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■春転(10)

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常滑舞音はゴールデンウィーク中は、ずっと『舞音の招きマネキン』のドラマを撮影していたのだが、それが終わった所で「緊急事態が起きた」といって、事務所に呼ばれる。それで行ってみると、コスモス社長から、ラピスラズリがコロナ感染者の濃厚接触者として隔離されたと聞き、驚く。
 
「ラピスラズリはドラマの撮影が入っていたのでは」
「『シンデレラ』を撮影する予定だった」
 
舞音は考えた。まさか自分にシンデレラを代りにやってくれという話では?私、できるかな?ちょっと自信無い、と思う。ところがコスモスの話は違っていた。
 
「シンデレラ役はアクアがやってくれることになった」
「良かった。私にシンデレラをしてくれと言われるかと思いました」
「シンデレラを演じる自信無い?」
「冷静に見て、私はまだそういう大役をやるには力不足・経験不足だと思います」
と舞音は答えた。
 
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「やれと言われたらやる?」
「もちろん喜んで引き受けます。東雲はるこちゃんほどうまくは演技できないかも知れませんが」
 
「そうかな。私ははるこより君の方が演技力という点では高いと思うけど」
「評価してくださるのは嬉しいです」
 
確かに、はるこちゃんは歌はうまいけど演技は微妙かもしれない、と舞音も思った。
 

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「まあ今回はアクアが引き受けてくれたから、彼女にやってもらう」
とコスモスは言った。
 
つまり、もしアクアが断ったら自分が指名されたのだろう。でもコスモス社長はアクアを“彼女”と呼ぶんだなと思った。
 
「ラピスラズリは、ドラマに主演するだけでなく主題歌と挿入歌も歌っていたけど、主役交代でそれが使えなくなった」
「はい」
「その代りの主題歌を歌うのまでアクアに頼むには彼女の負担が大きすぎる。それで、歌は君に歌って欲しい」
 
「分かりました。ぜひやらせてください」
「うん」
 
それで舞音は『シンデレラ』の主題歌・挿入歌を歌うことになったのである。
 

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ただ楽曲は、ラピスラズリ用に作っていたものを、舞音用に調整しなければならないのて明日12日から制作に入ると言われる。それで今日は
 
(1)午前中は、中高生の参考書のCMに出る
(2)ホンダのスクーターCMの新編を撮る
 
というのでお願いと言われた。シンデレラの予定が入ったので明日以降の予定だったものが前倒しになるらしい。
 
「私、もう自分がどこのメーカーの何のCMに出たか分からなくなってきました」
「村上ちゃんがデータベースにして管理しているから大丈夫だと思う。万が一にもライバル企業のCMに出る訳にはいかないからね」
 
「ですよね。ところで私、今日は平日なんですけど」
「ごめん、学校休んで」
 

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舞音は『シンデレラ』のPV用にガラスの靴を作るからと言われて足の型を取られた上で、午前中は悠木恵美と佐藤ゆかに付き添ってもらってスタジオに行く。「私高校卒業できるかなあ」と不安を感じながら、参考書や問題集を出している出版社のCM撮影をした(撮影中は佐藤ゆかだけが立ち会う)。これのCM曲も歌って欲しいらしいが、その音源制作はどこかで時間を取ると言われた(その時間あるのかしら?)。
 
佐藤ゆかちゃんは午前中であがり、交替で南田容子ちゃんが出てくる。車の中でお弁当を食べてから、午後からは川崎市校外でホンダのスクーターのCM撮影をする(歌は『マイルドな夜明け』の2番を使うといっていた)。南田容子ちゃんが舞音と同じバイクスーツを着て、舞音の代わりにかなりリハーサルで走らされていた。その間、舞音は悠木恵美の車の中で休ませてもらった(寝てた)。
 
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だいたい構図やシナリオが固まった所で、15時頃、撮影の要点を説明され、舞音での撮影になる。これを1時間半ほど撮影した所で羽鳥セシルが合流した。
 
彼女はホンダの250ccバイクのCM撮影をしていたらしい。千葉県のサーキットからアクアラインを越えて来たと言っていた。この後、合同撮影になり、舞音がスクーター、セシルが250ccの傍でヘルメットを抱えて微笑んでいる所、前後して走行している所などを撮影した。
 
これは夕日の中で撮影した映像が最終的にCMに使われていた。
 
この日は珍しく19時で終了となり、悠木恵美・南田容子と一緒に女子寮に帰還した。
 

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翌日12日からは『シンデレラ』の主題歌・挿入歌の音源制作となる。舞音はこの2日間は午前中だけ学校に出て、午後からスタジオに行き、音源制作・PV撮影をした。
 
