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■春紅(18)
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番組はこの後、花咲ロンド・石川ポルカ・原町カペラの“売れたらいいな・シスターズ”(“売れてないシスターズ”から改名。平安衣装のまま)の司会で、山鹿クロム・三陸セレン・木下宏紀の男の子(男の娘?)3名を含むガールズ8名(残りの5人は甲斐波津子・水谷康恵・太田芳絵・斎藤恵梨香・山本コリン)で15分ほどコントをした。
女子メンバー5人は振袖を着ていたのだが、木下宏紀まで振袖で出てくる。
山本コリンが「可愛い!」と声を挙げていた。
しかし山鹿クロムから
「なんでヒロさん、振袖なんですか?」
と訊かれる。
「え?ゆりこさんから、今日は女の子のお祭りだから男の子も振袖だよと言われたのに」
「ゆりこさんの言葉を信用してはいけない」
「あれ〜?クロムもセレンも男物の和服だ」
「男の子が振袖着るわけないです」
「ちょっと着替えてくる」
などとやっていたが、ネットでは
「絶対わざと振袖で出て来てる」
「木下君は4月からもう女子メンバーということでよいのでは?」
「性転換手術は終わってるんだよね?」
「それは2年くらい前に済んでいたはず。胸はCカップあるし。高校の卒業式はちゃんと女子制服で出たみたいだよ。ネットに写真も投稿されてたし」
「じゃちゃんと女子高生として卒業したのか」
「公式の性別を変更した場合のファンの反応を観測してるのでは?」
「きっとアクアの性別変更発表のシミュレーションにするんだよ」
などと言われていた。
コントの後は歌を30分ほど流した。
ラピスラズリ『花(瀧廉太郎)』
品川ありさ『青春賦(ももクロ)』
高崎ひろか『桃色吐息(高橋真梨子)
ロマン&ルビー『桃色の予感(アクア)』
白鳥リズム『桃色スパークリング(℃-ute)』
姫路スピカ『PEACH(大塚愛)』』
アクア『不思議なピーチパイ(竹内まりや)』
アクアの持ち歌をロマン&ルビーで歌っているが、今日は自分の持ち歌は歌わない!という趣旨であった。
他のメンツは平安衣装のまま歌ったのだが、アクアだけは、普通の?王子様っぽい衣装に着替えていた(和泉が抗議の電話を入れたため)。でも歌が完璧な女子歌だった!
「アクアの生水着姿見たーい」
「アクアのお尻は桃のようなんだろうな」
「アクア様に私の桃を捧げたい」
「アクア様の手作りのピーチパイ食べたい」
などといったネットの反応だった。
↑誰もちゃんと歌詞を聴いてない
歌っている間に、ガールズたちが、菱餅を焼いてもらって、ひなあられと共に美味しそうに食べている映像も流れた(1人1人アクリル板で仕切られた席を使用している:距離も充分離している)。最初雛壇に並んでいた子たちも、衣装を脱いで、この食べる方に参加していた。なお飲んでいる飲み物はノンアルコールの“甘酒”であり“白酒”ではありません、とテロップで流されていた。
(白酒は甘いので家庭で子供がひな祭りの時にうっかり飲んでしまうケースもあるが、9度くらいあり、ビールよりも度数が高い。チューハイと同程度である。甘酒のアルコールは一般に1%未満)
最後は司会の3人で「うれしいひなまつり」を歌って締めた。
ところで、今回の“雛壇”で、最下段に仕丁として並んだ3人については、結構ネットで話題になった。
仕丁:常滑真音(左)・甲斐絵代子(中)・水谷雪花(右)
「つまりこの3人が次のデビュー候補生ということかな」
「甲斐絵代子はひょっとすると夏くらいにデビューさせるかもという噂あるよ」
「可愛いもんねー」
3人の中で真ん中に置かれているということはデビュー候補生の中のトップという意味なのだろうと多くの人が考えた。
「そういや、常滑舞音は今日CDが出たみたいね」
「もうデビューしたの?」
「そういう訳じゃなくて、何かどこかの観光協会のキャンペーン曲らしいよ」
この日はこの程度の会話だったが、翌日CDの売上統計が発表され、舞音の『とことこ・なめなめ・招き猫』が3/3のデイリーランキングで高崎ひろかに次ぐ2位の9万枚も売れたことが判明すると騒然とすることになる。
3月3日の夜、聖子は23時頃に仕事が終わって和紗と一緒に橘ハイツに帰宅した。
「疲れたね。シャワー浴びて寝よう」
「かずちゃん、先にシャワー使って」
「そう?じゃそうさせてもらおうかな」
それで和紗が先にシャワーを浴び“裸のまま”浴室からベッドルームに直行すると、聖子はそれをドキドキして見送った。それで自分も汗を流そうと浴室に行ったのだが。。。
服を脱いで浴室に入り、まずはあのあたりを洗うとしたら手が止まる。
「なんで、こんなものがあるの〜?」
20分後、和紗はついウトウトしていたのを、寝室に西湖が入ってくる気配で目を覚ます。
「ごめん、寝そうになった」
「疲れてるから仕方ないよ」
と言って、西湖はベッドの中に入った。
「あのさ、ちんちん無くても気持ち良くしてあげると言ったよね」
「うん。だから、ちんちん無いことは気にしなくていいよ。ちんちんくらい無くても、せいちゃんは男の子なんだから」
「ちんちんがあったらどうする?」
と言って、西湖は和紗の手を取って、自分のお股に触らせた。
「なんで、こんなのが付いてるの〜?」
「今夜どうしよう?」
和紗は一瞬考えたものの言った。
「クリちゃんが無くても気持ち良くなれるようにしてあげるから」
「そ、そう?」
それでふたりは昨夜・一昨夜とは“違うパターン”の営みをすることになった。
アクアMは、3/3はもう12時すぎ、夜中の1時頃になって、やっと帰宅した。
アクアFがキスで迎えてくれる。
「こら、そういうのやめろ。キスは彼氏とすればいいだろ?」
「自分にキスするくらい構わないと思うけどなあ」
「それ絶対おかしい。今日は彩佳は?」
「12時くらいまで待ってたけど、諦めて10階に帰ったよ。おかげて、ボクはこちらに戻ってこられた」
「仕事で疲れて帰ってくると、なかなか立ちにくいから辛い」
「何もしないで寝ようと言えばいいのに」
「強制的にやらされるんだもん」
「いっそ、ちんちん取っちゃう?そしたら、しなくても済むよ」
「それ絶対やだ」
彩佳が作ってくれていた御飯を食べながらFとおしゃべりした。
あくびが出る。
「お風呂入って寝ようかな」
「じゃボクは先に寝てるね」
「うん。お休み」
それでMがお風呂に入ってから自分の部屋に行くと、なぜか自分のベッドにFが寝ている。
「なんでお前、こちらに居るんだよ」
「たまには一緒に寝ようよ」
「まあいいけど」
それでMはFと並んで一緒に寝た。
そして3月4日の朝のことである。
Mは長い、そして変な夢を見ていた。
自分が強制性転換されて葉月と結婚して、葉月が産んだ赤ちゃんが舞音で!?
