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■春紅(10)

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青葉は2月12日に能登空港経由で(自分のニスモを使って)金沢に戻ると、まずは取材のビデオを〒〒テレビの長江ディレクターに渡し、その日はそのまま帰宅させてもらい、夜中まで寝た(目が覚めてから2時間ほど津幡のプライベート・プールで泳いだ)。
 
そして翌日、2月13日(土)友引・みつ、エグセルシス・デファイユ津幡(青葉以外は全員火牛スポーツセンターと呼ぶ!)の、グラウンドゴルフ場の竣工式に出席した(津幡の火牛ホテル青葉専用室で仮眠してから出席した)。
 
ここは昨年9月にテニス場が完成した後でその隣に建築開始し、今回竣工となったものである。ムーラン建設の仕事にしては時間が掛かっているが、コロナの折、作業員の密度があまり高くならないように、少人数で建設を進めたので時間が掛かっている。なお、厳しい健康管理をしているお陰で、播磨工務店の社員にもムーラン建設の社員にも今のところコロナ感染者は全く出ていない。
 
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今回の竣工式では、青葉は土地のオーナーと、グラウンド・ゴルフ場を所有することになるフェニックス・トレーニング代表の千里姉の名代との兼任である。
 
「私も水泳日本代表で忙しいのですが、姉もバスケットの日本代表で忙しいようで北陸まで来られないということでしたので、今日は名代を仰せ付かりました」
 
と青葉はスピーチの前に述べて、千里姉から託された挨拶文を代読した。
 
でも挨拶文の中では“火牛スポーツセンター”と書かれていた!
 
町関係者からは
「姉妹で日本代表って凄いですね。頑張ってください。東京オリンピック開催できるといいですね」
と言われた。
 
しかしこのグラウンドゴルフ場の完成で、エグセルシス・デファイユ津幡は当初予定していた全ての施設が完成したことになる。
 
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エグセルシス・デファイユ津幡(青葉だけはこの呼称にこだわる)は第2期開発計画に移る。
 

2月13日(土・友引・みつ).
 
美映は日倉孝史と尼崎市内のホテルで結婚式を挙げた。
 
美映は貴司と結婚した時も、式などはあげず、記念写真を撮ってホテルのレストランでディナーを食べただけである。美映は“たかが結婚式”に何百万もお金を使うなんて、アホらしいと思っていた。
 
しかし今回、結婚するにあたり、日倉孝史の両親(京田辺市在住)が尼崎市内の美映の両親の所に挨拶に行った。それで美映の両親は結婚のことを知り、びっくりした。そして双方の親で話し合い“盛大な結婚式”が開かれることになってしまった。
 
美映が
「新しく買った家のローンがきついからお金無いよー」
と言うと、美映の両親が費用を出してくれた(御祝儀でほとんど回収できた)。
 
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また前回は「そんなの要らない」と美映が言ったので、エンゲージリングもマリッジリングも無かったのだが、今回はしっかり100万円くらいしそうなダイヤモンドのエンゲージリングをもらい、お揃いの18金のマリッジリングも作った。もっとも2人ともバスケット選手なので、普段はリングはつけない。
 
式場は尼崎市内のホテルになったが、これは父のコネで強引に日程を押し込んだものである。
 
ホテル内のお社で朝8時に結婚式を挙げ(出席したのは人数制限がかかるため双方の両親のみ)、ホテルの“リモート披露宴会場”でリモート披露宴をしたのである(これは部屋に余裕があるので12時からできた)。参加者は双方の親族・友人70人ほどに及んだ。事前に冷凍された料理とお酒(ワイン・シャンパン・ビール・日本酒・焼酎・チューハイなどあるいはソフトドリンク)を配送している。御祝儀を頂ける人は、振込でということにした。現金書留は面倒だし、料金も高い。
 
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この披露宴には、日倉孝史が所属する大阪ヨッシーの選手たちも参加してくれたし、美映が関東に移動する前に所属していた女子バスケットチームのメンバーもみんな参加してくれた。
 
「ビバノン、こちらに戻って来たんだ?」
「うん。またあの姫路の家に住んでるよ」
「あれ?でも旦那の顔が違う」
「名前は同じタカシだよ」
「さすがタカシ・コレクター」
 
