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■春転(17)

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(C) Eriko Kawaguchi 2021-07-21
 
数紀はその日、放送局から別の放送局へ歩いて移動していたのだが、前方に短いピンクのスカートを穿き、胸にelisというロゴが入った服を着、サンバイザーをかぶったお姉さんが道行く人に何か配っていた。数紀はティッシュかな?と思ってそれを受け取り、制服ズボンのポケットに入れた。
 

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2021年5/30-6/6.
 
舞音は6枚目のシングルの制作をおこなった。
 
今回のシングルに収録する曲は下記である。全て何かのCM曲である。
 
『マネキューレの騎行』(ホンダスクーター&バイク)
『マネがビーナスのマネをした』(エアコン)
『招かざるKA』(液体蚊取り)
 
『マネキューレの騎行』は羽鳥セシルとの共演である。
 
PVでは、まずホンダの巨大バイク“ゴールドウイング・ワルキューレ”(Gold Wing Valkyrie) に舞音が跨がっている所から始まる。むろんワルキューレは停車しているし、エンジンも掛かっていない。
 
そこに格好良いバイクスーツのお姉さん(花ちゃん)がやってきて
「まだ君には早い」
と言って、降ろさせ、自分がワルキューレに跨がって走り去る。
 
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「格好いい!」
と見とれた所で、セシルが
「私たちも行こう」
と言って、セシルはCBR250RR, 舞音は招き猫マーク入りのタクト・マネーに乗って、花ちゃんの走り去った方向に走っていくというストーリーになっている。
 
「250ccも楽しいよ」
「スクーターも楽しいよ」
 
「ワルキューレに乗りたかったら、舞音ちゃんもまずは二輪免許取りなよ」
とセシルが言った所で終了する。
 

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「こういう会話交わしたら、私、絶対二輪免許取らないといけないですね」
「うん。頑張ろう」
 
このPV(CF)の撮影は5月31日(月)午後に国道292号・渋峠近くの“日本国道最高地点”の碑の近くで行っており、その碑が放送されたビデオにも映り込んでいる。
 
最初、篠原倉光(169cm)がセシル(171cm)役、水森ビーナ(157cm)が舞音(158cm)役、海浜ひまわりが花ちゃん役をして、リハーサルを兼ねた構図決めなどが行われた。ビーナは5月20日に原付免許を取ったばかりで路上は初体験だったが
「1ヶ月前の舞音ちゃんみたいだ」
と言われながらも何とか走行した。
 
遙か下方に草津温泉などが見えるショットなども入っており、なんか凄い所で撮影してるなというのが見ている人にも感じられるPV(CF)に仕上がった。
 
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楽曲は未来居住作詞・松本花子作曲だが、琴沢幸穂さんのアレンジが入っており、冒頭にワーグナー(1813-1883)作曲『ワルキューレの騎行』のモチーフが取り込まれている。
 

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なお、このCMが実際に放送されるようになってから
「舞音ちゃんはスクーターを卒業するのですか?」
という問い合わせが殺到するが
 
「それは8月頃に放送予定の続編をご覧下さい」
とメーカーでも事務所でも回答したので
 
「どうやら卒業する訳ではないようだ」
と安堵の声が広がった。
 
「試験に落ちて二輪免許を取れなかったというオチとか?」
「もしかして二輪とスクーターに同時に乗るとか?」
「アクロバット走行か?」
 

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『招かざるKA』は液体蚊取りのCMなので、浴衣姿の舞音と甲斐姉妹が、古風な縁側のある家で、花火を見ながら、うちわで涼を取っている図が使用されている。このPV制作は6月1日(火)夕方、2時間ほどで撮影されているが、本当に花火を打ち上げている。縁側のある家はわざわざこのために建てたセットである。舞音のCMは予算が潤沢なものが増えてきている。
 
作詞は名寄多恵、作曲は松本花子で、編曲はケイである。実は千里が五輪前で時間が取れないことから代わってくれた。伴奏は三味線・和太鼓にフルート2本という和洋折衷になっている。舞音が三味線を弾けることからこういうアレンジをした。実際に三味線を舞音が弾き、和太鼓は木下宏紀、2本のフルートは甲斐姉妹である。2人とも総銀フルートを使用している。
 
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(甲斐波津子はお正月に妹に総銀フルートを買ってあげたのだが、その後、逆に絵代子が姉に総銀フルートをプレゼントして2人とも総銀フルートの吹き手になった)
 

