、その北九州空港と本土を結ぶ道路上である。撮影は4時頃から、舞音と同じバイクスーツを着た南田容子をスタンドインにして始まる。これで構図やシナリオを確認・調整していく。
 
舞音はその間、空世の車の中で少し眠らせてもらった。
 
4:45頃から舞音を使った撮影が始まる。ただし例によって放送に使用するのは5時以降に撮影したものだけと言われる。
 
「あれ、スクーターに招き猫マークが入ってる」
「それ、タクトマネーと言って、舞音ちゃん仕様のスクーター。今回はこれの発売記念のCMなんだよ」
「すごーい!」
 
5:07 舞音が走行する向こうから太陽が昇ってくる。先月撮影した時より、気のせいか強い太陽という気がした。
 
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撮影はこの道路で6時頃まで続けられ、その後、空港の駐車場で少し追加の撮影をする。
 

全ての撮影が終わったのは、7時すぎである。撤収してホンダジェットに乗り込む。
 
「しかしこれ来月も似たようなCMをもし撮影するなら、次は沖縄あたりにでも行かないといけないですかね」
 
「来月でもここで撮影できるよ」
「そうなんですか?」
「来月下旬が夏至で、もう太陽の高さがあまり上がらなくなってるからね」
と言って、空世は、紙に円を描いてみせる。
 
舞音は空世がフリーハンドできれいな円を描いたのが凄い!と思った。
 
「円というのは横の方は傾斜が急だけど、頂上付近は傾斜が緩やかでしょ」
と言って、空世は円にボールペンを当てながら説明する。
 
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「あ、そうか」
「だからこの後、7月上旬くらいまでは日出時刻はあまり変わらないよ。8月下旬にもなればもう東京で撮影できるようになる」
 
「へー(実は分かってない)」
 

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ホンダジェットは9時頃に離陸許可が出て、10時半頃に熊谷に到着した。舞音はずっと寝ていた。その後、東京に戻り、当然午後からもまた別の仕事があった!
 
なお、舞音は今回CMした舞音仕様のスクーター“タクトマネー”を1台メーカーさんから頂いてしまった。でもコスモス社長から
 
「路上で乗るの禁止」
と言われてしまう。
 
「路上で乗らないのなら、どこで乗れと?」
「まあ安全な構内で練習するのはいいよ」
 
ということだったので、舞音はバイク歴8年の田崎システム課長の指導で、週に2〜3回(舞音のスケジュール次第)、あけぼのテレビの駐車場でこの“タクトマネー”に乗る練習をすることになった。“タクトマネー”はあけぼのテレビの駐車場に駐めっぱなしになる。
 
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ところが、それで初日、舞音が“タクトマネー”を始動してそれに乗り、構内を走って田崎さんの所に行くと
 
「あ、そのスクーターは停めてそこに置いてて」
と言われる。
 
「君はこれの練習をしよう」
と言って、別の車体を指さされる。
 
「スクーターに見えませんけど」
「250ccバイクだよ。君には夏休みにでも二輪の免許取って欲しいからスムーズに免許取れるよう練習しよう」
 
「わぁ」
 
それで舞音は週3日くらい、250ccに乗る練習をすることになったのであった。
 

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2021年6月1-13日。女子バスケット日本代表候補の第5次合宿がNTCで行われた。今回招集されたのは16名で、前回より1名減っていた。残り落とされるのは4名ということになる。
 
シューター3人はまだ3人とも残っているが、WNBAの亜津子が落とされることはないだろうし、自分とナナちゃんの争いかなぁ〜?という気がしていた。彼女はこの春から、千里・亜津子と一緒に練習している中で明らかに成長している。3人の中でマッチングがいちばん上手いようだったので、千里(千里3)は彼女と1on1をする時は、一時的にマッチングのうまい千里2と交替して練習させた。しかしそのお陰で、ナナは急速にマッチングに強くなってきて、代表候補内では、他のポイントガードやフォワードも彼女に翻弄されるようになってきた。つまりナナに勝てるのは千里2だけ。亜津子でさえも「あんたすげー」と脱帽の様子であった。
 
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「自分のライバルに塩を送っている気もするけど」
と千里は内心呟いていた。
 
「ナナちゃん、コロナが落ち着いたら海外に行きなよ。ナナちゃんの年齢でWNBAとかで揉まれたらもっと伸びる」
と千里は彼女に言った。
 
「WNBAとか、そもそも入れてくれませーん」
 
「あるいはスペインに行く?スペインに私がコネ持ってる女子プロバスケットチームがあるんだよ。スペインは教育リーグもあるから、最初そこに入れてもらって、活躍すれば一軍に上げてもらえるよ」
 
「それはちょっと興味あるかも。でも私スペイン語分からない」
 
「勉強すればいいじゃん」
と言って、千里は彼女の部屋に、スペイン語入門の本とCDに西和辞典を持っていってあげた。
 
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2021年6月2日(水)、アクアの24枚目のシングル『Natator Aqua/綺羅星の如く』 (両A面)が発売された。3(+1)曲入りのCDで下記の曲が入っている。
 
