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■春紅(11)

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24時近くになって、桃香と千里(千里1)が帰宅する。
 
「あ、ごはんがある。誰か作ってくれたみたいね」
と言って、千里1がシチューを温め、パンも切り分けて、2人で遅い夕食にした。これでパンは無くなった。桃香は「ドライブデート中は飲めなかったから」と言って、恵比寿ビール500ml缶を2本も飲んでいた(むろん桃香には一切運転させてないが、桃香は念のためと言ってアルコールは口にしなかった)。普段桃香はイオンのバーリアルだが、バレンタインなので、恵比寿ビールにしたようだ。千里はお茶を飲んでいる。
 
「なんかチョコもある。もらっていいのかな?」
と言って、モロゾフのチョコの包みを“開けて”2人で食べる。
 
(彪志が寝た後、千里に頼まれていた《たいちゃん》が地下から持って来て置いておいたものである:千里3は睡眠中)
 
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「でもさすがに今日は疲れた」
「ぐっすり寝れるようにセックスしよう」
「今日もう既にたくさんしたじゃん!」
 
と言いながらもふたりは、一緒にお風呂に入り(この家のお風呂は2人で入れるようにシャワーが2つあるし浴槽も広い:地下のバスルームも2シャワーだが、こちらは2人で泳いだ後、一緒にあがれるようにするため)、その後一緒に2階の桃香と千里の部屋(203)に移動した。203は音楽制作のため!防音になっているので、隣の2SRに寝る京平が安眠妨害されることはない。もっとも今日の京平は、は妹たちを寝付かせながら結局自分もそのまま202で眠ってしまった。
 
浦和の家の部屋構成と部屋割↓(再掲)

 
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バレンタインであることを除けば、浦和の千里家の日常であった。
 
なお、桃香たちが寝てから、夜2時頃、地下のB03で寝ていた千里3が再度上がってきて、明日の朝用のパンとご飯のため、ホームベーカリーと炊飯器(一升炊き)をセットした。最大13人(今夜は10人)住む家は食料の消費も激しい。
 

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この日千里家にいなかった3人は、青葉・龍虎F・龍虎Mである。青葉は既に11日にバレンタインは済ませていた。
 
龍虎は午前中はオフだったので、4月に出す予定の北里ナナ名義のCDの曲を練習していた。午後からΛΛテレビに出かけて『少年探偵団IV』の撮影をした。夕方からは##放送に出かけて、レギュラー出演しているクイズ番組の撮影に参加する。この番組のリハーサルは葉月が出てくれていた。更に19時からはこれもレギュラーになっているバラエティの生放送に出演する。これもリハーサルには葉月が出てくれていたので、引き継ぎだけで本番に参加した。
 
「だけどアクアちゃん、本番だけの参加なのに、シナリオ変更になった所とか絶対間違えないね」
「今井がきちんと申し送りしてくれていますから」
「そのあたりは、君たちいいコンビみたいね」
「ええ。今井は優秀な代役です」
 
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この日はバレンタイン特集で、出演者の女子数人でチョコを作って、数人の男性芸能人にプレゼントする企画だった。
 
アクアは有無を言わさず、女子グループに入れられた!
 
「ボク、男の子なんですけど」
「却下」
と山森水絵さんに言われて、チョコ作りに参加する。でもアクアが手際よいので
「自分でも作った?」
などと訊かれる。
 
「小学生の頃は、やったことあるけど、デビュー以降は忙しくて作ってないよ」
と答える。
 
「ああ、やはり小学生の頃から女の子だったのね」
 

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この日の参加者は、山森水絵さん、三つ葉の月嶋優羽(つじま・ことり)、丸口美紅さん、アクア、UFOの小倉真弓ちゃんに、松梨詩恩といった面々である。月嶋優羽が例によってアクアのデビュー前後のことをあれこれバラすので「ちょっとぉ」などと言いながら作業していたが、
 
