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■春紅(13)
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(C) Eriko Kawaguchi 2021-06-20
吉田邦生はその日、融資課の梨田課長さんから声を掛けられた。
「吉田君さ、君、津幡の火牛スポーツセンターを建てた金沢ドイルさんと親しいんだって?」
「中学高校の同級生ですよ」
「へー。それは凄い。ところでさ、あそこも今月中旬くらいにグランドゴルフ場(課長の発音通り)が竣工するみたいで、その後は第2期の開発が始まるじゃん」
「そうだったんですか!?」
「あ、聞いてなかった?」
「ええ。全然」
「あそこの隣接地に2haくらいの土地を造成して、屋根付きのサッカー場・野球場とかを建設するらしいよ」
「それはまた凄い」
「それの資金源がどうなってるか聞いてる?多分200-300億円は掛かると思うけど、あの土地を売ったR銀行が融資するのかな」
「いえ。その話自体を今聞いたので」
「一度訪問してみたいから、君、一緒に来てくれない?」
「行くのは構いませんが、融資とかの話にはならないと思いますよ」
「もうR銀行か、あるいは規模が大きいから都市銀行でも入った?」
「金沢ドイルのお姉さんは資産をたぶん2000億円くらい持ってますから、そういう開発をするなら、お姉さんが資金を出すと思うので、お金を借りる必要ないはずです」
「2000億!?そんな凄いお金持ちだったのか!」
「それに彼女、今忙しいんですよ」
「霊的な相談とかで?」
「川上は東京オリンピックの水泳日本代表候補なので、今は全く時間がないはずです。だから霊界探訪も東京オリンピックが終わるまでお休みです」
「日本代表!?それはまた凄いね!」
結局、この件は取り敢えず顔見せだけということで、融資課長と吉田が、〒〒テレビの石崎部長と面会し、ほんとに挨拶と雑談などだけして帰ってきた。
しかし石崎さんに会い“第2期開発”の中身が全く異なることも判明した!
「いや、なんか期待されているのか何なのか、勝手な噂が広まっているみたいなので、情報を整理する番組でも流した方がいいのかも知れないですけどね」
と石崎さんは言う。
助手として同席した皆山幸花も笑いながら言う
「くにちゃんはこの話聞いてなかったか。これまでこちらでキャッチした“第2期開発の噂”では、大規模な団地の建設とか、ドーム球場の建設、ドームサッカー場の建設、巨大ショッピングゾーン、遊園地あるいはテーマパーク、メガソーラー、カジノを含む統合型リゾート、ゴルフ場、動物園・植物園・水族館、金沢S大学の新キャンパス、更には空港を作るなんて話まで、出てますね」
「で、正解は?」
「ただの公園なんですけどね〜」
「え〜〜〜!?何も施設は作らないんですか?」
「楽しく静かに散策できるような公園を作ろうということのようですよ。運動施設とかを作ると密を発生させるので、コロナが落ち着くまではその手の施設は作らないということのようです。散策でお腹空いた人のために多少の飲食店は作りますが、基本テイクアウトです。ハンバーガーとか、チキンとか、ドーナツとか、アイスクリームとか、お団子とか、たこ焼きとか、手に持って歩きながら食べられるもの限定になります」
「なるほどー」
「少し面白いのはロボット・ウォーカーですね」
「はい?」
「密も困るけど、あまり人が少ないと女性のウォーカーが不安がるので一定以下の密度になったらロボットが歩き回るんですよ。監視も兼ねて」
「それ結構資金が掛かりませんか?」