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『マネがビーナスのマネをした』は松芝電機さんの新型エアコン“ビーナス”のイメージCMである。実は最初アクアにオファーがあったのだが、アクアが断った!ので舞音に回ってきた。
 
アクアは断ったお詫びにと言って“東風”(とんぷう(*11))名義で歌詞を書いてくれたので、それに松本花子に曲を付けさせ、琴沢幸穂が編曲している。
 
(*11)十二支で辰(龍)も寅(虎)も東の方位であることから付けたペンネーム。しかし西風が登場している絵でナイスの名前になった。
 

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これは『マネがマネのマネをした』と同様の路線で、ボッティチェッリ(1445-1510)の名作『ビーナスの誕生』(La Nascita di Venere)のコスプレをしている。
 

 
この貝殻の上に立つビーナスをアクアに演じて欲しいと言ったので、アクアがさすがに断ったのである。舞音はこのCMの話を聞いた時
 
「あの〜。ヌードにならないといけませんか?」
と恐る恐る訊いたが
「まさか。高校生をヌードにしたら私が逮捕されるし、だいたいヌードじゃ放送できない」
とコスモスが言うので応じた。実際には舞音は春をイメージさせるペールピンクのドレスを着て、ビーナスを演じている。
 
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左側で浮遊してビーナスに風を送っているゼビュロス(西風の神)と妻・クロリスを水谷姉妹が演じる。そして右側で花柄のドレスを着てビーナスにお花を振り掛けているホーラ(季節の女神)の1人で春の女神フローラ(*12)を水森ビーナ(柴田数紀)が演じることになった。
 
後にこのビデオは出演者が豪華すぎると言われることになる。
 

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「本当はビーナちゃんがビーナスを演じればいいのかも知れないけど」
と舞音は言ったが
「男がビーナスの役をしたら石投げられます」
と数紀は言った。
 
「ああ、男の子という建前だったね。本当は声変わりしないように小5で去勢した後、『君可愛いから女の子になっちゃいなよ』と唆されて中2の夏休みに北大病院で性転換手術も受けたんでしょ?(姫路スピカからの情報)」
と舞音。
 
「そんなの初耳です!」
と数紀は言った。また、飛鳥姉(松梨詩恩)が変な噂を広めてるなと数紀は思う。でも北大病院って?中2の夏休み?確かに『声変わりしないように去勢しようよ』とか『男になるのもったいない』とか『可愛いから女の子になっちゃいなよ』とか、随分言われたけど。
 
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「セーラー服着た写真も見たし」
「それお芝居の衣装ですよぉ」
 
「でもビーナちゃんの手を握ると、これ女の子の手の感触だよ」
と言って、舞音が数紀の手を握ると、水谷姉妹も彼の手を握る。
 
「ほんとだ。これは女の子の手だ」
「これで少なくとも去勢済みであることは間違い無い」
「去勢とかしてないのに」
 
「アクアみたいに無意味な反論してる」
 

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ということで、去勢してないというのは全く信じてもらえないまま、数紀は花柄のドレスを着て、フローラを演じる。
 
撮影は6月1日(火)に行われた。舞音のスケジュールが逼迫しているため、午前中、木下宏紀がビーナス役をして(さすがの彼も恥ずかしがっていた)、構図決めなどが行われ、午後から舞音本人が来て本番撮影が行われた(宏紀は液体蚊取りのリハに行き舞音の代役)。それで舞音はもちろん、数紀も水谷姉妹も今日は学校を休んでいる。
 
水谷姉妹は各々の衣装を着け(水谷姉は付けひげなどして男装している)抱き合ったまま、ピアノ線を付けて吊される。大変そう〜!と数紀は思った。
 
CM(PV)では、最初貝殻の上にビーナスが立っているだけの所にゼビュロスと妻が左から来て息を吹きかけ始める。島影が右から左へ動いていくことで貝殻に乗るビーナスが移動しているように見える。やがて右側からフローラの待つ岸辺が現れ、ビーナスが岸に到達した所で停止する。
 
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実際の撮影ではビーナスは全く動いておらず、ピアノ線で吊されたゼビュロスたちが左側から近づいて来て、後半ではフローラが待つ岸辺のセットが右側から移動してきて停止する。大掛かりな仕組みになっている。
 