「アクアがいかに最初から女の子だったかが,よく分かった」
などと丸口美紅から言われた。
 
生放送でチョコを手作りするというのは、わりと無謀な企画だったのだが、アクアと松梨詩恩が上手かったので、チョコは何とか完成。プレゼントしてもらった、内海四郎さん、片原元祐さん、佐原春樹君、広河敏也君、新田金鯱、小王(クロード・プッシー)といった面々は
「おいしーい!」
と言って食べていた。司会のフットンダ(Foot-Honda)の2人も試食してみて
「これはよくできてる」
と褒めていた。
 
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「いや、以前、他の番組で月嶋(つじま)から、生煮えの焼き豚、食べさせられたことあるから、戦々恐々としてたけど、今日のチョコは美味しかった」
などと新田金鯱さんが言っている。
 
「あの時はごめんなさい!」
 
「やはりアクアちゃんが入ったので成功したね」
と山森水絵は笑顔で言っていた。
 

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なお、この日は『少年探偵団』の撮影に出たのがFで、クイズ番組とバラエティに出たのがMである。Mは午後もずっと歌の練習をしていて、午後3時過ぎに代々木のマンションを出て緑川マネージャーの車で放送局に向かった。Fはドラマの撮影が終わってからMと交替で代々木のマンションに戻って寝ていたものの、彩佳が勝手に鍵を開けて入ってくるのに気がついたので、急いで、八王子の家に転送してもらった。
 
「あれ?まだ龍、帰ってないのかな。居るような気がしたのに。気のせいか」
と言って、彩佳は18階のキッチンで、バレンタインの料理を作り始めた。
 

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八王子の家に来たFは
「仕方ない。今夜はここで寝るか。バレンタインなのに」
などと言いながら、布団を出してきて横になったのだが、
 
「何か最近、よくここに退避してきてるよなあ。彩佳、もうボクの奥さんになったつもりでいるみたいだし」
 
などと思う。
 
「でもここ、こんなに頻繁に来るなら、もう少し大きな家に建て替えてもいいかも知れないなあ」
と思った。
 
「今度、じゅうちゃんさんに、ここに家建てるなら幾らくらいかかるか訊いてみよう」
 
ここはポルシェを置いておくためだけの場所であり、車庫がメインであって建物は仮眠所にすぎないので、1DK(1階がギッチンで2階が居室)の小さな家(建坪6坪)てある。ここで例えばガレージを立体駐車場にして、家の面積を取れるようにし、せめて3DK程度に改築できないかな?とアクアFは考えた。
 
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(部屋が3つというのはNが復活した時のためにFが絶対譲れないポイントである)
 

龍虎Fは、ドラマ撮影の疲れもあり、ウトウトしていたのだが、Mが夕方から、女子レギュラーたちがバレンタインのチョコを作る番組に出ると言っていたなというのに思い至る。Mは「みんなどんなチョコ作ってくれるか楽しみ」とか言ってたけど、絶対『アクアは』作る側に入れられる、とFは思った。
 
その時Fはハッとして飛び起きた。
「わっちゃんさん」
と呼びかける。
 
「なあに?」
と言って、ワシリーサ(和城理紗)が姿を現す。
 
「あのさ、ボクの代わりに、少し上等なチョコを買ってきてくれない?」
「OK。アクアがバレンタインのチョコ売場なんかに行ったら、チョコを渡したい女子たちに押し潰されるだろうからね」
「こっわぁ」
 
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それで龍虎Fが1万円札を念のため2枚渡すと、《わっちゃんさん》は、ラ・メゾン・デュ・ショコラの1万円のトリュフと、モエ・ド・シャンドンの6000円のシャンパンを買ってきた。
 
「ボク未成年」
「硬いこと言わない」
「そうだね」
「グラス1杯でやめとけば3時間くらいで酔いは覚めるよ」
「了解。彼の帰宅、何時頃かなあ?」
「確認する」
と言って、《わっちゃんさん》は誰かに連絡しているようだった。
 
「今日は22時頃には帰宅するみたいだよ」
「ありがとう!」
 

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龍虎Mは、バラエティの生放送が21時に終わり、21:20頃に緑川マネージャーの車で放送局を出た。代々木のマンションのエントランス前で緑川さんに御礼を言ってから降りて、エレベータで18階に登る。これが21:50頃であった。
 