ラピスラズリは、『シンデレラ』主題歌の『ガラスのエンブレム』と挿入歌『憧れの舞踏会』を歌って、既に音源制作は終わっていたが、これはいったん封印される。代りに舞音に、主題歌『ガラスのエンブレム』と挿入歌『風読みシンドバッド』を歌って欲しいと言われた。
 
「ガラスは分かりますが、シンドバッドがどうして出てくるんです?」
「それは見てのお楽しみで」
 
それで舞音は首をひねりながらもこの2つの曲を歌った。
 
『風読みシンドバッド』は主演女優交替に伴うシナリオ変更によって生まれた曲だが、実は主題歌もラピスラズリが歌う予定だったものを舞音が歌うことに伴い歌詞が一部変更されている。“はかない”イメージのある東雲はるこを想定して書いた歌詞が、アクアや舞音などの“元気な”女の子には合わないので、そこを書き変えたのである。また音域も舞音の音域に合わせて移調された。
 
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PVも撮影されたが、昨日の内に作られていた舞音用の“ガラスの靴”を履いて品川ありさ演じる王子様と踊るシーン、廊下を走り、階段を駆け下りるシーンなども撮影した。(何度も走らされたのできつかった)
 
また『風読みシンドバッド』では、男装して、オープンセットに作られた帆船の上で撮影をする。船首に立つ所や、マストの横棒(ヤード)に座って望遠鏡を覗くシーンなどを撮影した。でも、なんでシンデレラにこういうシーンかあるのだろうと疑問を感じた。
 
ちなみにヤードに腰掛けるシーンの撮影で、舞音がひょいひょいとマストに登ってヤードに腰掛けたら
 
「舞音ちゃん、筋力あるね〜」
と感心された。
 
「え?だって、マスト自体を棒登りみたいにして登るわけでもなく、この網みたいなの(シュラウド)を登ればいいだけだし。雲底より簡単ですよ」
 
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「雲底得意だった?」
 
「大好きでした。男の子と対決してもそう簡単には負けませんでしたよ」
「さっすが。命綱つけようと思ったら、君、その前に登っちゃうし」
「命綱があったんですか〜?」
 
でも舞音が高い所でも平気そうなので、念のため下にネットを張った状態でそのまま命綱無しで、ヤードに腰掛けているシーンを撮影した。シュラウドを登る所もPVには入ったので「舞音ちゃんカッコイー」と言われた。
 
「アクアちゃんは登れなかったからクレーンで持ち上げたんだよ」
 
「彼女は元々身体が弱かったから。運動会の徒競走でもいつも女子のビリだったらしいですよ(姫路スピカからの情報)」
 
「なるほど。“女子の”ビリね〜」
 
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『シンデレラ』主題歌の音源制作をしている最中の2021年5月12日(水)、舞音の4枚目のシングル『風のいざない/マイルドな夜明け』が発売された。前者はブルボン“一週間のクッキー”のCM曲、後者はホンダ“タクト”のCM曲である。
 
話題上昇中の舞音の新曲とあって、初日で40万枚売れて、いきなりプラチナレコードとなった。
 

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『シンデレラ』の主題歌・挿入歌の録音とPV制作をわずか2日で仕上げた後、舞音は5月14日(金)はお休みにするからゆっくり休んでと言われた。但し15日(土)は丸一日の稼働になると言われた。
 
翌日が恐いなあと思いながらも、舞音はその日は学校が終わった後はレッスンにも出ず、自分の部屋でひたすら寝ていた。夕食が取られていなかったので、食器を下げにきたひまわりが
 
「マミちゃん、生きてる〜?」
と言って部屋の中に入ってきて、声を掛けてくれた。それで舞音は晩御飯を何とか食べることができた(食事を勝手に捨てられる事件は4月以降は起きていない)。
 
「食べ終わったら本棟まで持って行きますね」
「いや、そこに置いとけばいいよ、明日の朝回収するから」
「すみませーん」
 
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翌日は朝食を取った後、8時過ぎに悠木恵美の車に乗せられて出かけていく。
 
着いた所はエステサロンである。こんな所初めて来た!ここでフェイスエステをされるが、気持ちいい!と思った。疲れが溜まっているので、されている内に眠ってしまったが、それは特に問題なかったようだ。その後、美容室に行く。この日は特にカットはしない。顔剃りをし、シャンプー&ブローして髪を整えられた。
 