と融資課長は言ったが
「人間を雇うより遙かに安いと言ってました」
「ああ、そうかも」
「労働基準法も気にしなくていいし」
「なるほどねー。社会保険も要らないし」
「あとは貫通する道路を作ることになりました。今の取付道路は1本だけで袋小路になっているので、反対側に突き抜けられる道路を作って、何かあった時の安全性を高めるということのようです」
「ああ、それはいいことだと思う。僕もそれちょっと不安に思ってた。あの道路で山火事とか起きると脱出できなくなる」
と吉田も言った。
2021年2月3日、アクアは能登半島に行き、“アクアのアクア”Ver.2 "Leo"のCM撮影に臨んだ。
実際にはリハーサル役の花ちゃんと葉月が、撮影隊とともに2月1日夕方にG450に乗って能登空港に移動しており(それで千里は2/1に美映を送っていくのに自分のG450が使えなかった)、アクアは2月2日夕方に緑川マネージャーと2人で Honda-Jet
Redで現地入りして七尾市内のホテルに泊まっている。
今回の“アクアのアクア”は "Leo" というサブタイトルの通り、昨年同様のアクア色(水色)塗装のアクアだが、獅子座のマーク
がエンブレムになっている。ベンチシートなどの内装は基本的にver.1 と同等である。招き猫アクアのシールについては、実際問題として「貼るのが恥ずかしい」という意見が多かったことから無料オプションとなった(アクア本人も貼ってない!)。
昨年の(Ver.1)は、アクアのクロスオーバー・タイプをベースにしていたのだが、結果的に3ナンバーになっていた。実は“アクアのアクアは欲しいけど3ナンバーでは”という声がわりとあったのである。それで今回は、アクアのGグレードをベースにすることになった。一応、クロスオーバータイプ・ベースのVer.1 も併売する(注文生産対応)。
(アクアの5ナンバー車はL・S・Gの3グレードがある。Sが標準で、Lは廉価版、Gが上級グレードである。Lは装備も削られているがSとGは主として内装の違いだけ)
Aqua of Aqua ver.1 4.060m×1.715m×1.500m
Aqua of Aqua "Leo" 4.050m×1.695m×1.455m
小型商用車(5ナンバー)の条件は、4.70m×1.70m×2.0m 以下で、排気量が2000cc以下ということになっている。クロスオーバーは車長は4.7m以下だが、車幅が1.7メートルを1.5cmだけ越えていたのである。なお、アクアの排気量は1500ccである。
ちなみに“レオ”というサブタイトルはアクアが獅子座生れ(2001.08.20 14:21 Sun=Leo27.27 Moon=Vir13.03)であることに由来する。それでエンブレムも獅子座のマークなのである。
撮影は、能越自動車道の七尾−氷見間の道で、新型車が走っている所を、前・後および空中から撮影する。空中撮影は、大型の自動操縦ヘリを使用する。農薬の空中散布などに使用される機体である。山岳道路で気流も複雑なので、万一の事故に配慮して無人ヘリでの撮影になった。
この新型車をマリクレールのメンズ仕立てのスーツ(*11)を着たアクア自身が運転し、助手席には、雌ライオンの着ぐるみを着た葉月が乗っており、ライオンの彼女とドライブデートしている絵である。
(*11)メンズ仕立てだが、アクアはレディス体型なので、事実上女性しか着られない服に仕上がっている。最初仕上がってきた時ボトムがスカートだったので
「すみません、ズボンにしてください」
と言ったら
「あれ?ズボンがお好きですか?スカートの方が可愛いのに」
と怪訝な顔をされた!?
