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■春転(13)

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(C) Eriko Kawaguchi 2021-07-17
 
2021年5月20日(木).
 
この日は数紀の誕生日だったが、数紀は原付の免許を取ってと言われ、学校を休んで、鮫洲の運転免許試験場に行った(男子寮からSCCの運転手さんの車で試験場まで行く)。
 
申請書を書き、用意していた住民票の写しおよび佐々木マネージャーに撮影してもらった写真を提出、生徒手帳(1組になってるけどいいやと思った)を提示して受け付けてもらい、学科試験の行われる部屋に入る。
 
先週の内に言われて小浜との往復の飛行機の中で教本を読んでいたし、今週頭からは木下宏紀にだいぶ指導を受けていただけあって、合格。原付の実技講習を受けた上で、グリーンの帯の運転免許証を手にした。
 
この日の夕方には、ひろか・詩恩の姉2人が男子寮の数紀の部屋まできて、ケーキとコーラ、それにケンタッキー・フライドチキンでお祝いをしてくれた。寮母の門脇さんも「誕生祝い」と言ってイチゴショートを差し入れてくれている。
 
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「何泣いてんのよ?」
「いや、お姉ちゃんたち2人に祝ってもらったの初めてだよなと思って」
「そうだね。私が参加したのは初めてだ」
と詩恩。
「私が参加したのも7年ぶりだ」
とひろか。
 
「まあ数紀が東京に出て来たことで三姉妹揃ったからね」
とひろか。
「うん。せっかく三姉妹揃ったし、仲良くしていこうね」
と飛鳥、
 
数紀は2人の姉が“三姉妹”と言ったことについて何も考えていない!
 

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2021年5月21日(金).
 
数紀がその日学校に出て行くと、朝礼の時に担任の青山先生から
「柴田さん」
と呼ばれた。
 
「新しい生徒手帳ができたよ」
と言って渡された。
 
「ありがとうございます」
 
「名前や生年月日に間違いがないか確認して」
「はい」
 
それで数紀は新しい生徒手帳の最後のページを開き、確認する。
 
学年組:1年2組
氏名:柴田数紀 性別:女
生年月日:平成17年(2005年)5月20日
 
数紀は組が2組になっているのを見、それから自分の名前と生年月日が正しいことを確認した。それで
「間違いありません」
と答えた。それで暫定的に持っていた1組になっている生徒手帳は先生に返却した。
 

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アクアMは『サーファーの夏』撮影中の5月22日、東京アクアティクス・センターに見立てた郷愁村の50mプールで2月のジャパンオープンのシーンを撮影した。その後、この日はSCCの運転手さんが運転する“アクアのアクア”で東京に戻る。実は緑川さんが明らかに疲れていたので共演者の星原琥珀がドライバーを呼ぶのを勧めた。それでドライバーを呼んだついでに琥珀もアクア・緑川と一緒にその車に同乗して東京に戻った。こういう場合マナーとして女性の住所を男性に見せないように男を先に降ろす。それで先に龍虎を降ろしてから琥珀の所に向かう。
 
「代々木かぁ。いい所に住んでるね」
と琥珀が言う。
「静夜ちゃんはまだ吉祥寺?」
「そそ。こんな都心には高くて住めないよ」
「結構稼いでそうなのに」
「うちの事務所、率が悪いし」
などと琥珀は言っていた。彼女の事務所は老舗だからなあと龍虎は思った。
 
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撮影が終わったのが21時頃で東京代々木のマンションに戻って来たのが22時半頃である。Fから19時頃に「彩佳が来たからボクは退避する」という“直信”が来ていた。ああ、今日も彩佳とナイトライフしないといけないのか。疲れてるから寝たいのに、などとMは思っていた。むろん彩佳が嫌いな訳ではないが、マジで体力がもたないのである。
 

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マンション前で車を降り、半ば放心状態でエレベータで18Fまで上がる。ドアを開けると、彩佳が抱きついてくるが
「キスはうがいしてから」
と言って、先にうがいし、顔も洗う。
 
それから彩佳とキスしたが
「頼むから先に御飯食べさせて」
と言って、彩佳が作ってくれていた御飯を食べた。
 
50mプールでこの日は結局合計3000mくらい泳いだので、かなり疲れている。それで御飯を食べながら、うとうとする。
 
「眠そうね。ベッドに行く?」
「行ってもいいけど、ボク寝たい」
「うん。龍は寝てていいよ。私が全部してあげるからね」
 
ひぇー。
 
それで今夜も龍虎は彩佳と一緒に寝室に行き、眠り掛けながら、たくさん“運動”することになった。確かにほとんど彩佳が“して”くれるのだが、それでも腰の向きを調整する必要があるから“される”側も結構な運動量がある。結構筋力を使う。セックスって女はただ寝てればいいというものではないんだなあ、と龍虎は改めて思っていた。
 
