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■春紅(21)

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(C) Eriko Kawaguchi 2021-06-26
 
3月14日のホワイトデーにあわせて、熊谷の§§ミュージック分室では、ファンから大量に送られてくる、ホワイトチョコ、クッキー、マシュマロ類の仕分けに大量人数が投入されていた。
 
基本的にファンクラブなどには“実物は廃棄せざるを得ない場合が多いので商品券で”とお願いしているし、ホームページにもそう告知している。それでも実物で送ってくる人もかなりある。
 
プレゼントの宛先は今年はラピスラズリ宛、あるいは東雲はるこ宛・町田朱美宛というのが物凄く多かった(昨年は白鳥リズム・姫路スピカ宛てが多かった)。
 
今年は全体の3割ほどがラピスラズリ宛だった。その他の女性タレントでは、やはり昨年までと同様白鳥リズムが多く(リズムはバレンタインも多い)1割程度を占めている。次いで姫路スピカ、高崎ひろか、品川ありさ、の順である。少数派では、デビューしたての七尾ロマン・恋珠ルビー宛のものも各々1000個ほどあったが、甲斐絵代子・安原祥子・山本コリン・水谷姉妹に宛てたものも各100件ほどあり、この子たちが注目株であることを如実に示している。
 
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今回度肝を抜かれたのが、常滑真音に宛てたものである。これが4000件を超えており、白鳥リズムに次ぐ多さだったのである。舞音が§§ミュージックの新しいスターになりつつあることを仕分け作業をした人たちは感じた。
 
また舞音宛てのものは“実物率”が高かった。アクアへのプレゼントとかは6-7割がルールを守って商品券で贈られてきているが、舞音宛てのものは9割が実物で、しかも個人発送のものも多かった。個人発送のものは無条件で廃棄処分となる。これらを送って来た人たちには、今回だけ特別に、タレント宛ての荷物は(悪意で危険なものを送ってくる人があるので)安全のため、個人発送のものは全て廃棄することにしており、次回からはお店からの直送にして欲しいということ。また“実物”のプレゼントはかさばるためタレント個人がとても受け取れないし、児童福祉施設などに寄付するにも限度があるので、商品券などで送って欲しいというお手紙を送っている。
 
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こういうのはここ数年ずっと広報したりして周知に努めていたのだが、今回舞音宛ての贈りものにはそういったルールが守られていないものが多く、舞音のファンというのが、これまであまりタレントに贈りものをしたことのない“新しい層”であることを認識させた。
 

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なお、残り全体の約半数を占めているのはアクアである!
 
アクアへの贈りものはヴァレンタインとホワイトデーに分散している。デビューした年は全てヴァレンタインで贈られてきていたが、アクアの“女子疑惑”が高まるにつれ、少しずつホワイトデーの方にシフトしてきている。そういう訳で今年アクアへの贈りものはヴァレンタインで15万個、ホワイトデーにも6万個ほどあったのである。
 
「アクアちゃんが女の子だというの、いよいよ発表するという噂ありますよね」
「そうなるとヴァレンタインの分がホワイトデーに移行して、人手が足りなくなりそう」
 
などという会話も交わされていたとか?
 

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コロナの影響で変則的な開催になった今季のWリーグは、3.14-15に代々木第2体育館でプレイオフの準決勝が行われ、千里たちのレッドインパルスはブリッツ・レインディアに敗れて決勝に進むことができなかった。
 
これで千里(千里3)の今季のWリーグでの活動は終了した。レットインパルスのキャプテン・広川妙子は引退を表明した。千里は“やばい”なと思った。
 
千里2が参加しているフランスのLFBでは、千里たちのマルセイユは、まだレギュラーシーズンを戦っている。4月6日までレギュラーシーズンが続き、上位に入ればプレイオフに進出できる。
 

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3月15日(月)の夕方、Honda-JetRedが郷愁飛行場に着陸した。鹿児島空港から和紗の両親と兄2人を運んで来たのである。本当は聖子と和紗が迎えたい所だが、2人とも仕事で忙しいので、代わりに川崎ゆりこ副社長と、聖子の祖父・柳原蛍蝶!が迎えた。蛍蝶は実は一足早く、妻(聖子の祖母)で元女優の沢野純子と一緒に Honda-JetBlueで伊丹から郷愁に来ていた。蛍蝶夫妻のお出迎えも、川崎ゆりこがした。
 