『Natator Aqua』
『綺羅星の如く』
『太陽がいっぱい』
『英光に向かって泳げ』(Bonus Track)
 
ここで『Natator Aqua』と『英光に向かって泳げ』は、アクアが出演するドラマ『夏の飛び魚』の主題歌および挿入歌、『太陽がいっぱい』はアクアが出演するソーラーパネルのCM曲である。
 
一方『綺羅星の如く』は、アクア自身がモデルとして出演しているK化粧品の新製品“綺羅めくパウダー”という微粒子ファンデーションのCM曲である。そちらは北里ナナ名義で出すと音源制作/CF撮影の時は言われていたのに、実際にはアクア名義でドラマの主題歌とカップリングして発売されてしまった。アクアは「あれ〜?」と思った(川崎ゆりこに欺されただけ)。
 
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この“綺羅めくパウダー”のCMでは、アクア自身がこの微粒子ファンデーションを付け、更にアイメイク・チーク・口紅・グロスと塗られて、美しくなる様がCFとしてまとめられている。
 
「アクア様美しい!!」
「私のお嫁さんになって欲しい」
と女性ファンたちが大騒ぎしていた。
 
このCDのジャケットは『夏の飛び魚』仕様の、アクアが上半身裸で男子水着を着けている写真のもの、『太陽がいっぱい』仕様のアクアが天照大神(あまてらすおおみかみ)に扮しているもの、『綺羅めくパウダー』仕様の、アクアが美しくお化粧している写真のものとがあったのだが、『綺羅めくパウダー』仕様のものが圧倒的に売れることになる。
 
『太陽がいっぱい』仕様のものも結構売れたが、『夏の飛び魚』仕様のものは店頭で売れないまま不良在庫となり、TKRでは結局それを回収して『綺羅めくパウダー』仕様のものと交換する羽目になった。アクアのCDを売れないまま引き上げたのはデビュー以来初めてのことであった。
 
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数千万円の回収費用(最終的には§§ミュージックが負担した)が生じたので
「もうアクアは女の子ということにしちゃおうよ」
という意見がTKR内部では出ていた。
 
一方、K化粧品ではこの微粒子ファンデーションも、舞音がCMしたプレルージュも売れに売れて、この年の2大ヒット商品となった。プレルージュはキャンペーングッズ(招き猫模様のボールペンで"pre-rouge"のロゴも入っている)欲しさに男子まで買っていると言われた。また7月に後述(多分再来週くらいに書く)の理由でファンの大量買いまで発生した。
 

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2021年6月3-6日、水泳のジャパンオープン2021が、千葉県国際総合水泳場で開かれた。“津幡組”は千里のG450で能登空港から郷愁飛行場まで運んでもらいこの大会に参戦した。今回の大会で女子長距離陣はこのようなスケジュールで進んだ。
 
6.3 10:00 400m予選 16:32 400m決勝
6.4 10:18 400-IM予選 11:48 800m予選 17:14 400-IM決勝 6.5 16:32 800m決勝
6.6 15:00 1500m Time決勝最終組(他の人は12:02)
 
青葉は400m, 400m個人メドレー、800m, 1500m の4種目に出場し、400m個人メドレー、800mで金メダル、400mと1500mで銀メダルを獲得して“エース”の貫禄を見せた。400mの優勝者は金堂、1500mの優勝者はジャネである。今回も金堂を含めた“津幡組”が上位を独占した。
 
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400m 金堂 川上 南野 竹下 幡山
400im 川上 竹下 南野 永井 金堂
800m 川上 竹下 金堂 幡山 南野
1500m 幡山 川上 南野 金堂 竹下
 
津幡組以外で唯一上位に入ったのが400m個人メドレーで金堂を抜いて4位に食い込んだ永井さんである。日本選手権の後相当奮起したのだろうが「メダル取れなかったし」と悔しそうだった。3位の南野との差は0.1秒で惜しかった。
 
南野さんは今回「私はブロンズコレクターだぁ」と嘆いていたが、成長著しい金堂・竹下との争いの中できっちりメダルを3個取ったのは凄い。
 
今回青葉が一番きつかった(はずな)のは、6月4日で、午前中に400m個人メドレーと800mの予選を泳いだ上で、夕方、400m個人メドレーの決勝を泳いだ。水連は過密日程であまり記録が出ないのではと心配したようだが、青葉はきっちり自身の持つ日本記録に迫る好タイムで優勝した。これで水連側の懸念を拭い去った。
 
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水連内部には、川上と幡山に3種目出させるのは負荷が大きいから、各々どれか辞退させて2種目に絞らせるべきではという意見もあったようである。しかし全力で4-5km泳げる体力を持つ青葉やジャネにはこのくらいは平気なのである。
 
 
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春転(16)

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