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「でも龍のおちんちん、今回はなかなか出張から帰ってこないね、私は龍のちんちんが無いのも見慣れてるけどさ。あれ?もう寝ちゃった?まあいいや、もう1回くらい行こう、龍、万一私の子供妊娠したらごめんね」
 
と言って彩佳は再戦を始めた。
 

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この夜はいつもより早い19時頃、彩佳が10階の部屋から登ってきたので、ベッドに寝転がって『わらしべ長者』の台本を読んでいたFは慌てて、和城理紗に声を掛けて浦和の千里さんの家・地下に転送してもらった。八王子でもいいのだが、あちらだと、ごはんに困る、
 
千里さんにメールして「何か食べさせて」と言ったら、京平君が、お盆に載せたパン(ここのパンは毎日この家で焼いている)とシチューにハンバーグ、それに海鮮サラダを持って来てくれた。
 
「京平君ありがとー」
「龍お姉ちゃんも、のんびりしていってね。コーヒーや紅茶も適当に飲んでね」
 
(京平君はFとMを正確に見分けて“龍お姉ちゃん”“龍お兄ちゃん”と言う。さすが千里さんの息子だなと龍虎は思う)
 
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「そうさせてもらう。たぶん今夜はここに泊めてもらうから」
 
「うん。2番お母ちゃんに言っとくよ」
 
「今日は2番さんがいるの?」
 
「僕も2番さんと3番さんの見分けがつかないけど、たぶんNTTとかいうところに合宿に行ってるのが3番さんだと思う。2番さんも今フランスに行ってるんだよ。夜中に帰ってきて地下の部屋に入ると思うけど。フランスから“直信”で頼まれたから御飯持って来た」
 
「わあ、ありがとう!」
 
なるほどそれで京平君が持って来てくれたのか。しかしオリンピックも近づいてきてるし、本物の代表さんは大変だなと思う。NTTはNTCのことかな。ドラマの撮影でその隣のJISSには(Mが)入らせてもらったけど。感染対策で厳戒態勢なので、アクアと星原琥珀、カメラマンの3人だけが入場許可された。入口で洗濯済みの服に着替え(着替える場所はアクアMと琥珀/男性カメラマンが別室:つまりアクアは基本的に女子扱い!)、靴も用意されてた使い捨てのスリッパに履き替えた。ずっとJISSのスタッフの人が付いていて、絶対にどこにも触らないで下さいと言われた。。
 
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龍虎Fは千里家の地下で、持って来てもらった御飯を食べた後、食器は取り敢えず地下ラウンジのキッチンで洗っておいた。ずっと台本を読んでいたが、23時頃には眠くなったのでお布団を敷いて寝た。
 
朝は5時頃目が覚めた。少し泳いでこようかなと思う。ボクが泳げば、その分Mの練習にもなるし。
 
それでコーンフレークに牛乳を掛けて食べて軽いカロリー補給をした上で、水着(ここに自分のを置いてる)に着替えて、地下プールに降りて行く。浄水装置のスイッチを入れて龍虎Fは軽く1時間ほど泳いだ。
 
浄水装置はタイマーオフにしてから上に戻り、シャワーを浴びる。やはり運動した後のシャワーって気持ちいい。濡れた水着を水着入れに入れて裸のままラウンジに戻ったら、ちょうど千里さんが朝御飯を持って来てくれた所だった。
 
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「きゃっ」
「おはよう。女同士恥ずかしがることないよ」
「そうだね」
と言って、龍虎は取り敢えず自分の部屋に入り、適当なTシャツを着た。
 
「ごはんありがとうございます」
「ここも龍ちゃんのおうちなんだから、遠慮無く使ってね」
「うん。でもさあ」
「どうした?」
 
「ボク、一昨年は6500万円、去年は2億円出して、マンション2個も買ったのに、彩佳が来てる日はボクはどちらのマンションでも寝られないのって、何か凄く割に合わない気がするんですけどぉ」
 
「まさに、廂(ひさし)を貸して母屋(おもや)を取られるだね」
と言って、千里は笑っている。
 
「だったら、マンションもう1個買っちゃう?」
「え〜〜〜!?」
 
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龍虎Fは千里とそんな話をしたことで、3月に《じゅうちゃんさん》に八王子で適当な土地を買って、家を建てて欲しいと頼んでいたことを思い出した。マンション買うより、八王子にまともな家が確保できたら、それでいい気がする。
 
でもあの件、その後、全然報告を受けてないけど、どうなってんだっけ?
 