和紗の母は何気なく迎えてくれた人を見たがピクッとする。
 
「あのぉ、もしかして柳原蛍蝶さんということは?」
「うん。昔そういう名前を使っていたね」
と蛍蝶は懐かしそうに言う。
 
「すごーい!どうしてそんな有名人が?」
と母は興奮している。
 
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「明日の花婿・天月聖子のおじいさんなんですよ」
と川崎ゆりこが説明した。
 
「うっそー!?そんな有名人のお孫さんだなんて!あのぉ、エア握手でいいですから、握手してもらえません?」
 
「んじゃエア握手」
と言って、蛍蝶は笑顔で和紗の母とエア握手した。和紗の父は呆気にとられているようだ。いきなりとんでもない大物が出て来て半ば思考停止している。
 

 
「本当でしたら、天月(あまぎ)家の者がお迎えすべき所なのですが、花婿の両親は舞台俳優で、舞台に穴をあけることができないので動けないのですよ。その親、花婿の父方の祖父は、もうボケていて、目を離せない状態でして。それで筋違いで申し訳無いのですが、花婿の母方の祖父である私がお迎えさせて頂きました」
 
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と柳原蛍蝶は事情を説明して詫びた。
 
「いえ、こちらこそ、こんな有名人さんに、お忙しい所お迎え頂いて申し訳ありません」
 
と和紗の父は恐縮している。
 
「まあ私は引退した身なので、時々古い知り合いに呼ばれて余計な顔出ししてるだけですから」
 

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ともかくも蛍蝶が案内して、和紗の両親と兄をベンツGLB (7人乗り)に乗せる、ゆりこが助手席に乗り、御両親が2列目、兄2人が3列目に乗った。
 
「なんか凄い車ですね」
「結婚式を挙げるカップルへの、ホテルのサービスらしいですよ」
とゆりこが説明する。
 
「へー。しかしベンツに7人乗りがあったんですね」
とお兄さんたちが感心している。
 
それでコテージ“桜”の入口につける。
 
「今日はこちらでお休みください。すぐお茶など持ってこさせますので」
とゆりこが言う。
 
「ありがとうございます!」
 
また豪華な宿に両親たちは驚いているようであった。
 

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ゆりこが乗るベンツGLBはすぐ空港に引き返し、アルコール噴霧と拭き掃除をした上で、今度は蛍蝶夫妻を乗せて、別のコテージに案内する。
 
「蛍蝶さん、本当にお手数おかけしました」
「いや、私は頻繁に東京と大阪を往復してるけど、うちのはコロナの流行が始まって以来、大阪を出てなかったから、良い息抜きにもなったよ」
 
「みんな自分の住んでる都道府県から出てない人多いですよねー」
「うん。何とか落ち着いていってくれたらいいのだけど」
 
「ところで聖子が女になってしまったことは、ワルツちゃんの家族には」
「言ってません。バックれておこうよと聖子たちには言ってます」
「まあそれでいいよね。わざわざ戸籍とか見ないしね」
「ですよねー」
 
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ワルツは今月頭に戸籍を両親の戸籍から分籍した。しかし聖子が戸籍上女になってしまったので、ふたりは婚姻することができない。また聖子は未成年なので両親の戸籍から分籍できない。来年の春になったら分籍するつもりである。
 
しかし和紗は郵便局に、橘ハイツ243号“天月和紗”という住人登録を出した。Amazonの登録名も天月和紗に変更した。それで今後通販その他は天月和紗の名前を使用するつもりである。§§ミュージックでの“社員登録名”も天月和紗にしたので、IDカードもその名前に変更している。ただし彼女はマネージャーとしての営業用名刺は“桜木ワルツ”名義の名刺を使用する。
 

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聖子はこの日、3月15日も夜中すぎまで仕事をした。ただし明日は1日休ませてもらえることになっている。むろん1日だけである!「結婚式午前中に終わるのなら」と午後から仕事を入れられそうになった(鬼畜な会社だ)のをコスモスが代わりに常滑真音にアクアのリハーサル役をさせるようにして、聖子は休みにしてくれていた。
 