そして、玄関ドアを開けて中に入ると、いきなり抱きつかれてキスされた。
 
「彩佳!?ボクまだうがいしてないのに」
「じゃうがいしてきて」
「もう」
 
それで、龍虎Mは洗面所に行き、手を洗い、うがいして、顔も洗った。
 
「じゃさっきの続き」
と言って彩佳はまた抱きついてくる。
 
「ね、ね、ボクお腹空いてるから何か食べてからにしていい?」
 
「仕方ないなあ。じゃ料理作っといたから食べて」
「サンキュ」
 
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彩佳が来ているということは、Fは千里さんちにでも退避してるのかな?とMは思った。
 
それでMは彩佳の作ってくれた、ハート型のハンバーグ、シーフードグラタン、ジャーマンポテト、マカロニサラダ、を食べた。ちょっと多すぎ、と思ったが。彩佳が折角作ってくれたのだしと思い頑張って食べる(ちなみにジャーマンポテトとマカロニサラダは宏恵と桐絵が10階の方で作ったもので、彩佳が作ったハンバーグのあまりきれいな形にならなかったものとバーターしている)。
 
「ワインも買ってきたけど飲む?」
 
と言って、シャトー・メルシャンの“城の平オルトゥス(赤)”を出してくる。Mは高そうなワインだなあと思った(Fが買ってきてもらったシャンパンと同じくらいの値段がする)。折角買ってきてくれたけど・・・
 
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「ごめん。折角買ってきてくれたのに悪いけど、ボク未成年だからやめとく」
 
「じゃ私だけ飲んじゃおう」
「彩佳も未成年なのに」
「硬いこと言わない」
 
それで彩佳は「乾杯だけ」と言って、2つのワイングラスに赤ワインを注いで乾杯だけしてから、1人で飲んだ。
 
だからMは飲まなかったのだが、彩佳が飲んでいるのを見ている内になぜかこちらまで酔ってくる。
 
Fの奴、お酒飲んだな!?
 
「あれ〜?龍、まるで酔ってるみたい」
「見てるだけで酔ったかも」
 
「龍、お酒に弱いのね〜」
と彩佳は呆れているようだ。
 
「じゃ、ベッド行く?」
「待って。お風呂に入りたい」
「OKOK。じゃ、ベッドで待ってるね」
と言って彩佳はその場で服を脱いで裸になり、そのまま寝室(Mの部屋)に向かった。
 
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Mは溜息をつくと、酔いが早く冷めるように水を飲んでから、バスルームに行って、汗を流した。あの付近は石鹸で念入りに洗った。
 
(これはMのちんちん消失事件より前である)
 

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松田理史はアクアとは別のテレビ局で仕事かあり、21時すぎに終わった。放送局に駐めていた自分の Honda CR-Z (Brilliant Sporty Blue Metallic) に乗ると川口市の自宅マンションに向かった。マンション近くの自走式立体駐車場に駐める。そして歩いてマンションのエントランスまで来たら、その近くに停まっていたバイクの赤いライダースーツの女の子がヘルメットを取って、こちらに手を振った。
 
「龍ちゃん!?」
「ごめーん。押しかけて来ちゃった。これバレンタイン」
と言って可愛い紙袋を差し出すので受け取る。
 
「よくここが分かったね」
「えへへ。情報源は内緒にさせて」
「まあいいけど」
「じゃ、また。これ渡したかっただけだから」
 
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「あ、待って」
「うん?」
「もし時間あったら、僕の部屋に寄っていかない?」
「いいの?」
「もちろん」
 
それでバイクはマンションの裏手に駐めて(多分夜間だけなら文句は言われないだろう)、理史はマクラ(龍虎F)と一緒にエレベータで8階まで上がり、自分の部屋に招き入れた。
 
「最初に入る時は招かれないと入れないんだよ」
「まるで妖精ちゃんだね。どうぞ、僕の家へ」
「お邪魔しまーす」
と言って、龍虎Fは理史の部屋に入った。
 

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