この撮影は空中に吊されている水谷姉妹の負荷が大きいので、休憩を取りながら撮影は進んだ。
 

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舞音が乗る貝殻は直径が1.2mほどある。本体はセメントを固めて作ったものだが、貝の表面に似た光沢が出るよう多層に塗装し、外側には本物の貝の外殻が埋め込まれているので、見た目は巨大なホタテ貝に見える。
 
小さな池が作られており、ちゃんと波も立つようになっていて、背景のスクリーンに海や空の景色を投影したものと自然に繋がる。右側の島には10本のオレンジの木が立っている。そしてこの島自体が動く。今回のセットも物凄いお金が掛かっているな、と舞音は思った。
 
アクアが東風の名前で書いた詩にはサビ部分にこのようなフレーズが入っている。
 
「ゼビュロス(西風)の優しい息に吹かれ、
柔らかい泡に乗り、波の音の響く海を運ばれて行く。
金色の光に包まれたホーラ(季節の女神)が
ビーナスを迎え入れ、花の衣服を与えた」
 
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これはボッティチェッリと同時代の詩人デメトリオス・ハルココンディレス(1423-1511)が書いた詩(*12)を取り込んだものである。おそらくこの絵を見て書いた詩だと思われるが、まさにこの絵の情景を説明している。
 
実は舞音がこのシーン撮影中に着ている服は無地なのだが、CGでフローラが振り掛けたお花が服の模様として定着していくように加工している。それで後になるほど服の花柄は増えて行く。
 
花はバラ、スイートピー、アネモネの3バージョンがあるが、映像は使い回しせず3回撮影している。水谷姉妹は本当にご苦労様である。
 
(*12)ゼビュロスの妻クロリスと春の女神フローラは実は同じ神の別名なので左の女神をフローラと記述している文献もある。
 
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この詩の原文英訳↓
Blown by the moist breath of Zephyros, she was carried over the waves of the resounding sea on soft foam. The gold-filleted Horae happily welcomed her and clothed her with heavenly raiment.
(直訳)
ゼビュロスの湿度のある息に吹かれ、彼女は柔らかい泡に乗り、波の音の響く海を運ばれて行った。金に包まれたホーラが彼女を嬉しく歓迎し、天の衣服を着せた。
 
北条司は「キャッツアイ」の中でこのように記している(キャッツアイ17巻)。恐らくは同系統の文からの引用と思われるが原典は不明。
 
“西風(ゼビュロス)と季節の女神たち(ホーライ)に運ばれ、天空神ウラノスから生まれしアフロディーテは泡より出し女神となる”
 
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北条版では、ホーライは迎えたのではなくゼビュロスと一緒に運んだ側になっているが、これは上述の事情による。

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このシチュエーションの撮影の後は、エアコンの利いた室内で、4人がその衣装のまま(ビーナスの服は本当に花柄になっている服を使用)で涼んでいるシーン(かき氷やジェラートにピザやパスタを食べたりしている)を撮影した。
 
「だけど昔から言われてるけど、この絵は『ビーナスの誕生』というタイトルではあるけど、実際のビーナスの誕生シーンじゃないよね」
と撮影に付き合っていたコスモス社長が言う。
 
「誕生の場面じゃ無いんですか?」
「誕生直後の場面だよね」
とメーカーの担当さんも言う。
 
「これはビーナスが誕生した後、西風たちに吹かれてキプロスの岸辺に辿り着く様子なんだよね」
とコスモス。
 

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「じゃビーナスはどうやって生まれたんですか?」
と水谷妹が訊く。
 
「私知ってる。でも社長にお任せ」
と舞音が言う。
 
「どうも知ってるのは舞音ちゃんだけみたいね」
とコスモス。メーカーの人はなんか居づらくなったような顔をして離れてしまった。10代の女の子たちの前で話す話ではないので、取り敢えず席を外したのだろう。
 
「大地母神ガイアは最初ウラノスと結婚したんだけど、彼が横暴なので、息子のクロノスを唆して、ウラノスが昼寝をしている時に、ウラノスのちんちんを切り落とさせた」
 
「え〜〜!?」
 
話はいきなり核心に入った!
 