舞音は頭の回転が早いし度胸があるので、実は代役としても適性がある。実際3月上旬の時点では、コスモスは、聖子が1人になってしまったことから、聖子の負荷を下げるため、(来年1月くらいにデビューさせるつもりだった)舞音に、顔を売ることも兼ねてアクアのリハーサル役をさせようかと思っていたのである。しかし舞音がいきなり売れてしまったため、この仕事に3月中は主として三田雪代が使われ、4月以降は“男の娘”の長浜夢夜が起用されることになる。
 
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仕事が終わったあと、和紗が聖子を熊谷まで送っていこうとしたが
 
「ワルツちゃんも花嫁なんだから休んでなさい」
と言って、高村マネージャーがふたりを“アクアのアクア”の後部座席に乗せて熊谷まで送ってくれた。アクアの方は緑川マネージャーが代々木のマンションまで送り届けた。(今夜も遅かったので彩佳は諦めて10階に戻り、八王子からFが戻って来た)
 

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3月16日(火)大安・なる(旧暦2/4)
 
この日の熊谷の日出は5:52 夜明けは5:20 月出は7:26 である。
 
聖子と和紗は朝4時に花ちゃんに起こされた。
 
「眠い〜」
「お支度するよ」
「はい」
「どちらが花嫁衣装着るんだっけ?」
 
「私です」
と和紗。
 
「聖子も花嫁衣装着る?」
「自粛して花婿衣装にします」
「せっかく白無垢2セット持って来たのに」
 
それで花ちゃんが連れて来た美容師さん2人の内1人が和紗に花嫁衣装を着せ、もう1人は聖子に男性用の和服を着付けしてくれた。
 
「聖子、かなりバストが成長してる」
「すみませーん」
「バストが目立つように着る?目立たないように着る?」
「目立たないようにでお願いします」
「了解了解」
 
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ということで聖子は胸にサラシを巻かれた。なんか女博徒みたいー、と聖子は思った。
 
2人の着付けの間に花ちゃん自身も振袖を自分で着た(帯だけ美容師さんに結んでもらった)。
 
5時半すぎ、ふたりは花ちゃんに先導されてコテージの外に出る。
 

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マイバッハS650カブリオレが停まっている。
 
「ひゃー。凄い車」
 
「ここで結婚式を挙げるカップルのためのスペシャルカーだよ」
「あのお。この結婚式っていくらかかってます?」
「気にしない。コスモス社長が費用は全部出してくれてるから」
「何か申し訳無い」
 
運転手さんの隣に花ちゃんが乗り、後部座席に聖子と和紗が並んで乗った。
 
マイバッハS650カブリオレは、コテージを出ると、郷愁村を一周走ってから、郷愁神社に到着する。ここは熊谷市内のG神社から分霊を勧請して建立された神社である。専用の結婚式場もあるが、聖子たちは拝殿で式を行うということであった(料金は高いはず)。
 
お清めをし、アルコール消毒もしてから拝殿に昇る。拝殿では次亜塩素酸水の噴霧器が動いている。
 
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結婚式の参列者が既に椅子に座っている。和紗側が両親・兄たちとゆりこ副社長、聖子側が両親と柳原蛍蝶夫妻にコスモス社長。花ちゃんもコスモスの隣に座った。
 
この時、ちょうど日出となり、明るい太陽の光が差しこむ。参列者の間から、思わず「おぉ」といった歓声があがった。
 
男性神職さん?(でも烏帽子をかぶってない)1人と巫女さん2人が入ってきて、雅楽の演奏を始めろ。男性が笙、巫女さんの1人が龍笛、1人が太鼓を叩く。
 
その音楽の中、祭主さんが巫女さん3人と一緒に入ってくる。
 
何か豪華っぽい!
 

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祭主が位置に付くと雅楽の演奏が停止する。
 
「これより、天月西湖、吉田和紗の結婚式を行います」
と笙を吹いていた男性が言う。
 
まずは大幣(おおぬさ)で新郎新婦のお祓いをした。
 
その後、再び雅楽が演奏され、祝詞が始まる。
 
これが長い!
 
祝詞の途中で「天月西湖」「吉田和紗」という名前が読み上げられたので、ふたりの結婚を告げる祝詞なのだろう。
 

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