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■春転(30)

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帰宅したら、遅い時間なのに、寮母の娘さんの女子中生・門脇瀬那ちゃん(大崎志乃舞の妹)が夕食を持って来てくれた。
 
「遅いのにありがとう!」
「いえ、ビーナさんこそ遅くまでお疲れ様です」
 
ご飯を食べて食器を下げ、一息ついてたら、ユカリと恵夢がやってきた。
 
「お早うございます」
「お早うございます」
と挨拶を交わす。
 
「海老原さんから、ホルモンの飲み方の指導してあげてと言われたんだけど」
「ボク別に女性ホルモン飲むつもりはないんだけど」
「まあ、飲むつもりはなくても基礎知識は知っていていいよね」
と言って、ふたりは部屋に上がってきた。
 
「今どんな女性ホルモン飲んでるの?」
「ホントに何も飲んでないんだよ。お母ちゃんはたくさんくれたけど」
「お母さん公認なら、遠慮せずに飲めばいいのに」
「それで立派な女の子になればいいよ」
 
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「と言われても困る」
「取り敢えずその薬見せてくれる?」
「うん。この箱にまとめて入れてる」
と言って、数紀は段ボール箱を出してきた。
 

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ふたりが箱を開けてみる。
 
何だかどっさりある!これは女性化するために積極的に飲んだとしても3年分はあると、ユカリたちは思った。きっと小学5-6年生の頃から渡されていたのだろう。そしてきっと飲んでる。でないと男性化が停まってしまったことを説明できない。
 
「取り敢えず分類しよう」
「数紀ちゃん、もうひとつ何か空き箱ない?」
「じゃこれ使って」
 
それでユカリと恵夢は、数紀が持っていた製剤を2種類に分け、別々の箱に入れ、一部更に分けた。
 

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「こちらの袋に入れたのは有効期限が切れてる。飲まない方がいい」
「じゃ捨てよう」
「うん。それがいい」
と言って、これは本当に台所のゴミ箱に捨てた。2年も前に期限が切れているものもあった。小学生の頃からホルモン剤を渡されていたのは間違い無い。
 
「このコンビニの袋に入れたのは抗男性ホルモン。男性化を停める。数紀ちゃんは既に男性化が停まっているから、もう飲む必要はない」
「じゃそれも捨てちゃおうかな。間違わないように」
 
“間違わないように”って、やはり飲んでるんだろうなとユカリたちは思った。
 
「捨てるならボクらにくれない?」
「いいよ。持ってって」
 
それでユカリが自分のバッグに入れた。
 
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「Eと書いた箱はエストロゲン、別名卵胞ホルモン。女性的な身体を作る」
「Pと書いた箱はプロゲステロン、別名黄体ホルモン。エストロゲンを飲んでる前提でバストとかを発達させる」
 
「この赤いマーカーで“×10”と書いたビニール袋に入れたのは10倍量の錠剤だから、女性化したくなるまでは飲んではいけない」
 
そして
「僅かに女性ホルモン優位にしておくならこの量、身体を完全に女性化させたいならこの量」
とメモに書いてくれた。
 
「でも必ず体内のホルモン量をモニターして飲みすぎにならないように注意して」
 

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彼らはホルモン濃度の測定方法を教えてくれて、実際数紀のホルモン濃度を測定してくれた。
 
「男性ホルモンが凄く少ない。“女性の”標準値内」
「エストロゲンは女性の標準値よりずっと少ないけど、男性の標準値よりは明らかに多い」
「つまり数紀ちゃんは、完全なホルモンニュートラルじゃなくて、僅かながら女性ホルモン優位の状態にある」
 