「それでちんちんを失ったウラノスは能力を失い、クロノスが新しい王になる。そして切り落とされたウラノスのちんちんは海に落ちて、泡が立つ。その泡の中から生まれたのがビーナス」
 
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「なんかテレビでは放送できない話ですね」
「ちんちんがビーナスになった訳じゃないんですね」
「そうそう。ちんちんが落ちた時にできた泡からビーナスは生まれた。つまりウラノスと海との娘ということだと思う」
「ああ、そういうことか」
「ウラノスの最後の娘だね」
「確実に最後ですね」
 
数紀が何か不安そうな顔をしている。コスモスは言った。
 
「ビーナちゃんはもうちんちん切っちゃったんだし、更に切られることはないから心配しなくていいよ」
 
「ちんちん切ってません」
「うん。そういうことにしとこうね」
 

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数紀は夕方帰寮すると、セレンとクロム(この2人はいつもセーラー服姿でフロントかキュアルームに居る)に相談した。
 
「こないだ学校でも言われて、今日は常滑舞音ちゃんや水谷姉妹にも言われたんだけど、ボクって手を握った感じが女の子の感触かなあ」
 
「どれどれ」
と改めて、セレンとクロムが数紀の手に触る。
 
「確かにこれは男の手ではない」
「そうなの?」
 
「女の子でもこの程度の感触の子はいると思う」
「これは男の娘の手だよね〜」
「ボクたちにしか区別はつかないかも」
 
「数紀ちゃん、たぶん中学に入った頃から女性ホルモンしてたでしょ?」
「これは第二次性徴が不完全だった人の手だと思う」
「数紀ちゃんの声が女の子の声に聞こえる原因かも」
 
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「別に女性ホルモンとか飲んでないけどなあ」
「あるいは中学になってから去勢したとか」
「如月ちゃんが数紀ちゃんの手に近いよね」
「そうそう。如月ちゃんは中学3年になってから去勢したらしい」
「数紀ちゃんの場合はもっと早く男性化が停止した感じだから、たぶん中学1年くらいで物理的または化学的に去勢したとみた」
 
「手術受けてないのなら、何かの原因でそのくらいの時点で睾丸が機能停止したんだろうね。たとえば、おたふく風邪で高熱が続いたとか」
 
「おたふく風邪にかかった覚えはないけど、ボク身体が弱かったから、小学生の頃は頻繁に高熱出して学校休んでた。姉貴の代役で東京に頻繁に出てくるようになってからは、めったにそういうの無くなったけど」
 
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「体質が変わったんだろうね」
「環境変化で体質が変わることはよくある」
「多分その時、睾丸も機能停止したんだよ」
 
「男性化を進めたければ男性ホルモンを補充する手はあるけど」
「その場合、声変わりが進行するけどね」
「それは嫌だなあ」
 
セレンとクロムが視線で頷き合う。
 
「だったら女性ホルモンを飲むべきだと思う」
とセレンは言った。
 
「え〜〜〜!?」
 
「だってホルモンニュートラルは身体に悪いもんね」
「だから僅かに女性ホルモン優位にしておくんだよ」
「今度やり方、教えるよ」
 

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「そうだ。それよりも数紀ちゃんが帰る少し前に松梨詩恩(数紀の姉)ちゃんが来たんだよ」
「あ、そうなんだ?」
「明日の放課後、詩恩ちゃんのボディダブルの仕事があるんだって?」
「うん。夕方からドラマ撮影があって、そのリハーサル要員兼任で」
「詩恩ちゃんも無茶苦茶忙しいみたいだもんね」
 
「それでさ、女子大生の役だから、女の子体型になってて欲しいから数紀ちゃんに性転換手術を受けさせるか、胸とお股を女体偽装させてあげてと頼まれたんだよ」
 
「性転換手術〜?」
「仮予約だけしてるらしい。手術受けないならキャンセルするから連絡してって」
「女体偽装でお願いします」
「じゃキャンセルの連絡するね」
と言って、セレンがメールを送っていた。
 
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本当に性転換手術の予約してたのか??
 
「じゃ女体偽装してあげるよ」
 

それで2人は、バストに(詩恩が持参した)ブレストフォームを貼り付け、お股はタックしてあげた。数紀はタックしてもらうと、本当に女の子になっちゃったみたいなので「きゃー」と思った。もし性転換手術されちゃったらこんな感じなのかなと思うとドキドキした。
 
「じゃこれで明日のお仕事頑張ってね」
「うん。ありがとう」
 

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