美映は中学生の時以来、交際した男の子の名前が全て“タカシ”なのである。
 
「じゃ、またあのペントハウスでパーティーしようよ」
「コロナが落ち着いたらね」
 
この日2/13の結婚式となったのは、最初バレンタインの2/14に結婚しようと言っていたのだが、「その日は不成就日だからダメ」と母から言われ、前日になったものである。しかし美映は2/12以前ということにされなくてよかったぁ、と思っていた。そういう日程を設定されると2/12まで待婚期間中であることを親に言わなければならず、すると細川貴司と結婚していたことを言うことになり、絶対
 
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「なんで結婚したことを言ってなかった?」
と叱られると思ったのである。
 
むろん親には、緩菜を産んでいることも言ってない!
 

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2月14日(日).
 
この日、(千葉の)桃香は日曜なので朝から夕方まで塾で授業があった。夜22時頃に帰宅する。
 
「お疲れさま」
と言って、季里子がキスする。
 
「日曜なのに大変ね」
「季里子だって日曜日はフル稼働だし」
「まあね」
 
季里子も自動車販売店に勤めているので、日曜は稼ぎ時である。
 
子供たちだが、来紗・伊鈴はもう寝ている。早月・由美・緩菜はもう浦和に戻った。季里子の両親は自分たちの部屋に入っている。季里子はワインを出してきた。サントリーの彩食健美である。
 
「今日はワインなんだ?」
「バレンタインだしね。チョコもあるよ」
と言って、季里子はゴディバのチョコを出してくる。
 
「わあ、美味しそう」
と桃香は声をあげる。桃香はわりと両刀遣いで、お酒も好きだが、甘いものも好きである。
 
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それでワインで乾杯し、季里子が温めてくれたシチューを食べながら、ふたりは楽しく会話した。チョコは2人でシェアして食べた。
 
季里子と桃香の間では、例年、バレンタインには季里子がチョコを贈り、ホワイトデーには桃香がクッキーを贈るのが定着している。
 

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この日、浦和のほうの桃香は、お昼前、作曲作業をしていたっぽい千里に、後からいきなり抱きついてあそこに指を突っ込もうとしてブロックされたものの、
 
「バレンタインだし、ドライブデートしない?」
と言った。
 
「それもいいかな。この曲は明日までに仕上げればいいし」
と千里は答える。
 
それで千里はサンローランのドレスを着たが、桃香がジル・スチュアートのスカートスーツを着ているので、
 
「どうしたの?女装に目覚めた?」
と千里は訊く。
 
「いや。たまにはスカート穿いてもいいかなと思って」
 
「お化粧もするならお道具貸すけど」
「さすがにメイクまではしない」
「まあ桃香はメイクすると、男が化粧したみたいに見えるしね」
「そうなんだよ。ノーメイクの方がまだ女としてパスする」
などと言っている。
 
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要するに桃香はメイクが下手なんだなと千里は思う。メイク技術が問題外!の青葉よりは、よほどマシだが(テレビ局ではいつも明恵か真珠にメイクしてもらっているらしい:この2人は用が無くても、いつもテレビ局にいる)。
 
それで千里だけメイクをした。
 
ちなみに千葉の桃香は一切メイクしないし、ズボンしか穿かない:そもそも千葉の家に桃香のスカートや化粧品は置かれていない!
 

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京平に
「ちょっと出かけるくるね。ひとりでお留守番になるけどよろしくー」
と声を掛ける。
「うん。大丈夫だよ。お昼はチャーハンでも作って食べてる」
 
チャーハンは京平の得意料理である。
 
「誰もいなくなるから、オナニーしててもいいし、スカート穿いててもいいよ」
「別に誰かいてもスカート穿きたい時には穿いてるけど」
「確かにそうだ」
 
(オナニーについては言及しなかった!)
 