「なんでだろう?」
と数紀は首をひねったが、ユカリと恵夢は視線を交わしていた。
 
「小学5年生の時から身長伸びてないと言ってたけど、この状態をキープしてたら多分高校在学中にあと3-4cmは伸びると思うよ」
 
「あ、それ助かる。今詩恩姉ちゃんより3cmくらい低いから、ボクが3-4cm伸びたら同じくらいの身長になって代役しやすくなるし」
 
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「数紀ちゃんってシスターコンプレックス?」
「指摘されたことはある。詩恩お姉ちゃんみたいな歌手になりたいなあと思って、歌もピアノもギターも一所懸命練習してた」
 
詩恩ちゃんみたいな“女の子歌手”になりたかったのでは?とユカリたちは思った。
 
「詩恩ちゃんくらいのおっぱいも育てる?」
「うーん・・・おっぱい大きくしちゃったら、男湯に入れなくなるし」
「既に男湯には入れない気がする」
 

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彼らはホルモン濃度を測定する器具と試薬も分けてくれた。
 
「これお金払うよ」
「うん。今後、3人で共同購入しよう」
「他の子たちには秘密でね」
 
「特に一葉ちゃんみたいな子はまだ普通の男の子に戻れるから、女性ホルモンは絶対覚えさせちゃだめ」
 
「ユカリちゃんたちは?」
「ボクたちはもう男の子には戻れないと思う」
「でも女になる決断はまだできないんだよね」
「なんかその気持ち分かる気がする」
 

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ユカリたちは、ホルモンに関して更に1時間くらい詳しく教えてくれた。女性の生理周期についても基本的なことから教えてくれた。数紀はそういう話は昔保健の時間に聞いたことはあったものの、自分には関係ないことと思い、あまり真面目に聞いていなかったので、あらためて教えられると新鮮だった。
 
特に月経の14日後に排卵日があること、排卵日を境に卵胞期と黄体期が変わり、卵胞期には卵胞ホルモン(エストロゲン)が支配的になり、黄体期には黄体ホルモン(プロゲステロン)が支配的になるというのは、女性の身体の神秘のように思えた。女の子の身体って精密機器なんだなと思う。
 
夜中の0時過ぎ、彼らが帰った後、数紀は女性ホルモンの入った箱を見ながら、あらためてホルモンを飲んだ方がいいのか、悩んでしまった。
 
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7月19日(月).
 
杉浦舞美(常滑舞音)と柴田数紀(水森ビーナ)は群馬県内の自動車学校に入校した。舞音は夏休みになったら二輪の免許を取ってと言われていた。夏休みは17日(土)から始まっていたのだが、土日はスケジュールが立て込んでいるので、月曜日の入校にしたのである。
 
数紀も一緒に二輪免許を取りに行くことになった。彼は松梨詩恩の吹き替え役が多いが、実は詩恩がバイクに乗るシーンというのは、わりとあり、これまでは同じ事務所の溝口ルカなどが、リハーサル役を務めていた。しかし数紀が使えると、リハーサル日程も組みやすいので、この際、舞音と一緒に取りに行ってもらうことにした。
 
なお、群馬県内の学校を選んだのはオリンピック期間(7/23-8/8)の東京を避けるためである!アクセスは舞音のマネージャー・西岡空世(悠木恵美)が熊谷の郷愁村内のコテージ“桜”から前橋市内の自動車学校まで2人を往復送迎する。なぜ“桜”にいるのかは後述する。
 
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二輪免許を取るのに必要な教習時間数は下記である。
 
第1段階 学科10+実車9
第2段階 学科16+実車10
 
順調にいけば10日程度で普通二輪免許を手にすることができることになる。
 

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2021年7月17日(土).
 