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5月27日に『夏の飛び魚』の撮影が完了したので、その後、龍虎Fは《じゅうちゃんさん》に連絡を取ってみた。
 
「ああ、すまん。連絡入れてなくて。取り敢えず土地は1000坪の土地を八王子市内に確保した」
「ああ、市内で1000坪も取れたんだ?」
「まあ八王子なんて山ばかりだしな。今の場所からも車で5分くらいで行くぞ」
「わりと近いんだねー」
「家も取り敢えず余ってる3LDKの家があったから1個置いといた。後はおまえの好きなようなデザインのを建ててやるから、時間があった時に間取り考えて指示してくれ」
 
「分かった。ありがとう。土地代いくらだった?」
「2000万だったから払っといた、都合のいい時に俺に払ってくれ」
「すぐ払うから口座番号教えて!」
 
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それで龍虎は彼の口座に即2000万円スマホから振り込んだ。名義が「徳都縦久:とくとじゅうく」だった。なんか偽名っぽい名前だなあと思った。
 

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「もう夜中だから着金は明日になると思う」
「OKOK。一度見てもらった方がいいけど、夜中じゃよく分からないだろうし、明日の朝にでも見に行くか?」
 
「うん。朝9時までなら動ける」
「じゃ6時に代々木に迎えに行くよ」
「あ、今夜はボク、川口市の友だちの家に居るんだよ(正確には今向かう所)」
「じゃそこ行くから住所教えろ」
 
まあ《じゅうちゃんさん》ならいいかなと思ったので、龍虎は理史のマンションの住所を彼に伝えた。
 

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翌日5月28日(金)朝、龍虎Fは理史と2人でマンションの下まで降りた。《じゅうちゃんさん》が運転するハリアーがやってくる。
 
「友だちと一緒に見ていい?」
と龍虎が彼に言う。
「ああ、お前が囲う愛人の1人か」
「“愛人の1人”〜?」
と理史が声を挙げる。
 
「九重さん、ボクが部屋の3つある家を建ててといったら、勝手に愛人3人囲うのか?とか言うんだよ」
と龍虎Fは言った。
 
「龍は男の子3人と同時に付き合うほども時間が無いと思う」
「ボクも、そこまでのパワーないけどね」
 
「男の子、女の子、男の娘1人ずつ囲ったらどうだ?」
などと、《じゅうちゃんさん》はまだ言っている。
 
まあ実際男の子(M)、女の子(F)、男の娘(N)の3人で住むためのものだけどね。
 
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それで彼の車の後部座席に龍虎Fと理史が並んで乗り、八王子の市街地から少し離れた場所に行った、
 
「ここは前の場所と2kmくらいしか離れてないね」
と龍虎はGoogle Mapを見ながら言った。
 
「わりと近いだろ?気に入ったら、即ガレージだけでも移動してやるよ」
「それは頼もうかな」
 
それで《じゅうちゃんさん》は竹藪を抜けた所にあるその“家”の前面に車を駐めた。
 

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3人が車を降りる。
 
「どれがボクのおうち?」
「全部だよ」
「なんで4つもあるの〜?」
 
「お前、去年『とりかへばや物語』やってたじゃん。右大将の邸宅が本殿の周囲に東の対(たい)、西の対、北の対、と3つの対を建てて、そこに3人の愛人(右大臣の娘・吉野君の皇女・(前)皇太子)を住まわせていたろ。それを真似たんだよ」
 

 
「4つの建物を建てて渡り廊下で結んだんですか」
と理史が感心している。
 
「本殿の東側に『とりかへばや物語』にあったように池を造って、釣殿造ろうとしたんだけど、池が出来てることに気付かなかった奴が車ごと池にダイブしたから危険かもというので撤去した」
 
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「その人大丈夫でした?」
と理史。
「平気平気。みんな丈夫だし」
と《じゅうちゃんさん》。
 
遊んでるな〜、と龍虎は思う。きっと誰かがハマるのを期待して待ってたんだ。
 
「でもほんとに愛人囲ったりする訳じゃ無いから、こんなにあっても困るんだけど」
と龍虎は言った。
 
「これもう4軒とも家は完成してるんですか?」
と理史が訊く。」
 
「いや。住めるのはこの本宅だけ。あとの3つはハリボテだよ」
「ハリボテなんですか〜?」
「ベニヤ板で、外側を作っただけ。こんなイメージでどうだというので作ってみた」
「九重さんって、お茶目ですね」
と理史。
 
《じゅうちゃんさん》は褒められたと思ったようで、喜んでいる。
 
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