FはMが寝言で"Agnus Dei, qui tollis peccata mundi, dona nobis pacem."などとラテン語の賛美歌を歌っているので、何の夢見てんだ?と思った。
その内Mが飛び起きて言った。
「変な夢だったぁ!」
Fは言う。
「かなりうなされてたよ。悪夢?」
しかしその時、MはFが裸であることに気付く。
「お前、なんで裸なんだよ!?」
「ボク最初から裸で寝てたけど」
「そうだっけ?」
昨夜は疲れていたので、そんな所まで見ていなかった。
「夜中にMを誘惑しようかなと思ったのにMったら熟睡してるんだもん」
「誘惑するなら理史君を誘惑すればいいだろ?」
「避妊具つけてたら“しても”大丈夫だよ。Mも彩佳と“する”時の練習になるよ」
「その考え絶対おかしい」
それでMは取り敢えずトイレ行ってくると言ってトイレに行く。しかしその時Fは気付いてしまった。
本人はまだ気付いていないようだ。でも数秒後には気付くはず。
と思って耳をすましていたら、トイレの中からMが
「うっそー!?」
と大きな声で叫ぶのを聞き、Fは吹き出した。
30秒ほどの後、Mが困ったような顔をして戻って来た。
「どうしよう?ちんちんが無くなってる」
「別にちんちんくらい無くてもいいんじゃない?だって、中学生の頃とか、ずっとちんちん無かったじゃん」
「それはそうだけど・・・彩佳に見られたらどうしよう?」
「彩佳は、ボクにちんちんが無いのは何度も見てるから、全く気にしないと思う」
「う・・・・」
彩佳には、ちんちんが無い状態から、唐突にちんちんが出現する瞬間を見られたこともある。
「そもそも日本人の5割はアクアにはちんちんがもう無いと思っているし。無くても全然問題ない気がする」
「5割もそんなこと思ってる人いるかなあ」
「残りの5割は最初からアクアは女の子だと思っている」
「むむむ」
Mの身体に起きた“異変”は、ちんちんが無くなっただけでは無かった。身長も1.6cmほど縮んでいたのである。その結果、これまでMの方がFより1cmほど高かったのが、逆にFの方が0.6cmほど身長が高い状態になった。
結果的にこれまでMとFの見た目がかなり違い始めていたのが、また両者は近くなった。ここしばらく男役はF、女役はMがしていたが、これを元に戻してもいけるかもとFは言った。
Mの身長が縮んでいる。そして男性器が消失した、というより、恥ずかしがるMのお股を無理矢理見たら、むしろ女の子の形になっているのを確認して、Fは、Mの身体に発生した“事態”の正体に見当が付いた。
だったら、大したことではないね、とFは思う。
どうしても男の身体に戻りたければ千里さんに頼めば変えてくれるだろうし。そもそもちんちんなんて使ってなかったのでは?と思ってから彩佳のことに思い至る。
彩佳にはビアンのテクを覚えてもらえばいいかな。いっそ彩佳が男になってもいいけど。あの子、絶対男でもやっていける。
でもこれ、ひょっとしたら、西湖の身体が統合された余波かもね。ボクたち微妙に影響しあってるみたいだもん、ともFは思う。西湖が去勢したらMの睾丸も消失した。西湖の身体が統合されたら、この程度の影響は出てもおかしくない。
3月3日(水)は千里の誕生日であった。
正直千里はとうとう30代になってしまうので、今年は誕生日なんて来なければいいのにと思っていた。でも今年は貴司は何くれるかな〜、と思っていたのだが・・・
その日、練習から戻っても特に何も無かった。
まさか忘れているとか?
その日の夜も普通に一緒に寝たのだが・・・・
誕生日の話題は全く出なかった!
貴司の馬鹿ぁ!と思っていたら、翌日になって練習が終わった後
「済まなかった。昨日誕生日だったよね。うっかりしてた」
と言ってケーキを買ってきてくれた。彪志が微笑んでいたので、どうも彪志が教えてあげたようだ。
「誕生日のプレゼントはあらためてホワイトデーを兼ねて」
「うん。いつでもいいよ」
と千里は笑顔で答えた。
なお、桃香は千里の誕生日なんて全く覚えてないようだったが、いつものことだし桃香はそういう子なので、全く気にしない。だいたい自分の誕生日の記憶さえも怪しい。
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