明日のビデオガールコンテスト本戦のため、全国からその参加者と保護者を熊谷に運ぶ大作戦が実行された。今年の参加者の居住地域はこのようになっていた。
 
北海道 宮城県 山形県 埼玉県 東京都(2) 神奈川県 富山県 石川県 山梨県 長野県 愛知県 大阪府(2) 兵庫県 岡山県 徳島県 愛媛県 福岡県 長崎県 鹿児島県 沖縄県
 
北海道から参加した子は実は昨年の第1回ビデオガールコンテストで本選15位で信濃町ガールズ北海道に入った子で、春の昇格試験にも出て来たが落選している。来年の昇格試験に出てくるかと思ったのだが、今回再度ビデオガールコンテストに応募してきた。二次審査の成績は全体で3位でNo.20のエントリー番号を与えられた。
 
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(過去にも彼女のようなケースが何度かあったので、ゆりこは本選に“信濃町ガールズ枠”を設けてはと提案しており、その方式も検討する。その場合、参加者が30名を越えるので、本選形式の再考が必要かも)
 
参加者には1週間前からの検温と報告を義務づけ、外食禁止・公共交通機関の利用禁止を申し渡している。また飛行機に搭乗する直前に簡易検査キットにより本人と同行する保護者の感染検査を行った。
 
●車で熊谷に運ぶ人たち
埼玉県(1h) 東京都(1h×2) 神奈川県(2h) 山梨県(2h)
 
↓は適宜事前に車で移動させておく。ホンダジェット(定員7)には原則として1度に1家族しか乗せない。各機はフライト後に毎回消毒する。
 
●A318(定員100)
9:00-10:00 伊丹→熊谷(大阪2・兵庫・岡山の4組)
11:00-12:00 熊谷→高松
14:00-15:00 高松→熊谷(愛媛・徳島)
 
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●G450(定員14)
9:00-10:30 佐賀→熊谷(福岡・長崎)
12:00-13:00 熊谷→仙台
15:00-16:00 仙台→熊谷(宮城)
 
●G650(定員11)
9:00-10:30 与那国→鹿児島
12:30-14:00 鹿児島→熊谷(沖縄・鹿児島)
 
●HondaRed
9:00-1030 函館→熊谷(北海道)
12:30-13:30 熊谷→庄内
15:30-16:30 庄内→熊谷(山形)
 
●HondaBlue
9:00-10:00 富山→熊谷(富山)
11:30-12:30 熊谷→小松
14:30-15:30 小松→熊谷(石川)
 
●HondaOrange
9:00-10:00 松本→熊谷(長野)
12:00-13:00 熊谷→中部
15:00-16:00 中部→熊谷(愛知)
 

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そして7月18日(日)、第2回ビデオガールコンテストの本選が、熊谷市郷愁村で行われた。今回も審査の進行は昨年とほぼ同様である。
 
参加者は全員“郷愁マンション”に泊めており、各部屋にはマイク・カメラとモニター(リア投影型プロジェクタと大型スクリーン)が設置されている。
 
朝食前に本人・保護者に検温の上、再度簡易検査キットで陰性チェックをしてもらっている。
 
審査は各々の部屋で行われる。
 
事前に設定された番号順(2次審査の成績逆順)に、1人1人審査していく。
 
・ウォーキングテスト(実は緊張をほぐすのが目的で採点はしない)
・1曲歌う(事前に届け出ていた3曲の内の1つ)
・審査員との質疑応答
 
二次審査を通った子たちなので、歌はみんな上手い。ここで事前に練習していたはずの曲を歌えない子がいたら、やる気がないものとみなして選外となる(ダンステスト以降に参加できない)が、そういう子は過去に出たことがない。
 
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各自のパフォーマンスは全ての参加者に公開される。全参加者が見守っている様子もモニターに表示されており、各参加者は審査員と参加者が見ている中でパフォーマンスするプレッシャーがかかる。
 
1人のパフォーマンスは7-10分程度で、これを22人繰り返したので、8時に始めて終わったのは11時半頃であった。
 

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参加者を映すカメラのスイッチを切って、水着あるいはレオタードに着替えてもらう。着替え終わったら各々スイッチを入れてもらう。そしてダンステストをする。
 
今年は去年のようにカメラのスイッチを入れてみたら男子水着を着てる子がいたという事態はなかった!(昨年の三陸セレン)
 