そして、K化粧品の本社に連れて行かれる。
「この会社の新製品のカラーリップのCMに出て、歌も歌って欲しいのよ」
「それでフェイスエステしたんですか」
「うん。でもこの後、更に少しスキンケアされると思うけど」
「あ、はい」
 
広報部で担当の方に挨拶する。美容部員さんから、最初に少し眉毛を切り揃えられた上で、毛穴の汚れを取るパックをされ、更に美容液パックをされた。その上でやっと、新製品のカラーリップを塗られたが、鏡を見て、何か今日の私すごいビジーン!と思った。
 
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女子高生の制服っぽい服を着せられて、どこかの学校に連れて行かれる。この学校の教室で撮影するらしい。共演者の女子が10名ほど来る。みんな自分と同じ制服を着ている。
 
教室を移動しながら撮影する。各々のシチュエーションで、
 
“ルージュはまだ早い女の子のための‘プレルージュ’”
あるいは
“中学を卒業したらちょっとだけおとなの‘プレルージュ’”
 
などと言ってから、そのリップを自分で塗る、という展開である。
 
一般教室のほか、音楽室、理科室、図書館、調理教室などでも撮影した。校庭でも数シチュエーション撮影した。全員体操服に着替えたシチュエーションも撮った。撮影は全部で3時間ほど掛かった。
 
その間に舞音は50回くらい製品名を発音した。つまり50回くらい塗っては拭き取るというのを繰り返した!
 
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むろん元気いっぱいの笑顔で演じなければならないので、わりと重労働だった。
 

その新製品のリップを4色1本ずつもらって化粧品会社を後にする。車の中で悠木恵美と2人だけでお弁当を食べた後、スタジオに入り、このリップのCM用の曲を録音する。これをシンデレラの主題歌とセットにして発売するらしい。
 
指導してくださるのは、ニュー下川工房の佐藤さんという女性アレンジャーである。
 
悠木恵美からは、スタジオに入る前に
「今日の先生は厳しいことで有名だから、きついこと言われても我慢してね」
と言われた。
 

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舞音は心の準備をしてからスタジオに入った。
 
「おはようございます、佐藤先生。常滑舞音と申します。よろしくお願いします」
と挨拶すると
「ああ、おはよう」
と40代の女性が笑顔で挨拶を返す。瞬間的にこの人、扱いが難しそうと思った。表裏の激しいタイプと見た。
 
譜面を渡されて
「取り敢えず歌ってみて」
と言われる。
 
3分ほど譜読みをした上で、最初の音をもらってアカペラで歌う。すると
 
「あんたうまいね」
といきなり褒められた。念のため音の高さを確認すると長2度(半音×2)ほどずれていた。先生は「この程度のずれで済むのは優秀」と言ってくれた。舞音は「やはりまだまだだなあ。これがロマンちゃんは全くずれないんだよなあ」と思った。
 
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その後、キーボードの人の伴奏で歌うが、伴奏は気にせず、自分がこう歌うべきだと思う歌い方で歌いなさいと言われた。テンポについても舞音自身がイメージするテンポでと言われたので、これは伴奏の人と何度かやりとりした。先生はわりと舞音の歌い方を追認してくれるが、時々、
 
「この部分はその歌い方もありだけど、こうしようか」
など、優しい言葉で指導してくれる。
 
今日はご機嫌いいのかな〜、などと思いながらも先生の“地雷”を踏まないよう気をつけて会話する。それでも夕方くらいには「ここまで歌えたら完璧だ」と言われて、OKが出た。
 
今日はキーボードだけの伴奏で歌ったが、正式な伴奏は舞音の歌に合わせてバンドに演奏させて最終的な音源を作るらしい。
 
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スタジオを出てから悠木恵美に
「今日はご機嫌が良かったみたいね」
と言うと
「舞音ちゃんが物凄く上手かったからかもね」
と言われた。
 
「あの先生、わりと自分の型に填めていくんだけど、今日は舞音ちゃんに任せた。舞音ちゃんが上手いから、舞音ちゃんの若いセンスをそのまま使った方がいいと判断したんだと思う」
 
「そんなに上手いかなあ」
「少なくとも§§ミュージックで舞音ちゃんより上手い女子は、七尾ロマン、東雲はるこ、アクアの3人だけ」
と言われた。
 
やはりアクアさんは女子なのか?
 
「私、どうしてもロマンちゃんの歌には勝てない」
「まあ勝てるようにたくさん練習するといいね」
「うん!」
 
ちなみにこの日はこれで上がりかなと思ったら、この後、放送局に連れていかれて、歌番組で『舞音の招きマネキン』を歌った。
 
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