それで出かける。
 
アテンザを出してふたりで出かけた。むろん運転するのは千里である。
 

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この日はBリーグ(男子バスケットリーグ)もWリーク(女子バスケットリーグ)も試合があったが、貴司は都内、千里は埼玉県内だったので、夕方には2人とも帰宅した。
 
ふたりの帰宅はほぼ同じ時刻になった。パソコンでゲームをしていたふうのスカート姿の京平が
「あ、お母ちゃん、お帰りー」
「パパお帰りー」
と続けて言った。
 
「お疲れ様〜。千里は勝った?」
「もちろん勝ったよ。貴司は?」
「負けた」
「それは残念」
 
「一緒にお風呂入る?」
「いや。お先にどうぞ」
「今更恥ずかしがらなくてもいいのに」
と言って、先に千里がシャワーを使った。
 
千里がお風呂場から出てくると京平は居ない。2階に行ったようだ。気を使ってくれたのだろう。でも今日は随分可愛いスカート穿いてたなと思った。上もプリキュアの凄く可愛いトレーナー着てたし(早月に取られそうになったのを死守したらしい)。最近どんどん男っぽくなってきている京平だが、たまには女の子気分になる日もあるのだろう。
 
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千里の後で貴司がシャワーを使ったが、貴司が(京平もいるので自粛して)パジャマを着てから出てくると
 
「これバレンタインね」
と言って千里が紙包みを渡す。
 
「ありがとう!」
と言って中身を見ると、モロゾフのチョコレートと、ミズノのバッシュである。
 
「サンキュ、サンキュ。バッシュ、そろそろ新しいの買おうかと思ってた」
「消耗品だからねー」
 

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「ごはん作るから、その間にオナニーしててもいいよ」
「そんなのしないよ!」
 
それでふたりでおしゃべりしながら、ビーフシチューを作った。朝出がけにタイマーセットしていたホーベーカリーもちょうど焼き上がっているので、それを取りだしてパン切りナイフでカット(焼き上がったばかりのパンは柔らかすぎてスライサーに掛からない)し、皿に盛った。
 
2階にあがっている京平も呼んで3人で御飯を食べていたら、千葉に行っていた、早月たちも帰宅する。
 
「御飯は向こうで食べた?」
「食べたけど、まだ入るよ」
と言うので、食べさせるが、由美は御飯前に着替えさせた!
 
モロゾフのチョコレートも開けて全員で分けて食べる。数を数える練習で早月に分けさせる。桃香の分と彪志の分も別の皿に取り分けた。
 
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子供たちは9時過ぎには寝た。女の子3人は202. 京平は2SRだが、お兄さんの京平は妹たちが寝付くまで202に居て、絵本を読んであげていた。
 
「きょうはおにいちゃんもおんなのこなんだね。ここでいっしょにねる?」
と早月がスカート姿の京平に言ったが、
「みんなが寝たら自分の部屋に行くよ」
と京平は答えた。でもこのパターンでは時々京平自身も眠ってしまうことはわりとよくある。それで京平は添い寝用の布団(桃香がいる時は桃香が使用している)の中で絵本を読む。
 
京平がこちらを気遣って女の子部屋で妹たちを寝かせ付けてくれているようなので、貴司と千里は遠慮無く、2階の貴司の部屋(201)に入って一緒に寝た。
 

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21時半頃、彪志が帰宅する。
 
「お疲れ様。お帰り」
と千里が迎える。
 
「お風呂先にする?御飯先にする?」
「取り敢えず御飯食べます。このままお風呂入ったら倒れそう」
「ほんとに毎日お疲れさん」
 
それで千里はシチューを温め直し、パンをスライスして出して、彪志と会話しながら、一緒に夕食を取った。“桃香と”彪志のために取り分けてあったモロゾフのチョコも2人で食べちゃう。
 
22時過ぎに
「後はご自由に」
と言って居間を出て、地下の自分の居室(B03)に移動した。彪志も疲れているので、お風呂に入った後、23時には自分の部屋(101)に入って寝た。
 
ちなみに、今日試合に出たのは千里3で、千里2(地下のB02に居た)とは貴司がお風呂に入っている間に入れ替わった。モロゾフのチョコを買ってきたのも千里2である。
 
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(千里2や佐藤玲央美が参加しているフランスのLFBは、感染拡大進行中だったため、2月の試合は全て中止になった)
 
そして千里2が貴司と一緒に2階に行き、子供たちも2階で休んだので、その後、地下から千里3が出て来て、彪志と一緒に食事を取ったのである。千里3は試合でカロリー消耗していたのに彪志を待っていたので「お腹すいたー」と思った。
 

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