室内の様子も前座席左右に取り付けた小型カメラを後部部席に同乗した技術者が操作して撮影する。むろん停まっている状態でも撮影したが、これは走行の撮影後に、この道路上にある県境PAで撮影したものである。映像上で見える“境界線”は石川県と富山県の県境の印に引かれるているものだが、CM放送後、わざわざこれを見に来る“巡礼者”が結構発生した。
リハーサルでは、イオンで買ってきた!女性用のパンツスーツを着た花ちゃんが運転席に座り、葉月がやはり雌ライオンの格好で助手席に座っている。葉月はこの時点ではまだ四輪免許を持っておらず、運転席には座らせられなかった(後述)。もっとも、この能越道の七尾−氷見間はカーブもアップダウンも多く道幅も狭い(特にトンネル内が狭い)し、片側1車線の道なので、難易度が高い。免許を持っていたとしても、初心者マークの人にはかなり辛い道であったが、花ちゃんなら運転歴も長く安心であった。実際、花ちゃんは
「峠を攻めたい人には、いい道だね〜」
などと言って、楽しそうに運転していた。
アクアは実はこの道を走ってみて、ちょっと恐かったが、演技力で笑顔をキープして運転していた。
撮影終了後は、お昼に氷見(ひみ)名物の氷見うどん(稲庭うどん同様の“手延べうどん”:見た目はむしろそうめん)と、この時期美味しい
氷見の寒鰤(かんぶり)をお刺身で食べてから、お昼過ぎに G450, Honda-Jet で熊谷に帰還した。
(2/1-3にG450を使用したので、2/2に能登→熊谷の移動をした水泳の“津幡組”は Do228 での移動になった↓参照)
Time Line
2.1 16:30 学校から帰宅した葉月(F)が裁判所からの通知を見て仰天
17:00 Honda
Redで千里・美映・日倉が伊丹へ
18:00 G450で葉月(M)たちと撮影スタッフが能登へ
2.2 (夜明6:19 日出6:54)
6:30-8:30 リハーサル
7:00 Do228を郷愁から能登へ回送
8:00 Honda
Red千里が伊丹→郷愁
10:00 Do228で水泳津幡組が能登から郷愁へ
18:00 Honda
Redでアクアが能登へ
※葉月Fは戸籍が変更されているのを確認して免許証の書き換えに行く
2.3 (夜明6:19 日出6:53)
6:30-7:30 本番
15:00 G450, Honda
Redでアクアたちが能登から郷愁に戻る
2.03-07 ジャパンオープン(3日は公式練習日)
2.05
聖子は名前変更済みの免許証で自動車学校に入校する
2.07
18:00 千里が金堂をナンパ?する
2.08
14:00 Do228で津幡組を能登へ
2.09-11 作曲家アルバム
2,12
8:00 青葉がHonda
Redで能登へ戻る
この能登でのCM撮影の直後、2月5日(金)、天月聖子(今井葉月)は都内の自動車学校に入校した。
普通免許を取るためである。
アクアの代役という性格上、運転できることは必要で、これまでは運転する部分は、姫路スピカや花咲ロンドなどに代役をしてもらっていた。今回の能登での撮影でも、花ちゃんに運転してもらっている。聖子もできたら卒業前に免許を取っておきたかったのだが、昨年夏頃からひじょうに多忙な状態が続いていたので、時間が取れなかったのである。
それで最初は卒業してから取ろうと思っていたのだが、千里さんから3月1日の卒業後には1人に戻ってしまうことを宣告されたので、まだ2人でいる内に取りに行こうと決めたのである。通学手段についてはバイクを使いたいと言ったら、花ちゃんが Ninja250(黒)を貸してくれたので、それを使うことにした。
「花ちゃんは困りません?」
「私は250SLの方を使うから大丈夫」
と彼女は言っていた。
「そんなに色々あったんでしたっけ?」
「研修生になってから免許があった方がいいみたいと思って、東京に出て来てすぐ原付免許を取って(2014.8) スーパーカブを買った。それを1年乗ってお許しが出たから17歳でバイクの免許取って(2015.8取得)、 Kawasaki ZZR400 を買ったのよ。その後、メグミちゃん(仲原恵海:現在“透明姉妹”)が退所する時、彼女の Ninja 250SL を実家のマンションには置けないというから私が買い取った(2017.3). 大型免許は18歳になってすぐ取りたかったけど、社長から最低2年は普通二輪車を経験してからにしなさいと言われたから、19歳になってから取って(2017.8), Ninja 1000 を買った。それで Kawasaki が3台になってたんだけど、250cc って、使い手がいいし乗りやすいから、女子寮に駐めとくと、誰かしら勝手に使ってるんだよね(犯人は海浜ひまわり・姫路スピカ・松梨詩恩あたり)。それで、去年もう1台、新型の Ninja 250 も買った」
つまり聖子に貸してくれたのはその新車の Ninja250 ということのようである。
「それでカワサキが4台ですか!」
と聖子は感心する。
「250ccは車検が要らないから(*12)維持費が安くて済むんだよね。それでいて高速も走れるし。だからもう1台買ってもいいかと思って買った。125ccは高速NGだから使い手が悪い。でも250cccは、乗りやすいから勝手に使われる」
(*12)二輪車の区分↓再掲
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