お手本を振り付け師のジュン広多さんが踊るので、それを真似して踊ってもらう。
 
このオーディションは歌唱力絶対重視なので、必ずしもダンスのうまくない子もいる。このダンスの点数で足切りすることはないし、またこの点数は、最終的な順位付けで同点や僅差になった時に参考にするだけである。しかし例年このダンスがうまく行って最終審査も成功させる子や、ここで失敗して最終審査もボロボロになってしまう子もいる。ただの実力だけでない、プラス何かがここで出てくる。
 
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今回も先生の踊った通りにちゃんと踊れたのは5人くらいしか居なかった。No.22の子(二次審査最高点)は失敗して泣いていた。彼女が気持ちを切り替えて最終審査に臨めるかが見所である。逆にNo.10(二次審査で13位)の子はきれいに躍ることができて嬉しそうだった。この子はこの勢いで最終審査もうまくいくと面白くなる。
 
No.20信濃町ガールズ北海道の風谷さんは美事なパフォーマンスであった。彼女のタンスの上手さは春の昇格試験の時にも充分評価している(もっともジュン広多さんはかなり厳しいことを言っていた)。
 

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カメラのスイッチを切って、昼食タイムとなる。でも実は隠しカメラが作動しているので、この休憩タイムに問題行動を取る子があったら、その子は選外とされる。表裏のある子は困るのである。
 
今年は特に変な子はいなかった。
 
いよいよ最終審査となる。実はこのオーディションはこの最終審査のみが採点対象である!
 

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なお、今回の審査員9名はこういうメンツである。
 
ケイ(§§ミュージック会長)、秋風コスモス(同社長)、川崎ゆりこ(同副社長)、シックスティーンの羽鳥編集長、スイート・ヴァニラズのロンダ、漫画家の可憐穂之香、作詩家の室蘭氷渡海、§§ミュージックからアクアと花ちゃん。
 
アクアは最終審査の審査員をするのは初めてなのでかなり緊張していたが、ロンダから「こら、アクア、元気ないぞ」と言われて後からおっぱいを掴まれ!抱きしめられてそのままプロレスの絞め技を掛けられると「やめてぇ!死ぬぅ!」と叫んで、室蘭大先生がギョッとしていた。でもこれでアクアも緊張が解けたようである。
 

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未発表の楽曲の譜面が22枚用意されている。
 
モニター画面に白鳥リズムが登場する。そして1曲歌い出す。それと同時にNo.1の子に譜面が渡される。No.1の子はリズムの歌唱の間に渡された譜面を読まなければならない。そしてリズムの歌か終わると、すぐ1番の子の歌の伴奏が始まるので、初見歌唱することになる。そして1番の人が歌い始めるのと同時に2番の人に譜面が渡される。そして1番の人が歌っている間に譜面を読まなければならない。
 
この最終審査は、他の人の歌が聞こえている中、いかに集中して初見で譜面を読むかという集中力が問われる。また譜面がうまく読めなかった時どう対応するかという対応能力も問われる。これは“音楽”能力のテストではなく“歌手”としての総合的な能力のテストなのである。昔のオーディションで月嶋優羽(現“三つ葉”)は譜面が読めなかったので、全く違うメロディーで、まるでそれが本当のメロディーであるかのように堂々と笑顔で歌いきって最終審査に残っている。
 
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審査員は最初の人に80点の点数を付ける。その後は、それを基準にして、プラスしたりマイナスしたりして点数をつけていく。
 
全員のパフォーマンスが終わった所で、各審査員はその採点した点数を元に、1位から22位までの“順位”を決めて、それを各自の前にあるパソコンに入力する。全員の入力が終わると、この各審査員がつけた順位をもとに最終的な順位がコンピュータにより計算される。コーラス大会などで行われる“新増沢式採点法”に準拠した方法である。そして審査員は全員対等である。
 

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